あくびをする女性

眠りが浅い人の傾向は?|原因とぐっすり寝るための対策

朝、目が覚めても寝足りないと感じたり、夜中に何度も目が覚めたりするのは、眠りが浅いことに原因があるかもしれません。眠りが浅いと、睡眠時間を十分に確保しても疲れが取れず、昼間も眠気を感じてしまいます。今回は、眠りが浅くなってしまう原因とぐっすり寝るための対策を紹介します。

眠りが浅くなる4つの原因

机に突っ伏して眠る男性

熟睡できず、眠りが浅くなってしまう理由には、体内時計の乱れや加齢など、さまざまなものが考えられます。まずは、眠りが浅くなってしまう原因を知ることが大切です。

 

体内時計の乱れ

体内時計とは、「朝になると目が覚め、昼は活動的に過ごし、夜は眠る」という生活のリズムをつくり、身体の健康を維持するための機能です。このリズムは睡眠や覚醒を司るホルモンによってコントロールされており、ホルモンの分泌は寝起きしたり、光を浴びたり、食事をしたりする時間に影響されます。

夜更かしをして遅くまで明るい光を浴びていたり、寝起きする時間がバラバラになったりするなど生活習慣が乱れると、ホルモンの分泌される時間が乱れたり、十分に分泌されなかったりして体内時計が乱れます

例えば、メラトニンは睡眠を司るホルモンであり、起きてから約14〜16時間が経過すると分泌され始め、就寝前の1〜2時間前に上昇し、スムーズな入眠を促します。生活習慣が乱れ、メラトニンが不足すると、寝つきが悪くなったり、中途覚醒が増えてしまったりして、眠りが浅くなる原因になります。

 

ストレス

ストレスがたまると、脳から「コルチコトロピン(CRH)」という睡眠を抑制する作用があるホルモンが分泌されるため、眠りが浅くなります。また、ストレスに適応するために「コルチゾール」という副腎皮質ホルモンの分泌量が増加します。このコルチゾールは体温や血圧、血糖値などを上げる作用があり、就寝直後の深い眠りのときに分泌が抑制されますが、朝目覚める頃に増えて脳の覚醒を促して活動するために多く分泌されます。

ストレスにより夜になってもコルチコトロピンやコルチゾールの分泌が抑えられないと、寝付きが悪く、熟睡できなくなってしまいます。

コルチゾールの血漿濃度の変化
コルチゾールの分泌のリズムと睡眠の深さ(睡眠段階が大きいほど、深い眠り)

 

自律神経の乱れ

自律神経とは、肺や心臓、呼吸器、消化器など自分の意思でコントロールできない内臓器官の活動を整える神経で、交感神経と副交感神経の2種類があります。交感神経は昼の神経ともいわれていて、これが活発だと眠気が起こりにくい状態になります。一方、副交感神経は夜の神経ともいわれ、これが交感神経より優位になると、眠気が強くなります。

不規則な生活や冷え、肩こりなどで自律神経のバランスが乱れると、夜になっても交感神経の活動が優位なままになり、眠りが浅くなってしまいます

 

加齢

加齢に伴い、体力や食欲が落ちるのと同様に、睡眠の質も落ち、深い睡眠をとれる時間が減ってしまいます。また、加齢とともに必要とされる睡眠時間は減っていきます

一方で、年齢別の睡眠時間の調査では40~50代の睡眠時間が最も短く、60代から睡眠時間が長くなる傾向があります。そのため、より深い睡眠をとることが難しくなり、夜中に目を覚ます中途覚醒が増えたり、朝早く目が覚めてしまう早期覚醒が起こったりして、眠りが浅いと感じてしまう人が増えてしまいます。

 

睡眠の質をUPさせるための対策12選

ウォーキングする女性

眠りが浅いと自覚しながらそのままにしていると、疲れが取れず、日中も眠くなったり、やる気や集中力が低下したりと、日常生活にも支障が出てしまいます。普段の習慣などを少しずつ見直して、睡眠の質を上げることを意識しましょう。

 

体内時計を整える

前述のように、体内時計の乱れは睡眠の質の低下につながります。ここでは体内時計を整えて、睡眠の質を向上させる方法を説明します。

1.朝日を浴びる

体内時計に影響を与えるもののうち、最も強力なものは光です。朝、起きたときに太陽の光を浴びると、体内時計がリセットされ、整いやすくなります。目が覚めたらまず、カーテンをあけて朝日を浴び、体内時計を整えましょう。

2.起床時間を一定にする

体内時計を整えるには、生活リズムを整える必要があります。具体的には就寝時間と起床時間を一定にすることが好ましいのですが、仕事や付き合いなどのためにどうしても就寝時間を一定にすることが難しい場合には、起床時間を一定にしましょう。

