仕事や勉強、家事などで身体はクタクタに疲れているのに布団に入っても寝られない。明日は重要なプレゼンがある、試験がある、面接がある…気が付いたら寝なくちゃいけない時間はとっくに過ぎてしまった。こんな経験ありませんか?身体は疲れているのになかなか寝付けないのは、脳が興奮してしまっていることが原因かもしれません。今回はすぐに試せる、興奮した脳を鎮めて眠りに導く方法をご紹介します。

疲れているのに夜眠れない。脳の興奮を鎮めて安眠するための方法

眠れないとき、身体の中で何が起こっているか

人間の身体では自律神経の交感神経と副交感神経がバランスをとりながら働いています。

起床して活動し始めると交感神経が優位になり、眠りに向かうときには副交感神経が優位になるのが自然なリズムです。夜に身体が疲れているのにやけに頭が冴えて眠れないというのは、副交感神経が優位にならずに交感神経が優位になっている状況が続いている可能性が。

そもそも交感神経が優位になっているのは、イライラしているときや不安なとき、ドキドキしているときなど活動しているとき。このときの身体は、筋肉が緊張して縮んだり、血管が縮み血圧が高くなったりしています。
一方で副交感神経が優位になっているのは、リラックスして安心している、心が落ち着いた状況のとき。本来は、寝ているときには副交感神経が優位になっています。

自律神経は手や足を動かすときの神経とは違い、自分の意思でコントロールはできません。自律神経のバランスには日頃の生活習慣が反映されるので、日頃から運動や食事、睡眠に加えストレスケアも重要になります。


 
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すぐに試せる入眠方法

自律神経の仕組みがわかったところで、ここからは交感神経が優位の状態から副交感神経を優位の状態にシフトさせて、自然な眠りに導く方法をご紹介していきます。

なお、交感神経と副交感神経のバランスが逆転するには最低でも30分はかかるといわれています。すぐに眠れないからと焦るのは逆効果。できれば眠りにつきたいと思っている時間の30分前には睡眠の準備に入るようにしてください。

1. 眠る環境を整える

月明かり程度に照明を落とす

自然な眠りにつくために、まずは照明を落としましょう。

電気をつけっぱなしにしていると、まぶたを閉じていても明るさを感じ、その刺激は脳に伝わります。脳が明るさを感知すると今は起きているべき時間だと身体が勘違いしてしまい交感神経が優位のまま。入眠までに時間がかかってしまったり、眠りが浅くなりがちになったります。たとえ眠れたとしても、疲れが完全に抜けきらないまま朝を迎えてしまう原因にもなります。

照明を落とすときには、真っ暗にしないことがコツ。
お手洗いに起きたときにも、フットライトがあれば安心です。目に光が入らない高さに設置しておくライトなら、睡眠を妨げません。カーテンを少し開けておくなどして、月明かり程度の明るさを確保しておくと、翌朝適度に光が差し込み心地良い目覚めにもつながります。

そもそも全く明かりのない真っ暗な状態というのは、人間が人工的に作り出した環境。人類の先祖は月明かりや焚き火の光の元で眠ってきました。少しでも明かりがある状況は本能的に安心・安眠につながると言われています。

控えめなボリュームで穏やかなBGMを流す

照明を月明かり程度につけておいた方が良いということと同じで、BGMも少しだけつけておくと安心して眠れることがあります。ヒーリングミュージックが寝る前の定番になっている方もいるかもしれません。

人間は大昔から風で木々がこすれる音や、焚き火がはぜる音などを聴きながら眠っていました。まったくの無音よりは少しだけ自然な音がある環境の方が本能的に安心やリラックスを生み出します。

BGMとして選ぶ曲はできるだけ歌詞が入っておらず、ゆっくりで一定なテンポのものだと◎。特におすすめなのが、ホワイトノイズ・アンビエント音楽・バイノーラルビートというジャンルです。どれもYoutubeなどで無料で聴けるものがあるので、試しに聴いてみては?

またBGMをかける際には「眠りにつく前に音楽を止めなくちゃ」「音楽が途切れたらリピートしなくちゃ」と余計な心配をしなくて済むように、事前に自動リピート機能やタイマー機能もしっかりセットしておくとベストです。

BGMがあると気になってしまう人は、無理してBGMを聴く必要はありません。色々と試してみて自分の心地よい環境を作り出してみてください。

2. 瞑想をする

スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツなど、世界の名だたるIT起業家が実践していたことでも知られる「瞑想」。最近では瞑想に関する本も多く出版されるようになり、一般の人にも広まってきました。

瞑想は神経を休ませることで脳をリラックスさせ、日々の不安やストレスを軽減させる効果が見込めると言われています。忙しい毎日を過ごしていて、寝る直前も緊張やドキドキが止まらない人に特におすすめの方法です。

瞑想の方法は色々ありますが、基本は呼吸に意識を向けて、思考を一旦ストップすること。姿勢や時間は自分のスタイルに合わせてOKです。寝る前であれば布団の上に仰向けになって瞑想をすれば、知らず知らずのうちに眠りにつけているかもしれません。

瞑想時におすすめの呼吸方法

ここでは4ー7ー8呼吸法と呼ばれる瞑想時の呼吸方法をご紹介します。

アリゾナ大学のアンドリュー・ウェイル教授が考案した方法で、マインドフルネス呼吸法ともよばれています。
方法はとても簡単。下記の3ステップを1サイクルとして3回繰り返してください。

