【新連載】不眠歴20年!克服した私が不眠の方に今伝えたいこと

はじめまして。本日より、フミナーズで記事の連載をさせて頂くことになりました睡眠コンサルタントの土井です。

 

現在では、不眠の方の相談に乗ったり、研修などの仕事をさせて頂いているのですが、実は私自身が長い間不眠に悩んできました。

私は紆余曲折あったものの、最終的には不眠を克服することが出来て今に至ります

 

しかし、「不眠や不眠改善について正しい情報をもっと早く知っていれば、これほど苦労することなくもっと早く不眠を克服することが出来たのではないか?」とも感じています。

「あの時あんな情報があれば現実は変わっていたのに。」そう思うことがたくさんあります。

 

この連載では、経験者として当時欲しかった情報、経験したものでしか分からない困りごとやその対処法について伝えていければと思っています。

どうぞよろしくお願いします。今回は、私が不眠になったきっかけと、それを克服するまでの20年間について、凝縮してお伝えします。

 

私が不眠になったキッカケ

私の不眠は幼少期からのもので、今では何がキッカケだったかも覚えていません。物心ついた頃から「自分は眠れないんだ!」という並々ならぬ自覚を持っていました。

小さい頃でも「自分は運動が苦手だ」とか「勉強が苦手だ」といったことがなんとなく自覚できるように、「自分は、睡眠が人より苦手なんだ・・・」と感じていました。

 

幼稚園のお泊り会で1人だけ寝られずにひたすら苦しかったこと、学校の先生や親によく「眠れない!」と訴えていたことを鮮明に記憶しています。

小学生の頃、学校を休むことが多かったのですが、思い返すとあれは寝たくて休んでいたのだなー・・・と今になると原因がわかったり。

 

直感的に「睡眠不足が続くと大変なことになるぞ!」ということをわかっていて、自分なりにうまく対処していたのかもしれません。

 

受験をきっかけに19歳から睡眠薬を服用し始める

小学生の頃は前述の「睡眠休暇」をとりながら、なんとかうまくやっていけたのですが、中学や高校時代に不眠が悪化しました。

毎日3時間~4時間の睡眠が続き、朝まで一睡もできず登校することも珍しくありませんでした。睡眠不足が重なり、なかなか学校に通えないという時期も経験しました。

 

症状としては、その時点でかなりひどかったのですが病院で治療しようとは思いませんでした。というよりは、睡眠薬に対し怖いイメージがあって病院に行くことができなかったんです。

今思うと「なぜあんなに怖がっていたんだろう?」と疑問なのですが、「睡眠薬はとても怖いものだ!」という変な思い込みがありました。

 

しかし、そんな頑なに避けてきた睡眠薬を19歳で服用するようになりました。大学受験での大失敗がキッカケです。
受験生になってもあいかわらず眠れない日々は続いていました。もちろん試験前日も眠れません。むしろ、いつも以上に眠れず試験当日を迎えました。

朝は緊張で眠気をあまり感じなかったものの、時間が経つ内に次第に強烈な眠気が・・・もはや試験問題との格闘ではなく、眠気との戦いに!!

 

しばらくは、眠気に打ち勝ちながら試験を進めていけたのですが、最後の試験科目でついにやってしまいました。

そうです、試験中に寝てしまったのです。

ほとんど空白の解答用紙を見ながら、受験の失敗を確信しました。今までがんばって勉強してきたものが、まさか眠気によって台無しになったという事実があまりにもショックでした。

 

その後、泣く泣く浪人したのですが、試験本番が近づくにつれ1年前の嫌な記憶が蘇ります。

いよいよ不安が強くなり、睡眠薬の恐怖よりも試験前日に眠れない恐怖のほうが大きくなっていきました。

そして、浪人した年の11月に、「今年は絶対に失敗できない!眠れるなら睡眠薬でもなんでも飲んでやる!!」という決意のもと、病院に通いはじめ睡眠薬を服用するようになりました。

 

睡眠薬に頼りすぎて、不眠を放置していた日々

睡眠薬のおかげで無事試験は通り大学に通い始めました。

当初は「試験が終われば睡眠薬は止めよう」と思っていたのですが、「もし眠れなくて大学に通えなかったらどうしよう?」という不安があり、ついつい服用を続けていきました。

