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「どうしても学校に行けない…」。学生の不登校は、本人はもちろん両親や先生なども、どう対応していいかわからず頭を抱えがちな問題です。しかし、それを意外な方法で解決した中学校が存在します。大阪府にある堺市立三原台中学校。今回は同校が実施した対策と効果について、生徒指導を担当する木田哲生先生に話をうかがいました。

欠席の原因は睡眠不足!? 原因不明の体調不良と睡眠の関係

 

「5~6年前から、原因不明の体調不良で欠席する生徒の増加が気になっていました」と話す木田先生。ある時「睡眠教育(眠育)」を提唱する熊本大学・三池輝久名誉教授の話を聞く機会がありました。睡眠教育とは、睡眠に関する教育を行い、正しい睡眠習慣を身につけられるように指導すること。

 

「もしかしたら、生徒の不登校の原因は睡眠にあるのかもしれない…」。教授の話を聞いてその可能性に思い至った木田先生は、さっそく三池教授に協力を依頼し、全校生徒を対象に「睡眠調査」を行いました。

 

結果、木田先生の予測は大当たり。「調査により、7割の生徒が午前0時前に就寝している一方で、年間30日以上欠席する31人中、大多数にあたる25人が、午前0時以降に寝ていることがわかりました。」(木田先生)。今まで欠席や不登校はメンタル面の問題として片づけられがちでしたが、睡眠不足も原因の一つだったということが判明したのです。

「眠育」を支えた具体策とは?

 

欠席や不登校が睡眠と大きく関わると知り、木田先生は具体的な対策に乗り出します。そもそも、「眠育」といっても、ただ「早く寝ましょう」と訴えるだけでは効果は期待できません。そこで、三池教授に監修を依頼し、「みんいく実行委員会」の先生方やPTA役員の協力を得て、眠育定着のために「睡眠を考える本」 を作成しました。

 

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「睡眠を考える本」

この本をもとに、全学級で睡眠の重要性を学ぶ授業を実施し、午前0時までに就寝するのが望ましいこと、睡眠の質を高めるために寝る直前のスマホやゲームを避けることなど、睡眠に関する基礎知識をわかりやすく生徒に伝えたのです。

 

また、各学期に2回、全生徒を対象として「睡眠・朝食調査」を実施し、睡眠の「見える化」や「気づき」を得る機会をつくりました。睡眠や体調の悩みを抱える子どもたちには三者面談を行うほか、眠育をPTA活動として位置づけ、保護者に子どもたちのアンケート結果分析や啓発ポスターの作成、掲示場所の交渉などで協力を依頼しました。

 

「三原台中学校のスマホ保有率は1年生で5割、3年生で7~8割。『LINEがやめられない』という生徒には、午後10時になったら親にスマホを預けるように、といった具体的な指導も行っています」(木田先生)

 

 

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PTAで作成したみんいくポスター

眠育の驚くべき効果! 睡眠は心にも身体にも効果的だった

このような取り組みを始めて半年ほど経過したころ、その効果が形になって現れてきました。欠席の多かった子どもたちの3割以上が、睡眠の改善とともに欠席も減少。開始から1年後には全学年で睡眠時間が改善され 、特に0時以降に寝る生徒が60%を占めていた3年生では、その割合が13%も減少。また、「学習に集中できている」と答えた割合も、全学年で最大約13%増加しました。たびたび保健室を訪れていた子どもたちの体調不良も改善されたといいます。

「体と心は密接な関係にあります。睡眠や体調だけでなく、『自分にはよいところがあると思う』という自己肯定感も、1年後に全学年で上昇したんです」と木田先生。

 

木田先生は「これからも眠育を実施し、その成果を社会に発信することで、子どもも大人も睡眠を大切にする社会の実現に貢献したい」と今後の抱負を語ります。眠育で大きな成果を上げた三原台中学校。子どもだけでなく、大人も一緒に取り組み、社会として「睡眠」を見直すことが大切なのかもしれません。

photo:Thinkstock / Getty Images

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