頭が痛くて仕事がはかどらない…。そんな悩みや不安を抱えている人は少なくないはず。実は「15歳以上の日本人の4割は頭痛持ち」と言われており、日本人にとって頭痛問題は、まさに頭を悩ませるタネなのです。今回は、頭痛の原因や種類、症状や対策などについてまとめました。

頭痛の原因を探る|睡眠改善で頭痛を改善

 

頭痛とは?

頭痛は、風邪や二日酔いなどの日常的に起こりうるものから、脳の病気が要因となる危険なものまであり、種類によって治療も対処も異なります。そのため、まずは自分の頭痛がどんな種類か把握することが大切です。

頭痛が起きるメカニズム

頭痛は、骨膜(※1)、太い血管、硬膜(※2)、頭皮、頭を覆う筋肉、脳神経などの組織が圧迫されたり、炎症を起こしたりすることで発生します。では、頭痛という症状にはどんな種類があるのでしょうか。
 
※ 1
骨膜…骨の表面を覆う膜で、骨の維持・成長・再生を担っている。
※ 2
硬膜…脳を守る3層の髄膜のうち、一番外側にある膜。

頭痛の種類

頭痛は痛みの出かたによって、3つに大別できます。
 
(1)病気の可能性がある頭痛(脳の中に問題がある)
くも膜下出血などの病気が原因で起こる頭痛。激しい痛みが急に出ることが多く、命にかかわることもある。
 
(2)日常的に痛みを感じる慢性的な頭痛
デスクワーク時や夕方になると痛むなど、繰り返し起こる頭痛で、片頭痛などもこのタイプに含まれ、頭痛全体の約80%を占める。
 
(3)一過性の頭痛
寝起きや二日酔い、冷たいものを食べた時に起こる頭痛。原因が解消されれば自然に治る。
 
頭痛の原因で最も注意したいのが、病気の疑いがあるもの。激しい痛みが急に起こる頭痛や、徐々に痛みが激しくなっていく場合などは、注意が必要です。

危険な頭痛

危険な頭痛

病気の可能性がある危険な頭痛の症状には、下記のような特徴があります。

<危険な頭痛の症状>

  • 今までにない強い頭痛
  • 突然の激しい痛みで意識がもうろうとなる
  • 痛みが急に強くなったり、回を重ねるごとに痛みが強くなったりする
  • 頭痛とともに発熱する
  • 手足にしびれが起こる
  • けいれんが起こる

こうした症状が見られた場合には、我慢せずにすぐに医療機関を受診しましょう。以下のような危険度の高い病気の可能性があります。

くも膜下出血

「脳動脈瘤」(※3)の破裂などによって血管が破れ、脳を覆う3層の髄膜のうち脳に接している「くも膜」という膜の下で出血する病気。出血がひどい場合は激しい頭痛や嘔吐、けいれんなどが起こり、意識を失うこともあります。出血が少ない場合は、首の後ろ側に痛みを感じたり、首すじが硬直したりするだけのこともあります。
 
※3
脳動脈瘤…脳の血管にできる血管の膨らみ。

脳出血

脳内の血管が何らかの原因で破れ、脳の中で出血した状態です。初期症状で吐き気や嘔吐が出て、頭痛が徐々にひどくなる場合があります。また、麻痺やしびれなどを伴い、ろれつがまわらない、物が二重に見えるといった症状もみられます

髄膜炎(感染症)

脳と脊髄を覆う保護膜である「髄膜」に炎症が起こる疾患。身体を動かしたり、頭を振ったりすると痛みが強まるという特徴があります。後頭部が激しく痛み、吐き気や嘔吐、38~39℃の高熱を伴う場合は、くも膜や軟膜の炎症による髄膜炎が疑われます
 
また、細菌の感染による細菌性髄膜炎では高熱を伴う強い頭痛が起こり、治療が遅れると死に至るケースもあります。

脳腫瘍

脳を保護する頭蓋骨の中にできる腫瘍の総称。腫瘍が脳を圧迫することで頭痛が起こります。頭全体あるいは一部に圧迫感や鈍痛が続き、突然の吐き気やけいれん発作があるときは、脳腫瘍の可能性があります。
 
