ふらふらする、身体がだるいなどの症状で悩んでいませんか? もしかしたら、それは貧血が原因で起きているかもしれません。この記事では、貧血の症状やその原因と対処法、予防法などをご紹介します。

「貧血」の症状とは?|背景にある病気の種類と対処法

 

「貧血」が起こるメカニズムと主な症状

「貧血」が起こるメカニズムと主な症状

「貧血」とは、血液中の赤血球にあるヘモグロビンが足りなくなる状態を指します。原因はさまざまですが、鉄分が不足して起こるケースが大半を占め、またそのほかに別の病気の影響で起こるケースもあります。鉄分が不足すると血液中のヘモグロビンが減少し、体内の酸素と結びついて各器官に運んでくれるヘモグロビンの能力が低下します。その結果、運動能力の低下やめまいなどの貧血症状が現れることになります。

以下に、貧血によって生じる症状を解説していきます。

貧血の主な症状とは?

めまい

赤血球が不足すると、体内に酸素が回らなくなるため脳への酸素供給も減ってしまいます。そのため突然目がまわったり、ふらふらしたり、気を失いそうな感覚がおこったりします。

立ちくらみ

突然起こるめまいとは異なり、急に立ち上がったときに頭がふらふらしたり、目が回ったりします。

耳鳴り

周囲で音が鳴っていないのに、自分の耳で異常な音を感じてしまう症状です。人によって異なりますが、ブンブン、ゴロゴロ、ザーザーという音が聞こえます。貧血が原因の耳鳴りの特徴は、心臓の拍動と一致した音で鳴ることです。

動悸

通常であれば感じない心臓の拍動を感じることを指します。 胸が突然大きく脈を打ったり、速く強く鼓動したりする感覚があります。

息切れ

貧血状態では全身に必要な栄養や酸素が届けられないため、疲れやすくなります。軽い運動でも酸欠状態になり息が上がってしまいます。

食欲不振

脳へ運搬される酸素が減少することで食欲調節の仕組みがうまくいかなくなり、食欲が低下します。

貧血の原因

貧血の原因

貧血症状を訴える人の75%以上は、血液をつくりだす「造血」の仕組みに問題があると考えられています。そのほかに、作られた赤血球がすぐに壊れてしまう病気などが原因の場合もあります。

鉄分不足による「鉄欠乏性貧血」

貧血の中でも最も多いのが、鉄分不足によって起こる「鉄欠乏性貧血」です。貧血は血液の赤血球にあるヘモグロビンが不足して起こります。ヘモグロビンを作るためには鉄分が欠かせず、何らかの原因で鉄分が不足すると、貧血になってしまうのです。

「鉄欠乏性貧血」の症状

鉄欠乏性貧血になると疲れやすくなり、顔色が悪くなるほか、体を動かしづらくなるといった症状が起こります。

「鉄欠乏性貧血」の原因

急速な成長

赤ちゃんや10代のころの急速な成長期は、体内での鉄分の消費が盛んになります。そのため鉄分が足りなくなって、鉄欠乏性貧血になりやすくなります。

過度な運動

強度の高いトレーニングを続けると筋肉が鉄分を多く必要とします。そのほか、汗で鉄分が体外に出たり足の裏への衝撃で赤血球が壊れたりするため鉄分が不足し、鉄欠乏性貧血を起こすことがあります。

妊娠

妊娠中は、胎児に血液や栄養を送る必要があるので体内での鉄分の必要性が高まります。つわりのため十分に食事ができない場合などもあるので十分に注意が必要です。

生理などによる出血

月経や献血のほか、痔や腸管の病気による出血で継続的に血液が失われている場合には、鉄分が体から失われてしまい鉄欠乏性貧血になる場合があります。

栄養不足

栄養バランスの偏った食生活を送っていると、ほかの栄養素同様に鉄分もうまく摂取できなくなります。腸からの鉄分の取り入れと吸収が滞ってしまい鉄欠乏性貧血につながります。

