【医師監修】睡眠時の歯ぎしりは重病のサイン?基本的な原因や症状とは

友人や家族に睡眠時の「歯ぎしり」を指摘されたことはありませんか? 気にはしつつも「たかが歯ぎしりだし…」と放置してしまう人も多いかも。

けれど、実はそのまま放っておくと大変なことになる可能性が…!

 

今回、睡眠歯科クリニックの片平治人先生に、睡眠時の歯ぎしりの影響について伺いました。

 

体重以上の力が加わり、歯がボロボロになることも!

歯ぎしりは「睡眠中のちょっとしたクセ」と軽く考えてしまいがちですが、歯ぎしりによる身体への負担は大きく、歯にかかる力はなんと自分の体重の数倍にもなるのだそう!

人は起きているときにはどんなに強く噛みしめても力が無意識的に制御されますが、寝ているときは制御機能が働かなくなるのだといいます。

 

「カチカチという音が出ているときは、まだそれほど歯に力がかかっていません。

気をつけなければいけないのは無音で歯ぎしりをしているとき(クレンチング)と、噛みしめて横にギリギリしているとき(グラインディング)。歯や顎には相当な負荷がかかってしまっています」(片平先生)

 

強い力が加わることにより、歯がすり減る、亀裂が入る、知覚過敏が起こる、歯周病の歯がぐらつく…など口の中にさまざまな障害が発生することも。

ひどいときには、「歯根破折」といって、歯の根が割れてしまうこともあるそう。

 

「歯根破折してしまうと、手の施しようがないので、残念ながら抜歯しなければなりません。

ただし目に見えない微小な亀裂や、歯ぐきがぐらついている程度なら、まだ歯を残して治療できる可能性もあります。

早期発見がカギなので、たとえ歯ぎしりの自覚がなくても歯科に定期的に通院することが大切です」(片平先生)

 

ストレスだけじゃない! その歯ぎしり、重病のサインかも?

そんな恐ろしい歯ぎしりの原因は、いったいなんなのでしょうか?

 

「一般的に知られているのが不安傾向やストレスです。

他には睡眠時無呼吸、逆流性食道炎などの疾患や、アルコール、カフェイン、タバコなどの嗜好品、SSRIなどの向精神薬もリスクファクターとして挙げられます」(片平先生)

 

さらに片平先生は、歯ぎしりが「寝言」をともなって生じる場合に特に注意すべきだと言います。

「症状が進行していくと、レム睡眠(夢見睡眠)中に無意識に身体が動くレム睡眠行動障害につながる場合があります

レム睡眠行動障害は、発症された方のうちパーキンソン病を発病する人もいるため、気をつけなければなりません」(片平先生)

 

その他、睡眠中の低血糖による反応で歯ぎしりが出る場合もあると言われているため、注意が必要です。

 

そんな歯ぎしり自体の治療法としては、睡眠中、歯にかかる力が均等に分散するように調整された「マウスピース治療」が一般的。ただし、これはあくまで対症療法で、根本治療ではないとのこと。

「マウスピースの使用を開始直後は、歯ぎしりが一時的に治まるものの、しばらくして再び症状が出てしまう人が多いようです」

 

根本治療のためには、やはり何が原因で歯ぎしりが起こっているか見極める必要があります。

そのために、本来は歯科だけでなく医科の睡眠外来とセットでの治療となることが望ましいそうです。

知らず知らずのうちに恐ろしい事態を招きかねない「歯ぎしり」。少しでも思い当たる人は、ぜひ一度歯科や睡眠外来を受診してみてはいかがでしょうか。

 

photo:Thinkstock / Getty Images

片平 治人

監修

歯科医師・医学博士

片平 治人

片平歯科クリニック 院長


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