むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)の症状とは?|快眠のための治療法

眠ろうとすると虫が脚を這っているようなむずむずする感覚がして、気になって眠れない…。そんな症状が原因で悩んでいる人はいませんか? 実はこれ、「むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)」と呼ばれる病気の一種で、睡眠を妨げ、大きなストレスになってしまう厄介なもの。そんなむずむず脚症候群の症状や原因、対策をご紹介します。

 

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)とは?

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)の症状とは?

むずむず脚症候群はどんな病気?

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)とは、脚に違和感や不快感があり、じっとしていられなくなってしまう病気のこと。脚に虫が這っていたり、電流が流れていたりするような不快感があります。その症状には、大きく下記の4つの特徴があります。

(1)じっとしていられない

脚に生じる不快感は、「熱い」「ちりちりする」など様々であるものの、いずれも“じっとしていられないほど”の苦痛を伴うのが特徴。中には「脚の中に手を突っ込んで掻きむしりたい」「脚を切断してしまいたい」という人もいるほどです。
不快感はふくらはぎ、太もも、足首の順に現れやすく、ごくまれに、お腹やお尻、肩、腕、顔などにも症状が現れることがあります。

(2)安静にしているときに起こる

ソファやベッドで横になっている時に症状が出るのも、むずむず脚症候群の大きな特徴。夕食を食べたあとや、少し疲れてソファで休んでいる時など、リラックスタイムに症状が出てしまうため、ストレスの原因にもなります。

(3)運動すると不快感が軽くなる、または消える

安静時に症状が出るのと反対に、軽い運動をすると症状が軽くなることが多いという特徴もあります。脚を動かしたり叩いたり、歩いたりすると不快感が軽くなり、完全に消えてしまうことも。歩いても不快感が改善しないという場合は、むずむず脚症候群以外の病気である可能性があるので、医師の判断を仰ぐのがよいでしょう。

(4)夕方から夜にかけて悪化する

この病気で最も厄介なのが、遅い時間になると症状が悪化する点。朝から症状が出るということはなく、早くてもお昼頃から出始め、夕方または夜になると悪化、夜ベッドに入って眠ろうとする時が不快感のピーク、というパターンが一般的です。
潤睡ハーブ

妊婦のむずむず脚症候群

妊娠すると、むずむず脚症候群を発症しやすくなります。妊婦の10%以上が発症すると言われている病態ですが、妊娠中にむずむず脚症候群が起こる原因には、次の代表的な3つがあります。

鉄分の欠乏

胎児はすべての栄養素を母体から摂取するため、妊婦は鉄分が足りない状態(鉄欠乏)になりやすくなります。鉄分不足はむずむず脚症候群の要因の1つ。妊娠中や授乳中は薬の服用が難しいため、食生活を改善することで鉄欠乏を防ぎましょう。

胎児による脊髄の圧迫

胎児の成長によって腰に負担がかかり、脊髄が圧迫されることも、むずむず脚症候群の発症につながると考えられています。むずむず脚症候群のメカニズムとして有力なのは、ドーパミン神経の機能異常です。
 
ドーパミン神経には脊髄と脳をつないでいるものがあり、脊髄が圧迫されることでドーパミン神経の機能が低下して、刺激の伝達がうまくいかなくなるからだと考えられています。出産後、腰への負担がなくなることで解消されるケースが多いため、症状がひどくならない限りは極力セルフケアで改善していくのが無難です。

ホルモンバランスの乱れ

詳しいメカニズムは明らかになっていませんが、妊娠中のホルモンバランスの乱れも、脚の不快感につながると考えられています。この場合も、出産によってホルモンバランスが正常になれば解消することがほとんどなので、こちらもセルフケアで対処しましょう。

子どものむずむず脚症候群

子どもも、むずむず脚症候群を発症することがあります。特に多いのが、幼児や小学校低学年などの低年齢層。子どもの場合は、多くが遺伝によるものだと考えられており、父親か母親どちらかが発症している場合、子どもの発症率は80%にもなるという研究結果もあります。
 
大人のむずむず脚症候群はストレスと睡眠不足によりうつ病の原因になるといわれていますが、子どもの場合は日中に症状が出ることも多く、勉強に集中できない、友だちと遊べないといった弊害につながることもあります。
 
また、成長痛と間違われやすいため、放置されてしまう危険性も。そのため、親がきちんと見極めてあげることが重要になります。むずむず脚症候群を発症している子どもは、脚の不快感に対して、主に以下のような言葉で表現するという特徴があります。子ども特有の言い回しで表現されることも多いので、子どもの言葉や様子に気を配るのが大切です。

