忙しく時間がない生活を送っている人こそ、朝の時間を有効に活用する「朝活」はぜひ取り入れたいもの。しかし、いざ実践しようと思っても「何をしたらいいのか分からない」「朝起きられない」など失敗してしまったという人もいるかもしれません。

朝から集中して働く男性

今回は、「睡眠改善で仕事力アップ」講座で講師を務める、睡眠環境プランナーの三橋美穂さんにビジネスパーソン向けの朝活や、朝活を続けるコツについて伺いました。

ビジネスパーソン向けの朝活

朝に仕事をする男性

三橋さんによると「朝活の内容は、好きなことをするのが一番」とのことなので、自分に合った「朝活」を見つけましょう。今回は忙しいビジネスパーソンに合った朝活についてお話を伺いました。

軽めの運動

健康維持などの目的で、運動を習慣にしたいという人には、軽めの運動がおすすめです。身体が目覚めやすくなり、出勤後スムーズに仕事を始めやすくなります。
 
「朝に少し汗ばむくらいの軽い運動を行うと、体温が上がって、身体も脳もシャキッと目覚めます。時間があればジョギングやフィットネスクラブに行くのもよいですが、朝日を浴びると活動モードになる交感神経が優位になるので、駅まで日当たりのよいところを歩くように意識するだけでも十分に身体が目覚めてくれるでしょう」(三橋さん)

掃除

部屋を片付けたら、頭の中もクリアになって整理されたという経験がある人もいるかもしれません。掃除も朝活におすすめの作業です。
「たとえば、朝起きたら、カーテンを開けて太陽の光をを浴びながら掃除や机の整理を行うと、脳から目覚めを促す物質の「セロトニン」が分泌され、覚醒効果が期待できます。また、『きれいになった』という達成感も味わえるので、一日を気持ちよくスタートすることができるでしょう」(三橋さん)

ルーティンワーク・単純作業

「早起きして仕事をしようと思っても、内容によって朝に向いていること、向いていないことがある」と三橋さんはいいます。
 
朝起きてすぐのタイミングは脳が覚醒しきっていないので、じっくり考える仕事や細心の注意が必要な作業は適していません。どちらかというと、ルーティンワークや単純作業の方が向いているので、メールチェックをしたり、その日の仕事の段取りを決めたりするのがよいでしょう。特にパソコンでの作業は、ブルーライトによる覚醒作用を生かすことができます」(三橋さん)

朝活のメリット

朝に活動する男性

「朝活を実践することで、仕事のパフォーマンス向上や心身の健康など、さまざまなメリットがある」と三橋さん。ここでは、朝活をすることで得られるメリットについて具体的に解説します。

日中の仕事の効率が上がる

前述したとおり、じっくり考える仕事や細心の注意が必要な作業は適していませんが、単純作業としてできる仕事を朝に済ませてしまえば、日中の仕事の効率が上がります。
 
朝は『会社に行くまで』『お昼休憩まで』など、“終了時間”が決まっているため、時間の管理をしやすくなります。そうすると、時間内に終わらせようと集中力が高まるので、仕事の質も高まり作業時間の短縮につながるのです。実際に『朝型勤務』制度を導入している企業では、2013年の導入から3年後に20時以降の残業が約25%低下、一人当たりの時間外勤務時間は約15%減少したという報告もあります」(三橋さん)
 
単純作業の仕事を朝に回すだけで、日中の非効率な働き方が自然と見直されていくといいます。

免疫力がアップする

朝早く起きて、決まった時間に光を浴びたり、食事を摂ったりすることを続けると体内時計が整います。体内時計とは、24時間より少し長い周期で動いている、私たちの一日のリズムを刻む体内の仕組みのことです。多くの人の体内時計は24時間ぴったりではないため、生活リズムが乱れると、体内時計も乱れて、“時差ぼけ”のように眠気や疲労を感じやすくなります。体内時計が整うと、ホルモン分泌のバランスが整ったり、代謝や免疫力が向上したりするため、健康につながります。
 
