仕事中や勉強中に強い眠気に襲われた時、フミナーズ読者の皆さんはどのように乗り切っているでしょうか? 実は眠気が訪れるタイミングによって、有効な対処法が異なります。そこで、急に眠気がやってくる原因、眠気への対処法をシチュエーション別にご紹介します。

眠い時の対処法|寝ても寝ても眠いのはなぜ?

 

眠い時の原因

眠い時の原因

そもそも、人間はなぜ「眠気」を感じるのでしょうか。眠い時の代表的な生理的要因には、「体内時計の乱れ」と「脳の疲労」があります。

体内時計の乱れによるもの

一般的な生体リズムは、「夜になると眠くなり、朝になると目が覚める」というものです。これは、人の身体に備わっている1日の生活リズムを決める「体内時計」によってコントロールされており、起きてから約15時間が経過すると、自然と眠気を感じるようになっています。しかし、夜更かしなどによって体内時計と生体リズムにずれが発生した場合、「昼間に眠くなる」現象が起こりやすくなります
 
ちなみに、起きてから15時間ほどたつと眠くなるのは、「メラトニン」という体内時計を調節するホルモンが正常に働いているおかげ。メラトニンは「周りが暗くなる」「身体がリラックスする」などの条件によって分泌され、眠気をうながします。メラトニンについて詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。

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「メラトニン」で睡眠の質改善!「ホテルのような照明」がカギ

→メラトニン量を増やして自然な眠気をうながそう

脳の疲労によるもの

「勉強をした後に眠くなる」という経験はありませんか? これは、脳の疲れが原因で起こる現象です。身体の司令塔ともいえる「脳」には、脳の過度な疲労を防ぐため、活動時間が増えるにつれて眠気を誘う睡眠物質が蓄積されていきます。つまり、頭を使いすぎた後に眠くなるのは、脳からのSOSサイン。大事な脳を休ませるため、身体の防衛機能が働いているのです。

眠気を引き起こす病気とは?

眠気を引き起こす病気とは?

病気が原因となり、眠気が引き起こされる場合もあります。眠気を引き起こす可能性がある病気には、主に以下のようなものがあります。

概日リズム睡眠障害

概日リズム睡眠障害とは、「昼夜のリズムと、自分の生活リズムが合わない」ことからくる睡眠障害の総称です。例えば、朝に起きられなくなる「睡眠相後退症候群」や、入眠時刻と起床時刻が毎日ずれていく「非24時間睡眠覚醒症候群」などがあります。
 
概日リズム睡眠障害の主な治療法としては、体内時計の調整をうながす「高照度光治療法(明るい光のもとで過ごし、体内時計をリセットする治療)」がよく行われます。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中の呼吸が浅くなったり、10秒以上停止してしまったりする症状のこと。熟睡感が得られないだけでなく、糖尿病や高血圧を招くこともあります。睡眠時無呼吸症候群と診断された場合、呼吸をうながすマウスピースやマスクを使った治療のほか、生活習慣の改善が必要になることもあります。

むずむず脚症候群・周期性四肢運動障害

むずむず脚症候群とは、睡眠中に脚がむずむずするなどの不快感がある病気のことです。原因不明の特発性と、鉄欠乏症や特定の薬などが原因の続発性があります。また、周期性四肢運動障害は、眠っているときに四肢が勝手に動いてしまう病気のことを指します。
 
いずれの症状も睡眠を妨害しやすく、十分に眠れないことで、日中の眠気の原因となります。主な治療法は、生活習慣の改善やドパミン作動薬(身体のふるえなどを改善する薬)などを用いた薬物治療が一般的です。

過眠症

過眠症とは、十分な睡眠をとっているにもかかわらず、日中に強い眠気を感じる病気のことです。脳内物質のひとつである、「オレキシン」の不足などが原因と考えられています。
 
歩いているとき急に眠りこむとか、睡眠麻痺(金縛り)といった特殊な症状が出やすいため、周囲の理解と協力が必要です。生活習慣の改善のほか、薬物による治療が一般的です

うつ病

不眠や過眠などを伴うことが多い病気として、うつ病が挙げられます。うつ病の原因は、セロトニンなどを含む、モノアミンと総称される脳内物質の異常と考えられています。このモノアミンは睡眠・覚醒のコントロールにも大きく関わっているため、睡眠に影響を与えてしまうのです。
 
睡眠障害とうつ病は症状の一部が似ていることから、自分では誤って判断をしてしまう場合があります。不眠や気分の落ち込みが続く場合は、早めに医師の診察を受けましょう

「時差ぼけ」とは?

