「睡眠負債」=積み重なった睡眠不足が、さまざまな疾患のリスクを押し上げるということは、テレビ番組や雑誌等で取り上げられたことをきっかけに、広く知られるようになりました。
 
子供にとって睡眠負債は、脳をはじめとする神経や身体が成長する途上にあるだけに、さらに深刻な悪影響を与える恐れがあります。
 
睡眠専門医の坪田聡先生に、子供の睡眠負債について、その現状と家庭で取り組める対策を教えていただきました。

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睡眠負債 子どもへの影響は大人よりも深刻!:後篇

子どもの生活リズムのチェックリスト

子どもは睡眠負債(睡眠不足)がたまってきても、あまり眠気を訴えないことがあります。そんな時には、睡眠文化研究所が編集した「子どもを伸ばす『眠り』の力」にある、生活リズムのチェックリストを使ってみてください。子どもの睡眠の問題点が明らかになることがあります。
 
まず、下の各項目について、当てはまる番号をチェックし、1.は1点、2.は2点、3.は3点として合計点数を出してください。

体格は?

  • 明らかに太りすぎ/やせすぎ
  • どちらかというと太っている/やせている
  • 体格は普通

 

朝は何時に起きますか?

  • 8時以降
  • 7~8時
  • 7時前

 

朝は自分で起きますか?(目覚まし時計を使っても OK)

  • いつも人に起こされる
  • ときどき自分で起きる
  • たいてい自分で起きる

 

朝ごはんを食べますか?

  • いつも食べない
  • ときどき食べる
  • たいてい食べる

 

午前中の体の具合は?

  • だるく、疲れている
  • ときどき元気がない
  • たいてい元気いっぱい

 

昼間に眠くなりますか?

  • 毎日眠くなる
  • 時々眠くなる
  • ならない

 

毎日、テレビを見たりゲームをしたりする時間は?

  • 1時間以上
  • 30分から1時間
  • 30分以内

 

ちょっとしたことでイライラしますか?

  • よくある
  • ときどきある
  • ほとんどない

 

気分が落ち込むことがありますか?

  • よくある
  • ときどきある
  • ほとんどない

 

夕食は誰と食べますか?

  • いつも1人で
  • ときどき1人で
  • いつも家族と

 

眠る前に夜食を食べますか?

  • たいてい食べる
  • ときどき食べる
  • 食べない

 

眠る時刻は決まっていますか?

  • 毎日ばらばら、あるいは、2時間以上ずれることがよくある
  • たまにずれることがある
  • だいたい決まっている

 

眠る時刻は何時ころ?

  • 夜10時以降
  • 9~10時
  • 9時前

 

寝つきは?

  • いつも悪い
  • 時々寝つけない
  • いつも良い

 

子どもの生活リズムの評価と対策

さて、合計点は何点になりましたか? 以下に、生活リズムの評価の仕方と対策について解説します。
 
40点以上
とてもよい生活リズムで、睡眠力に満ち満ちています。朝は早く起きて、しっかりと太陽の光を浴びると、目が覚めやすくなります。朝ごはんを食べることで、胃腸も目が覚め、脳のエネルギー源も補充されます。日中に活動的な子どもほど、夜はグッスリ眠れて、心身ともに成長してくれます。
 
30~39点
生活リズムは平均点以上で、睡眠力も十分です。さらに上を目指すためには、夜の習慣を見直したり、食生活に気を配ったりましょう。遅い時刻までテレビを見たりゲームをしたりしていると、眠気が覚めてしまいます。寝床につく1時間前には、電子メディアのスイッチを切りましょう。
 
20~29点
睡眠力の基本となる生活リズムは、合格ラインすれすれです。今の生活パターンを続けていると、正しい睡眠習慣を身につけられなくなる可能性があります。まずは、朝の生活を改善することから始めましょう。
 
「早寝早起き」より、朝は決まった時刻に起きる「早起き→早寝」のほうが実践しやすいものです。さらに、目覚める時刻の30分前から部屋を明るくしたり、朝食もバナナと牛乳くらいから始めたりすると、スムーズに朝型人間になることができます。
 
19点以下
生活リズムは不合格! 睡眠力も危機にひんしています。このままでは、生活習慣病に一直線です。子どもの生活習慣を変えるには、先に両親の生活習慣を改めることが、最も大切です。
 
親がやっていないことを子どもにさせるなんて、絶対にできません。食事の習慣や睡眠の時刻で、できることから少しずつ、親子で楽しみながら変えていきましょう。うまくできるようになったら、しっかりほめてあげてください。

