【FPがメッタ斬り】睡眠負債は毎月おいくら万円?寝不足でソンする金額を出してみた

こんにちは、トイアンナです。冷房でも取り除けないダル~い湿気、仕事のストレスに二日酔い…夏は睡眠の敵がゴロゴロ転がっていますね! かくいう私も不眠症歴はや十数年、この原稿を書いているのも早朝5時でございます。
 
このように睡眠不足が重なると、仕事のパフォーマンスが落ちるのはよく知られています。そして恐ろしいのは、睡眠不足によるパフォーマンスの低下を私たちは実感できないという事実。自分ではフル回転しているつもりが、実はミスだらけの成果物を出しているかもしれないのです。
 
そこで今回は実験! ぐっすり眠ったときと睡眠不足のときで、どれくらいパフォーマンスに差が出るかを計算してみることにしました! 
 
ご協力いただくのは、ファイナンシャルプランナーの伊藤亮太さん!

伊藤亮太さん
<伊藤亮太さん プロフィール>
慶應義塾大学大学院商学研究科経営学・会計学専攻修了。在学中にCFP®およびDCアドバイザー資格取得。投資銀行などを経て現在は東洋大学経営学部非常勤講師、大手前大学通信教育部非常勤講師、千葉科学大学危機管理学部非常勤講師。現役ファイナンシャルプランナーとして活躍中。

 

伊藤亮太さんいわく、睡眠が蓄積した「睡眠負債」は経済的な損失につながるとのこと。今回は、私がぐっすり眠れた日とそうでない日の差でわかる「睡眠負債」を金額へ換算していただき、どこで損失が生まれるのかを教えていただきました!

短時間睡眠でイケる、と思っていてもある日倒れるかもしれない

短時間睡眠でイケる、と思っていてもある日倒れるかもしれない

トイアンナ

早速ですが、睡眠不足がなぜ「経済的損失」というビッグな話につながるんでしょうか…?

 

伊藤

慢性的な睡眠不足は病気の原因になったり、仕事の失敗やストレスに繋がっていくからです。睡眠不足は1〜2日に影響するだけのお話ではなく、長期的に見てストックされていくため「睡眠負債」となるのです。

 

トイアンナ

なるほど、日ごろ睡眠について私が考えるときは「今日は徹夜だから明日寝だめしよう」といった短期スパンで考えがちですが、睡眠負債という長期的な損失があるんですね。

 

伊藤

はい、仮に継続的に睡眠不足の方がいたとします。1週間ぐらいなら「ちょっと疲れたな」で済むと思いますが、中長期的には体にガタが来ます。ひどい場合、損失がわかったときには手遅れということもあります。ですから少しでも睡眠不足を感じていらっしゃる方は、将来の健康寿命を延ばす観点で睡眠時間をちゃんと取ったほうがいいと思います。

 

トイアンナ

確かに…。私は新卒の会社が激務でして、残業が最大月230時間くらいあったんですね。偉い方も同じようなペースで働いていたもので、そうなると睡眠負債が10年、20年溜まっていると思います。その時とても優秀だと評判の役員がいらして「僕は1日3時間でイケる」と豪語していたんですが、数年前に倒れてしまって…。文字通り睡眠負債を払ってしまったんです。

 

伊藤

おお…。命あっての仕事ですからね、変な話、再起不能になってしまったらどうしようもないですよね。

 

睡眠不足で630万円をドブに捨てる

睡眠不足で630万円をドブに捨てる

伊藤

しっかり寝ると、翌朝すっきりして仕事がはかどりますよね。私は文章を書く仕事をしていますが、よく眠った後はスラスラ書くことができます。けれど睡眠不足だと余計なことを考えてしまい、能率が落ちます。こういった損失が一番大きいんじゃないでしょうか。

 

トイアンナ

なるほど、実際にどれくらい損失が出ているかデータはあるんでしょうか。

 

伊藤

残念ながら、長期的な損失を計算したものはないんですよ。なぜかと申しますと、睡眠不足の方は食生活の乱れや、家族関係への影響なども考えなければならないからです。これらをすべてひっくるめて、医学的に出すのは難しいんじゃないでしょうか。
 
ただ米シンクタンク「ランド」の調査によれば、日本では睡眠不足が原因で年15兆円の損失が出ていると言われています。長期スパンでは睡眠不足でパフォーマンスが落ち、昇進し損ねるといった睡眠負債も考えた方がよいでしょう。
 
たとえば年18万円ほど昇給するはずが、睡眠不足でダメになったと仮定しましょう。それが35年続けば、睡眠不足だけで630万円失ったことになります。ただ、普通はもっと出世しえたはずで、給料カーブを考えればその何倍かの損失にはなりえますよね。

 

トイアンナ

ひええ、たかが睡眠不足で630万円! たとえば、睡眠負債の影響が大きい職種ってあるんでしょうか?

 

伊藤

職種よりは個人差でしょうか。睡眠時間が短くても十分という方は、どこでも大丈夫だと思います。一方で私のようにしっかり眠らなくてはならない方は、納期が決まってて、どうしても間に合わせなくてはならない仕事を選ぶとしんどいですよね。

 

トイアンナ

たとえば、睡眠時間が恒常的に短い職場に就いているとそれに慣れてしまって「自分はショートスリーパーだ」と誤解してしまうこともあると思いますが、自分の適切な睡眠時間をどう把握したらいいんでしょうか。

 

伊藤

不思議なもので、20代だと短時間睡眠でも慣れちゃうと起きられるんですよね。でも40代、50代になってくるとキツいんじゃないかな。年取ってキツくなったな、という感覚が一つの目安じゃないかなと思います。

 

トイアンナ

そういう話ですと、商社マンは平均寿命が67歳で、平均寿命より10年も短いという話もありますよね。

 

伊藤

そういう考え方だと広告代理手や商社など、年収が比較的高い会社は激務になりがちですよね。高年収である分、代償を寿命で払っているといえます。さらに家族と会えない、子供としゃべれないというのも金額には代えがたい損失ですよね。精神面でいうと、たとえばメガバンク勤務の方が睡眠不足も相まって20代で「うつ」になり、その後30年を棒に振っちゃったケースで考えれば、生涯年収から2~3億円を失いうるわけです。

 

1ヶ月で10万円以上のマイナスに!?

