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「最近、お腹の出っ張りが気になってきた」「健康診断で血糖値の高さを指摘された」「糖質を気にするようになった」と、年を重ねるごとに糖尿病のリスクを身近に感じ始める人も多いのではないでしょうか。 しかし、「RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック」院長の白濱龍太郎先生によると、「糖尿病になるかならないかは、睡眠の質で決まる」と言います。日ごろ、何気なく取っている睡眠によって、糖尿病のリスクを下げられるなんて本当なのでしょうか?

睡眠の質が下がるとインスリンの働きも低下し、高血糖状態に…

そもそも糖尿病とは、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンの作用が低下し、血液中のブドウ糖(血糖)が多くなってしまう状態を指します

「ブドウ糖は、ごはんやパンに含まれる炭水化物が消化されることで生まれるため、食後は誰でも一時的に高血糖の状態になります。健康な人の場合、インスリンがきちんと働いてブドウ糖の量を一定に保ち、高血糖状態を解消してくれます。しかし、睡眠不足などによってインスリンの分泌量が減ったり、作用が低下したりすると、ブドウ糖が細胞に取り込まれないまま血中に残り、高血糖状態が持続し、糖尿病リスクが高まってしまうのです」(白濱先生)

このような「睡眠時間とインスリンの関係」については、世界中で研究が進んでいるそう。

「オランダの研究チームは、『睡眠時間が短いほど、血糖値が正常な人でもインスリンの作用を受ける細胞の感受性が悪くなり、糖尿病リスクが高まる』と発表しています。また、シカゴ大学の健康な若者を対象に睡眠時間を4時間に制限するという実験を行った結果、ブドウ糖を処理する能力が急激に落ち、たった1週間で初期の糖尿病患者のような高血糖状態になるという衝撃的な結果も出ています」(白濱先生)

さらに、睡眠時間だけでなく、「睡眠の深さ」もインスリンの働きを左右するとか。

「眠りの深さはステージ1~4の段階に分けられ、特に深い睡眠のステージ3と4の睡眠は『徐波睡眠』と呼ばれます。シカゴ大学が、この徐波睡眠時に騒音を流し、ステージ2の浅い睡眠に引き戻すという実験を行いました。その結果、被験者は健康体であるにもかかわらずインスリンの働きが25%も低下し、血糖値は23%も上昇したんです。このことからも、睡眠の深さがインスリンの量及び、糖尿病リスクと深く関係していることは明らかと言えます」(白濱先生)

40分の徐波睡眠で糖尿病リスクは下げられる!

では、糖尿病を防ぐために睡眠を深くするには、具体的に何をすれば良いのでしょうか? 白濱先生によると、「少なくとも6時間は睡眠を確保することが大事」とのこと。

「インスリンなどのホルモン分泌が高まるのは、深い睡眠である徐波睡眠のときです。徐波睡眠を約40分、毎日とることで“インスリンの働きが良い身体”を効率的につくることができます。徐波睡眠は総睡眠時間の15%に当たるので、40分とるためにはトータルで6時間の睡眠を確保する必要があります。つまり、睡眠を深くするためには、睡眠時間をしっかり確保することが大前提にあるんです」(白濱先生)

また、睡眠の質を高めるためには、「メラトニンの分泌量を増やすことも効果的」と白濱先生。

「メラトニンには脈拍、血圧、体温を下げて深い眠りに導いてくれる作用があります。通常は太陽の光を浴びてから15時間後にメラトニンの分泌が始まり、真夜中に分泌量はピークを迎えると言われています。ただし、目から入る光によって簡単に分泌が妨げられてしまうので、就寝の1~2時間くらい前には部屋の照明を暗くし、夕暮れ時ぐらいのほの暗い明るさで過ごすように心がける必要があります」(白濱先生)

糖尿病と聞くと食生活ばかりに意識が向いてしまいますが、睡眠によってリスクを回避することが可能なようです。仕事のために睡眠を削っているような人は手遅れになる前に、まずは6時間の睡眠時間をしっかり確保するように意識しましょう

 

監修:白濱龍太郎(RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック)
参考書籍:病気を治したければ「睡眠」を変えなさい(アスコム)

 

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photo:Thinkstock / Getty Images

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