子どもの睡眠負債を減らす11の魔法

睡眠文化研究所が編集した『子どもを伸ばす眠りの力』には、「子どもがイキイキする眠りの魔法」が書かれています。ここではその各項目を、五七調に替えてご紹介します。親子ともども、楽しみながら健康的な睡眠ライフを楽しんでください。

子どもの睡眠負債を減らす11の魔法

1. 父母(ちちはは)も家族一緒に早起き→早寝
親が遅くまで起きて楽しんでいるのに、子どもだけ早く寝るように言っても聞くわけがありません。子どもの就寝時刻や睡眠時間は、両親のそれらに強く影響されます。また、生体リズムから見て、「早寝→早起き」よりも「早起き→早寝」の順に取り組むほうが習慣化しやすくなります。
 
2. 朝の光は必ず浴びる! 夜はコロンと眠くなる
脳の松果体というところから、睡眠ホルモンと呼ばれる「メラトニン」が分泌されます。メラトニンの分泌量は、周りの明るさによって増えたり減ったりします。朝、目覚めて明るい光を浴びてから14~16時間たつとメラトニンの分泌が始まります。そして、2時間後くらいに眠気が強まります。
 
3. 簡単な睡眠日誌を1週間
自分の行動は、分かっているようでよく分かっていないものです。寝ついた時刻と目覚めた時刻、仮眠したり眠気が強かったりした時間帯などを、1週間記録してみましょう。それを親子で眺めて睡眠のパターンに気づけば、対策が立てられます。
 
4. 朝食で目覚めも気分もグンと良く
胃腸にも、「腹時計」という体内時計があります。朝、食べ物が胃腸に入ると腹時計が動き始めて、目もしっかりと覚めてきます。朝食に必須アミノ酸の一種「トリプトファン」を多くとると、目覚めや寝つきが良い子になります。トリプトファンは豆類や豆製品、肉類、牛乳、乳製品、バナナ、アボカドなどに豊富です。
 
5. 遊びに遊んで夜はグッスリ 心も体も大元気
睡眠の目的の一つが、心身の疲労回復です。そのため、日中を活動的に過ごすと夜はグッスリ眠れますが、日中にダラダラしていると良い睡眠がとれません。
 
6. お昼寝も3時半には起きましょう
午後の遅い時間に昼寝をすると、夜の睡眠を先取りしてしまい、就寝時刻が遅くなりがちです。昼寝は夜の睡眠を補う効果があるのでとても大切ですが、午後3時半ころには起きるようにしましょう。
 
7. 夕食とお風呂の時間は子ども次第
食べたものの消化が落ち着かないと、グッスリ眠れません。お風呂に入った直後で体温が高いときにも、寝つきがよくありません。親の都合より子どもの生体リズムを優先して、食事は寝床につく1~2時間くらい前に終わり、お風呂には就寝の1時間くらい前に入りましょう。
 
8. 止めましょう、夜遅くまでのテレビやゲーム
寝床につく前の1時間は、眠る準備として少しずつ心を落ち着けていきましょう。テレビやパソコン、ゲーム機、スマートフォンなどの画面が発するチカチカした光は、脳を興奮させて眠気を減らしてしまいます。代わりに、静かな音楽を聴いたり読み聞かせをしたり、あるいは親子でお話をしてみてください。
 
9. 決まった時間に眠ることは、親子の大事なお約束
「子どもはほっておいても眠くなれば眠る」という考えは間違いです。子どもは楽しいことをしていると眠気を感じなくなり、いつまでたっても布団に入りません。就寝時刻や起床時刻を守ることは、親がしなければいけない大事なしつけの一つです。
 
10.眠る前の儀式はわが家のオリジナル
パジャマに着替えて歯を磨き、トイレに行ってから家族に「おやすみなさい」のあいさつを言う。毎晩、眠る前に繰り返される行動が、子どもの寝つきをよくします。子どもと一緒に家じゅうの部屋を回って、いろいろなものに「おやすみなさい」と言ってから眠る家庭もあります。
 
11.眠るとき眠ったあとは暗くする
光には、睡眠や覚醒をコントロールする働きがあります。子どもの寝室もなるべく暗くすると、グッスリ眠ってくれます。夜中に目覚めた時に怖がらないために、豆電球のフットライトくらいはつけておいてもかまいません。
 
全ての項目を一度にやろうとは、思わないでください。1つで良いですから、できそうなことから試してみて、ご家庭にあった睡眠習慣を築き上げてください。

まとめ

子どものうちから「早寝早起き朝ごはん」の習慣を身につけると、大人になってからも健康で生き生きと活躍できるようになります。これを機会にご家族みんなで、生活習慣を見直してみませんか?

photo:Getty Images

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