さて、ここからは実際に私がぐっすり眠れた日と、眠れなかった日で起こしたミスの差を洗い出してみました。なお私はロングスリーパーで、本来12時間睡眠だとベストコンディションで働けるのですが、不眠時は2時間睡眠なこともざらにあります。まずは見比べてみると…。

睡眠が十分な日のミスの数
睡眠が不十分な日のミスの数

トイアンナ

「うん、ひどい」思わず声が出ました。差が歴然としすぎて、もはや「記事のためにわざとミスってたんじゃないか」レベルです。

 

伊藤

さて、金銭価値を計算してみましょう。睡眠が不十分な日と、十分な日で起こしたミスの差は160分ですね。トイさんはいまおいくつですか?

 

トイアンナ

ちょうど30歳です。

 

伊藤

では、その平均年収で換算してみましょう。都内ですと30代女性の平均年収が468万円なので時給換算で2,216円となります。160分のミスは、その日だけで6,000円弱の損失になっています。

 

トイアンナ

まさか、そこまで損失が大きいなんて…!

 

伊藤

さらにミスの中には、割ってしまったグラスの代金と、夕食のダブルブッキングで失ったかもしれない仕事のチャンスも含まれますね。

 

トイアンナ

そうですね、グラスは800円くらいだったので大したことないんですが、もし連載を失っていたとすると…。原稿料を仮に1本10万円としましょう。このお話を月1連載でいただく予定だったとしたら…年120万と6,800円の睡眠負債です。月額でも10万円、ってちょっといいところの家賃くらいの損失ですね!
 
ううっ、たった1日の睡眠不足が月10万、ひいては年に120万円もの経済損失に繋がりうるなんて…! 目の前のミスを拾い上げればいいや、と軽く考えていた私の甘い予想を裏切る損失額を見せられてしまい、茫然としました。

 

マクロで考えると、兆単位の損失に!

マクロで考えると、兆単位の損失に!

伊藤

そうですね、長期で考えるとさらに病気になるリスクがあります。体を壊して月10日お休みを取り、さらに入院したとしましょうか。そうすると最大で年362万円ほど、経済損失が生まれうるわけです。さらに労働人口が6583万人ですから、国家としては兆単位の損失です

 

トイアンナ

なんと、病気のリスクも考えると、損失は月30万円にもなるんですね。もちろんこの金額には企業が肩代わりしていたり、税金で遠回しに負担していたりする額もあると思います。けれど国という単位で考えれば、めぐりめぐって私たちがこれだけのお金を支払っているんですね…。

 

伊藤

本当に仕事が好きだったら「睡眠負債を、休日の勤務でカバーしよう」という考え方はできないこともないでしょう。けれどそれで体を壊してしまうのはもったいないですよね。私も昔は投資銀行で夜中の3時まで働いて朝7時には出なくてはいけなかったので、3時間睡眠の日もありました。なんせ、月給より残業代が多かったくらいです(笑)。けれど体がキツくて独立しました。もともと私には睡眠が必要だったと思います。

 

トイアンナ

今、伊藤さんのストレスは減りましたか?

 

伊藤

そりゃあ、もう。自由気ままにやってますから、ストレスがなくなりました。睡眠時間もそうですが、その背景にあった「この時間までに資料を作らなければいけない」といった負担が無くなりました

 

トイアンナ

そういったストレスがあると時間をもらえたところで、眠ろうとしても寝付けないですよね。

 

伊藤

そうですね、どうせ数時間後に起きなくちゃいけないとなると「寝たら起きられなくなるんじゃないか。いっそこのまま起きていよう」と思っちゃって…。当時の私と同じように夜にまとまった睡眠時間が取れない方には、昼寝がオススメです。20分ほど取るだけで、かなり変わってくるんじゃないでしょうか。私も、昼寝を時間の許す限りは実践しています。

 

トイアンナ

具体的なアドバイスをありがとうございます!

 

30万円の妄想をしながら、いざ寝よう

30万円の妄想をしながら、いざ寝よう

自分一人でも数百万円、国家規模で算出すれば兆単位の損失を出しうる「睡眠」。月換算で約30万円もドブに捨てる可能性があっただなんて…。月30万円あったら、毎月バリ島でバカンスできたのに。週1で三ツ星フレンチに通えたのに、何なら中古の軽自動車くらい買えるのに…っ!
 
と言いつつも、こうして夜更かし原稿を書いている私。仕事があるから眠れず、眠れないほど仕事をしてしまうからさらに増えるという悪循環が激務好きにはあるはずです。将来体を壊す前に、仕事を減らすのが根本的な解決策だと痛感しました。よっしゃ、目指せ来年のお仕事半減! 私もバリ島でのバカンスを夢見ながら、いざ寝ることにいたします。
 
最後に…。あなたはいま、睡眠不足でしょうか? 気になった方は簡単な不眠度チェックをお試しください
 
伊藤さん、ありがとうございました!

photo:Thinkstock / Getty Images

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