「時差ぼけ」とは?

旅行などで時差のある地域へ行くと、昼夜のリズムが変化することで体内時計にズレが生じることがあります。それによって、不眠など身体の不調が生じることを「時差ぼけ」と呼んでいます。時差ぼけになると、目覚めや睡眠に作用するホルモン分泌などに支障が現れ、「まだ昼間なのに眠い」「夜になっても眠くならない」といった、不眠にまつわる症状が現れることがあります。

時差ぼけの対処法

では、どうしたら時差ぼけを解消できるのでしょうか? 時差ぼけは現地に到着する時間帯によって対策が異なるので、旅行などで海外を訪れる際は以下を参考にしてみてください。

現地に朝方に到着する場合

・朝日を浴びる
午前中に太陽の光を30分以上浴びると、身体を活発化させる「セロトニン」というホルモンが分泌されます。セロトニンの分泌は眠気を解消し、乱れた体内時計をリセットする効果があります。そのため、朝方に現地へ到着した場合、室内にこもらず、積極的に外出しましょう。
 
・現地で朝食を食べる
朝食には体内時計をリセットする役割があるので、現地の朝食の時間に合わせてとることが重要です。早めの時間に到着するなら、現地で朝食をとりましょう。現地時間の朝がちょうど機内食の時間にあたる場合は、機内でしっかり食べておきましょう。

現地に夕方に到着する場合

・就寝まで時間を空ける
夕方ごろ宿泊先に到着すると、長時間の移動疲れで眠気に襲われることがあります。しかし、早めに眠ってしまうと夜は眠れなかったり、それに伴って睡眠リズムが乱れたりすることもあるので、就寝までは少し時間を空け、夜になってから眠るようにすることが大事です。
 
・睡眠ホルモンを高める薬を服用する
「メラトニン受容体作動薬」という睡眠薬を服用するのも一つの方法です。眠りをうながすホルモン「メラトニン」の分泌に作用して、目覚めと睡眠をコントロールする体内時計を整えてくれます。時差ぼけになってしまった場合、観光地を散策したり、ショッピングを楽しんだりなどアクティブに活動することで、症状が早く解消できます。海外旅行を満喫するため、今回ご紹介した時差ぼけ対策を試してみてはいかがでしょうか。

眠い時の対処法

眠い時の対処法

日中、急に眠たくなるときは、睡眠の質だけでなく、普段の生活習慣にも原因があるかもしれません。快眠を妨げる要因は、日常生活のさまざまなところに潜んでいます。ここでは、眠い時の対処法として、普段から気をつけておきたい習慣をご紹介します。

脳の疲労を回復させる

日中に急に襲ってくる眠気の一因は、脳の疲れ。先ほどご紹介したように、脳は日中に精力的な活動を行っていますが、それに応じて徐々に睡眠物質(疲れ)がたまっていきます。眠い時は、仮眠などで脳の睡眠物質を取り除く必要があります
 
また、より良い睡眠をとり、脳の疲労を回復させるためには、健康な身体づくりが必要です。運動や食事にも気をつけて、よく眠れる身体づくりを意識しましょう。例えば、夜にあまり眠れないという人は、トリプトファンやビタミンB6を含む食品をとるのがおすすめです。トリプトファンが多く含まれている肉や大豆類を朝食にすることで、日中の活動ホルモンである「セロトニン」が分泌されやすくなります。また、トリプトファンは就寝に欠かせない「メラトニン」の材料にもなるので、メラトニンの生成をうながすこともできます。