 

大学にも慣れ、本来は自分の睡眠に向き合い、不眠改善のために何かしていかなければいけなかったのですが、「睡眠薬を飲んでいればなんとかなるだろう」と睡眠薬を過信し、何も行動を起こそうとしなかったのです。

睡眠薬のおかげで眠れているだけにも関わらず、「自分の不眠は治ったんだ!」と勘違いしていました。

 

もしかしたら、「自分が不眠だ」ということを認めたくなかっただけかもしれません。

自由な時間を使える大学時代に、自分の不眠を見ない振りしていたことを今では後悔しています。

 

不眠が悪化し、とうとう働けない状態に…

不眠と向き合うことを避けていたツケは働きはじめてからやって来ました。

勝手に自分で不眠が治ったと思っていたのですが、睡眠薬で一時的に症状を抑えていただけなので、負荷がかかり、ストレスが強くなると、再び眠れない日々に逆戻りしてしまうのです。

 

それでも根本的な睡眠の問題に向き合おうとせず、薬を増やすことで対処しようと考えました。しかし、それもしばらくすると効果もなくなり、まともに眠ることができなくなってしまいました。

そして、ついにはまともに働ける状況ではなくなりました。私は、不眠が原因で会社を退職しました。

 

私を変えた家族の一言

会社を退職した後は、しばらく絶望感に打ちひしがれていました。

「自分は社会に適応できないんだ・・・もう働けないんだ・・・」そんな思いでいました。

「不眠が治れば、また働けるからまずは不眠を治そう!」と励ましてくれる方もいたのですが、20年も不眠であった自分としては、「どうせどんなことしても治らない。

 

この苦しみは誰にもわからない。」などと何もしないうちから諦め、自分の殻に篭っていました。

そんな私を変えたのが、家族の一言です。「やれることはなんでもやってみよう。自分の不眠としっかりと向き合おう。」家族は繰り返し何度も私にこの言葉をかけ続けました。

 

幼い頃から不眠に悩んできたので、今まで色んな方法を試してき、色んな所に相談してきました。

そのほとんどがうまくいかず、しかも不眠の苦しみもわかってもらえずという経験があったので、自分の不眠に向き合うことをいつしか避けるようになっていたことにその時気づきました。

 

逃げていても何も変わらない。向き合えば何か変わるかもしれない。

自分の不眠と正面から向き合い、なんとしてでも不眠を克服すると決意しました。

 

不眠歴20年にして、初めて自分の不眠の原因を知る

まず私は、不眠にはどんな解決法があるのか、そもそも不眠とは一体何なのかを知ろうと考え、本やネットなど手当たり次第に情報を集めていきました。

色んな本を読む中で、私は初めて自分の不眠の原因を知りました。

 

20年も不眠に悩み、薬での治療も5年程続けていたのに「自分がなぜ眠れないのか」知らなかったのです。

原因も知らずにただ闇雲に手当たり次第試してみる、そんな方法ではうまくいくはずがなかったのです。

 

そして、「認知行動療法」という治療法があることを知りました。不眠治療の際に使われる認知行動療法は、薬だけに頼らず「行動」や「考え方」を見直すことで不眠の改善を図る方法です。

「これは自分に合っているのではないか?」

そう直感的に感じた私は、この方法を実践してみようと思いました。

 

認知行動療法では薬を使う必要がないとは言え、1人でやることに不安を感じた私は専門の治療を行える病院を探してみることにしました。

たまたま家族が以前から薦めていた病院と、読んでいた書籍の筆者が所属している病院が同じだったこともあり、「これは何かの運命に違いない!」そう思い、当時住んでいた京都からわざわざ東京の病院まで通いはじめました。

 

5年以上飲み続けた睡眠薬からの卒業

それからは病院の先生の指導のもと認知行動療法を実践していきました。自分の睡眠に向き合い、行動や考え方を変えることで症状が少しずつ改善していく実感がありました。

今まで睡眠にとってよいと考えていたことが実は睡眠を悪化させていた例も多くあり、今まで自分はどれだけ睡眠について知らなかったのかと驚きました。

 

