時計と眠れない女性

夜、眠れないときの対処法|寝る前・日中・朝にできる13の方法

5月病や11月病といわれる症状の一つに不眠が挙げられるように、環境の変化に慣れてくる時期、季節の変わり目や日の出入りの時間の変化に身体がついていかない時期は、「眠れない」という症状を訴える人が増加します。

そこで、「眠れない」を今すぐ、眠る数時間前から、起床後から日中にかけてなど、時間帯別に解消するテクニックについて説明します。

眠れない時に今すぐできる3つの快眠術

枕の上に頭を乗せて横たわり、仰向けでタブレットを見る女性

布団やベッドに入ってもなかなか眠れないときは、身体をリラックスさせる方法を試してみましょう。それでも眠れないときは、思い切って寝床から出てしまうのも手です。ここでは、「眠れない…」と焦る前に試したいテクニックを説明します。

 

1.筋弛緩法

筋弛緩法とは、意識して各部位の力を入れたり抜いたりすることを繰り返し、身体の力を抜く感覚をつかむ方法です。この方法を取り入れることで、心身の緊張がほぐれ、寝つきや睡眠の質が改善します。

方法は次のとおりです。

  1. 椅子に腰掛ける
  2. リラックスしたい身体の部位に8割程度の強さで力を入れる
  3. 力を入れたまま維持し、5秒たったら一気に力を抜く
  4. 20秒ほど筋肉が緩んでいる感覚に集中する
  5. 2〜4を何度か繰り返す

 

この動作を手、腕、首、肩と上半身、背中とお腹、足、最後に全身と身体の各部位ごとに順番に行います。すべての部位で行うと15分程度かかるため、時間がない場合は特に効果を感じる部分だけでも構いません。

力の入っている状態と抜けている状態を感覚として認識する必要がため、テレビや音楽などは消し、集中できる静かな環境をつくりましょう。

 

2.丹田呼吸法

丹田とは、お腹の奥にある部位で、気の心臓といわれるツボのような場所です。おへそから5センチ下、そこからさらに5センチ背中に向かって身体の中心へ進んだところにあります。この丹田を意識して深い呼吸を行うことで、自律神経のバランスを整え、穏やかな精神状態をつくることができます。

方法は次のとおりです。

  1. 布団など少し柔らかい場所であぐらか正座をする
  2. 力みすぎない程度に背筋を伸ばす
  3. おへそから5センチ下の場所に両手を置く
  4. 静かに鼻から深く息を吐いて、丹田に向かってお腹をへこませるように吐き切る
  5. へこんだところから、手を置いている丹田を意識して再びお腹をふくらますように鼻から息を吸う
  6. 4〜5を何度か繰り返す

 

息を吐くときも吸うときも、深い呼吸を意識することが大切です。また、この呼吸法は仰向けの姿勢で寝転んで行うこともできます。呼吸法を繰り返すうちに眠くなれば、そのまま寝てしまってもよいでしょう。

 

3.寝床から出る

ベッドや布団に入って15~30分経っても寝付けないときは、思い切って寝床から出てしまうのも有効な方法です。眠れないまま寝床にいると「眠ろう」という意識によるストレスで交感神経が優位になり、さらに眠れなくなってしまいます。

寝床から出たら、音楽を聴いたりストレッチをしたりと、自分なりにリラックスできることを試してみましょう。副交感神経が優位になり、そのタイミングで寝床に戻るとスムーズな眠りにつながるはずです。

 

寝る前に行う4つの快眠術

ポットからカップへ注がれるコーヒー

睡眠に大きな影響を与えるのが、寝る前の過ごし方です。入浴や飲食などの習慣や睡眠環境を見直して、スムーズな眠りにつなげましょう。

 

1.入浴のタイミングに注意する

人間は深部体温(※1)が下がっていくタイミングで、自然に眠気が訪れます。そのため、入浴して身体を温め、その後、自然に体温が下がっていくタイミングと就寝時間が重なれば、スムーズに入眠することができます。

(※1)深部体温とは、脳や内臓などの体の内部の温度のこと。

 

効果的な入浴法

お湯の温度が熱すぎると、入浴後に身体が火照って目がさえたり、寝苦しさにつながったりします。自然に体温が下がっていく時間を考えると、就寝時間の1〜2時間前に38〜40度のぬるま湯に入ることが効果的です。

また、ゆっくりと肩まで湯船に浸かることで、血圧や脈拍が下がり、休息を司る副交感神経が刺激されます。リラックス効果を高めるためにも、シャワーではなく、半身浴や全身浴がおすすめです。

 

2.寝る前の飲食に気をつける

就寝前の飲食により、睡眠の質を下げてしまう可能性があります。アルコールとの付き合い方や食事の時間や内容を見直しましょう。

 

飲酒

アルコールは脳の感覚中枢を麻痺させるため、お酒を飲むとリラックスでき、寝つきがよくなるという人もいるかもしれません。しかし、体内でアルコールが分解されるときに発生するアセトアルデヒドという物質は、睡眠を妨げて眠りを浅くする性質があります。アルコールの摂取は就寝の3時間前までにしましょう。

また、アルコールの摂取量にも注意が必要です。成人男性のアルコール摂取量の目安は、ビール中びん1本、日本酒1合、ワイン2杯です。女性は男性よりも、肝機能の働きが低く、アルコールを分解するためにより多くの時間を必要とするため、これよりも少なめを目安にしてください。

 