子どもが示す脚の不快感の表現例

  • 脚が痛い
  • 脚がくすぐったい
  • 虫が歩いているみたい
  • 泡がブクブクする感じがする
  • 走りたい
  • 脚が元気すぎる

むずむず脚症候群の可能性を感じたら、早めに病院へ連れて行ってあげるのがよいでしょう。子どもの場合でも、原則的に治療法は大人と同じ。特に、睡眠の質を高めること、鉄分の摂取が有効です。

むずむず脚症候群の分類

むずむず脚症候群は、原因別に二つの種類があります。

(1)一次性(特発性)

特定の原因が明らかでないもの。遺伝や何らかの原因によるドーパミン(神経細胞間で情報を伝える神経伝達物質の一つ)の機能障害などが関係していると考えられます。45歳未満の患者の場合は一次性であるケースが多くあります。

(2)二次性(続発性)

持病や服用している薬、妊娠など特定される原因があるもの。45歳以上の患者に多く、歳をとってからむずむず脚症候群に影響する他の病気にかかったり、治療のために薬を服用したりすることなどが原因と考えられます。二次性のむずむず脚症候群の主な原因は、以下の通りです。

<二次性むずむず脚症候群の主な原因>

  • 鉄欠乏症
  • 腎機能障害
  • 末梢神経障害
  • パーキンソン病
  • 脊髄麻酔
  • 抗うつ薬、抗精神病薬の服用
  • 妊娠

 

むずむず脚症候群の原因は?

むずむず脚症候群の原因は?

実は、むずむず脚症候群のメカニズムはまだ明らかになっていません。現在有力なのは、「ドーパミン神経細胞の機能異常」「鉄分の欠乏」「遺伝的要因」という3つの仮説。それぞれどのようなものなのか、詳細を見ていきましょう。

(1)ドーパミン神経細胞の機能異常

私たちの身体が外部から受けるすべての刺激は、全身の神経から脳に伝達されています。この伝達に大きな役割を果たしているのが、「ドーパミン」という神経伝達物質です。ドーパミンは、怪我などの大きな刺激と「靴下が脚に触れている」といった小さな刺激を識別して、小さな刺激は脳に伝えないように調節する役割を持っています。
 
しかし、ドーパミンに機能異常があると、脚が受けている小さな刺激を過剰に受け取ってしまい、不快感を覚えるようになります。つまり、むずむず脚症候群は、ドーパミン神経細胞に異常が生じ、脚に生じた刺激を必要以上に脳へ伝達してしまっていることで発生する症状と考えられます。
 
また、ドーパミンの機能が夜になると低下する(調節能力が落ちる)ことが、むずむず脚症候群の症状が夕方から夜にかけて悪化する原因のひとつとしても考えられています。

(2)鉄分の欠乏

鉄分は、ドーパミンを作るための原料であり、ドーパミンを受け取る組織が十分に機能するために欠かせない物質。そのため、鉄分が不足するとドーパミンの生成と伝達をスムーズに行うことが困難になり、その結果、上記のドーパミン神経細胞の機能異常を引き起こすことになってしまうのです。

(3)遺伝的要因

むずむず脚症候群が遺伝性であるという仮説は、特に一次性の症状を持つ患者に当てはまると考えられています。その詳細は明らかにされていませんが、現在、海外を中心に積極的な研究が進められています。
 
もし自分に症状が出ていなくても、家族の中に「じっとしているのがつらい」「頻繁に脚を動かしてしまう」といった症状に悩む人がいる場合は要注意かもしれません。

むずむず脚症候群の治療法

むずむず脚症候群の治療法

むずむず脚症候群は、命に関わる病気ではありませんが、不快感で眠れなくなったり、ストレスがたまったりと、生活の質を著しく下げてしまいます。前述の通り、詳しいメカニズムはわかっていないため、完治させるための治療法は存在しないのが実情です。
 
それでも、以下の非薬物療法(日常生活の工夫)によって、患者の9割に症状の改善傾向がみられると言われています。

睡眠の改善

むずむず脚症候群の患者は、脚の不快感によって寝つきが悪くなったり、夜中に何度も目が覚めてしまったりと、睡眠の質が悪化しやすい状況にあります。その結果、大きなストレスを抱え、うつ病に発展してしまうことも少なくありません。できる限りぐっすり眠れるよう、次のことに注意して睡眠の質の向上を心がけましょう。

(1)刺激を避ける

強い光や音は、睡眠を妨げます。眠るときはカーテンを閉めて電気を消し、寝室環境を整えましょう。部屋が暗いと不安な場合は、フットライトなどで明るさを確保しておきましょう。
テレビや賑やかな音楽は控えめに。音楽を流すなら、リラックスできるヒーリングミュージックがおすすめです。

