立ちくらみとは、突然目の前が暗くなり、気が遠くなるような感覚を覚えることを指します。日常生活のさまざまなシーンの中に隠れている立ちくらみの原因別に、対策と予防法をご紹介します。

立ちくらみはなぜ起こる?|原因別予防法と対処法

立ちくらみの症状

立ちくらみの症状

立ちくらみは、長い時間湯船につかった後や椅子から急に立ち上がった後に、脳へ血液や酸素が十分に送られなかったり、血圧の調節がうまくいかなかったりすることで起こります。感じ方には個人差がありますが、下記のような症状が挙げられます。

  • 立ち上がろうとするときにクラクラする
  • 血の気が引くような感じがする
  • 目の前が暗くなったり、白くなったりするような感じがする
  • 気が遠くなるような感じがする

立ちくらみの原因

立ちくらみの原因

立ちくらみが起こる主な原因は、脳の血流量を調整する自律神経の乱れです。

起立性調節障害(脳貧血)

座っていたときに下がっていた血圧が、立ち上がるときに戻らず、一時的に脳が血流不足となってしまう状態をいいます。小学生〜中学生くらいの子どもに多く、学校の朝礼などで立ちくらみを起こして倒れてしまう理由の多くが、起立性調節障害によるものです。
 
起立性調節障害が起こる原因は、ストレスや急激な身体の成長により自律神経のバランスが乱れ、血圧の調節がうまくいかなくなるためです。成長にしたがい症状は改善されますが、立ちくらみのほかに、寝起きが悪くなったり、倦怠(けんたい)感を感じやすくなったり、頭痛や腹痛をともなうなど、日常生活に支障をきたす場合もあります。原因を見極めて適切に対処すれば改善へ向かいますが、子どもの置かれている環境や性格、症状の度合いによっては、不登校や引きこもりにつながることもあります。子どもの様子をよく観察し、必要性を感じた場合は専門の医師に相談してみましょう。

起立性低血圧

「起立性調節障害」の1つである「起立性低血圧」は、座っている状態や、横になっている状態から急に立ち上がることで一時的に血圧が下がり、目の前が白くなったりふらついたりする症状が出ます。健康な状態であれば、血圧の低下を身体が素早く察知し、血圧を正常な状態に戻すため、症状はあらわれません。しかし、自律神経が乱れているなどの不調があると、この機能がうまく働きません。血圧が下がりすぎて脳へ十分な血液が行きわたらないことで、立ちくらみの症状が起こります

貧血

貧血で全身の血流が悪くなっている場合も、立ちくらみが起こりやすくなります。
 
「鉄欠乏性貧血」と呼ばれる症状が最も多く、鉄分の不足や月経などのときに起こる貧血です。全身に酸素を運ぶ血液成分「ヘモグロビン」は鉄分によって生成されるため、貧血によってこれが不足すると全身に十分な酸素がいきわたらず、血行が悪くなります。これによって脳の伝達経路に異常が生じ、立ちくらみが起こります。
 
立ちくらみの多くは自律神経の乱れや貧血が原因と考えられるため、生活習慣を整えることにより改善できます。しかし、ときには重い疾患が隠れていることがあります。頻繁に立ちくらみが起こるような場合には、一度医師の診察を受けましょう。

立ちくらみをともなう熱中症

立ちくらみをともなう熱中症

熱中症も立ちくらみをともなうことがあります。貧血など、立ちくらみの要因がない人でも夏場は注意が必要です。

熱中症と立ちくらみ

熱中症とは、身体が熱を生み出す働き(産熱)と、体内の熱を発散する働き(放熱)のバランスがくずれることで起こります。立ちくらみをともなうのは、熱中症の中でも「熱失神」と呼ばれる症状です。
 
体温が上がると、体内の熱を発散するために身体の表面に流れる血液量が増え、熱を逃がそうとします。そのため、一時的に全身の血液が足りない状態となり、血圧が下がってしまいます。すると脳まで十分な血液量が行きわたらず、「熱失神」が起こるのです。

熱中症による立ちくらみの対処法

熱失神による立ちくらみやが起こったら、涼しい場所へ移動し、衣服をゆるめて横たわるなど安静にし、水分を補給しましょう。

熱中症の予防法

熱中症の予防には、暑いシーズンに限らず、普段からの心がけが必要です。

暑さに負けない身体をつくる

喉が渇かなくても水分をこまめにとり、水分だけでなく塩分も適度にとることが必要です。

気温と湿度をチェック

気温・湿度ともに、高くなりすぎると熱中症の危険があります。屋内でも、日差しを遮ったり風を通したりする工夫が必要です。暑いと感じたら我慢せず、扇風機やエアコンを適度に使用するようにしましょう。

日差しを避ける

外に出る場合は日かげを選んで歩いたり、帽子や日傘を活用したりして直射日光を避けるようにしましょう。

立ちくらみの予防法

立ちくらみの予防法

立ちくらみの予防には生活習慣の見直しが効果的です。適度な運動や、質の高い睡眠をとることで、立ちくらみを予防できます。

適度な運動

運動不足だと、血行が悪くなります。起立性低血圧や起立性調節障害が原因となる立ちくらみの場合は特に、適度な運動をして、全身の血行を改善することで予防できます
 
ふくらはぎの筋肉が収縮すると、下半身の血液が押し上げられて血行がよくなるため、ウォーキングなどで下半身をよく動かすのが効果的です。また、水泳は身体に負担がかかりにくく、全身の血行を改善できます。泳がず、水の中で歩くだけでも効果は期待できます。
 
