激しい運動などをしていないのに、ふと「息苦しさ」を感じたことはありませんか? 「息苦しさ」は、身体の異常を知らせるサインの可能性があります。身体からのSOSを見逃さないために、息苦しさの原因や対処法をチェックしましょう。

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「息苦しい」状態とは?

「息苦しい」状態とは?

一般的に「息苦しい」と感じる症状は、酸素が薄いと感じたり、楽に呼吸することができないと感じたりする、いわゆる「呼吸困難」が原因とされています。呼吸困難は、あくまでも自分自身が「息苦しい」と感じる自覚症状のことであり、呼吸器などが病気や障害によって正常に働かなくなる「呼吸不全」とは別の症状です。

呼吸困難は、身体を正常に動かすためのエネルギーを作り出す「酸素」が体内へ送り届けられる途中、何らかのトラブルが発生することによって起こります。まずは、酸素が体内へ送り届けられる流れと、その過程で起こる、息苦しさの原因について紹介していきます。

「酸素」はどうやって体内に届けられる?

口や鼻で呼吸をすると、吸い込んだ空気は「気管」からその先にある気管支を通って、肺へ送り届けられます。肺では、吸い込んだ空気から酸素を取り込み、不要な二酸化炭素を排出し、酸素だけが、肺から血液を通して心臓へ運ばれます。心臓は肺で取り込まれた酸素を含む血液を、全身へ送り届けています。酸素は全身のあらゆる器官が必要とするエネルギーのため、この流れで十分な酸素が全身に届かない場合、器官の働きが低下してしまいます。

では、息苦しさの直接的な原因とは何なのでしょうか?

息苦しさの原因

息苦しさは、呼吸に関わる器官そのものがダメージを負うことや、酸素不足などが主な原因とされています。

〈息苦しくなる原因〉

激しい運動

全速力で走るなどの激しい運動をすると呼吸が荒くなり、早いペースで呼吸が行われるため、酸素の取り込みが間に合わず酸欠状態に陥って、息苦しさを感じます。

酸素濃度の低下

山の頂上など気圧の低い場所や、換気が不十分な室内など、空気中の酸素量が少ない環境にいる場合、肺が十分に酸素を取り込むことができず、息苦しさの原因となります。

煙や粉塵(ふんじん)によるダメージ

タバコや工場などから排出される煙や粉塵が、空気の通り道である気管支や、酸素を取り込む肺胞を刺激して炎症が起こり、うまく呼吸をすることができなくなります。

過度なアレルギー反応:

アレルギー反応とは、身体の免疫システムが特定の物質に過剰に反応すること。過度な反応によって気管支が収縮し、空気の道幅が狭くなることで十分な酸素が取りこめなくなります。

ストレス

恐怖や不安、あるいは緊張など過度のストレスを感じているときは「交感神経」の働きが高まり、筋肉が緊張状態になったり、血圧や心拍数が上昇したりする症状が現れます。すると、呼吸が浅くなり、息苦しさを感じてしまうことがあります。
このように、息苦しさの原因は外的要因、内的要因に分かれ、多岐にわたります

「息苦しい」という自覚症状に潜む病気の危険性

「息苦しい」という自覚症状に潜む病気の危険性

息苦しさは、病気によっても引き起こされます。ひどい息苦しさを感じる場合は、呼吸器などに支障をきたしている可能性があり、呼吸不全に陥っている恐れもあります。

「息苦しい」を誘発する呼吸器の病気

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

タバコの煙や汚染された空気などを吸うことで肺胞が破壊され、空気の取り込みが十分に行われなくなる病気です。重度の呼吸困難や咳(せき)などが主な症状です。特に喫煙による発症が多く、喫煙期間が長ければ長いほどリスクも高まる傾向があり、受動喫煙でも発症の危険性があります。

気管支喘息

強いアレルギー反応によって、炎症を起こした気管支の幅が狭くなる病気です。のどが詰まるように感じて息苦しさが起こり、咳が出たり、呼吸をするとヒューヒューと聞こえる「喘鳴(ぜいめい)」が症状として現れたりします。

気胸

外傷などにより肺を覆っている「胸膜」に穴が開き、胸腔に空気が侵入して肺がつぶれる病気です。突発的に起こる呼吸困難や、胸痛が現れるのが特徴。原因不明で起こる気胸は「自然気胸」と呼ばれ、長身で細身の男性に発症しやすいといわれています。