体内時計を整える

体内時計が乱れていると、昼間に眠気が訪れることがあります。できるだけ規則正しい生活を心がけて、体内時計を正常な状態(昼夜のペース)にあわせるよう心がけてみましょう。生活リズムを改善する際のポイントは、「今は朝だ」「昼だ」「寝る時間だぞ!」と、体内時計へ正常な時間とリズムを教えてあげること。心身へ下記のようなシグナルを送ってあげると、より効果的です。

身体が生活リズムを察知できるシグナルの例

  • 起床時刻や就寝時刻を規則正しい時刻にそろえる
  • 朝になったら太陽の光を浴びる
  • 三度の食事を規則正しくとる

 

睡眠の質を高める

睡眠の質が高まれば、朝や日中などの不規則な時間帯に眠気を感じることが少なくなります。そこで、毎日の睡眠の質を上げるコツをご紹介します。

睡眠の質を高めるための方法

  • まぶしい明かりや騒音の少ない寝室を用意する
  • 眠る前1~2時間前になったら、部屋の照明を暗めにする(間接照明にする)
  • 夏の室温は26度前後、冬の室温は18度程度にキープする
  • 枕は睡眠を妨害しない高さ(首の角度が5度前後)になるものを使う
  • 就寝1時間前に入浴して身体を温め、その後は白湯で水分補給をする

 

脳の覚醒を維持する

脳の覚醒(脳が活動的な状態)を無理なく維持するためには、「適度な休息をとること」と「眠気を誘う習慣を控えること」が大切です。休息は、仕事の合間に目を閉じたり、昼間に15分程度の仮眠をとったりするだけでもOK。脳の疲れがとれて、活動性を取り戻してくれる効果が期待できます。
 
また、眠る直前の「寝酒」はできるだけ控えましょう。眠る前に多量のアルコールをとると、覚醒中枢も睡眠中枢も麻痺してしまい、睡眠の質が低下してしまいます。また、中途覚醒や睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害を招く恐れもあります。
 
もし、日中の眠気がひどいのに夜眠れないなど、不眠につながってしまう場合は、薬物療法も一つの手です。睡眠薬の中には、眠りをうながすだけでなく、体内時計を整えて睡眠と目覚めのリズムを整える効果がある薬もあるため、症状が重い時は医師の診察を受けましょう。

脳の正常な目覚めを維持するためのコツ

  • 昼寝をして脳を休める(30分以内がおすすめ。数分目を閉じるだけでもOK)
  • 不眠を防ぐために眠る前の飲酒を避ける
  • 医師の診察を受けた上、薬物療法で脳の目覚め機能を整える

 

アルコールと睡眠の関係の詳細は、以下の記事でご確認ください。

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アルコールがかえって不眠を悪化させる?寝酒の悪影響とは

→アルコールがまねく睡眠障害とは?

眠い時の目覚まし法

眠い時の目覚まし法

どんなに予防をしていても、眠気は突然、訪れるものです。そんなときに有効な対処法を、シチュエーション別にまとめました。

朝、目覚めが悪く眠い時

朝日を浴びる

朝日は、体内時計をリセットしてくれる頼もしい味方です。目覚めが悪いときはカーテンを開けて、朝日を浴びてみましょう。体内時計がリセットされることで、身体が活動モードに切り替わります。もし、雨などで太陽が出ていない場合は、電気スタンドの光を浴びながら歯磨きをするのがおすすめです。光を直視するのではなく、目に光を入れるイメージで試してみてください。

目覚め効果のあるアロマの香りを嗅ぐ

ペパーミントなどのアロマの香りには、眠気を覚ます効果があります。アロマオイルが家にない場合、柑橘(かんきつ)系のフルーツを朝食に取り入れる方法もおすすめです。目覚めと果物の香りの関係について詳しく知りたい人は、以下の記事もご確認ください。

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朝フルーツを食べるなら香りも嗅いだ方がいい理由|果物習慣のすすめ

→朝フルーツ習慣の8つのメリットとは?