朝の起床時に特に強い痛みがあり、しばらくするとよくなるというケースが多く、腫瘍の大きさが増すにつれて痛みや頭重感が強くなってきます。また、頭痛以外にも視力の低下や視野が狭くなるといった視力障害、手足に力が入らず動かせないといった運動麻痺、めまいなどが起こることもあります。

脳動脈解離

脳動脈の内膜損傷で動脈壁の中に出血し、血管が裂ける症状です。交通事故などの外傷後や、スポーツや日常生活で何気なく首をひねったり伸ばしたりしたときなどに発症することがあります。
 
脳動脈解離が起こると、うなじから後頭部にかけて痛くなり、血管にこぶができたり、血管中が狭くなったりします。痛みが生じた数日以内に、脳卒中を引き起こすことがあるので、思い当たる場合はすぐに医療機関に行きましょう。

慢性硬膜下血腫

外傷によって頭蓋骨の内側にある脳を覆う「硬膜」と「くも膜」の間に出血が起き、血のかたまりができた状態。かたまりが小さいうちは、症状は見られませんが、1カ月ほど経つ頃には、かたまりが大きくなって脳を圧迫し、痛みが徐々にひどくなります。首を振ると痛みがひどくなるのが特徴です。また、歩行障害、手足の麻痺、物忘れなどの認知機能障害などが出ることもあります。

日常的な頭痛

日常的な頭痛

続いて、病気の可能性は低く、日常的に繰り返される「慢性頭痛」にはどのような特徴があるのでしょうか。慢性頭痛の症状は、大きく分けて4つのタイプがあります。

緊張型頭痛

慢性頭痛の中で最も多く、過度な緊張やストレス、姿勢の悪さからくる冷えなどが要因となって起こります。何かで締めつけられるような鈍い痛みが30分~7日間ほど続き、肩や首のこり、めまい、ふらつき、全身のだるさなどを伴うことがあります。

<症状の特徴>

  • 後頭部を中心に頭全体が締めつけられるように痛む
  • 同じような痛みが毎日起こる
  • 肩や首のこりを伴う
  • パソコンを使った後に痛む
  • 軽いめまいを伴うことがある
  • ストレッチやシャワーなどで温めると痛みがラクになる
  • 動くと痛みが軽くなる

起床時の頭痛

緊張型頭痛のうちのひとつに、寝ているときの姿勢や寝具の影響によって朝起きた時に頭が痛くなる症状があります。自分に合うように枕の高さを調整し、無理のない姿勢で眠るようにすると改善するので、試してみましょう。

片頭痛

頭の片側のこめかみから目のあたりがズキズキとしたり、頭の両側や後頭部が痛んだりする症状です。疫学調査によると、日本人の約840万人が片頭痛に悩まされていると言われています。痛みは数時間~3日間ほど続くことが多く、はっきりとした原因は解明されていません。
 
頭蓋骨内の血管が広がって炎症を起こすという説、ストレスや疲労が原因という説、女性に多いことから女性ホルモンが関わっているという説が有力です。30歳代の女性では、5人に1人に片頭痛の症状があると言われています。

<症状の特徴>

  • ズキズキと脈打つように痛む
  • 頭痛が起きる前に、チカチカした光が見えることがある
  • 光や音に敏感になったり吐き気を伴ったりする
  • 月に1~2回から週に1~2回以上起こる
  • 頭や身体を動かすと、頭に響いてさらにひどくなる

群発頭痛

目の奥がえぐられるような痛みが特徴の頭痛。ある時期に集中して起こり(群発期)、20~40歳代の男性に多く見られます。痛みの原因は、目の後ろを通っている内頸動脈が拡張し、炎症を起こしているためだと言われています。アルコールが症状を誘引し、飲酒後40分から1時間ほどたった頃に痛みが出ることがよくあります。また、タバコや気圧の急激な変化なども関係があるという説もあります。

