夏休みのラジオ体操は、大人になると懐かしく思い出すものですよね。小学生の頃、眠い目をこすりながら毎朝公園に向かった人も多いはず。そういえば、体操の始めの方は眠くても、終わる頃にはスッキリと冴えた気分になったような覚えが…。もしかして、ラジオ体操には目覚まし効果があるのかも?『もっとスゴイ! 大人のラジオ体操 決定版』などの著書がある、スポーツドクターの中村格子先生にラジオ体操のスゴイ効果についてお話を伺いました。

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やっぱり目覚まし効果バツグン! 朝のラジオ体操

「起きたらまず太陽の光を浴びて体内時計をリセットし、さらに運動をすることで、脳の血行がよくなり、スッキリと目が覚めるんです」と中村先生。朝、公園に出かけるのも、ラジオ体操を行うのも、どちらも目覚めに効果的だったんですね。ラジオ体操に限らず、適度な運動は寝付きも改善してくれるそう。

 

「運動でほどよい疲労感を覚えると、スッと寝付けるはず。運動はストレス解消にもなるので、睡眠の質も上がるようです」(中村先生)

 

一日中動き回って「疲れた〜」と感じる日はすぐに眠れたりしますよね。ただ、寝る直前の運動は目が冴えてしまうので、入浴前などに行うのがよいそうです。

でも、どうしてウォーキングやジョギングではなく、ラジオ体操はおすすめなのでしょう。

 

「ラジオ体操はその場でできる簡単な動きですが、全身運動ですし、運動強度(身体活動の強さを安静時の何倍に相当するか表す数値)が1回で4.5METs。1METが座ってテレビを見ている状態なので、その4.5倍にもなります。また、前後左右に均等な動きで、身体のバランスや姿勢を整えてくれるので、シェイプアップ、バストアップにも有効。一石二鳥にも三鳥にもなる運動なんです」(中村先生)

なぜ、今?ラジオ体操が注目されるワケ

ラジオ体操への注目度は年々上昇中。中村先生の著書『大人のラジオ体操』の売上はシリーズ累計80万部を超え、雑誌などでもラジオ体操が取り上げられています。

 

ラジオ体操が大人に見直されている理由は、「ラジオ体操に込められた想いに共感する方が増えているのでは」と中村先生はいいます。

 

もともとラジオ体操は、戦後、食料も物資もないころに誕生しました。特別な道具が必要なく、さまざまなスポーツに通じる基本的な動きが詰まったラジオ体操には、戦後復興への夢や希望が込められています。東日本大震災を経て、“個“の時代から「皆で頑張ろう」という一緒の時代に変わってきた今、その根底にある想いが再び受け入れられているのかもしれません。

 

「東日本大震災の後、仮設住宅の方たちが集まってラジオ体操を行ったりもしているようです。同じ空間で同じ動きをすることで、一体感が生まれ、集まることで会話が発生します。ラジオ体操がコミュニケーションツールにもなりますよね」(中村先生)

 

単なる運動にはとどまらないラジオ体操。中村先生によれば、高い運動能力を持つ高齢者は、彼らが子どものころからラジオ体操によって正しい運動習慣を身に付けてきたことがその背景にあるといいます。

油断大敵! ラジオ体操でもカバーできないあの動き

さまざまな動きが取り入れられているラジオ体操ですが、現代人におすすめの動きはあるのでしょうか?

 

パソコンを使って前かがみになることが多い人には、“胸を開いて反らす動き”がおすすめです。オフィスの椅子で座りながらでもできるので、気分転換がてら行ってみてもいいかもしれません。ただし、いつ行ってもよいですが、必ず“正しい動き”を心がけてくださいね」(中村先生)

news_0730_02 正しい動きは意外と難しいもの。先生の著書や動画などで動きを確認してみるのがよさそうですね。気軽な全身運動としていいこと尽くしのラジオ体操ですが、「これだけでOKではないんです」と中村先生。「ラジオ体操が作られたのは車も電話も普及していないような時代。現代のように、仕事中もデスクに向かってほとんど動かないような生活になることは想定されていないので、下半身全体の運動が不足しています」(中村先生)

 

どれくらいの運動が必要かというと、「4000歩以上のウォーキングやジョギング」とのこと。4000歩なら、エスカレーターを使わず階段を上ったり、最寄り駅のひと駅手前から歩いたりすることで達成できる程度の距離です。「でも、現代人の不眠は運動不足のせいだけではないと思いますよ」と中村先生はいいます。

 

「遅い時間までPCやスマホを見るのはよくないですし、蛍光灯の光も明るすぎ。これでは目が冴えてしまいます。早起きして太陽の光を浴び、ラジオ体操をする習慣をつければ、夜には自然と眠くなるはず。あとは寝室の明るさなど、睡眠環境を整えて、質の高い睡眠をとれるように心がけてください」(中村先生)

 

熱帯夜でもぐっすり快適に眠れるようになりたい方こそ、小学校時代を思い出して、今年は毎日『大人のラジオ体操』に挑戦してみてはいかがでしょうか。

 

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監修:中村格子
整形外科医、医学博士、スポーツドクター。Dr.KAKUKOスポーツクリニック院長。横浜市立大学客員教授。
長年の臨床整形外科医としての経験と、国立スポーツ科学センター勤務を経て、2014年東京代官山にクリニックをオープン。「健康であることは美しい」をモットーに、わかりやすくエクササイズ指導などを行っている。著書に『DVD付き 実はスゴイ! 大人のラジオ体操』など。

 

写真:Thinkstock / Getty Images

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