不眠症の原因は「悪い習慣」かも! 「良い習慣」に変える方法とは

実は、不眠症に悩む人の多くが「睡眠にとって悪い習慣」を持っています。

例えば「休みの日はだらだらと寝てしまう」とか「寝つけないときでも、無理やり布団に入って頑張って寝ようとする」など。

 

あなたは身に覚えがないでしょうか?

直そうと思っても、ついつい「不眠症の原因」になる行動をしてしまっていませんか?

 

不眠症の改善に重要なのは、いかに不眠症の原因となっている悪い習慣を正し、良い習慣を身につけていくか。それが不眠症の治療の現場で採用されている「認知行動療法」です。

一体どんな方法で、「身についてしまった習慣」を直すことができるのでしょうか。臨床心理士で早稲田大学人間科学学術院助教(*監修時)の岡島義先生に話を伺いました。

 

不眠症改善の秘訣は、成功体験の積み重ね

不眠症に悩む人が持つ悪い習慣は、人によってさまざま。認知行動療法では、カウンセリングで一人ひとりの話を聞き出し、どんな習慣が不眠症の原因になっているのか、そして、どのように習慣を直していくのかなどを見極めていきます。

 

「自分で習慣を直すことができないからこそ、皆さんカウンセリングに来られるんです。

本人が、直したほうが良いと納得できなければなかなか治療にのってこないので、まず、どうやってその気になってもらうかの検討から、治療を始めます」(岡島先生)

 

カウンセリングで問題点を洗い出し、次回のカウンセリングまでにホームワークとして新たな習慣づけを行ってもらい、悪い習慣を徐々になくすことで、不眠症の原因を排除していくのが認知行動療法の基本的な流れ。

 

ですが、このホームワークをきちんとこなすことができなければ、悪い習慣を直すことも難しくなります。

「そもそも、他力本願な人はホームワークがこなせないので、習慣を直すのは難しいかもしれません

そういう場合は、少し厳しいですが『今までと同じ状態でもいいと考えているなら、認知行動療法でのお手伝いは難しい』と伝えることもあります。

 

現状を打破するためにそれなりの覚悟を持って、多少辛くてもこれまでとは違うことを試してみようという気持ちになってもらうことが重要です。

そのためのお手伝いをするのが、認知行動療法です」(岡島先生)

 

多くの患者さんの場合、自分が不眠症かどうかを主観的に判断しているのだそう。

例えば、よく眠れた日が数日あったとしても、「十分な睡眠時間が取れていない」「何度も目が覚めてしまった」など、眠れなかった日のネガティブな印象の方が記憶に残りやすいため、治療中でも「なかなか良くならない」と感じてしまう患者さんが少なくありません。

「そのような場合は、『睡眠ダイアリー』などを使って客観的に自分の眠りを振り返り、『悪い習慣を変えたことで、以前より眠れている』ことに気づくことが大切」と岡島先生。

 

患者さんの治療へのモチベーションがUPする成功体験こそが、習慣を直す上でとても重要なのだそうです。

「良い習慣を続けるためには、成功体験を積み重ねていくことが必要です。そのため、最初は確実に達成できるよう、スモールステップに分けて少しずつ進めます。

 

しかし、あまりにも分けすぎると、今度は効果が実感できなくなってしまいます。

効果が感じられなければ成功体験にならないので、そのバランスをとりながらホームワークを設定しています」(岡島先生)

 

不眠症の原因を解消するには、正しい習慣を1週間続けることから

新しい習慣というものは、当然、一朝一夕では身につきません。

何事も「やるぞ!」と思っても三日坊主で終わってしまうのは、きっと誰もが経験済みのはず。どれくらいの時間をかければ、習慣が定着してくるものなのでしょうか。

 

「頭では必要性を理解していても、実際に行うこと、さらにそれを習慣化することは難しいですよね。

人は最初の1週間、意識しないと新しいことを行うことはできません。でもそれを続けて2週目に入ると、新しいことに慣れてきて、徐々に習慣化していくわけです。

 

