不眠を感じたら試してほしいベッドとの付き合い方6つのポイント

こんにちは、睡眠コンサルタントの土井です。連載の第3回目となります。私は幼い頃から約20年もの間、不眠に悩み苦しんできました。

また、病院での治療も10代の頃からはじめ、睡眠薬の服用も5年以上の経験があります。そんな私も紆余曲折あり、連載1回目 でご紹介した通り、色んな方法を試しながら、やっと数年前に不眠を克服することができました。

 

今回は、病院に行く前に試してほしいことをテーマに書いていきたいと思います。

 

病院に行くのはやっぱり抵抗がある…

「できれば病院に行かずに、不眠を解決したい」
「睡眠の悩みはあるが、病院に行くほどでもない」

そう思う方は少なくないでしょう。

 

1人で悩まずに病院に行くこともいい選択肢だと思うのですが、経験者としてこの気持ちはとてもよくわかります。病院に行っている自分、睡眠薬を飲んでいる自分をイメージすると、なんだか心が重いんですよね。

「今の睡眠薬は安全」と説明されても、当事者としてはどうしても抵抗感があるものです。さらに、病院に行くと費用も時間もかかります。病院に行かずに悩みが解決できるならばそれに越したことはありません。

 

この記事を読まれている方は、すでに色んな方法を試されてきた方だと思います。

「朝日を浴びる」
「運動する」
「カフェインやタバコを控える」
「寝具を変える」
「寝る前のスマホをやめる」
 
など一般的にオススメされていることを試してみたけども、いまいち効果が見られなかったという方も多いのではないでしょうか。

 

「これでもうまくいかないならあきらめよう・・・」

そう思いはじめている人もいるかもしれません。

 

今回はそんなあなたに、ぜひ試して欲しい方法を紹介したいと思います。色んな方法があるとは思いますが、個人的にすごく効果があったものを選ばせて頂きました。

ただし、不眠の症状や原因によっては効果がないこともありますので、しばらくの間試しても症状が改善されなかった場合は、病院に行くなど専門的な治療を受けることをご検討下さい。

 

① ベッドでの過ごし方を見直す

不眠を改善するためには、日中の習慣や寝る前の習慣が大事ということはよく言われていることです。では、ベッドでの過ごし方について考えたことありますか?

実はベッドでの過ごし方も不眠を解決するためには非常に大切になってきます。不眠の方にはその過ごし方にある共通した特徴があります。それは、ベッドで眠れない時間を過ごしている時間が長いということです。

 

これはよく考えると、当たり前のことのように聞こえます。

「不眠で眠れないから、ベッドで眠れない時間が長いのは当然じゃないか!」と思われる方もいるでしょう。

 

しかし、その習慣が不眠を慢性化させているかもしれないのです。慢性的に不眠な方はストレスなど、不眠を継続させるようなわかりやすい理由がないことが多いのです。

思い当たる理由があればなんとか対策ができるものの、特に思い当たる理由もない。だからこそ、より一層悩みが深くなるのです。

 

実は不眠を慢性化させている原因の一つが、ベッドでの過ごし方にある可能性があります。ベッドに入っても眠れないというのは非常につらいことです。

眠れないことが習慣化すると、「また今日も眠れないのではないか?」とベッドに入る前から不安になってしまいます。

眠れない経験を重ねることで、無意識のうちに「ベッド」と「眠れないこと」とが結びついてしまうようになるのです。するとベッドに入った瞬間、身体は勝手に眠れないモードに入ってしまいます。

 

いわゆる“条件づけ”と呼ばれるものです。

「ベッドに入るまでは眠たくて仕方なかったのに、ベッドに入ったら眠くなくなった」
「毎日くたくたなはずなのに、なぜか眠れない」

そんな方は、ベッドと眠れない経験が結びついてしまっているかもしれません。こういう方の特徴として、ベッド以外では意外に寝られる、ということがあります。

 

例えば、ベッドではなかなか寝付けない人もソファーや電車、バスの中など睡眠についてあまり意識してないところではすっと眠れるのです。

 

「眠れないこと」と「ベッド」が一度結びついてしまうと、無意識に反応してしまうので意識しても抑えることができません。

「気にするな」と言われても、身体が勝手に反応してしまい、眠りにくい状況になってしまうのです。これが慢性化の理由の一つです。

 

② 成功体験が不安を取り除く

「ベッド」と「眠れないこと」との結びつきは、ある行動で徐々になくすことができます。

それは「眠れる」という成功体験を積み重ねることです。「眠れない」という失敗体験を、成功体験によって塗り替えることができるのです。

 

そしてその具体的な方法が、
「眠くなるまでベッドに入らない」と
「眠れない場合はベッドからでる」ということです。

これはどちらもできるだけ、ベッドの上で眠れない時間を減らすための行為です。成功体験を増やすといっても、もちろん突然眠れるようになるわけではありません。

 

そこで、眠れないでベッドにいる時間を減らすことによって相対的にベッドで眠れる割合を増やし、成功体験を増やしていくのです。

 