食事

寝る直前に食事をすると、就寝後も胃腸が消化のために働き続けるため、熟睡を妨げてしまいます。肉や脂っこいものは消化に時間がかかるので、炭水化物を中心とした和食を、就寝の2時間前には食べ終えているのが理想です。また、決まった時間に食事をすることで、生活リズムも整いやすくなります。

 

3.ブルーライトを避ける

暗くなると、メラトニンという睡眠ホルモンが増えて眠くなります。しかし、テレビやコンピューターの画面などが発しているブルーライト(青い光)は、このメラトニンの分泌を抑えてしまいます

そのため、寝る前の1時間はテレビやコンピューターだけでなく、スマホやタブレット、ゲーム機などのディスプレイ画面を見ないように気をつけましょう。

 

4.睡眠環境を整える

快適な眠りのためには、睡眠環境を整えることも大切です。寝具や寝室も見直してみましょう。

 

マットレス・枕

マットレスも枕も、基本的には立っているときと同じ姿勢になるものを選ぶことが大切です。マットレスは、寝たときに腰が反る感じがしたり、のどが圧迫されたりするなどの不快感がないかをチェックしましょう。枕の高さは6〜10センチが基本です。頭を乗せたときのフィット感や通気性も意識してください。

 

寝室の温度・湿度

寝室が暑すぎても寒すぎても寝つきにくくなります。夏は温度26度、湿度60%が最適です。暑すぎる夜はエアコンに頼っても構いませんが、風が直接身体にあたらないように気をつけて、パジャマや寝具でも調整しましょう。

冬は温度18〜23度、湿度50〜60%が理想的です。暖房器具に頼るだけでなく、厚手のカーテンに掛け替え、昼間の室内の熱を逃さないように工夫をしましょう。湿度は、加湿器を使うほか、観葉植物を置く、濡れタオルを干すなどで保つこともできます。

 

朝~日中に行う6つの快眠術

窓に向かって両手を上げて座る後ろ姿の女性

人間には「朝、太陽が昇ると目が覚めて、夜になると眠くなる」という体内時計が備わっています。体内時計は24時間より少し長いサイクルで刻まれているため、時計の1日24時間サイクルから少しずつずれていってしまいます。

朝~日中の生活習慣を見直して、体内時計のずれを調整し、眠りやすい身体をつくりましょう。ここでは、身体の内側から眠れる状態に整えるテクニックについて説明します。

 

1.起床時間を一定にする

前日の就寝時間が遅かったなどの理由で寝坊すると、睡眠サイクルが狂ってしまいます。そのため、朝はできる限り同じ時間に起きて、体内時計を整えることが大切です。

睡眠不足が続くなどで、どうしても長く眠りたいときは、体内時計のリズムを乱れにくくするために、いつもの起床時間とのズレを2時間程度におさめてください。

 

2.太陽の光を浴びる

体内時計は強い光を浴びるとリセットされるという性質があります。そのため、朝、カーテンを開けて太陽の光を浴びるだけで体内時計のずれを修正することができます。

また、明るい光が目の網膜に入ると信号が脳に伝わり脳内物質の一種であるセロトニンの分泌が活性化され、血圧や呼吸、心拍が活動的になるので、脳が覚醒し、スッキリと目覚めることもできます。

 

3.朝ごはんを食べる

食事をすると身体が目覚め、その情報が脳へ伝わり、脳が「食事をすると活動する時間だ」と記憶するようになります。食事の時間を一定にすることで、体内時計が調整されやすくなるので、起きてから1時間以内に朝食を食べるようにしましょう。

 

4.適度な運動をする

運動をすると、眠気を引き起こす働きのある脳内物質の「睡眠物質」が多くつくられます。ウォーキングやジョギングなど、自分に合った運動を1日30分程度取り入れると良いでしょう。なかなかまとまった時間がとれない人は、少しでも歩く、階段を使う、軽いストレッチを行うなど身体を動かす意識を持ちましょう。

 

5.仮眠をとる

脳や身体をよく使うと、睡眠を引き起こす脳内物質である睡眠物質が溜まり、人間は自然に眠くなります。この睡眠物質を効率よく溜めるには、身体の活動量が下がりやすい時間に仮眠をとり、日中を通じて身体の適度な活動量を維持することが有効です。

具体的な仮眠時間は、昼食後から午後3時までの間で20分程度です。遅い時間の仮眠や眠りすぎは夜の睡眠に影響を与えるので控えでください。

 

6.カフェインの摂取を控える

覚醒作用のあるカフェインは、食品に含まれる天然の食品成分の一つで、コーヒーや緑茶、紅茶のほか、コーラなどの清涼飲料水やエナジードリンク、チョコレートなどの食べ物にも含まれています。

このカフェインには、3〜5時間の持続時間があるため、夕方に摂取したカフェインが眠りを妨げてしまう可能性があるのです。少なくとも寝る前の4〜5時間以内にカフェインをとることを控えましょう。

Photo: Getty imagaes

坪田 聡

監修

医師・医学博士

坪田 聡

医師として睡眠障害の予防・治療に携わる一方で、睡眠改善に特化したビジネス・コーチとしても活躍中。「快適で健康な生活を送ろう」というコンセプトのもと、医学と行動計画の両面から睡眠の質を向上させるための指導や普及に尽力。総合情報サイトAll about 睡眠ガイド。 「睡眠専門医が教える! 一瞬で眠りにつく方法」(TJMOOK 宝島社)、「パワーナップ仮眠法」(フォレスト出版)他、監修・著書多数。

医療法人社団 明寿会 雨晴クリニック 副院長

Site: http://suiminguide.hatenablog.com/


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