腰痛の主な原因は筋肉の疲労。日頃から腰痛にならない身体づくりを心がけましょう。今回は、腰痛にならない身体をつくるためのポイントと、1日1分でできる簡単な「腰痛予防ストレッチ&エクササイズ」を虎ノ門カイロプラクティックの院長、碓田拓磨(うすだたくま)先生に教えていただきました。自宅で簡単にできる運動で、痛くなる前にしっかり予防しましょう。

1分でできる腰痛予防ストレッチ&エクササイズ【写真解説つき】

 

腰痛が起こるメカニズム

腰痛が起こるメカニズム

腰痛は、腰まわりの筋肉に負担がかかり、筋肉がこわばることで周囲の神経を圧迫して起こる痛みのことです。激しい運動をしたり、重いものを持ったりしたときなどに腰の筋肉に急激に大きな負担がかかって突発的に腰痛になることもありますが、ほとんどの腰痛は時間をかけて蓄積された筋肉の疲労、つまり“筋肉の凝り”によって引き起こされます。

腰痛を引き起こす“筋肉の凝り”はなぜ起こるのか?

筋肉の凝りは、血行不良により筋肉に疲労がたまり硬くなってしまうことで起こります。その過程を解説します。

(1)筋線維が縮み、血行不良に

筋肉は細い線維が何本も束になってできています。この線維が伸び縮みすることで身体は動きます。同じ姿勢のまま作業をするなどして筋線維が縮んだ状態が長い時間続くと、線維の間を走っている毛細血管が筋線維に圧迫されて血流が阻害されるため、血行不良が起こります。

(2)筋肉の疲労

血行が悪くなると血液が筋肉に十分に行き渡らなくなってしまいます。血液は酸素や栄養素を全身に運ぶほか、運動などによってたまった疲労物質を運搬し排出する役割も担っているため、筋肉が伸び縮みするのに必要な酸素や栄養が行き渡らず、疲労物質もたまってしまいます。すると、筋肉がうまく動かず固まったままになり、これが“凝り”となります。

腰痛になりやすくなる行動

腰痛になりやすくなる行動

腰痛の原因となる筋肉の凝りは、そのほとんどが継続的な「筋肉への負担」から起こります。腰の筋肉は上半身の重さをすべて支えているため、普段から負担が大きい部位です。では、どんな行動が原因で腰の筋肉が凝ってしまうのでしょうか?

姿勢が悪い

腰に負担をかける一番の原因は姿勢の悪さです。腰の筋肉は背骨を常に支えています。さらに背骨の上に乗っている頭は、体重の約10%もの重さがあるため、下を向く、背中を丸めるなどして、頭や背骨を少し傾けるだけで、これらを支えている腰の筋肉は大きな負担を強いられるのです。腰と背中・頭との関係のイメージを例えるなら、頂上に人(頭)が乗ったハシゴ(背骨)を、倒れないように腰の筋肉が下から一生懸命支えている状態です。人(頭)やハシゴ(背骨)のバランスが崩れると、正しい位置に保とうとする腰の筋肉の負担が増加します。

腰の疲れをリセットできていない

腰の筋肉の疲れを放置していると血行不良になり、凝りの原因になります。前述のとおり姿勢が悪いと腰への負担が大きくなりますが、日常生活の中では、常によい姿勢をキープするのは難しく、知らないうちに腰に疲れがたまっていることもあります。腰の疲れを解消するストレッチ&エクササイズは後述します。

腰痛を引き起こす病気

腰痛を引き起こす病気

病気が原因となる腰痛の代表的なものに「椎間板(ついかんばん)ヘルニア」があります。何をしても痛みが治まらない場合や、ひどくなる場合は、椎間板ヘルニアの可能性があります。

椎間板ヘルニアとは

背骨をつなぐクッションの役割をしている「椎間板」の中に入っている粘性の「髄核(ずいかく)」という組織があふれ出し、それが神経を圧迫することによって痛みが起こる病気です。症状としては、腰や臀部に強い痛みが出たり、下半身がしびれて足に力が入りにくくなったりすることがあります。