(2)温度と湿度を管理する

睡眠の質は、部屋の温度や湿度、ベッドの中の温度・湿度(寝床内気候)からも影響を受けます。季節や寝室環境、心地良いと感じる個人差はありますが、以下の環境が理想的な基準の目安です。空調や加湿・除湿器などをうまく活用しましょう。
・部屋の温湿度 :16~26℃前後、湿度50~60%
・寝床内気候 :32℃前後、湿度40〜60%程度

(3)機能性の高いパジャマを選ぶ

就寝中の発汗対策も重要です。人間は一晩でコップ1杯分の汗をかきます。汗をかくとベッドの中の湿度が上がり、身体のベタつきによる不快感も増します。吸湿性の高いパジャマを着ることで、ベッド内や着衣の状態を快適に保つことを心がけましょう。

(4)枕の高さを調節する

枕の高さも睡眠の質を大きく左右します。やわらかすぎず、硬すぎず、首と布団の間の隙間を埋めてくれる高さのものが理想的。高さが合わない場合は、タオルなど、カサを増せるものを枕の下に置くなど工夫しましょう。可能なら、寝具売り場で自分に合う枕の高さを測ってもらうことをおすすめします。
 
また、眠っている間には10~30回ほど寝返りを打ちます。無理なく寝返りが打てるかどうかも、枕選びのポイントの1つ。横向きで眠ることが多い人は、横向き寝に合った形状を選びましょう。

食生活を見直す

前述の通り、鉄分不足はむずむず脚症候群の原因となるため、鉄分を豊富に含んだ食生活にシフトするのも一つの手。レバー、卵、きな粉、煮干し、海藻類、魚介類などを積極的に食べましょう。また、鉄分の吸収を助けるビタミンCを一緒に摂取すると、より効果が高まるので、フルーツを添えるなどの工夫もしたいところ。ビタミンCを豊富に含む食材は、柑橘類、柿、いちご、緑黄色野菜、いも類などがあります。

適度な運動をする

日中にまったく動かないでいたり、激しすぎる運動をしたりすると、夜になってからむずむず脚症候群の症状が出やすくなることも。運動は適度がベスト。ウォーキングなどの軽い運動がおすすめです。

脚に軽い刺激を与える

眠る前に脚を軽くマッサージすることで、むずむず脚症候群の症状が緩和することがあります。他にも、シャワーで冷たい水をかけたり、お風呂で温めたりすると症状が軽くなるという報告も。方法や効果の現れ方には個人差があるので、自分なりの方法を探してみるのもよいかもしれませんね。

刺激物を避ける、または減らす

カフェインやアルコール、ニコチンなどの刺激物は、むずむず脚症候群の症状を悪化させる可能性があります。そもそも刺激物は睡眠自体にも悪影響になるもの。特に夜は避けるのが賢明です。

関連する病気を治療する

むずむず脚症候群に関連する腎機能障害や末梢神経障害、パーキンソン病などがある場合は、その病気の治療がむずむず脚症候群の症状緩和につながる場合もあります。鉄欠乏症の場合は、必要に応じて鉄剤などの服用も効果的です。

関連する薬の服用をやめる、または減らす

抗うつ剤や抗精神病薬には、むずむず脚症候群を引き起こす副作用があります。服用をやめたり、量を減らしたりすることでむずむず脚症候群の改善につながります。ただ、それでは本来の病気の治療がおろそかになってしまうことになります。どちらの病気を先に治療するのか、薬の服用量をどのくらいに抑えるのか、自己判断するのはNG。主治医と相談したうえで、適切な対応をしましょう。

症状から注意をそらす

仕事や趣味などに集中していると、脚の不快感を忘れてしまうという人も多いと言います。根本的な対策ではありませんが、何か熱中できることを見つけるのも、有効な対処法の1つです。ただし、それが激しい動きを必要とするスポーツなどの場合、かえって症状を悪化させてしまう恐れがあるためNG。身体への負担やむずむず脚症候群との相性を考慮したものを選ぶようにしましょう。
 
症状が重度のケースや、非薬物療法で改善されない場合には、効果的に症状を抑える薬が処方されることもあります。まずは、自分の症状を的確に把握して非薬物療法から始め、それでも快方に向かわないようであれば、医師の判断を仰いで薬物治療を検討してみるというスタンスで、むずむず脚症候群と付き合っていくのがよいでしょう。

その“むずむず”は病気? むずむず脚症候群チェックリスト

その“むずむず”は病気? むずむず脚症候群チェックリスト

「なんとなく脚がむずむずする」「脚に不快感がある」という経験自体は、そう珍しいものではありません。そのため、初期段階で自分がむずむず脚症候群の可能性があるのか、判断するのは難しいかもしれません。そんなときは、以下のチェックリストを使って、自分の症状を客観的に見つめてみるのがおすすめです。