<症状の特徴>

  • 1~2ヵ月間集中して頭痛が続く
  • ほぼ毎日、同じくらいの時間に起こる
  • 1日に1~2回起こり、1回の痛みは15分から3時間続く
  • 頭の片側が痛む
  • 片側だけの目の奥や周囲に現れ、上あごのあたりや頭の片側へと拡がる
  • 動くと痛みが紛れる
  • 痛み以外に目の充血や涙、鼻水などを伴うことがある

睡眠時頭痛

睡眠中にのみ起こる頭痛は「睡眠時頭痛」のおそれがあります。睡眠中に鈍い痛みを感じ、目が覚めてしまうのが特徴です。また初めての発症が50歳以上のケースが多い、という傾向があります。

<症状の特徴>

  • 1カ月あたり15回以上起こる
  • 頭痛で目覚めてから15分以上持続する
  • 吐き気・光過敏・音過敏・別の疾患があるという項目のうち2つ以上にあてはまらない
  • 初めての発症が50歳以上

慢性頭痛の対処法と予防法

慢性頭痛の対処法と予防法

頭痛のタイプによって、有効とされる対処法・予防法は異なります。下記の方法を試してみましょう。

緊張型頭痛の対処法

適度に身体を動かして筋肉をほぐしたり、マッサージや入浴をしたりして血行を促すようにしましょう。長時間同じ姿勢を続けないように心がけるのも大切です。
 
このタイプの頭痛は市販の鎮痛薬を使用してもあまり効果は期待できないようです。薬を用いるなら、医療機関を受診するのがよいでしょう。根本的に解消するには日頃から筋肉が緊張しすぎないように、自分に合ったリラックス方法を見つけ習慣化することが大切です。

<予防法>

  • 入浴したり、ホットタオルなどで肩や首を温めたりする
  • 首や肩のこりをほぐすストレッチする
  • ウォーキングなど軽い運動で適度に身体を動かす
  • 起床時に頭痛を感じる場合
    ・枕の高さを調整する
    ・身体に負担がかからない寝姿勢で眠る

片頭痛の対処法

頭痛が起こったら光や音の刺激を避け、薄暗く静かな場所で横になりましょう。横になれない場合は、椅子に座って安静にするだけでも痛みが和らぎます。頭痛が起きている時は、入浴や運動、マッサージなどは厳禁。痛む部分に冷却シートや冷たいタオルなどを当てて冷やすのがおすすめです。コーヒーや緑茶などでカフェインを適量とると、頭痛が軽くなることがあります。
 
また、片頭痛には薬の服用も有効です。治療薬には頭痛発作のときに服用する「急性期治療薬(頓挫薬)」と発作を起こりにくくする「予防薬」があります。急性期治療薬には、病院で処方されるもののほか、市販の鎮痛薬も含まれます。医療機関で処方された薬を服用する方がおすすめですが、病院に行く時間がないときや緊急時は、薬局の薬剤師と相談して市販薬でうまく症状をコントロールするのも1つの方法です。
 
頭痛薬を月に10日以上飲んでいる場合には、薬剤の使いすぎによる頭痛(薬物乱用頭痛)に陥っている可能性も。市販薬を使用している場合、または処方された薬の効果が不安なときには、一度医師に相談するようにしましょう。

<予防法>

  • ビタミンB2を多く含む食品(納豆、うなぎ、レバー、乳製品、葉菜類など)をとる
  • マグネシウムを多く含む食品(大豆製品、ゴマ、ナッツ類、海藻類、緑黄色野菜など)をとる
  • 光や音、においなどの刺激を避ける
  • 医師の診察を受け、予防薬を服用する

群発頭痛の対処法

群発頭痛の場合はセルフケアではなく、頭痛の専門医の診察を受け、薬を処方してもらいましょう。処方薬としては、エルゴタミン製剤やトリプタン系薬剤などが一般的です。そのほか、カルシウム拮抗薬や副腎皮質ステロイドなどが、医師の判断で使用されることもあります。痛みがある時は、発作の頻度を減らしたり痛みを軽減したりするためにも、飲酒や喫煙は控えるようにしましょう。