③ 眠くなるまでベッドに入らない

まずは、「眠くなるまでベッドに入らない」ということ。不眠の方は「今日こそは睡眠不足を補うため早く寝よう」とついつい早めにベッドに入りがちです。

 

しかし、眠ることのできる時間というのは、体内時計のリズムである程度決まっています。したがって、早くベッドに入っても早く寝られるわけではなく、眠れない時間を増やしてしまうだけに終わることが多いのです。

 

そこで、眠気がでてくるまでベッドに入らないという意識をするだけでかなり変わってきます

例えば、同じ午前2時に眠れるのだとしても、午後11時にベッドに入って3時間眠れない経験をするか、午前1時30分に入って30分だけ眠れない経験をするかでは、眠れないことに対する印象が変わってきます。

 

眠れない時間を減らすことで、「ベッド=眠れない」という条件づけをなくし、「ベッド=眠れる」という新しい条件づけに変えていくことができるのです。

 

④ 眠れない時はベッドからでよう

「ベッドに入ったら眠気が消えた」というように、自覚的な眠気と実際に眠れることが結びつかない場合もあります。また、頭ではわかっていても不安で早めにベッドに入ってしまうということもあるでしょう。

 

いざベッドに入っても眠れない場合は、思い切ってベッドから出ましょう

そして再び眠気が感じたタイミングでベッドに戻ります。戻ってもまた眠れないようであれば、ベッドから出て、さらに眠気が出てくれば再びベッドに戻る、を繰り返します。

 

眠れずにベッドを出るタイミングは自分で「眠れなさそうだな」と感じたタイミングでかまいません。ひとつの目安としては15分〜20分くらいと考えるとよいでしょう。

ただし、時計を確認し厳密に15分〜20分で出ようと思うと逆にそれが眠れない原因になるので注意が必要です。

 

⑤ あらかじめやることを決めておく

「ベッドの使い方を変える」を成功させるポイントは、ベッドに入るまでやベッドから出たときにやることを事前に決めておくことです。

 

私も実践しはじめた頃は、過ごし方がわからずに結局早めにベッドに入ってしまったり、暇をつぶそうとスマホやPCを触っているうちに、逆に頭が冴えて眠れなくなってしまったこともありました。

そういった状況を防ぐためにあらかじめやることを決めておくのです。

 

私の場合は、たまっていた本やテレビ番組を観る時間と決めました。するとその時間が単に眠れない苦しい時間ではなく、有効な時間として考えられるようになり、精神的にも楽になりました

興奮しないような内容で自分がリラックスできるような内容を選ぶことが大切です。

 

⑥ 普段からベッドを睡眠以外で使わないのも大切

ベッドと眠れないことの条件づけをなくすということに関してもう一つ普段からできる工夫があります。

それは「ベッドを睡眠以外で使わない」ということです。

 

例えば、ベッドの中で本を読んだり、スマホを触ったりなど睡眠と関係ないことを習慣的にしているとその行動に対しても条件づけができてしまうのです。

そうするとますます「ベッド=眠れない」という無意識レベルの結びつきが強くなり、不眠の慢性化につながります。

 

不眠が続くと疲れを感じやすくベッドの上で過ごすことが増えるかもしれませんが、普段から少しだけでも意識してみるときっと変わるはずです。

 

さいごに

今回はベッドの使い方、ベッドとの付き合い方に関してご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?

 

私もはじめはベッドの使い方など意識したこともなく、「本当にこれで効果あるの?」と正直半信半疑でした。さらに、「ベッドにぎりぎりまで入らない」、「眠れなかったらベッドから出る!」という行動は慣れるまで大変な部分もありました。

 

しかし、数週間続けているとはっきりとした効果を感じられるようになりました

その効果は自分でも驚くものでした。ベッドの使い方が不眠に関係しているなど想像もしていなかったので、その感動はひとしおでした。ぜひ皆様にも同じような驚きや感動を感じてもらえればうれしいです。

 

実践のポイントは初めから完璧にやろうとせず、「できる範囲でやってみる」、「普段から少し意識してみる」ではないかと思います。

「日中の習慣や寝る前の習慣を改善してみたけど、あまり効果がなかった!」

そんな方は一度ベッドの使い方を見直してみてはいかがでしょうか?

 

photo:Thinkstock / Getty Images

土井 貴仁

執筆

睡眠健康指導士

土井 貴仁

幼少の頃から不眠症に悩み、高校生の頃から睡眠導入剤を服用しはじめる。不眠症を患ってから2年以上たったある日、カウセリングを通じた「認知行動療法」に出会い不眠症を克服する。自らの経験を生かし、一人でも多くの人の為になりたいという想いから「一般社団法人日本睡眠教育機構」認定資格である「睡眠健康指導士」を取得。 不眠症における認知行動療法を受けることのできる医療機関の少なさ、地域格差に問題意識を持ち、Web上で認知行動療法が実践できる仕組みづくりに奮闘している。その他講演活動や執筆活動など幅広く活動中。


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