電車と本に共通点!眠くなるワケと眠気を誘うメカニズムとは

普段寝るときは不眠に悩んでいても、電車だとスッと寝てしまうなんて人も多いはず。 どうしても眠れないときに、あの感覚で眠りにつくことができればいいのに…!

乗り物と睡眠の関係に詳しい、スリープクリニック調布の遠藤拓郎先生によると、電車などの乗り物で眠くなるのは、「馴化」(じゅんか)という身体の作用が原因なのだそう。

 

知らないうちに利用している? 「馴化」を使って眠気を誘え!

馴化とは、同じ刺激を受け続けると、その刺激に対する反応が鈍くなり、刺激として感じなくなってしまうこと。

 

電車に乗っていると、ガタンゴトン……という単調なリズムの揺れに身体がな(馴)れ、次第に眠くなってしまいます。また、高速道路を走っているときに眠くなるのも同様。

道路の継ぎ目による車体の振動や、変化が感じられない景色に身体がなれてしまうことが原因です。

 

電車内や高速道路を走っている車の中で感じる眠気は、かなり強いですよね。馴化を応用して、この眠気を手に入れる方法はないのでしょうか?

「実は、知らず知らずのうちに馴化を取り入れている人は多いです。例えば、寝る前にベッドで難しい本を読むと眠くなりますよね。あれは、まさに字面だけを追う目の動きになれたという馴化が原因です」と遠藤先生。

 

眠れないときは、光や音など些細な刺激が気になってしまうものですが、それとは別の刺激を与え、さらにその刺激に馴化すれば、眠気を誘うことができるそう。

逆に、そうした外からの刺激が一切ない状態だと、なかなか眠ることは難しいのだとか。

 

「人間は、全く外的刺激がない状態に置かれると、頭の中で何かを考えようとしてしまいます。そして、そんなとき思い出すのはたいてい悪い記憶。

その結果、グルグルと良くない方向へ考えが巡ってしまい、眠れなくなってしまいます。ですから、実は、眠るときはある程度、外的刺激があったほうがいいんです」(遠藤先生)

 

ただ、電車で眠くならない人がいるように、馴化の程度は人によって異なります。中には、大音量の音楽が流れるロックコンサート中でも、ドラムのリズムになれてしまって眠くなる人がいるのだとか…。

「外的刺激があると眠れないという人は、悪い記憶を思い出さないように、好きなことを考えるといいですね。例えばゴルフが趣味の人なら、調子が良かった過去のラウンドを、スタート時から1打1打思い出すのがおすすめです。

思い出しているうちに、記憶があいまいになり、自然と眠りに入りやすくなりますよ」(遠藤先生)

 

寝るのは簡単、起きるのは…。揺れは眠りに活用できるか?

現在、揺れへの馴化を利用した寝具などが研究されており、実際に商品化されたものもあります。

 

「馴化を利用して眠気を誘うなら、比較的強めの揺れのほうが、他の刺激を打ち消す作用が強いので効果的です。

身体全体を揺らしたほうが効果的ですが、身体の一部分に揺れを与えるだけでも、効果はありますよ」(遠藤先生)

 

ただし、馴化しやすい揺れの強さは人それぞれ。電車で眠れないなど、揺れの刺激に馴化しづらい人は、単調な波の音など、揺れ以外の刺激を活用したほうが有効かもしれません。

とはいえ、快適な入眠のキーワードとして覚えておきたい「馴化」。眠れない夜に、意識して取り入れてみてもよいかもしれませんね。

photo:Thinkstock / Getty Images

遠藤 拓郎

監修

医師・医学博士

遠藤 拓郎

睡眠学会認定医師。日本精神神経学会 精神科専門医。東京慈恵会医科大学助手、北海道大学医学部講師を経て、2005年にスリープクリニック調布、2007年スリープクリニック銀座、2009年スリープクリニック青山を開院。現在はスリープクリニックを統合し東京睡眠医学センター長を務める。睡眠に関するグッズ開発にも数多く携わっている。主な著作に、『4時間半熟睡法』『朝5時半起きの習慣で、人生はうまくいく!』など。

東京睡眠医学センター長(スリープクリニック調布 院長)


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