肺結核

肺が「結核菌」に感染して起こる病気です。発症すると徐々に咳やたん、発熱、呼吸困難などの症状が現れます。咳などによる飛沫(ひまつ)で菌が広がりやすい危険性がある一方、体内に菌が侵入しても発症しない場合もあります。

肺炎

何らかの原因で肺胞が炎症を起こすことで、肺胞の壁が厚くなり、スムーズに空気の交換が行われなくなる病気です。息苦しさだけでなく、悪化すると呼吸困難に陥り、激しくせきこむことがあります。

肺がん

喫煙や大気汚染などにより、気管支や肺胞にがんが生じる病気です。主な症状として咳、たん、発熱、呼吸困難などが引き起こされ、50歳以上の男性が発症しやすいという特徴があります。

「息苦しい」を誘発する循環器・血液の病気

血液を循環させる中心的器官である心臓や、血液、また血管そのものにダメージが生じることで、息苦しさを感じることがあります。

不整脈

心臓が拍動するリズムやスピードが乱れる病気です。心臓の鼓動が速くなる、胸部の圧迫感や痛み、呼吸困難などの症状が起こります。重度の症状だと、意識不明や心停止にいたる場合もあります。

心不全

心臓の機能が低下し、全身の血液を循環させるポンプとしての役割が十分に果たせなくなる病気です。血液の循環が悪くなることで肺に水がたまると、呼吸困難に陥ります。

心筋梗塞

心臓の筋肉に血液を送り込む「冠状動脈」が脂質などによって詰まり、その先に血液を送ることができなくなり、心臓の筋肉が壊死する病気です。突如、胸が締めつけられるような痛みに襲われ、呼吸困難、吐き気、嘔吐(おうと)などの症状が併発することもあります。

心臓弁膜症

「大動脈弁」「肺動脈弁」「三尖弁(さんせんべん)」「僧帽弁(そうぼうべん)」という4つの弁(※)が、開かなかったり、閉じなかったりすることで起こる病気です。病状が進行すると、息切れや呼吸困難などを引き起こします
※血液が逆流しないよう、心臓の中や血管の出口についている弁膜

鉄欠乏性貧血

血液内の「赤血球」に含まれる、「ヘモグロビン」が不足することで生じる病気です。ヘモグロビンは酸素と結びつきやすい性質を持っていて、血液を通して酸素を全身に送り届ける役割があります。これが不足すると、息切れや疲労感を覚えたり、顔色が悪くなったりします。

「息苦しい」を誘発する脳・神経系の病気

血液の循環が正常に行われないと、脳の働きや脳そのものに悪影響を及ぼすことがあります。また、ストレスによる精神疾患も息苦しさの引き金になることがあります。

脳出血

動脈硬化などが原因で、もろくなった脳内の血管が破れて出血する病気です。血の塊が脳を圧迫したり、血管が破れて血液が流れなくなったりすることで、脳の組織が破壊されることがあります。主な症状は息切れ、頭痛、めまい、身体の麻痺など。脳の損傷が大きいと、言葉や運動の障害が残る場合もあります。

過換気(かかんき)症候群

極度の不安や緊張などの精神的ストレスによって、過呼吸状態になる病気です。通常よりも速いペースで浅い呼吸が行われるため、息苦しさを感じます。呼吸の回数が増えることで、血液中の二酸化炭素量が極度に減少するため、手足のしびれやめまいを引き起こすこともあります。

自律神経失調症

心身のストレスや睡眠不足などによって、自律神経のバランスが崩れることで生じる精神疾患です。頭痛や胸痛など身体の痛み、疲労感、息切れなど、いろいろな症状が現れます。

「息苦しい」ときの対処法

さまざまな原因によって引き起こされる「息苦しさ」。実際に息苦しいと感じた際は、以下の方法を試してみてください。

安静にして気持ちをリラックスさせる

息苦しい状態が長く続くほどパニック状態に陥り、呼吸が荒くなって症状を悪化させてしまう恐れがあります。そのため、椅子などに座って頭を高くし、顎をあげることで気道を確保することが大切です。特に気管支喘息の場合は横たわると気道が詰まって余計息苦しくなるため、座って安静にしましょう。

