不眠経験者が考える、本当に必要な家族・周りの“理解”の形とは?

不眠経験者が考える、本当に必要な家族・周りの“理解”の形とは?

こんにちは。睡眠コンサルタントの土井です。

連載の第8回目となります。私は幼い頃から不眠に苦しみ、約20年もの間、不眠に悩んできました。

また、病院での治療も10代の頃からはじめ、睡眠薬の服用も5年以上の経験があります。

 

そんな私も紆余曲折あり、連載1回目でご紹介した通り、色んな方法を試しながら、やっと数年前に不眠を克服することができました。

フミナーズをご覧の方には、自分が不眠で悩んでいる方もいれば、自分ではなく自分の大切な人が不眠で悩んでいるという方もいらっしゃるでしょう。

 

前回の記事でも書かせていただきましたが、家族や友人・知人の理解・協力は不眠の問題を解決するためにはとても大切なポイントです。

しかし、周りとしてはどんな風に協力していけばよいかわかりにくいものです。

「大切な人が不眠になったけど、自分は一体何ができるだろう?」
「どうすれば大切な人の力になれるだろう?」

そう考え、悩まれている方もたくさんいらっしゃると思います。

 

今回はそんな方に少しでもヒントになればと思い書かせていただきます。

「根本的に解決してあげられないし、こんなことしかできない…」と思っていても、不眠で悩む側にとってはそれが大きな力になっているはずです。

 

つらさを受けとめ、よき相談相手になろう

まず大事なのは、大切な人のつらさを受けとめ、理解することです。

私自身もそうでしたが、睡眠の問題は誰かに相談しにくい事柄です。それは、そのつらさが自分にしか理解しにくいため。

 

睡眠の悩みは見た目ではわからないので、より一層周りに理解してもらいにくく、相談する方も身構えてしまいます。

そこでしっかりとつらさを受け止めてもらえるととても安心します。「じっくり話を聞いて、理解してもらえる」それだけでずいぶんと楽になるものです。

ただし、逆に、勇気を出して相談したのに真剣に聞いてくれなかったとなると余計ひとりで抱えこんでしまいます。

 

また、聞くほうとしては親身になって理解しようとしているつもりでも、話している側にとってはそう感じない時もあるのが難しいところです。

たとえば、「自分も眠れないときあるから大丈夫だよ」や「○○すればすぐ治るよ」などの言葉はありがたい言葉ではあるのですが、時に自分のつらさを理解してもらえていないと思われる可能性もあります。

 

これは睡眠の問題に限りませんが、悩みの解決法が知りたいのではなく、まず自分のつらさを誰かに理解してもらいたいというときもあります。

まずはありのまま相手のつらさを受け止めること。理解しようとすること。対策法を考えるのはそれからです。

 

つらさを受け止めようと話を聞いていても不眠の経験がないとなかなか感覚は理解できないかもしれません。

「自分なら同じ経験をしてもそこまでつらいとは感じない」と思うこともあるかもしれません。

 

しかし、相手が苦しさを感じていることは事実です。そこを否定してしまってはいけません

まずはじっくり相手の話を聞き、どんなことにつらさを感じているのかを受けとめて、理解しようとしてあげましょう。よき相談相手になれれば、大切な人の大きな力になることができます。

 

一緒に調べてあげよう

不眠で苦しんでいると日々つらさがたまっているので、なかなか自分だけで不眠の現状を打破するような行動をする余裕がないものです。

 

そこで一緒に不眠や睡眠について調べてあげることができればとても心強い存在になります。

たとえば、病院や自分で今日からできることを一緒いっしょに調べてあげるのもよいでしょう。ひとりでは消極的だった場合も、周りに助けを借りることで一歩踏み出せることもあります。

 

私の場合はですと、不眠で仕事を辞め療養のため実家に帰っているとき際に、父が睡眠専門のクリニックを調べて紹介してくれました。結果的には、それが不眠を克服するきっかけになりました。

 

今までひとりで悩んでいたものが、自分を理解してくれる誰かと一緒に立ち向かっていけると思うと勇気が出てくるものです。

一緒に調べることは、その悩みやつらさに寄り添うことにもなります。

 

最後に背中をひと押ししてあげよう

最後のひと押しをしてあげることも大切です。不眠の治療や改善に向けて一歩踏み出すのは、とても勇気がいります

私も先ほどお話ししたように、父がわざわざ調べてくれ「一度試しに行ってみたらどうだ?」と何度も背中を押されたことで一歩踏み出すことができました。

 

その時は5年の不眠治療も実を結ばず、さらに仕事を辞めて非常に落ち込んでいた時期…自分だけではあきらめの気持ちが強く、一歩踏み出すことができなかったと思います。

私の友人の例では、とても仲が良い友人が睡眠で悩んでおり相談に乗っていたそうです。

普段の様子から「ナルコレプシーという睡眠の病気ではないか?」と考え、一度病院に行くことを勧めていたそうですが、友人は何かと理由をつけてしばらくは病院に行こうとしなかったようです。

しかしある日、なんと「病院でちゃんと診てもらわないと縁を切る!」とたんかを切り、無理やり病院に行かせたのだそう。

その結果、実際にナルコレプシーであったことがわかり、現在は治療を行っているそうです。

この例はさすがに強引すぎかもしれませんが、最後のひと押しをしてあげることは非常に大切です。

 

自分では勇気がでなかったり、後回しにしがちなことでも誰かが後押ししてくれることで一歩を踏み出しやすくなります。

いち経験者としては、これくらい積極的に背中を押してもらえないとなかなか一歩が踏み出せないものだと感じます。

実際に私のもとに相談に来られる方の中でも、知人・友人の紹介でいらっしゃる方がかなりいます。「今まで何もしてこなかったけど、紹介されたので初めて相談にきました」という方が非常に多いのです。

 

私も初めて病院に行ったのは19歳のころで、不眠を感じてから何年も経ってからです。

それも前年にあまりに眠れず、大学受験当日に試験中に眠るという大失敗を起こし、必要に迫られやっと踏み切ることができたくらいです。

 

しかし、私のように体調を崩したり、大きな失敗をしてからでは問題を解決するにも時間がかかってしまいます。

睡眠の悩みには早め早めに対処することが大切です。そのためには不眠で悩んでいる人をひと押しする周りの存在が重要になってくるのです。

 

さいごに

私自身も周りの人の理解を得て、周りの人の力に支えられながら不眠を克服することができました。

私の不眠について理解し、協力してくれる人がいたからこそ一歩踏み出すことができたと思っています。

ぜひ大切な人のそんな存在になってあげてください。

photo:Thinkstock / Getty Images

土井 貴仁

執筆

睡眠健康指導士

土井 貴仁

幼少の頃から不眠症に悩み、高校生の頃から睡眠導入剤を服用しはじめる。不眠症を患ってから2年以上たったある日、カウセリングを通じた「認知行動療法」に出会い不眠症を克服する。自らの経験を生かし、一人でも多くの人の為になりたいという想いから「一般社団法人日本睡眠教育機構」認定資格である「睡眠健康指導士」を取得。 不眠症における認知行動療法を受けることのできる医療機関の少なさ、地域格差に問題意識を持ち、Web上で認知行動療法が実践できる仕組みづくりに奮闘している。その他講演活動や執筆活動など幅広く活動中。


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