コップ一杯の水を飲む

朝起きたら、まずはコップ一杯の水を飲んでみましょう。水を飲むことで胃腸が動き、食欲が出てくるはずです。また、冷たい水は身体を冷やしてしまうので、できれば常温の水を用意しましょう。

お気に入りの音楽を聴く

好きな音楽を聴くと、脳内物質「ドーパミン」が分泌されます。ドーパミンの働きによって血圧と体温が上昇し、脳も活性化。身体を目覚めさせてくれます。

仕事中や授業中、集中できないほど眠い時

30分以内の仮眠をとる

どうしても眠い時は、いっそ眠ってしまうのが効果的です。脳の疲労回復や作業効率上昇が期待できる仮眠の力を借り、眠気を解消しましょう。おすすめの仮眠時間は、50歳未満の方は「15分以内」、50歳以上の方は「30分以内」。長すぎる仮眠は夜の睡眠を妨げてしまうため、眠り過ぎには注意が必要です。

耳をもんでツボを刺激してみる

人間の耳には、疲れをとるツボが集まっています。耳を指で軽くもむだけでも、疲労回復や眠気覚ましの効果があります。場所やタイミングを選ばない方法なので、眠気を感じたらすぐに試してみましょう。

夕方頃、早めに眠くなったとき

眠気を引き起こす満腹ホルモン「レプチン」の分泌を抑える

「お腹がいっぱいで眠くなる」。誰もが経験することですが、満腹になると眠気がやってくるのは、体内でレプチンという成分が分泌されるため。食事量をコントロールすることで、レプチンの過剰な分泌を抑えることができます。

電気を明るくして光を浴びることで、体内時計の針を遅らせる

夕方に眠くなってしまったときは、体内時計に「寝るにはまだ早い!」と教えてあげましょう。体内時計は「光」に左右されるので、室内の照明を明るくする、強めの光を浴びるといった方法で、体内時計のリズムを調整できます。電気スタンドなどを使って、目に入る照度をアップさせる方法もおすすめです。

気晴らしに散歩をする

運動には、脳を目覚めさせ、交感神経の活性化をうながす効果があります。軽いウォーキングやランニングをしたり、夕食の材料を買うついでに散歩をしたりしてみましょう。

交代(シフト)勤務で眠い時

人と会話する

夜勤などで、「眠りたいけど眠れない」という場合は、会話やコミュニケーションで脳を活性化させましょう。人との会話が刺激となって、眠気がやわらぎます。また、暗い室内にいると眠気が訪れやすいので、ブルーライトやスタンドを活用して眠気を鎮める方法をおすすめします

「アイソメトリックス」トレーニングを行う

アイソメトリックスとは、関節を動かさず、筋肉だけを動かすトレーニングのこと。実際のトレーニング方法は、以下の通りです。

  • 壁を強く押す
  • ひじを水平にして両手のひらを胸の前で合わせ、両側から思い切り押し合う
  • 親指以外の4本の指を引っかけるように組み、左右に引っ張る

十分な睡眠をとるのはもちろんですが、いざというときに使える対処法を覚えておけば、急な睡魔にも負けず、活動できるはずです。
 
監修:坪田聡(雨晴クリニック副院長)
 
<参照>
『ビジネスパーソンのための快眠読本』白川修一郎(ウェッジ)
『病気を治したければ「睡眠」を変えなさい』白濱 龍太郎 (アスコム)
『睡眠の病気  不眠症・睡眠時無呼吸・むずむず脚』総監修:内山真、編集:NHK出版(NHK出版)
『「いつも眠い~」がなくなる快眠の3法則』菅原洋平(メディアファクトリー)
『8時間睡眠のウソ。日本人の眠り、8つの新常識』三島和夫、川端裕人(日経BP社)
『ぐっすり眠れてすっきり起きる50のコツ』菅原洋平(宝島社)
 
e-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-01-003.html
 
睡眠にかかわる3つのしくみ 体内時計.jp
http://www.tainaidokei.jp/sp/contents/03.html
ウォーターガイド
http://www.evian.co.jp/water/life/02/

photo:Getty Images

  • 体験談は個人の感想であり、特定の効能・効果を保証したり、あるいは否定したりするものではありません。

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