服装や姿勢を楽な状態にする

ネクタイやシャツなどで首元が締まっていたり、ベルトで腹部が圧迫されていたりすると、息苦しさを感じることがあります。身体に物理的な負荷がかかるものは取り外し、身体を楽な状態にして体内の酸素の循環を促しましょう。

風通しの良いところで新鮮な空気を吸う

ホコリやダニの死骸などが空気中に舞っているような、換気の悪い環境にいると、気管支喘息などの原因となるアレルギー反応が起こったり、発作を起こしたりする危険性があります。窓を開けたり、ベランダに移動したりするなどして、新鮮な空気を取り込みましょう。

上記のような簡単な対処では息苦しさが治らない場合、呼吸器や循環器などの病気、障害の可能性があります。症状が進行する前に、早急に専門の呼吸器科や循環器科などを受診しましょう。

「息苦しい」症状を引き起こさないための予防策

「息苦しい」症状を引き起こさないための予防策

息苦しさを予防するには、息苦しさを招く根本的な原因となる「生活習慣の乱れ」を改善することが大切です。

「息苦しさ」を予防! 生活習慣を見直そう

バランスの悪い食事や運動不足などの生活習慣を見直すことは、息苦しさに関連する病気の発症リスクを下げることにもつながります。自分の生活習慣と照らし合わせ、悪影響がある部分は見直してみる必要がありそうです。

禁煙

タバコの煙には、依存性の高いニコチンなどの有害物質が含まれています。喫煙を続けていると気管支の炎症を引き起こしたり、肺胞が破壊されたりする可能性があり、それが息苦しさにつながることがあります。ニコチン摂取量を減らすため、吸う本数を減らせば大丈夫だと考える人もいますが、それだけではあまり効果がないそう。

どうしても喫煙がやめられないという人は、「ニコチンパッチ」などを使用して禁煙を心がけましょう。

食生活の見直し

揚げ物や肉料理など、脂肪分の多い食事が中心の人は、血液の流れを悪くするコレステロール値が上がっている可能性があります。コレストロール値が高いと、心筋梗塞の発症リスクが高まってしまいます。

また、塩分のとりすぎもNG。塩分の過剰な摂取で血圧が急激に上昇すると、心臓や血管に負担がかかり、息苦しさにつながる可能性があります。食生活を見直す際は、食事の栄養バランスだけでなく、味付けも意識するようにしましょう。

適度な運動

少し動いただけで息切れがするという人は、運動不足で心臓や肺の働き、筋力が低下している可能性があります。心当たりのある人は、適度な運動を心がけましょう。

激しい運動はかえって身体に負荷を与えてしまうため、軽めの運動を定期的に行うのがベストです。特におすすめしたいのが、血流を促進させる効果があるウォーキング、ジョギングなどの有酸素運動。また、身体に脂肪が多いと、呼吸器や循環器を圧迫して息苦しさの原因になるため、肥満予防という観点でも、有酸素運動は最適な予防法といえます。

ストレスフリーな生活

不安や恐怖など精神的なストレスによる息苦しさを解消するには、気持ちをリラックスさせることが効果的です。例えば、自分の好きな音楽を聴く、お風呂でくつろげる時間をもうけるなど、簡単な方法でOK。自分なりのストレス解消法を見つけることが、よりよいリラックス効果を呼び込んでくれます

さまざまな観点から自分の生活習慣を見直し、息苦しさを引き起こすきっかけを減らしていきましょう。

「息苦しい」と睡眠の関係

「息苦しい」と睡眠の関係

起きている時は問題なくても、睡眠中にだけ息苦しさを感じるという人もいるようです。睡眠中の息苦しさは眠るときの姿勢が関係するほか、睡眠時に無呼吸状態になってしまう病気の可能性もあります。

睡眠中に息苦しくなるのはなぜ?

眠っているあいだは、身体の筋力が緩みます。「仰向け」で寝ているときに舌を支える筋肉が緩むと、重力によってのどの奥に舌が落ちて気道をふさいでしまい、息苦しさを感じることがあります。また、息苦しさを感じる要因には、姿勢以外にも「睡眠時無呼吸症候群」という病気の可能性があります。

「睡眠時無呼吸症候群」とは?