「鉄欠乏性貧血」の対処法と予防法

基本的な対処法は食事やサプリなどによる鉄分の補給です。ただし、大量の出血や鉄分の吸収不良がある場合には、輸血や鉄分の静脈への投与のような特別な治療が必要になります。

予防法として特に大切なのは、栄養バランスの良い食事を心がけることです。鉄分の吸収を助ける栄養素もあるので、それらを含むバランスの良い食事を取ることが大切です。

鉄分以外の栄養不足による貧血

鉄分のほかにビタミンB12や葉酸が不足すると、赤血球がうまく生成できずに貧血がおこります。このビタミンB12の不足によって起こる貧血が「巨赤芽球性貧血(きょせきがきゅうせいひんけつ)」です。

「巨赤芽球性貧血」の症状

一般的な貧血の症状であるめまいや立ちくらみのほか、舌が荒れたり、白髪が増えたり、手足がしびれたりします。

「巨赤芽球性貧血」の原因

巨赤芽球性貧血の原因は、葉酸とビタミンB12の摂取不足です。赤血球は、骨髄にある血液細胞が細胞分裂することで生成されますが、この細胞分裂が正常に行われるためには葉酸とビタミンB12が欠かせません。これらが不足すると、赤血球になる前の段階の細胞が巨大化し、正常な赤血球になる前に壊れてしまいます。
「悪性貧血」は、胃壁の細胞を壊す抗体を作りビタミンB12を吸収できなくなる自己免疫疾患で、巨赤芽球性貧血の一種です。

「巨赤芽球性貧血」の対処法

巨赤芽球性貧血も基本的な対処法は食事やサプリによる栄養素の補給です。ビタミンB12は魚介類などに多く含まれており、葉酸はアスパラガスや枝豆などの野菜に多く含まれます。
最も効果のある対処法は、ビタミンB12の注射と言われていますが、悪性貧血の場合は、食事で栄養素を摂取していても吸収することができないため、専門的な治療が必要になります。

貧血症状が出る病気と対処法

貧血症状が出る病気と対処法

貧血は単なる鉄分不足によるものでなく、病気が原因で引き起こされる場合もあります。ここでは、病気が原因で起こる貧血の種類とその症状や原因、対処法を見ていきましょう。

二次性貧血(続発性貧血)

感染症や膠原病(こうげんびょう)、慢性炎症、がんなど、血液の病気とは異なる病気が原因となる貧血です。なお、二次性貧血のなかでも腎性貧血は、特に腎臓病の時に起こる貧血です。
めまいや立ちくらみなどなどの症状があり、鉄分を補給しても改善せず、元になる病気の治療が必要になります。

再生不良性貧血

原因は特定されていませんが、本来赤血球を作り出している骨髄において赤血球がうまく作られないために起こる貧血です。めまいや耳鳴りなどの一般的な貧血の症状のほか、感染症にかかりやすくなったり、高熱が出たりすることがあります。
骨髄移植や免疫抑制療法を含めた専門的な治療が必要となります。

溶血性貧血

生まれつき赤血球が壊れやすかったり、自身の免疫によって赤血球が壊されたりすることで起こる貧血です。赤血球が大幅に減ることによるめまいや耳鳴りといった一般的な貧血症状に加えて顔色が黄色くなったり、尿がコーラ色になったりします。
生まれつきの先天的なケースでは、脾臓を取る手術を行う場合があります。先天的ではない場合は、ステロイド薬を飲む治療が行われます。

脳貧血(起立性貧血)

立ち上がった時に脳の血流が一時的に低下し酸欠状態になり、頭がくらくらするものです。正しくは起立性低血圧と言い、ヘモグロビンの減少をともなう医学的な意味での貧血とは異なります。ストレスなどによる自律神経の働きの低下も原因と考えられています。
塩分や水分を意識的に摂取したり、枕を高くすることで寝ているときの血圧を下げたりする対応が必要になります。

