【目覚まし時計不要の起床法】自力で目覚める「自己覚醒」法とは?

目覚まし時計の音で無理やり起こされると、どうにもスッキリせず、結局二度寝してしまうことってありませんか?

そこで身につけたいのが、多くの人がトレーニング次第で身につけられるという起床法「自己覚醒」

 

睡眠中から起床の準備を整え、自力で目覚める方法で、気分良くスッキリ起きられる上に、日中に眠気を感じがちな単純作業でも効率を落とさずに進めやすくなるとか。いったい、どんな訓練を行えば習得できるのでしょうか。

自己覚醒の研究を行った池田大樹研究員(独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所)にお話を伺いました。

 

自己覚醒はなぜスッキリ起きられるの? 目覚まし時計に起こされる時との違いとは

気持ちよく目覚める女性

池田さんいわく、自己覚醒とは簡単に言ってしまえば「起きる時刻を強く意識しておく」だけで実行できる起床法。意識するだけで、なぜスッキリと起きられるのでしょうか。

 

「目覚まし時計に起こされる場合、寝ている状態から覚醒状態に強制的に移行させられることになります。

それに対して自己覚醒の場合、起きる時刻に向けて睡眠中にも身体が覚醒の準備を整えてくれるため、快適に目覚めることができるのです」(池田さん)

 

私たちの身体は、寝ている間でも時間の経過を無意識のうちに把握しています。

自己覚醒は「◯時に起きるぞ」と意識するため、時間の経過を判断する能力がより正確にはたらき、身体のさまざまなスイッチを入れて起きる準備を始めるのです。

 

池田さんのこれまでの研究によると、覚醒時刻を意識した際、身体は活動を開始するために下記のような準備を整えているそう。

  • 起床1時間前から、「副腎皮質刺激ホルモン」の増加を促進
    (これにより、覚醒準備を行うコルチゾールというホルモンの分泌が促され、血糖値を上げることで身体を目覚めさせる準備を整える)
  • 睡眠を維持しようとする脳波(シグマ帯域)の活動が弱まる
  • 起床の約30分前から脳(右前頭前野)の血流量が増加
  • 自律神経系(心拍、血圧)の活動が活発化
    (起きて活動するための準備が整う)

 

 自己覚醒で起きた際、いつもより格段にスッキリしているのは、身体が起きる準備をしっかりと整えてから覚醒できるためなんですね。

 

訓練次第でホントにできるの?

夜中の寝室

自己覚醒が快適な目覚めを促すのは理解できましたが、本当に誰にでも習得できるのでしょうか。

池田さんによれば、不眠症や昼夜逆転生活のように睡眠リズムが極端に崩れている人を除けば、ほとんどの人が自己覚醒できるようになるとのこと。

 

池田さんは、それを裏付ける実験も行ったそうです。実験内容は、自己覚醒習慣のない11名の学生に起きる時間を指示し、自己覚醒の成功率を調査しました。

調査期間はおよそ7日間、「成功」とは、指示した時間と起床時刻の差が30分以内の場合と定義しました。

 

「11人の被験者には、ただ『明日(目覚まし時計を使わずに)、◯時◯分に自分で起きるようにしてください』とだけ指示しました。

起きるための方法は各人それぞれで、『とにかく強く“起きよう”と思った』という人から、『なんとなく意識した程度』という人もいましたが、7日目には8割の被験者が成功しました。

成功しなかった2割の被験者も、実験期間を延長したところ、8日目には成功しています」(池田さん)

 

睡眠リズムが極端に崩れている人は習得がなかなか難しいとのことでしたが、実験に臨んだ11名中1名は、昼夜逆転生活とはいかないまでも、“ほぼ夜型”の人だったそう。

その方も自己覚醒に成功したので、「夜型の人でも自己覚醒を身につけることは可能かもしれません」と池田さんはいいます。

 

自己覚醒すれば、日中の活動状態も改善!?

就業中に眠気に襲われる男性

自己覚醒によって日中の単純な課題の成績が上がるという話もありますが、これについては理由が明確になっていないそう。

 

ただ、自己覚醒で起きた場合、目覚まし時計などによって起きた時と比べ、覚醒度が高いという研究結果は存在しています

「15名の労働者を対象に、4日間睡眠時間を5時間に制限した上で、毎日自己覚醒を試みるグループと、毎日目覚まし時計によって起きてもらうグループに分け、それぞれの朝と日中の眠気や課題成績を比較しました。

 

その結果、目覚まし時計で起きた場合と比べ、自己覚醒の場合は朝・日中ともに、単純な課題に対する反応時間が速かったのです。

この課題は、「眠気が強ければ反応時間が遅くなる」ということがわかる内容でしたので、課題を行っている間、自己覚醒グループの方が、より目が覚めている状態であったと考えられます」(池田さん)

 

自己覚醒だからといって日中の眠気がなくなるというわけではないそうですが、作業中により目覚めた状態を維持しやすくなるかもしれません。

単純作業が多くて眠気を我慢できないという人は、自己覚醒に挑戦してみる価値がありそうです。

 

今日からできる! 自己覚醒トレーニングに挑戦してみよう

山の頂上で達成感を抱く男性

では、どうすれば自己覚醒を身につけることができるのでしょうか。冒頭で軽く触れたように、その方法は起床時刻を意識することだけ。

とはいえ、いきなり目覚まし時計を使わずに試してしまうとリスクが大きいため、目覚まし時計はあくまで保険として、起床予定時刻の10分後くらいに設定しておくのが安全。

 

それに加え、重要なのはモチベーションだと池田さんは話します。

「自己覚醒は、モチベーションに左右されやすいんです。プラスのモチベーションを持って毎日続けることが自己覚醒を身につける近道になるでしょう。

そのためには、自己覚醒が成功したら、朝やお昼においしいものを食べるなど、何か自分へのご褒美を用意しておくとよいですね。

 

ただし、起きられなかった場合に罰を与えるのは逆効果です。『成功しないかも』という不安が生じて、睡眠の質が悪化してしまいます。

また明日頑張ろうと、ポジティブなモチベーションを保ってください」(池田さん)

池田さんの実験によると、4日目以降から成功率が高まってくるそうなので、焦らずに最低でも7日間は続けてみましょう

 

また、自己覚醒習慣を持つ人々は、睡眠時間が一定であるということがわかっています。なるべく規則正しい生活を心がけるのも、成功率を高めるポイントです。

「実験期間中、私自身も目覚まし時計の保険をかけつつ、被験者の起きる時間に合わせて毎日、自己覚醒に成功しています。

自己覚醒が習慣化できれば、目標時刻と実際の起床時刻の誤差は平均で3分程度という研究もあります」(池田さん)

 

マスターすれば、目覚まし時計いらずで起きたい時刻に快適に起きられるばかりか、日中の状態も向上するとなれば試さない手はありません。

「朝起きられない…」と悩んでいる人は、自己覚醒の習得に挑戦してみてはいかがでしょうか?
 

photo:Thinkstock / Getty Images

池田 大樹

監修

博士(学術)

池田 大樹

独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所


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