運動は継続することが重要なので、自分の体力や生活スタイルに合わせ、長続きするものを選びましょう。

質の高い睡眠をとる

眠ることで生活リズムが整えば、自律神経のバランスも改善され、立ちくらみが起こりにくい身体になります。また、良質な睡眠により疲労やストレスを軽減することも、立ちくらみの改善に役立ちます。

寝室での過ごし方

より良質な睡眠を得るためには、寝室環境を整えることが大切です。まずは、寝返りを妨げない、ゆったりとしたパジャマを選び、朝は太陽の光で目覚められるよう、カーテンの厚さやすきまを調節しましょう。
 
「8時間以上眠らなくては」「早く眠らなきゃ」などといった思い込みは、かえって寝つきを悪くしてしまいます。眠る前には軽い読書やストレッチをしたり、音楽を聴いたりして心身をリラックスさせ、自然な眠気が訪れてからベッドに入るようにしましょう。また、眠れないからといって寝酒やタバコはNG。アルコールは眠りを浅くし、ニコチンの刺激は寝つきを悪くします。
 
睡眠環境を整えるには、光、音、寝具など、いくつかのポイントがあります。下記の記事を参考に、自分の睡眠環境をチェックしてみてはいかがでしょうか。

入浴のしかた

眠る直前の入浴は、体温が下がりにくくなり、寝つきを悪くしてしまうことがあります。入浴は、ベッドに入る2〜3時間前までに済ませましょう。入眠までゆるやかに深部体温(身体の内部の温度)が下がるリズムができあがり、自然と眠気がおとずれます。
 
また、入浴時・入浴後は、立ちくらみが起こりやすくなります。転倒を防ぐため、ゆっくりと動くようにしましょう。
 
快眠を導く入浴方法については、こちらの記事もご確認ください。

朝、目覚めたら太陽の光を浴びる

眠りの質は、「日中、元気に活動したかどうか」にも左右されます。朝起きたときに太陽の光を浴びて、体内時計をリセットするのが効果的です
 
体内時計とは、1日の活動と休息のリズムをつかさどる脳のシステムのこと。通常、体内時計のリズムは24時間のサイクルとはズレがあります。太陽の光を浴びることで、このズレをリセットでき、身体が活動に適した状態になるのです。日中を元気に過ごすことができれば、その日の良質な睡眠につながります。
 
体内時計が既にズレてしまっている人は、本来の正しい体内時計のリズムに沿った生活を心がけ、ズレを修正していきましょう。特に気をつけるべきポイントは、下記の記事を参照してみてください。

食生活を整える

自律神経のバランスを保つためには、1日3食、栄養のかたよりなく食べることも有効です。食生活を整えるときのポイントを、以下にまとめました。

できるだけ決まった時刻に食事をとる

3度の食事の時刻がいつもバラバラだと、正しい生活リズムを刻むことが難しくなります。胃腸の働きも悪くなり、自律神経が乱れて立ちくらみにつながってしまいます。

朝食をしっかりとる

1日の食事の中で、特に重要なのが朝食です。朝食は、身体を目覚めさせ、活動に適した状態に整えてくれる効果があります。朝食をとる習慣がない人は、バナナと牛乳など軽いものでも良いので、口に入れるようにしましょう。

急な動きは控える

横になった状態や座った状態から急に立ったりすると、立ちくらみが起きやすくなります。立ち上がるときや起き上がるときには、ゆっくりと動くようにしましょう。

血圧の低下を防ぐアイテムを使用する

日中は、着圧ストッキングやきつめの腹巻きなどを着用することによって、血圧が下がりすぎるのを防ぐことができます。つま先に行くに従って着圧が強くなるストッキングや靴下は、足の血流を心臓に戻す手助けをしてくれます。また、腹巻きなどで腹部を圧迫すると、脳の血圧が下がりすぎることを防ぐ効果が期待できます。頻繁に立ちくらみが起こるときには、取り入れてみるのもよいでしょう。
 
ただし、眠る前には、目覚めをつかさどる「交感神経」から、休息をつかさどる神経「副交感神経」にスムーズに切り替えられるように、身体をあまり締め付けず、優しい肌触りで気持ちが安らぐ服装を選びましょう。

立ちくらみの対処法

立ちくらみの対処法

規則正しい生活を送っていても、どうしても疲れがたまってしまったり、睡眠不足が重なったりして立ちくらみが起こってしまうときもあります。
 
外出先や仕事中に突然立ちくらみにおそわれたときは、周囲にあるものをつかむなどして転倒を防ぎましょう。血液を早く上半身に行きわたらせるために、足と頭の高低差をなくし、しゃがんで上半身を低くするようにしましょう。症状が落ち着いたら横になれる場所へ行き、しばらく横になり安静にしてください。
 
立ちくらみの原因は、日常生活での過ごし方にあります。立ちくらみが頻発するようなときは、早めに自分の生活を見直すのが改善への近道です。
 
監修:坪田聡(雨晴クリニック副院長)
 
<参照>
『不安解消! めまい』池園哲郎(NHK出版)
『自分で治せる! めまい・ふらつき』新井基洋(洋泉社)
『本気で治したい人のめまい・耳鳴り』石井正則(学研)
『めまいの正体』神崎仁(文春新書)
 
町医者の「家庭の医学」立ちくらみ
http://www.miyake-naika.or.jp/03_katei/otona_tatikurami.html
大塚製薬
http://www.otsuka.co.jp/health_illness/heatdisorder/index.html
熱中症ゼロへ 熱中症について学ぼう:予防と対策
https://www.netsuzero.jp/learning/le02

photo:Getty Images

  • 体験談は個人の感想であり、特定の効能・効果を保証したり、あるいは否定したりするものではありません。

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