椎間板ヘルニアの原因

髄核があふれる原因としては、加齢や、長時間悪い姿勢で作業をすることなどが挙げられます。予防をするためには、日頃から正しい姿勢での生活を心がけることが大切です。

椎間板ヘルニアの治療

痛みが強い場合は、コルセットなどを装着し、安静を心がけましょう。また、鎮痛剤の服用や注射なども効果的です。これらの方法でも症状がよくならないときは、手術によりあふれた髄核を摘出することもあります。

既に痛みがある場合の腰痛対策

既に痛みがある場合の腰痛対策

腰に痛みがあるときに自己流のストレッチやマッサージなどを行うと、炎症が起きている筋肉にさらに負担をかけて悪化させてしまうことがあるため、慎重に対策をとることが必要となります。実際に痛みを感じている場合は、下記のポイントに気をつけましょう。

背中を丸める動きは避ける

腰痛の多くは、猫背のように前かがみになってしまう姿勢により腰の筋肉に負担がかかり、持ちこたえられなくなった筋肉の悲鳴に例えることができます。背中を丸めるような動きをするストレッチやエクササイズは、火に油を注ぐ結果につながる可能性が高いため、避けてください。

安静にする

腰に痛みがあるときは無理に動かず、安静にしましょう。また、同じ姿勢をとり続けることも腰への負担となるため、30分以上続けて座らない、激しい痛みがある場合はコルセットを使う、などの対処をしてください。ただし、腰痛の原因によっては安静にしても痛みがなくならないものもあります。安静にしても痛みが消えない場合は、専門家の診察を受けるようにしましょう。

腰痛予防ストレッチ&エクササイズ

腰痛予防ストレッチ&エクササイズ

腰の筋肉の疲労は知らず知らずのうちに蓄積しているため、こまめに解消することが大切です。腰痛予防には、なるべく正しい姿勢をキープすることや、簡単なエクササイズが効果的です。そこで、簡単にできる腰痛予防のストレッチ&エクササイズを碓田先生に教えていただきました。

正しい姿勢を保てる筋力を身につける

腰の負担を軽減するうえでまず大切なのは、正しい姿勢を保てる筋力を身につけること。姿勢は、立っているときよりも座っているときに崩れやすく、腰に負担がかかります。まずは正しい座り姿勢がどのような状態か、チェックしてみましょう。

<正しい座り姿勢のチェック法>

  • 背筋を伸ばして立ち、椅子にゆっくり腰掛ける
  • 腰に手を回し、背筋をやや強めに押して筋肉の硬さを確かめる
  • やや上を見るようにゆっくり状態を前傾させながら、触っている箇所に筋肉が硬く張るのを確かめる
  • 触っている位置がふっと柔らかくなるポイントまで、上体を元に戻す

 

姿勢が悪いと、腰の筋肉は緊張して硬くなるため、指で触って柔らかいと感じる状態が腰の筋肉に負担のかからない正しい姿勢です。
 
しかし、この状態をキープし続けるためには十分な筋肉とバランス感覚が必要です。筋力や体力が低下している場合、正しい姿勢を継続するのは難しいこともあります。正しい姿勢を30分以上キープできるようになれば、腰痛につながるリスクが軽減されるので、座っている時間の半分は正しい姿勢を保つことを意識しましょう。
 
また、日中、オフィスでパソコンを使った仕事をしている人は、ディスプレイを見るために首を前に突き出したり、猫背になったりと姿勢が崩れてしまいがちです。パソコンを使った作業を行う際には、下記のポイントをチェックしてみましょう。

<パソコン仕事の際の理想の姿勢>

  • 両足の裏を床にしっかりつける
  • 膝の角度は90度程度
  • 首を前に突き出さない
  • 肩が上がらないようにする
  • キーボードはなるべく手前に引き、身体は机に近づける。肘が身体の側面から離れない距離に来るように調整する

 

作業内容や環境によってどうしても正しい姿勢をキープできない場合は、こまめに立ち上がったり体勢を変えたりすることで、腰に負担がかかるのを防げます。

定期的なメンテナンスを受ける

定期的に整骨院やカイロプラクティックなどでプロによるメンテナンスを受けることも、腰痛予防では有効な手段です。正しい姿勢や生活習慣を心がけるとともにプロのメンテナンスを組み合わせれば、しっかりと腰痛を防ぐことができます。