睡眠時無呼吸症候群とは、10秒以上の呼吸停止が1時間に5回以上繰り返される病気です。その多くは、舌や口蓋垂(のどちんこ)が空気の通り道である気道をふさいでしまうことで、呼吸停止状態に陥り、脳や身体が酸欠状態になって、息苦しさが生じます。

睡眠時無呼吸症候群を発症する人には、「脂肪で首が圧迫されている」「眠る前に飲酒をする」「顎が小さい」「アレルギー性鼻炎などで鼻が詰まっている」など、さまざまな特徴があります。一般的な治療法は、運動や食事などを見直して肥満を改善したり、鼻炎を治したりすることなどから始まります。症状がひどい場合は、鼻にマスクを装着して空気を送り込んで気道を確保する、「持続的陽圧呼吸(CPAP:シーパップ)療法」という方法が行われる場合もあります。

更年期に現れる息苦しさとは?

更年期に現れる息苦しさとは?

更年期にさしかかると、自律神経のバランスが崩れやすくなり、発汗やイライラ、熱っぽさ、気だるさなどに代表される「更年期障害」と呼ばれる症状が現れます。

息苦しさも、その症状のひとつ。そこで、更年期障害と息苦しさの関係について紹介します。

「更年期障害」とは?

更年期障害とは、女性の場合は「エストロゲン(※)」、男性の場合は「テストステロン(※)」と呼ばれるホルモンの分泌が低下することで生じます

※エストロゲン:乳房の成長の促進、肌の潤い力アップなど女性らしくなるためのホルモン
※テストステロン:精子の生成、筋肉や骨格の増強など男らしくなるためのホルモン

発症の主な原因は、加齢、ストレス、疲労、栄養不足などといわれ、症状は大きく「自律神経系」「泌尿器・生殖器系」「精神面」の3つに分類できます。

更年期障害の症状

自律神経の乱れ

息切れ、呼吸困難、熱っぽさ、手足のしびれなど

泌尿器・生殖器の不具合

女性の場合は膣(ちつ)の乾燥や縮小など、男性の場合は勃起障害など

精神面の不調

イライラ、疲労感、無気力状態、不眠など

他にも、自律神経の乱れが血液の流れを悪くするために頭痛や肩こりを、また、血圧が不安定になるために耳鳴りなどを発症することがあります。

更年期障害の対処法

更年期障害の症状を和らげるには、心身をリラックスさせることがポイントです。

運動でストレスを解消する

比較的心臓に負担が少ないといわれている、ジョギングや水中ウォーキングなどの有酸素運動が効果的です。過度な運動はストレスをため込んでしまうので、無理せず、定期的に続けられる運動を取り入れましょう。

気分転換をする

心身の不調が現れると気分も落ち込んでしまいますが、趣味に没頭したり、友人と会話を楽しんだりなどして、気持ちをリフレッシュさせましょう。

睡眠時間を確保する

更年期障害の症状として、なかなか寝つけないなどの不眠状態に陥ることがあります。熟睡感が得られない人は、眠る前にぬるめのお風呂に浸かったり、日中に軽度な運動をしたりなど、スムーズな入眠を促し、中途覚醒を防ぐ対策を行いましょう

更年期障害と考えられる症状が重い場合、「バセドウ病」などの病気が併発している可能性もあります。不調が続くようであれば、早めに病院へ向かい適切な診察を受けましょう。

睡眠時の息苦しさは、症状の原因や度合いに応じて対処することが大切です。医師に相談する際も、睡眠外来、呼吸器科、循環器科など、自分の症状に合った専門外来で適切な治療を受けられるように、正しい知識を身につけておきましょう。

監修:坪田聡(雨晴クリニック副院長)

<参照>
「人体のしくみと病気がわかる事典」奈良信雄(西東社)

「動悸息切れ胸の痛みが気になったら読む本」赤塚宣治(小学館)

タケダ健康サイト(息切れ)
http://takeda-kenko.jp/navi/navi.php?key=ikigire

タケダ健康サイト(呼吸困難)
http://takeda-kenko.jp/navi/navi.php?key=kokyukonnan

厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/symptom1_3.html

一般社団法人 日本呼吸器学会
http://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=41

photo:Getty Images

  • 体験談は個人の感想であり、特定の効能・効果を保証したり、あるいは否定したりするものではありません。

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