いびきを治したいけど、治し方がわからない…なんて人も多いはず。しかし、何も対策をしないでいると実は危ないかも!?
専門の医師は「いびきは大病につながる可能性があり、軽視は禁物」と警鐘を鳴らします。“たかがいびき”では済まされない、その怖い正体とは…?
いびきの裏に様々な病気のリスクが…!
「いびきは、上気道の中の粘膜が振動することで発生する振動音です。年齢・性別を問わず、誰でもかく可能性があります。
最近では広く知られるようになってきましたが、睡眠障害のひとつである睡眠時無呼吸症候群(SAS)とも深く関係しています」と話すのは、睡眠や呼吸器内科を専門とするRESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニックの白濱龍太郎院長。
全員ではないものの、SAS患者の多くがいびきの症状を持っているそう。
SASは、空気の通り道である、のどの気道が完全にふさがり、呼吸停止状態が睡眠中に何度も繰り返される病気。呼吸が止まるたびに脳が目を覚ますため、深い睡眠をとれなくなります。
「ただ、SASと診断されなくても、安心してはいけません。実はいびきをかくと、通常よりも酸素を上手く取り込むことができなくなるんです」(白濱先生)
酸素を上手く取り込めなくなると、血中の酸素濃度が低下するそう。
「それをリカバーしようと、臓器や血管が働きを強めるため、血圧の上昇が起こるだけではなく、心筋梗塞や脳梗塞、動脈硬化、糖尿病などのリスクが高まります。
また、深い睡眠をとれないと、人間は少しでも睡眠時間を延ばして質を補おうとするのですが、時間を延ばしても結局疲れが取れず、寝れば寝るほど疲れてしまうという悪循環に陥ってしまうのです」(白濱先生)
日本人はいびきをかきやすい?
「日本人は欧米人に比べて下あごが小さいため、あごに収まりきらない舌の筋肉がのどにせり出して、気道が狭くなりがちです。
また鼻が平べったいので、鼻づまりも起きやすく、口呼吸で空気の通り道を確保しようとしますが、それによって舌が奥に入り、気道が圧迫され、いびきをかきやすくなってしまうのです」
いびき対策は、「とにかく自分の睡眠時の状況を把握して、大事になる前に手を打つこと」と白濱先生。
自覚がなくても、症状の有無を、家族やパートナーに聞いたり、スマートフォンのアプリで録音したりして確認するのがおすすめとのこと。
また、朝起きたときに口が渇いている、日中眠気がある、熟睡感がない…など、いびきをかいていることによって日中に現れやすい症状にも注意してみましょう。
「いびきが日常化していて無呼吸状態がある人は、すぐに睡眠外来にかかってほしいですね。
毎日ではなく、イレギュラーでいびきの症状が出る人は、まず気道を確保しやすい横向きで寝たり、寝具を変えてみたり、睡眠環境を見直して様子をみてください。
原因が肥満や疲労にあるならば、生活習慣を見直すのもひとつの手。それでも症状が続くようであれば、やはり、睡眠外来を訪ねてみることをおすすめします」
見過ごしがちですが、実はさまざまなリスクをはらんでいる「いびき」。まずは自分のいびきを“正確に”認識することから始めてみませんか?
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RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック 院長