<予防法>

  • 早めに受診し処方薬を服用する
  • 飲酒を控える
  • タバコを控える

睡眠時頭痛の対処法

治療にはカフェインやリチウム、インドメタシンなどが用いられます。家庭でできる対策として、眠る前や発作時にカフェインを摂る工夫もできます。ただし、カフェインには睡眠の質を悪くする働きもあります。日常的に睡眠の質が悪化すると生活に支障が出てしまうため、カフェイン摂取の頻度には注意が必要です。

<予防法>

  • 睡眠前にカフェインを摂取する

慢性頭痛の対処法は以上です。最後に、一過性の頭痛の対処法と予防法をみていきましょう。

一過性頭痛の対処法と予防法

一過性頭痛は誰にでも起こりうるもので、原因を取り除けば自然におさまります。また、頭痛を予防すると、原因となる病気の予防にもなります。

風邪による頭痛

風邪による発熱で頭痛が起こります。風邪が治ることで自然に治りますが、症状が重い場合は痛み止めの薬を服用すると軽減されます。

<予防法>

  • 手洗い・うがいやマスクの着用など、風邪予防を心がける
  • 十分な睡眠やバランスの良い食事で免疫力を高める

二日酔いによる頭痛

肝臓の処理能力を超える量のアルコールを摂取し、毒性の強いアセトアルデヒドが処理しきれずに残ってしまうことにより、二日酔いで頭痛になります。二日酔いになってしまったら、十分な睡眠と水分補給で身体を休めましょう。

<予防法>

  • 空腹状態で飲酒しない
  • 肝機能を強化する成分を含む、シジミやゴマなどが入ったおつまみを食べる
  • 水分や塩分を補給しながらお酒を飲む
  • 適量を心がけて飲む

寝過ぎ・睡眠不足時の頭痛

睡眠不足や寝過ぎがホルモン分泌に作用し、片頭痛を起こすきっかけになるといわれています。日本人の必要睡眠時間は6~8時間といわれていますが、個人差があります。自分に合った睡眠時間を見つけましょう。

<予防法>

  • 適切な長さの睡眠をとる
  • 休日に寝だめをしない

天候と頭痛の関係

天候と頭痛の関係

雨が続く日や、気圧の変化がある時季に体調を崩したり、頭痛がしたりということはありませんか? 検査を受けても特に異常がないという場合は、もしかしたら「気象病」と呼ばれる症状かも。
 
気象病とは気圧や気温など、天候の変化によって起こる心身の不調のことを言います。

主な症状

  • 頭がずっしりと重く、痛みがある
  • だるく倦怠感があり、やる気が出ない
  • 睡眠不足、眠れない、眠りが浅い
  • めまいや耳鳴りがする
  • 関節が痛む

症状は上記のように様々ですが、特に頭痛やだるさを感じる人が多いようです。
 
気温や気圧の変化が起こると血液やリンパの流れが悪くなるため、血管が頭蓋骨や脳を圧迫して頭が痛くなります。また、このような時季は酸素が不足がちになるため自律神経が乱れて頭痛を引き起こすこともあります。
 
近年では「気象病」という病名として認知されており、治療も行われています。気象の変化で頭痛が起こるという人は、医療機関を受診してみるとよいでしょう。
 
監修:坪田聡(雨晴クリニック副院長)
 
<参照>
『頭痛は消える』清水俊彦(ダイヤモンド社)
 
ライオン BUFFERIN「頭痛のメカニズムー頭痛について」
http://www.bufferin.net/navi/head/
 
ファイザー スッきりんのバイバイ頭痛講座
http://www.sukkirin.com/index.html
 
エスエス製薬 頭痛の原因と緩和対策
http://www.ssp.co.jp/eve/headache/
 
中外製薬 がん情報ガイド
https://www.gan-guide.jp/index.html
 
東海大学医学部脳神経外科 絵で見る脳と神経の病気
http://neurosurgery.med.u-tokai.ac.jp/edemiru/
 
タケダ健康サイト
https://takeda-kenko.jp/
 
大鵬薬品 二日酔い対策本部24時
http://www.taiho.co.jp/kenko/futsukayoi/index.html
 
日本頭痛学会 睡眠時頭痛はどのように診断し治療するか
http://www.jhsnet.org/GUIDELINE/5/5-4.htm

photo:Getty Images

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