「睡眠中は成長ホルモンやメラトニンといったホルモンが分泌され、免疫力がアップする時間です。疲労回復だけでなく、感染症など病気のリスク軽減も期待できます。また、体内時計が整うと体温にメリハリが生まれて血行がよくなるため、代謝も促進されます。身体にたまった老廃物や毒素が排出されやすくなり、身体を健康に保ちやすくなります」(三橋さん)

朝活を続けるコツ

元気なビジネスマン

朝活をするために早起きを始めても「なかなか続かない」という人もいるかもしれません。朝活の成功のカギは「朝の早起き」よりも「夜の睡眠」だそうです。また、朝活仲間を作ることで継続しやすくなります。三橋さんに朝活を継続するコツについて伺いました。

十分な睡眠時間をとる

朝活をするために睡眠時間を削るのは本末転倒です。日中のパフォーマンスが低下するだけでなく、心身の健康を損なう恐れもあります。
 
「睡眠時間が減ると日中に強い眠気を感じたり、集中力が低下したりして作業効率が下がり、朝の時間を有効に活用するという本来の意味がなくなってしまいます。人によって必要な睡眠時間は異なりますが、理想は7~8時間、最低でも6時間は睡眠時間を確保するようにしてほしいですね。朝活を円滑に続けるためにも、まずは自分に必要な睡眠時間を知っておくとよいでしょう」(三橋さん)
 
自分に最適な睡眠時間を知りたい人は、以下のリンクからチェックしてみましょう。
 
【医師監修】最適な睡眠時間を知る方法|休日の寝過ぎはNG

周囲に宣言する、朝活仲間をつくる

「一人で朝活をしていると、途中で寝坊したり挫折したりしても、『しょうがない』と自分を甘やかしてしまいがちです。そこで、自分がどんな朝活をするのか周囲に発信してください。後に引けないような状況ができるだけでなく、周囲の応援を得ることで朝活のモチベーションがアップします。また、友人や同僚と一緒に朝活をするなど、周囲の人をうまく巻き込みながら行うことで続けやすくなるでしょう」(三橋さん)

朝活を続けるための睡眠法

気持ちよく眠る男性

朝活を無理なく、気持ちよく続けるためには前日の睡眠も大切です。下記のことに留意してください。

「15分早く起きる」ことから始める

睡眠時間を確保しながら朝活を成功させるコツは、“早寝”ではなく“早起き”から始めること。人間の身体は、通常、起床15〜16時間後から睡眠ホルモンのメラトニンが分泌されるようになり、そこから1〜2時間すると眠りにつくという仕組みになっているため「何時に眠れるかは朝起きたときに決まるも同然」なのだそうです。
 
「早く寝ようと思って早い時間にベッドに入っても、普段の睡眠リズムとずれているので急には寝付けません。一方、起床時間はある程度自分でコントロールできるため、朝起きる時間を少しずつ早めていくことで“早起き”の体質を作っていくことができます。まずは1週間、15分の早起きを続けて、次の1週間でさらに15分と徐々に時間を早めていきましょう」(三橋さん)

「夜にやらないこと」を決める

起床時間を決めたら、自分に必要な睡眠時間から逆算して就寝時間を決めましょう。
 
「朝活は“早起き”に意識がいきがちですが、むしろ“夜にやらないこと”を決める方が重要です。現代はひっきりなしに情報が入ってきて、常に仕事に追われているような状況なので、どこかで“やらない”という線引きをしなければ自分の時間は確保できません。例えば、自分は6時に起きるから11時には寝ないといけない、そのためには9時に家に帰る必要があるので8時には会社を出て…と、仕事のリミットが勝手に決まっていきます。朝活を行うことで、こうしたタイムマネジメントや意志の強さなども磨かれていくでしょう」(三橋さん)

睡眠の質を上げる

朝スムーズに起きられるようになるためには、睡眠時間を確保するだけでなく、睡眠の質自体も上げる必要があります。三橋さんによると、睡眠の質は、寝る前のちょっとした工夫で簡単に上げることができるのだそう。