<むずむず脚症候群チェックリスト>

  • 脚がむずむずする、痛いなどの違和感がある
  • 違和感や不快感は脚の表面ではなく内側にある
  • 1日のうち夜に症状が一番ひどくなる
  • ベッドで症状が出ることが多い
  • 脚の不快感のせいで眠れないことがある
  • 座ってじっとしている時に症状がひどくなる
  • 不快感に耐えられず、脚を動かずにいられない時がある
  • 脚を動かしたり歩いたりすると症状が和らぐ
  • 何かに集中している時は症状が軽くなる
  • 脚を叩いたりさすったりすると楽になる
  • 夜中に脚の不快感のせいで目がさめる
  • じっとしたまま眠れず、寝返りをうつことが多い
  • 日中に強い眠気を感じる
  • 腎疾患や鉄欠乏性貧血など、むずむず脚症候群の原因になりうる病気の治療を受けている
  • 抗うつ剤を服用している

 
リストの中でも①~⑧は、むずむず脚症候群の代表的な症状だと言われています。当てはまった項目が多いほど、むずむず脚症候群の可能性が高くなります。さらに、重症度をチェックするには以下のようなポイントがあります。

<むずむず脚症候群重症度チェック>

  • 歩いたり、脚をさすったりしても症状が和らがない
  • むずむず脚症候群による不眠で日中の活動に支障をきたしている
  • むずむず脚症候群によるストレスのせいで、抑うつ症状(不安、憂うつ、イライラなど)症状がある

 
むずむず脚症候群の症状に多く当てはまり、重症度チェックにも該当する場合は早急に医師の診察を受けましょう。

むずむず脚症候群は何科を受診すればいい?

むずむず脚症候群は何科を受診すればいい?

何科を受診すればいいの?

むずむず脚症候群の患者の多くが、脚の不快感を治そうと皮膚科や整形外科、内科などを最初に受診してしまいます。しかし、これらの診療科では、似たような症状が出る他の病気と間違えられてしまい、適切な治療を受けられないこともあります。
むずむず脚症候群は、夕方から夜にかけて症状がひどくなるため、睡眠に大きな悪影響を与えます。「脚の不快感で眠れない」という症状の時は、睡眠障害の専門医を受診するのがよいでしょう。

医師への伝え方

むずむず脚症候群で感じる不快感は、人によってさまざま。また、他の病気と誤診されてしまう可能性もあるため、脚の不快感で睡眠障害の専門医を受診するときは、症状について具体的に伝える必要があります。ポイントを以下にまとめました。

(1)どんな不快感があるのか

「むずむずする」「痛い」「ちりちりする」「熱い」「虫が這っているような感じ」「電気が走っているような感じ」など、症状の感じ方を具体的に伝えましょう。どう表現したらいいかわからない場合も、「なんとも言えない不快感がある」など、自分が感じている通りに伝えることが大切です。

(2)症状に対してどう感じているのか

むずむず脚症候群は、軽度ならば日常生活にあまり影響しませんが、人によっては大きな苦痛を伴います。「夕食後に落ち着かない」「少し寝つきが悪くなった」「脚を切ってしまいたい」「夜が来るのが怖い」など、症状がどれくらい不快なのか、どれくらい生活に影響しているのかを伝えることで、重症度がわかります。

(3)症状の出方

夕方から夜にかけて症状が悪化するのが、むずむず脚症候群の特徴です。ベッドに入ってから脚の不快感が出ることが一般的ですが、人によっては眠っている最中に症状が出て、目が覚めてしまうことも。どの時間帯で症状が出るのか、症状が出た時に自分がどんな状態だったか(横になっていた、目は覚めていた、など)を伝えると、診察に役立ちます。
 
人によっては、大きなストレスになってしまうむずむず脚症候群。しかし、適切な対処をすることで、症状が出ないようにコントロールすることは難しくありません。重症化してしまう前に、自分に合った対処法を見つけることが大切です。
 
監修:坪田聡(雨晴クリニック副院長)
 
<参照>井上雄一『脚がむずむずしたら読む本』(株式会社メディカルトリビューン)

photo:Thinkstock / Getty Images

  • 体験談は個人の感想であり、特定の効能・効果を保証したり、あるいは否定したりするものではありません。

編集部内で信頼できると判断した情報、並びに医師や専門家への取材を元に信頼性のある情報提供を心がけておりますが、自己の個人的・個別的・具体的な医療上の問題の解決を必要とする場合には、自ら速やかに、医師等の適切な専門家へ相談するか適切な医療機関を受診してください。(詳細は利用規約第3条をご確認ください)