つまり、大体は1~2週間ほどかけて身体が慣れ、長く続けているうちに、意識しなくても自然と新しいことが行えるようになっていきます

まずは意識づけが重要なので、完璧にできなくても継続していくことを目指しましょう」(岡島先生)

 

岡島先生によると、今までの習慣を新しい習慣に「置き換える」のではなく、今までの習慣が続いている如何にかかわらず、新しい習慣を「増やす」と考えるのもコツとか。

不眠症など睡眠に悩む人は、思い込みが強かったり、マジメすぎてしまったりという傾向があるといいます。

しかしその分、意識をうまく転換することができれば、一気に不眠症の原因となる習慣が改善される可能性もあるのです。

 

どんな怠け者でも、「不眠症の原因」=「悪い習慣」は直せる!?

岡島先生は「習慣は先天的なものではないので、基本的にどんな人でも変えることができます」と断言します。なかには直りづらい習慣もありますが、時間をかければ改善できるものなのだそう。

ただ、悪い習慣を直せるかどうかは、不眠症の患者さん自身がどれだけ頑張れるかにかかっています。

 

となると、カウンセラーは患者さんにいかに頑張ってもらうかに注力することに。

「私がカウンセラーをしている時は、マイナス面だけでなくプラス面にも目を向けます。同じ現象でも、違う角度から見ることによって異なるところが見えてきます。

 

例えば、起床後1時間以内に散歩に行き、30分以上の朝日を浴びることをホームワークとした場合、患者さんは1週間のうち3、4日できたとしても「できなかった」と言います。

何年間も散歩すること自体できなかった人が、3、4日もできたことはすごいことだと思いませんか?

 

患者さんは、マイナス面に目が向きやすいクセが身についてしまっているので、事実をさまざまな角度から見る練習をします。

そうすることで、患者さんのモチベーションはグンと上がるのです」(岡島先生)

前向きな気持ちで少しずつ成功を積み重ねていくことが、不眠症改善の近道なのかもしれませんね。

 

ちなみに、ダメだとわかっていてもどうしてもやめられない悪習慣がある場合、どうしたらよいのでしょうか。

 

「無理にやめようと思うことはよくありません。

『シロクマ実験』というものがあるのですが、頭の中にシロクマを思い浮かべてもらって、その後、そのシロクマを頭から追い出そうとしてもらいます。

すると、逆にシロクマの存在を意識してしまって、忘れることができないのです。

 

それと同じで、悪い習慣をやめなきゃいけないと強く考えすぎてしまうと、より意識してしまうことに。

そういうときは、悪い習慣を『やめなきゃ』と考えずに、良い習慣を新たに身につけることだけに集中した方が良いですね」(岡島先生)

 

「不眠症の原因となっている悪い習慣をやめて、良い習慣にすると考えるよりも、今までどおりの生活の中で、少しずつ良い習慣の割合を増やすという意識で望んだほうが良い」と岡島先生。

新しい習慣を身につけるのは大変ですが、まず1週間を目安に少しずつ頑張る方法なら、続けていけそうな気がしますね。
 

photo:Thinkstock / Getty Images

岡島 義

監修

博士(臨床心理学)

岡島 義

認知行動療法および睡眠心理学を専門とし、睡眠問題が及ぼす精神・身体症状、対人関係、社会生活への影響について研究を続けている。主な著書に、『薬を手放し、再発を防ぐ 認知行動療法で改善する不眠症』(すばる舎)、『4週間でぐっすり眠れる本』(さくら舎)など。

東京家政大学 人文学部心理カウンセリング学科 准教授


※体験談は個人の感想であり、特定の効能・効果を保証したり、あるいは否定したりするものではありません。
編集部内で信頼できると判断した情報、並びに医師や専門家への取材を元に信頼性のある情報提供を心がけておりますが、自己の個人的・個別的・具体的な医療上の問題の解決を必要とする場合には、自ら速やかに、医師等の適切な専門家へ相談するか適切な医療機関を受診してください。(詳細は利用規約第3条をご確認ください)

眠りのQ&A