不眠の本当のつらさは周りにわからない。治療へ向かう勇気の出し方

こんにちは、睡眠コンサルタントの土井です。

連載の第7回目となります。私は幼い頃から不眠に苦しみ、約20年もの間、不眠に悩んできました。

また、病院での治療も10代の頃からはじめ、睡眠薬の服用も5年以上の経験があります。

 

そんな私も紆余曲折あり、連載1回目でご紹介した通り、色んな方法を試しながら、やっと数年前に不眠を克服することができました。

どんな病院でどんな治療を行うのかということと同時に大切なのが、周りに不眠治療に協力的になってもらうことです。

 

それは、病院にいかずに自分で生活習慣を変えるなどの工夫を行う上でも同じことです。

今回はどういった点で周りの協力が必要になってくるのか、どういう風に理解してもらい、協力してもらうのかについてお伝えします。

 

治療に対して積極的になれるかどうかは、“周り”で決まる?

治療や改善のために一歩踏み出すには、勇気とパワーが必要です。その時に周りが「病院での治療に否定的」であったり、睡眠に関して無関心であったりするとなかなか一歩が踏み出せません。

 

私も治療開始当初は家族が比較的否定的な態度だったので、はじめは治療も隠れてこっそり行っていました

薬も5年程度服用していましたが、家族や友人にばれないように意識していました。睡眠薬を服用していることを伝えている相手でも、できるだけ目の前では見えないように、こっそり服用していました。

「睡眠薬を飲んでいるのを見られたらなんて言われるだろう?」と怖かったのです。

そんなこともあり、治療は続けているものの、かなり消極的で受動的でした。消極的なこともあり、あまり努力もせず、だらだらと通い続けていたためあまり効果が見られませんでした。

 

しかし、不眠で体調を崩し仕事を辞めたことがきかっけで、家族も周りもしっかりと不眠の問題を解決しようと働きかけてくれたことで、私自身積極的になり治療をすすめることができました。

周りが否定的なままであれば、一歩踏み出せず、いまだに治療を続けていたと思います。

 

生活習慣を変えるためには、周りの協力が必要な場合も

睡眠を改善しようと思うと、寝る前の習慣や日中の習慣を変えるなど、生活のなかで様々な工夫が必要になります。周りが協力的でないと、なかなか実践できないこともあるのです。

私の場合でいうと、ベッドの使い方について指導され「眠くなるまでベッドに入らない」を実践していたときに、同居していた家族から「いつまで起きているんだ」と注意をされ軽くぶつかることもありました。

ほかのことも含め、最終的にはわかってもらえたのでよかったですが、もし理解し、協力してもらえてなかったら実践できないこともたくさんありました。

治療がどうこう関係なく、悩みを周りに相談できないのはつらいことです。相談できないストレスでより症状が悪化したり、ひとりで抱え込み、必要以上に深刻に考えてしまいがちです。

 

わたし自身も長い間、周りにも相談できませんでした。個人的には身体のつらさと同じくらいに、周りに理解してもらえず、現状から抜け出す解決法が見えないことがつらかったです。

悩みを隠しておくのはつらいこと。理解してもらえる相手、相談できる相手がいるだけでもかなり楽になるものです。

 

意外に周りはわかっていない。正直につらさを伝えよう

ここからはどのように周りに伝え、協力的になってもらうのかということを考えていきたいと思います。まずは、すごく基本的なことですが「正直につらさを伝える」ことがとても大切です。

当たり前のように思えますが、意外にできないことが多いのです。

 

悩んでいる当事者としては「自分のつらさは伝わっているはず」と思いがちですが、そのつらさを経験していない人にとっては簡単には理解しにくいものです。

こちらとしては、何度も伝えてるつもりだったのですが、「そうだったの?もっと早く言ってほしかった。」と言われることも私自身ありました。

 

不眠とは言っても、単に睡眠不足で眠いくらいだろうと思われていたようです。しかし、当事者としてはそれだけの問題ではないことはわかるはずです。

経験している人にとっては睡眠の悩みはとても深刻なものですが、普通に睡眠がとれている人にとっては当たり前にできていることなので実感がないのです。

自分がどんな風につらく、何に悩んでいるのか、協力してもらいたいことはどんなことなのか率直に伝えることが大切です。

 

数字を利用しよう

友人や家族ならいざ知らずですが、仕事の関係など感情だけでは理解がされない場面もあります。

特に睡眠で悩んでこなかった人や睡眠を削っても平気な方などは「自分は○時間しか寝ていなくても大丈夫だから、あなたも大丈夫だ」と楽観的に考えがちです。

 

そんなときには数字を利用するのがよいでしょう。たとえば、単に眠れていないというだけでなく

「3時間も寝つくのに時間がかかっている」
「6ヶ月も眠れない期間が続いている」

と具体的に数字を使って伝えることで、深刻さがより伝わるはずです。

 

また、「国民の5人に1人が睡眠に悩みをもっている」などの数字を紹介することで、個人の問題だけでなく社会の問題として認識してくれるかもしれません。

特にビジネスの関係であれば、感情より論理で説得したほうがよい場合も多いので、数字をうまく利用して説明するとよいでしょう。

 

さいごに:わかってもらえるまで伝え続ける

身も蓋もない話ですが、最後は伝え続けることです。1回や2回では相手はわかってくれないものです。

しつこいくらい言わないとなかなか相手には伝わらないものです。相手が経験したことのないつらさであればなおさらです。

基本的なことですが、自分の気持ちを伝えつづけることが最後は大切になってきます。

photo:Thinkstock / Getty Images

土井 貴仁

執筆

睡眠健康指導士

土井 貴仁

幼少の頃から不眠症に悩み、高校生の頃から睡眠導入剤を服用しはじめる。不眠症を患ってから2年以上たったある日、カウセリングを通じた「認知行動療法」に出会い不眠症を克服する。自らの経験を生かし、一人でも多くの人の為になりたいという想いから「一般社団法人日本睡眠教育機構」認定資格である「睡眠健康指導士」を取得。 不眠症における認知行動療法を受けることのできる医療機関の少なさ、地域格差に問題意識を持ち、Web上で認知行動療法が実践できる仕組みづくりに奮闘している。その他講演活動や執筆活動など幅広く活動中。


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