例えば、「眠れなくても布団に入っていれば疲れがとれる」

この言葉は小学生の頃、学校の先生からもらったアドバイスです。私はこの言葉を長らく信じ、実践してきました。しかし、実はこれは不眠を悪化させるよくない行動の一つだったのです。

 

また、考え方や見方を変えるだけで、ずいぶんと楽になることもあるのだということも実践の中で分かってきました。

そして、自分の睡眠に向き合うことで、自分がどういった環境であればよりよい睡眠が実現できるのかということが次第にわかるようになってきました。

 

これが自分に合った環境を考えるキッカケになり、環境をうまく整えることで仕事にも復帰することが出来ました。

根本的な睡眠の問題にアプローチすることで睡眠の質自体が向上したことに加え、減薬の仕組みなども学びました。

そして、最終的には5年以上飲み続けた睡眠薬の「減薬」、そして「断薬」に成功したのです。

 

睡眠の解決法をもっと身近で簡単に

私はこうして20年以上の不眠を克服することが出来ました。

若いうちに不眠の問題を解決できたことに安堵の気持ちがある一方で、「解決までにどうしてこんなに長く時間がかかってしまったのだろうか?」という疑問がふつふつと湧いてきました。

 

20年―。
20代の私にとって人生の80%以上もの時間、不眠に悩まされてきたわけです。一時は「死ぬまでずっと不眠だ」と諦めていたこともありました。

私は運良くたまたま最終的に認知行動療法という解決法に行き着くことができました。

 

でも、もし今もその存在を知らなかったら・・・?考えただけでゾッとします。しかし、実際に今でも同じように苦しんでいる方は全国にたくさんいるはずです。

「自分は克服できたからよかった。」でも、それでいいのだろか?苦しみを知っている経験者だからできることはないだろうか?次第にそう考えるようになりました。

 

私はほんの少し前まで睡眠について学んだり、不眠になったときにどうすればよいのかを知る機会がほとんどありませんでした。

睡眠は毎日みんなが行う行為であるが故に、当たり前すぎてあまり気にかけていません。

 

だからこそいざ不眠になり、当たり前であったことが、当たり前にできなくなってしまったときに、どうすればよいのかわからなくなるのです。

病院に行くなどなにか行動するにも非常にハードルが高く、勇気がいります。

 

もっと睡眠について身近に考え、簡単に解決法へアクセスできるようになれば何か変わるのではないか」そう考えるようになりました。

それからは教育関係の仕事をしながら、空いた時間で睡眠の情報を発信したり、友人・知人の睡眠の相談に乗るなど、自分ができるところから少しずつ活動を始めました。

そこから色んな縁があり、企業で睡眠について意見交換や研修をさせて頂いたり、共同で睡眠改善をサポートするWebサービスの開発を行うなど現在の活動に至るようになりました。

現在は、サービスの開発や執筆など幅広く睡眠改善をサポートする活動を行なっています。

 

不眠で悩む人を1人でも減らすこと」が私の願いです。

20年に及ぶ不眠・不眠克服を経験した私だからわかること、お伝えしたいことがたくさんあります。

この連載で少しずつお伝えしていきますので、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。次回は、不眠かも…?と思ったときに考えるべきこと、対処法の選択肢などをご紹介します。

 

photo:Thinkstock / Getty Images

土井 貴仁

執筆

睡眠健康指導士

土井 貴仁

幼少の頃から不眠症に悩み、高校生の頃から睡眠導入剤を服用しはじめる。不眠症を患ってから2年以上たったある日、カウセリングを通じた「認知行動療法」に出会い不眠症を克服する。自らの経験を生かし、一人でも多くの人の為になりたいという想いから「一般社団法人日本睡眠教育機構」認定資格である「睡眠健康指導士」を取得。 不眠症における認知行動療法を受けることのできる医療機関の少なさ、地域格差に問題意識を持ち、Web上で認知行動療法が実践できる仕組みづくりに奮闘している。その他講演活動や執筆活動など幅広く活動中。


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