目覚ましを止めたまま眠る女性

朝起きられないのは、生活習慣や病気が理由?「目覚めが悪い」ときの対策

「朝スッキリと起きられない」のは、睡眠不足やストレス、運動不足といった一時的、あるいは慢性化した生活習慣から過眠症やうつ病などの病気まで、さまざまな可能性があります。そこで今回は、朝起きられない原因と、スッキリ目覚めるための方法を紹介します。

朝起きられない原因

朝起きられない女性

朝起きられないという悩みは、生活習慣などを見直すことで解消できるケースもあれば、医療機関への受診が必要な場合もあります。以下を参照して、自分が起きられない原因を探ってみましょう。

生活習慣が原因

朝起きられない原因の一つに、睡眠不足や運動不足、ストレスなどの生活習慣があげられます。次にあげた項目に心当たりがないかどうか、確認してみてください。

 

睡眠時間の不足

日中にたまってしまった疲れを取り除き、心身の機能を回復させるために睡眠は必要不可欠です。例えば、夜更かしをして睡眠時間が短くなった場合には、脳や身体を十分に休めることができず、脳が覚醒しにくくなり、朝起きづらくなってしまいます。

 

体内時計の乱れ

人間には「夜になると眠くなり、朝になると目が覚める」という体内時計が備わっています。体内時計がうまく機能していれば、朝になると自然に脳が覚醒に向かいスムーズに起きられます。しかし、休日だけ遅くまで起きていて朝起きる時間も遅くなるなど、日々の就寝・起床時間がバラバラの場合には体内時計のリズムが乱れてしまい、本来目が覚める時間に覚醒のスイッチが入らず、朝起きられなくなってしまいます。 これはソーシャルジェットラグとも呼ばれ、海外旅行に行った時に感じる時差ぼけ(ジェットラグ)と同じような症状です。

体内時計が乱れてしまう原因や、体内時計の整え方などを解説します。

 

睡眠の質の低下

脳を休めるためには、「ノンレム睡眠」と呼ばれる深い睡眠が必要です。睡眠の質が低下するとノンレム睡眠が現れにくくなり、その結果、脳の疲れが十分にとれず、朝起きづらくなります。次の項に挙げる病気、寝る前の飲酒や喫煙、カフェインなどによって、睡眠の質が低下してしまいます。

 

病気が原因

朝起きられない原因が生活習慣にあてはまらない場合には、何らかの病気が影響している可能性もあります。ここでは意図せず長時間眠ってしまったり、睡眠の質が低下してしまったりする病気について説明します。

 

起立性調節障害

自律神経のバランスが乱れ、血圧の調整がうまくいかなくなる病気が起立性調整障害です。

横になっていたときに下がっていた血圧が起き上がるときに戻らず、一時的に脳が血流不足となってしまうため、目覚めが悪くなります。また、立ちくらみ、倦怠感、頭痛や腹痛などの症状も出ることもあります。食事や運動などの生活習慣の改善のほか、昇圧薬などの薬物を用いた治療が一般的です。

 

過眠症

夜間に十分な睡眠をとっているにもかかわらず、日中に耐えられないほど強い眠気を感じる病気が過眠症(ナルコレプシー)です。仕事中や会話中、食事中など眠ってはいけないときに突然眠ってしまうなど、日常生活に大きな支障をきたします。生活習慣の改善のほか、薬物により治療が行われます。

⇒ナルコレプシーの原因や症状の抑え方、診断基準を説明します

 

概日リズム睡眠障害

概日リズム睡眠障害は、昼夜のリズムと自分の生活リズムが合わなくなり、睡眠をきちんととることができず、日常生活になんらかの支障をきたすような睡眠障害の総称です。徹夜や夜更かしが重なることで朝起きられなくなる「睡眠相後退障害」や、極端に早い時間に眠りにつくことが習慣化され、深夜に目が覚めてしまう「睡眠相前進障害」などがあります。体内時計の調整を促す「高照度光治療法(明るい光のもとで過ごし、体内時計をリセットする治療)」による治療が有効です。

 

睡眠時無呼吸症候群・肥満肺胞低換気症候群

睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に舌がのどの奥に落ち込むなどして気道がふさがり、呼吸が止まってしまう病気です。呼吸をして息苦しさを解消するために、無意識に眠りが浅くなって睡眠の質が低下してしまいます。また、過度の肥満の場合には、のどに脂肪が多くつくことで気道が狭くなってしまい、睡眠時無呼吸症候群と同様に眠りが浅くなってしまう肥満肺胞低換気症候群の可能性もあります。食事や運動などの生活習慣の改善のほか、睡眠時無呼吸症候群ではマウスピースや経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)と呼ばれる治療器を使った治療が一般的です。

 

むずむず脚症候群・周期性四肢運動障害

むずむず足症候群(レストレスレッグス症候群)とは、眠ろうとすると虫が足をはっているようなむずむずした不快感があり、じっとしていられないほどの苦痛を伴う病気です。また、周期性四肢運動障害は、睡眠中に膝や足の関節がピクピクと反ったり、足が蹴り上げるように動いたりする病気です。どちらの病気も眠っているときにも起こるため、睡眠を妨げ、慢性的な睡眠不足を招きます。生活習慣の改善やドパミン作動薬(身体のふるえなどを改善する薬)などを用いた薬物治療が行われます。

⇒むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)の原因や症状、診断基準を説明します

 