「貧血」の予防法

「貧血」の予防法

栄養不足による貧血を予防するためには、食事やサプリなどでの鉄分補給のほかに、生活習慣の改善も必要です。

栄養不足による貧血の予防法

一口に貧血と言っても、前述のようにさまざまな種類があります。栄養不足を原因とする貧血は生活習慣の改善で予防することができます。鉄欠乏貧血の場合には、鉄分の不足を防ぐことが大切です。巨赤芽球性貧血や悪性貧血では、ビタミンB12や葉酸の不足を避けることが重要です。

ここでは栄養不足による貧血の予防法を紹介します。

食生活の改善

鉄分など栄養が豊富な食材を選ぶ

鉄分が多く摂取できるレバーやあさりなどを含む料理を食べるようにしましょう。ドライフルーツの一つであるプルーンは、カルシウム、鉄分、カリウムなどのミネラルとビタミンAやビタミンB群がバランスよく含まれ、特に鉄分とビタミンB群が貧血の改善に効果を発揮します。

サプリメントの活用

鉄分やビタミンB12、葉酸が不足すると貧血につながりますが、食事だけでこれらの栄養素をバランスよく摂取するのはなかなか難しいものです。食事での栄養管理が難しい場合にはサプリメントで補充することも効果的です。

生活習慣の見直し

睡眠時間の確保

睡眠不足が直接的に貧血を起こすわけではありませんが、不規則な生活や昼夜逆転の生活は朝食抜きなどの不規則な食事とも無関係とはいえません。ぐっすり眠って、栄養バランスが整った食生活を送ることが大切です。

継続した運動習慣

スポーツに取り組むことも心身のリフレッシュやストレスの改善につながります。生活のリズムを整えて食欲を増進させ、貧血につながるような栄養不足を防ぎましょう。
 
監修:坪田聡(雨晴クリニック副院長)
 
〈参照〉
 
「ハリソン内科学第5版」デニス・L・カスパーほか編・福井次矢ほか監修(メディカル・サイエンス・インターナショナル)
「ガイトン生理学原著第11版」アーサー・C・ガイトンほか原著・御手洗玄洋総監訳・小川徳雄ほか監訳(エルゼビア・ジャパン)
「今日の治療指針2017年版」福井次矢など編(医学書院)
「家庭の医学」溝口秀昭ほか執筆(主婦の友社)
伊藤まりほか. 子宮筋腫による貧血で発症した他覚的拍動性耳鳴の1症例. Otol Jan 2010; 20(3):186-189.
公益財団法人長寿科学振興財団(運動と貧血)

タケダ健康サイト(だるさ・倦怠感)

photo:Getty Images

  • 体験談は個人の感想であり、特定の効能・効果を保証したり、あるいは否定したりするものではありません。

==== 編集部が1記事ずつ選んだオススメ記事 ====

【完全マニュアル】眠れないときに試したい、3分で眠くなる6つの方法

→眠れない時に眠れる方法をご紹介しています。睡眠を促す食事や入眠儀式など、様々な「寝る方法」をまとめた完全マニュアルです。

【ホリエモン流睡眠術】6時間睡眠のススメ!堀江貴文さんの「ムダを徹底的に削る」方法

→ホリエモンこと堀江貴文さんの睡眠事情を伺いました。多忙な中でも、6時間の睡眠時間は確保しているという堀江さんの、ムダを徹底排除した生活とは?

わずか1分で眠る方法とは?眠れない時使える3つの呼吸法

→寝付きが悪い原因と、すぐに眠れる3つの呼吸法をご紹介しています。眠れない夜に試して、自分に合う方法を見つけてみてくださいね。

不眠症歴10年の私が、たった1日で「眠れない」を改善した方法

→10年間眠れなかった筆者が、いかにして不眠を解消したのか、実践した方法をご紹介しています。

編集部内で信頼できると判断した情報、並びに医師や専門家への取材を元に信頼性のある情報提供を心がけておりますが、自己の個人的・個別的・具体的な医療上の問題の解決を必要とする場合には、自ら速やかに、医師等の適切な専門家へ相談するか適切な医療機関を受診してください。(詳細は利用規約第3条をご確認ください)