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寒くて起きるのが億劫になってしまう冬。冬の間ずっと寝ていられる、冬眠している動物たちがうらやましい! でも、そのぐうたらな(?)メカニズムは意外と知られていません。冬眠中の動物たちは、どんな風に寝ているのでしょうか。

 

そもそも冬眠って何? 冬眠する動物としない動物の違いとは

 

冬眠というと、「たらふく食べて、暖かい巣穴でひたすら寝る」というイメージがありますが…。

 

「冬眠の目的は、エネルギーを使わずに餌の少ない冬を乗り越えることと、長生きすること」と話してくれたのは、帝京科学大学の橋本眞明先生。動物たちは、そのために体温をギリギリまで下げ、さまざまな生理的機能をオフにして、エネルギー消費を抑えているのだそう。冬眠は、厳しい冬を生き抜くために行われるもの。ただ惰眠を貪っているわけではないようです。

 

橋本先生によると、冬眠には3つのタイプがあるとのこと。

 

  • リスタイプ(hibernation)…2〜3ヶ月間の冬眠。冬眠中、大きな体温低下を数日〜数週間単位で繰り返す。
    小鳥タイプ(torpor)…半日~1日程度の短期間の冬眠を繰り返す。
    クマタイプ(winter denning)…体温が4~6℃程度、小規模に低下する。中途覚醒せず、巣にこもる状態が続く。

 

それぞれメカニズムが違うとはいえ、異なる種の動物たちが共通して冬眠を行うことから、冬眠は、遺伝子に組み込まれた”生物の知恵”ということができそうです。
では、冬眠をする動物としない動物は、何が違うのでしょうか。

 

「実は、冬眠に入る要因や、冬眠から目覚めるきっかけはまだ分かっていないことが多いんです」と橋本先生。

 

冬眠は、主に、冬になると餌を手に入れられなかったり、外気温に合わせて棲み家を移すなどの適応ができなかったりする種が行うものと考えられてきました。しかし最近では、冬眠しない種のラットでも、餌を抜いて低温下におくと、短期間の冬眠のような状態に入ったという実験結果があるそう。

 

「ですから、多くの生物が冬眠を可能にするメカニズムを持っているとも考えられています。冬眠しない動物は、冬眠に入る体内スイッチが使われず、隠されているのかもしれません」(橋本先生)

 

気温の変化、日照時間の変化など、冬眠の体内スイッチを動かす要因はさまざま。同じ種の動物でも、冬眠の長さや時期は住んでいる環境や気候によって変わってくるそうです。例えば暖冬で餌が減らない場合は、動物が冬眠に入る時期も遅くなると考えられています。今後、地球温暖化が進むと、動物たちの冬の過ごし方も変わっていくかもしれません。

 

冬眠中は眠っていなかった!? 実は大変、冬眠からの目覚め

 

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何ヶ月も眠っていたら、寝過ぎで調子が悪くなりそうな気もしますが、実は冬眠と睡眠は別物だという研究結果があるのだそう。

 

「冬眠から覚めたリスが一番初めにすることは、実は”睡眠”なんです。このことから、冬眠は睡眠とは異なると考えられています」(橋本先生)

 

低エネルギー状態で過ごしていたはずの動物が、いきなり睡眠を取るというのは不思議ですよね。
冬眠の間、動物たちの体温は通常よりも低くなります。リスなどは0℃前後まで下がることがありますし、クマも普段より4〜6℃低い30℃前半まで下がります。その体温を、冬眠から目覚める時には2〜3時間ほどで一気に上げ、筋肉や臓器が通常通り動くようにするのだそう。

 

「熱を生み出すには大変なエネルギーを使うため、よく運動した後のように覚醒後に睡眠をとる必要があるのかもしれません」(橋本先生)

 

冬眠から目覚めるのも簡単ではないのですね。さらに、いつまでも起きられず、ゴロゴロしている怠け者は、痛い目を見るのだとか。

 

「春、冬眠から覚めた動物たちは、パートナーを探して子孫を残します。けれど、冬眠が長すぎてこのタイミングを逃すと種が残せなくなってしまうんです」(橋本先生)

 

種の保存は生物の大切な使命。その本能が、冬眠から目覚めるスイッチになっているのかもしれません。寝ているだけのように見える冬眠ですが、実際にはさまざまなメカニズムが複雑にはたらいて起こる、すごい現象だったんですね!

 

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監修:橋本眞明(帝京科学大学医療科学部 東京理学療法学科教授)

 

 

photo:Thinkstock / Getty Images

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