  • 口を閉じて、4つ数えながら鼻だけで息を吸い込む
  • 7つ数えながら息を止める
  • 8つ数えながら息をゆっくりと吐き切る

最初のうちは呼吸に集中できなかったり、呼吸が苦しくなったりしてしまうこともあるかもしれません。しかし繰り返し続けていくと自然に呼吸ができるようになってきます。

また毎日、同じ時間・同じ場所で行うと、その時間・場所に行くだけで自然と瞑想に集中できるようになってきます。ぜひ数日は継続してみてくださいね。

3. ゆっくりストレッチをする

ストレッチは日中のデスクワークなどで凝り固まった筋肉をほぐしたり、血液の循環を改善したりして、安眠を促す効果があります。安眠効果のほかにも、ストレッチは姿勢や肩こりの改善にもおすすめです。

ストレッチは寝る1時間前までには終わらせておくことがコツ。
これはストレッチによって血液を循環させて身体を温めてから、1時間ほどすると体温が下がり始めるためです。一般的に人は深部体温(身体の内部の温度)が下がりはじめると眠くなります。寝る1時間前のストレッチはちょうど寝る時間と深部体温が下がりはじめる時間が重なるため、安眠の手助けをしてくれるというわけです。

寝る前におすすめのストレッチ方法

・仰向けに寝て手を上に、足を下にぐーっと伸ばす
疲れているのに夜眠れない。脳の興奮を鎮めて安眠するための方法
・仰向けで片膝を抱え、胸にぐっと近づける。そのまま抱えた方の足首を回す。逆バージョンも行う。

疲れているのに夜眠れない。脳の興奮を鎮めて安眠するための方法
・好きな体勢で座り、背筋を伸ばして首をゆっくり回す。逆回しも行う。
疲れているのに夜眠れない。脳の興奮を鎮めて安眠するための方法

ストレッチを行う際に気をつけたいのが、ゆっくりと静かに、無理のない範囲で行うこと。心身が覚醒してしまうような激しい動きや、痛みが伴うストレッチは眠りが遠ざかるどころか、身体を傷つけてしまう心配もあります。

1つの動きにつき10秒は時間をかけて、ゆっくりと呼吸をしながら「リラックスする」という目的の範囲内でおこなってくださいね。

4. ツボを押す

ツボは東洋医学では経穴とよばれ、気や血の通り道の停留所とされています。

そのポイントを刺激することで、筋肉の緊張をほぐしたり血の巡りを改善したりする効果が見込めます。身体がリラックスすることで安眠にも◎。ツボを押すという治療方法は、WHOにも治療効果が認められているほどメジャーになりつつあります。

安眠におすすめのツボ

まず有名なのが百会(ひゃくえ)というツボ。
頭のてっぺんの、指で押すと若干へこむところが百会です。百会を左右の中指を重ねるようにして押します。百会は睡眠に効果があるほか、頭痛や目の疲れにも良いとされています。寝る前以外にも仕事中に押しても効果が期待できます。

次が安眠(あんみん)というツボ。
名前の通り安眠を促進してくれるツボです。耳の後ろの方にある尖った骨の指1つ分下が安眠のツボです。押し方は頭の後ろから反対側の手を回し、その手の中指で押さえます。首を手のひらで包むようにすると、しっかりと刺激を与えることができます。

最後が失眠(しつみん)というツボです。
これは足裏のかかと中央に位置しています。ただ指で押しても刺激が届きにくいので、ゴルフボールや硬い突起物で押すと効果的です。またお灸を置いて温めてあげると、表面だけでなくより深部まで刺激が伝わるので、さらに快眠を促進する効果があります。

ツボを押す際に注意してほしいのが、力んで強く押そうとしないこと。あくまでもツボに刺激を与えリラックスさせることが目的なので、痛気持ちいいぐらいがちょうどいいです。

5. 温かいものを飲む

これはご存知の方も多いと思いますが、寝る前に温かい飲みものを飲むのも安眠に有効です。

理由は2つ。1つは身体が温まることで血流が良くなり、心身ともにリラックスできるということ。そしてもう1つが、人は体温が下がるときに眠くなるという性質を利用できる点です。温かい飲み物を飲んで意図的に体温を上げることで、その後に体温を下げようと働く生理的な現象を引き起こすことができます。

寝る前におすすめの温かい飲み物

ただし、温かい飲みのものならなんでもいいのかというとそうではありません。

カフェインが含まれているものはNG。利尿作用や神経を興奮させてしまう作用があり、逆効果になってしまいます。そこでおすすめなのがカモミールティー。カフェインも含まれていませんし、いい香りも心を落ち着かせてくれます。カモミールはヨーロッパでは歴史ある民間薬とされているほど。神経を鎮めて安眠を促進させる働きがあるといわれています。

ただし他の方法と同様に、飲み過ぎは禁物。せっかく気持ちよく眠れても、夜中にトイレに起きてしまってはもったいないです。カップ1杯程度にとどめておきましょう。

まとめ

筋肉の緊張や心の興奮を鎮めて、自律神経をコントロールして安眠に導く方法をご紹介しました。

忙しい日々を送っていると、どうしても心身をゆっくり労わる時間がとれない場合もありますよね。そんな日々が長く続いてしまうと疲れやストレスが溜まって、心身に不調が出てきてしまうことも。寝る前の30分はリラックスの時間と決めて、安眠のためだけではなく心身のメンテナンスの時間として確保してみてはいかがでしょうか。

なお、今回ご紹介した方法を試す際には、あくまでもリラックスを目的として無理をしないように行ってくださいね。

監修:坪田聡(雨晴クリニック副院長)

 
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