寝る前にスマートフォン・パソコンは触らない

「スマートフォンやパソコンの画面から出ているブルーライトは、交感神経を刺激して覚醒作用をもたらしてしまうため、寝付きや睡眠の質を悪くしてしまう恐れがあります。また、スマートフォンで目覚ましのアラームを設定している場合は、ベッドから5歩以上離れた場所に置くこともポイント。朝アラームが鳴ったときにベッドから出て歩くことで、身体に運動の指令を出す脳の運動野という部分が刺激されて、脳が覚醒しやすくなります」(三橋さん)

寝室の照明を真っ暗にする

「睡眠ホルモンのメラトニンは光を浴びると分泌量が減るため、明るくなるほど光の刺激によって眠りが浅くなってしまいます。なるべくカーテンはしっかりしめて、豆電球などの明かりも消して真っ暗な状態で眠るのが望ましいです。ただし、いきなり真っ暗にして寝るのが怖いという人は、フットライトなどの優しい灯りをつけてもよいでしょう。直接目に光源が入らないことが肝心です」(三橋さん)

寝る1〜2時間前までにお風呂に入る

「人は身体の中心の深部体温がストンと下がったときに眠気を感じます。そのため睡眠の質を高めるには、深部体温をいったん上げてから下げることが効果的です。理想は、就寝1~2時間前までに入浴を済ませること。38℃~40℃のぬるめのお風呂に入って体温を上げると、そのあと深部体温が下がってスムーズに寝付くことができます」(三橋さん)
 
またお風呂に入る時間を決めて、その時間になったらほかの作業は中断し、翌朝に回しましょう。定刻にお風呂に入ることをルール化すると、生活にメリハリがつき、早起きしやすくなります。

寝る3時間前までに夕食を済ませる

「就寝直前にご飯を食べてしまうと、眠っているあいだも胃腸が消化のために活動して身体が十分に休まらず、睡眠の質が低下してしまいます。さらに、消化が不十分なまま眠ってしまうと、朝起きたときに胃腸の不快感に悩まされることもあるので注意が必要です。消化に要する時間から逆算して、食事は就寝3時間前までに済ませるようにして、遅くなったら少量にしましょう」(三橋さん)
 
朝活を続けるためには、夜の過ごし方や睡眠のとり方を見直すことが大切です。作業効率の向上や残業時間削減につながる朝活を、今日から始めてみてはいかがでしょうか?
 
<参照>
三橋美穂『睡眠メソッド100』(かんき出版)
 
伊藤忠商事 「朝型勤務」制度の導入

photo:Getty Images

 

  • 体験談は個人の感想であり、特定の効能・効果を保証したり、あるいは否定したりするものではありません。

==== 編集部が1記事ずつ選んだオススメ記事 ====

【完全マニュアル】眠れないときに試したい、3分で眠くなる6つの方法

→眠れない時に眠れる方法をご紹介しています。睡眠を促す食事や入眠儀式など、様々な「寝る方法」をまとめた完全マニュアルです。

【ホリエモン流睡眠術】6時間睡眠のススメ!堀江貴文さんの「ムダを徹底的に削る」方法

→ホリエモンこと堀江貴文さんの睡眠事情を伺いました。多忙な中でも、6時間の睡眠時間は確保しているという堀江さんの、ムダを徹底排除した生活とは?

わずか1分で眠る方法とは?眠れない時使える3つの呼吸法

→寝付きが悪い原因と、すぐに眠れる3つの呼吸法をご紹介しています。眠れない夜に試して、自分に合う方法を見つけてみてくださいね。

不眠症歴10年の私が、たった1日で「眠れない」を改善した方法

→10年間眠れなかった筆者が、いかにして不眠を解消したのか、実践した方法をご紹介しています。

編集部内で信頼できると判断した情報、並びに医師や専門家への取材を元に信頼性のある情報提供を心がけておりますが、自己の個人的・個別的・具体的な医療上の問題の解決を必要とする場合には、自ら速やかに、医師等の適切な専門家へ相談するか適切な医療機関を受診してください。(詳細は利用規約第3条をご確認ください)