腰痛を予防するストレッチ&エクササイズ

正しい姿勢を意識するだけで腰痛になる可能性が低くなります。これに加えて、以下のストレッチ&エクササイズを行うことで、腰の負担を減らし、腰痛が予防できます。
 
腰痛の予防には、碓田先生が考案した、「腰痛予防ストレッチ&エクササイズ」が効果的です。6種の簡単な動作を行うというもので、すべて行っても1セット約1分で完結します。このトレーニングは、間違った姿勢によって生じた腰や骨盤、背骨などのゆがみを解消し、運動によって血行をよくする働きがあります。腰の筋肉にかかった負担を解消することができるので、腰痛の予防につながります。ただし、すでにひどい腰痛に悩まされている場合は、かえって腰に負担をかけてしまうおそれがあるため、自己判断でのストレッチ&エクササイズは避け、専門家へ相談してください。

  • 基本姿勢をとる
    先ほど紹介した「正しい姿勢」で椅子に座り、手のひらを上にして、太ももの付け根に置いてください。これが基本姿勢です。
    碓田先生「腰痛予防ストレッチ&エクササイズ」
    碓田先生「腰痛予防ストレッチ&エクササイズ」
  • オンオフ体操
    ① 基本姿勢から、背中を丸めるようにして骨盤を倒し、再び基本姿勢の位置に戻す。
    碓田先生「腰痛予防ストレッチ&エクササイズ」
    碓田先生「腰痛予防ストレッチ&エクササイズ」
    ② ①を4回繰り返す。
    ③ 基本姿勢に戻る。
  • バランス体操
    ① 基本姿勢から、骨盤を左右に揺らす。
    碓田先生「腰痛予防ストレッチ&エクササイズ」
    碓田先生「腰痛予防ストレッチ&エクササイズ」
    ② 左右4回ずつ繰り返す。
    ③ 基本姿勢に戻る。
  • 正座ステップ
    ① 基本姿勢から、左右の足を交互に上げて足踏みをする。碓田先生「腰痛予防ストレッチ&エクササイズ」
    碓田先生「腰痛予防ストレッチ&エクササイズ」
    ② 左右4回ずつ繰り返す。
    ③ 基本姿勢に戻る。
  • MAX腕回し
    ① 基本姿勢から、片腕を肩の高さまで前に上げ、上体が斜めにならないように意識しながら前に引っ張られるようなイメージで突き出す。
    碓田先生「腰痛予防ストレッチ&エクササイズ」
    ② そのまま腕をゆっくり大きく上から後ろに回し、真後ろまで回したら、腕を後ろに引っ張られるようなイメージで突き出してから、脱力する。
    碓田先生「腰痛予防ストレッチ&エクササイズ」
    碓田先生「腰痛予防ストレッチ&エクササイズ」
    ③左右2回ずつ繰り返す。
    ④基本姿勢に戻る。
  • キャットレッチ
    ①両手を背中側で組む。
    碓田先生「腰痛予防ストレッチ&エクササイズ」
    ② 組んだ手を下に引っ張りながら上を向く。
    碓田先生「腰痛予防ストレッチ&エクササイズ」
    ③2回繰り返す。
    ④基本姿勢に戻る。

腰痛予防ストレッチ&エクササイズは、夜寝る前や、同じ姿勢が続いたときなどに行いましょう。碓田先生は最低1日1セットを推奨していますが、時間のある人は1日に合計3セット行うと、2カ月程度(若い人や体力のある人なら1カ月程度)で腰の負担が軽減されたと実感できるとのことなので、ぜひ試してみてください。
 
<参照>
腰痛の原因 疲れの原因・解消法|タケダ健康サイト
 
「腰椎間板ヘルニア」日本整形外科学会
 
椎間板ヘルニアはどんな病気?|整形外科|岩井グループ

photo:Getty Images

  • 体験談は個人の感想であり、特定の効能・効果を保証したり、あるいは否定したりするものではありません。

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