うつ病

朝、スッキリと目が覚めないほか、寝つきや寝起きの悪さ、途中覚醒、気持ちの落ち込み、立ちくらみ、全身の倦怠感などの症状が出た場合はうつ病の可能性があります。強いストレスなどがうつ病の原因となる一方で、日中の眠気により日常生活をスムーズに送ることができず、うつ病を発症してしまうケースもあります。睡眠障害とうつ病は症状が似ており自分では判断しにくいため、早めに専門医を受診することが大切です。睡眠導入剤などの薬物投薬のほか、ストレスを軽減させる認知行動療法などによる治療が効果的だといわれています。

⇒うつ病の症状、簡易自己診断法、対処法を紹介します

 

朝スッキリ起きる方法

カーテンを開ける女性

朝起きられない原因が生活習慣である場合は、次のような生活を心がけることで体内時計の乱れや睡眠の質の低下を防ぎ、朝スッキリと起きられるようになります。

 

体内時計の乱れを整える

前述したように就寝・起床時間がバラバラで、強いストレスなどにより、体内時計は乱れていきます。以下で、体内時計を調整する方法を紹介します。

 

決まった時間に起きる

毎朝の起床時間を一定にすることで、決まった時刻に体内時計がリセットされる習慣がつきます。そのため、朝はできる限り決まった時間に起きて、規則正しい睡眠リズムをつくるように意識しましょう。

 

朝日を浴びる

体内時計には、強い光によってリセットされるという性質があります。そのため、起床後に朝日を浴びることで体内時計が整いやすくなります。冬場の弱い光や曇り空でも、太陽の明るさは1万ルクス程度ある一方で、蛍光灯の明るさは300~2000ルクスなので、起きたらまず、カーテンを開けて太陽の光を取り込むことを習慣にするとよいでしょう。

水を飲み、朝食をとる

朝、コップ一杯の水を飲みましょう。水を飲むことで、睡眠中の汗により不足した水分を補給できるだけでなく、胃腸の動きが活性化して目が覚めます。また、朝・昼・夜の食事の時間を規則正しくすることでも、体内時計が整いやすくなります。

 

睡眠の質の低下を防ぐ

睡眠時間が十分とれていても、なかなか眠りにつけなかったり、夜中に何度も目が覚めたりすると、寝不足になってしまいます。以下で、睡眠の質の低下を防ぎ、熟睡するテクニックを紹介します。

 

寝る前の飲酒を控える

飲酒によってリラックスでき、スムーズに入眠できると感じる人もいるかもしれません。しかし、体内でアルコールが分解されるときに発生するアセトアルデヒドという物質は、睡眠を妨げて眠りを浅くする性質があります。そのため、就寝3時間以内の飲酒は控えましょう。

 

寝る前の喫煙を控える

タバコに含まれるニコチンやカフェインには脳を覚醒させる作用があり、寝つきも悪くなり、睡眠の質も低下してしまいます。タバコによる覚醒作用は約1時間、カフェインによる覚醒作用は約4時間続くので、就寝前の喫煙や夕方からのカフェイン摂取は控えるようにしましょう。

 

睡眠環境を整える

睡眠に影響を与える3つの要因として、温湿度、光、音があげられます。夏場の寝室は温度26度、湿度60%、冬は温度18〜23度、湿度50〜60%が最適なので、エアコンやパジャマ、寝具などで調整しましょう。また、就寝前は部屋の照明を暗めにし、静かな環境をつくりましょう。車や電車が通過する音など、40デシベル(図書館の環境音)を超える音がする環境では眠りにつきにくくなるため、寝室のカーテンを遮音・遮光カーテンに変える、窓に防犯フィルムを貼るなどの対策が必要です。

 

好きな音楽を聴く

交感神経を刺激する副腎皮質ホルモン(コルチゾール)は通常、朝に分泌され、脳の覚醒を促します。しかし、強いストレスを感じると夜であっても副腎皮質ホルモンが分泌されてしまい、交感神経が優位な状況が続き、眠りが浅くなり、睡眠の質が低下します。

自分の好きな音楽を聴くと副交感神経が刺激され、リラックスした状態になります。ゆったりとした曲調で歌詞のないものを選ぶとよいでしょう。歌詞がある曲を聴くと、言語機能をつかさどる脳の中枢が刺激されて、眠気が覚めてしまう可能性があります。また、音楽をかけたまま眠ると、音が刺激になり熟睡できなくなるため、タイマーなどを活用して、眠った後は音楽が止まるように工夫してください。

 

アロマオイルを嗅ぐ

ストレスを緩和するには香りも有効です。香りは嗅覚を通じてダイレクトに脳に伝わり、自律神経に直接働きかけて副交感神経を優位にする効果があります。そのため、寝る前にアロマオイルを嗅ぐとリラックスでき、スムーズな入眠につながりやすくなります。一般的に、寝る前に有効なリラックス効果があるアロマオイルは、白檀(サンダルウッド)、沈香(アガーウッド)、ラベンダー、カモミールなどです。しかし、香りの好みは個人差が大きいので、好みに合わない場合は、使用を避けましょう。

 

朝起きられない原因を探って、スッキリ目覚めるための方法を試してみてください。

Photo:Getty Images

坪田 聡

監修

医師・医学博士

坪田 聡

医師として睡眠障害の予防・治療に携わる一方で、睡眠改善に特化したビジネス・コーチとしても活躍中。「快適で健康な生活を送ろう」というコンセプトのもと、医学と行動計画の両面から睡眠の質を向上させるための指導や普及に尽力。総合情報サイトAll about 睡眠ガイド。 「睡眠専門医が教える! 一瞬で眠りにつく方法」(TJMOOK 宝島社)、「パワーナップ仮眠法」(フォレスト出版)他、監修・著書多数。

医療法人社団 明寿会 雨晴クリニック 副院長

Site: http://suiminguide.hatenablog.com/


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