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まったく記憶にないのに、朝目覚めたら何か食べた形跡がある…。フミナーズ読者の皆さんは、そんな経験がありませんか?実はこの症状、ただ寝ぼけてやってしまった可愛らしい失敗ではなく、「睡眠関連摂食障害(SRED)」というかなり厄介な病気なんです。
 
話を聞けば聞くほど恐ろしいSREDとは、どのような病気なのでしょうか? 東京医科大学睡眠学講座の准教授である駒田陽子先生にお話を伺いました。

無意識でドカ食い、調理やコンビニ買い食いも…

「SREDとは、睡眠中にも関わらず“無意識に”食べ物や飲み物を摂取してしまう病気のことです」と駒田先生。アメリカや日本で行われた若年調査では、実に約20人に1人がSREDを経験していることが判明しているほど、私たちにとっても身近な睡眠障害なんです。
 
「SREDは世代・性別を問わずに発症しますが、特に20~30代でダイエット中の女性に多く見られる症状です。起きたとき、キッチンに覚えのない食べ物の残骸があったり、手や口が汚れていた経験があるという人は、SREDである可能性が高いですね」(駒田先生)
 
SREDが厄介なのは、すべてが“無意識の行動”であるという点。冷蔵庫にあるものを食べるだけではなく、冷凍食品をそのまま食べたり、ドッグフードやアレルギーで普段は避けているものまで食べてしまうのも特徴です。それもヘルシーなものではなく、炭水化物やスナック菓子といった高カロリーなものを気が済むまで食べてしまうそう。
 
「自ら調理をしたり、コンビニに行って買い食いをしたり、ドッグフードやファンデーションといった“食べられないもの”を食べてしまったという報告もあります。信じられないことですが、これらはすべて無意識のまま行っていることなんです」(駒田先生)
 
また、SREDは不眠を呼び起こすきっかけにもなるそう。SREDの症状が出るのは、入眠後3時間以内の、深い睡眠のとき。多くは1晩に1度きりですが、重症の場合は1晩に複数回ということも。この無意識の行動が繰り返されるようになると睡眠が分断されてしまうため、中途覚醒がクセになり、質の良い睡眠が取れなくなって不眠症につながる怖れもあります。
 
「継続的にSREDの症状が現れるようになると、“何か食べないと眠れない”という『夜間摂食症候群』という症状を高頻度で併発してしまうので、SREDの芽は早めに摘む必要があるんです」(駒田先生)

原因となる「不規則な生活」を改善しよう

SREDの原因やきっかけは、「不規則な生活」にあると駒田先生。
 
「SREDの明確な原因は、まだ明らかにされていないのですが、患者さんの中には、ダイエットや過度なストレス、そして不規則な生活にさらされている人が多いんです。ストレスや不規則な生活同様、一度SREDが発症してしまうと、なかなか抜け出せません。患者さんの半数以上は、ほぼ毎日症状が出てしまっているほどです」(駒田先生)
 
他にも不眠対策で睡眠薬を服用している人や、子どものころに睡眠時遊行症(俗にいう夢遊病)だった人、食事の時間帯や摂取量がイレギュラーな生活を送っている人もSREDになりやすいので要注意とのこと。
 
しかし、いつ、どんなタイミングでSREDのスイッチが入るのかは、まだ解明されていません。それでも、突然「無意識のうちに冷蔵庫を漁っていた…」なんてことにならないように、何か対策は打てないものなのでしょうか。
 
「無意識に、しかも突発的に現れる症状なので、残念ながらすぐできる対策はありません。ただし、不規則な食生活やライフスタイルの改善、ストレスを溜め込まないといった生活の根本を見直すことでSREDを起こりづらくすることはできると思います。また、睡眠も重要です。実は、SRED患者は睡眠時間が少なく、睡眠負債が蓄積している症例が少なくないんです。睡眠不足ではどうしてもストレスが溜まってしまうので、十分な睡眠、寝室などの睡眠環境や不適切な睡眠習慣の見直し・改善がSRED対策に効果的だと思います」(駒田先生)
 
睡眠中に無意識に何かを食べてしまう――。初めてその事実に直面したときは、あまりに現実離れした事実を素直に受け入れられず、疲れているだけ、また、たまたま起こった珍ハプニングと一笑に付してしまうかもしれません。しかし、SREDは無意識で発信される心身の変調シグナル。だからこそ、そのSOSをしっかりとキャッチして、生活習慣や睡眠衛生の見直し、改善のきっかけにする必要があります。
 
監修:駒田陽子(東京医科大学睡眠学講座 准教授)
 
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photo:Thinkstock / Getty Images

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