体内時計を調整するメラトニンは、朝起きたときから脳内で分泌され始める、セロトニンという神経伝達物質を材料にして生成されます。朝決まった時間に起きてセロトニンが生成されれば、夜眠る頃にメラトニンが十分に脳に蓄積されて体内時計が整いやすくなります

3.運動をする

運動をすると、脳の動きが活発になり、睡眠物質のアデノシンやプロスタグランジンなどに代表される脳内物質が多く作られます。睡眠物質には眠気を引き起こす働きがあるため、日中、よく身体を動かして睡眠物質をためることで、夜になるとスムーズに入眠でき、夜更かしによる体内時計の乱れを防ぐことができます。

 

リラックスする

ストレスにより眠りが浅くなっている場合は、リラックスすることが有効です。自分に合うリラックス方法を探し、ストレスを和らげて眠りにつきましょう。

4.読書や音楽鑑賞

寝る前に自分の好きな本を読んだり、音楽を聴いたりすると、副交感神経が刺激され、リラックスした状態になります。ただし、頭を使うビジネス本や、時間を忘れて夢中になってしまう小説などは避けたほうがよいでしょう。音楽は、ゆっくりとした曲調で歌詞がないものがおすすめです。

5.ストレッチやヨガ

ストレスを強く感じると、心だけでなく身体も緊張します。逆に、筋肉を軟らかくすると、心もほぐれてリラックスできます。そこで、寝る前にストレッチやヨガをして心身の緊張をほぐしましょう。また、ストレッチやヨガを行うときに、深い呼吸を意識すると、副交感神経が優位になるため、睡眠の質が上がります。

 

寝る前の行動に気をつける

何気なく行っている寝る前の習慣が、眠りを浅くする原因になっているかもしれません。就寝前に気をつけるべき行動について説明します。

6.カフェインの摂取を控える

カフェインを多く含むコーヒーや緑茶などを飲むと、交感神経を刺激するノルアドレナリンという物質が放出され、スムーズな入眠を妨げる可能性があります。カフェインの効果は約4時間持続するため、寝る前の摂取は控えましょう。

7.飲酒を控える

お酒を飲むと眠くなるため、寝る前に飲酒を習慣にしている人もいるかもしれません。しかし、体内でアルコールを分解するときに発生するアセトアルデヒドという物質は、交感神経を刺激し、眠りを浅くする性質があります。アルコールの摂取は、就寝の3時間前までを目安にしましょう。

8.入浴をする

深部体温(脳や内臓などの体の内部の温度)が下がると、自然に眠気が訪れます。就寝の1〜2時間前までに入浴すると、入浴によって一度上がった深部体温が下がっていくため、自然な眠気によってスムーズに眠りにつくことができます。

9.就寝直前に食事しない

寝る直前に食事をすると、眠りに入った後も胃の中に食べ物が残ったままになります。すると、消化のために脳や内臓が活動を続けるので、休息できず、眠りが浅くなってしまいます。食べ物が消化される時間を考えると、夕食は就寝時間の3時間前に食べ終えるようにしましょう。

 

睡眠環境を整える

睡眠環境が適切でないと、睡眠の質が低下して熟睡できません。寝具や寝室を一度見直してみましょう。

10.枕を見直す

体型や好みは人によって異なるため、自分にあった枕を使うことが大切です。枕の高さは、枕を頭にのせた状態で横になったときに首のカーブ(頚椎弧・けいついこ)とマットレスや敷き布団の間が1〜6センチになるものが最適です

また、枕は立っているときと同じ姿勢を自然に保つ役割があるため、寝ている間に中身が偏ったり型崩れをしたりするものは不向きです。枕の素材も、羽、ポリエステル綿、低反発ウレタンなどさまざまなものがあるので、頭を乗せたときのフィット感や通気性も意識して、自分の好みに合ったものを選んでください。

理想的な枕の高さ

11.温度、湿度を調節する

夏場の寝室は、温度26度、湿度60%、冬は18~23度、省エネを考慮すると16~20度、湿度50〜60%が最適です。パジャマや寝具で調整できなければ、エアコンや暖房を使用してもかまいませんが、身体に直接風があたらないように気をつけましょう。

12.光、音を遮断する

脳が明るい光を感知すると、交感神経が優位になったり、体内時計が乱れたりと、スムーズな入眠を妨げてしまう恐れがあります。就寝前は、部屋の照明を落として目に入る光の量を抑えましょう。また、車や電車が通過する音など、40デシベル(図書館の環境音)を超える音がする環境では眠りにつきにくくなります。寝室のカーテンを遮音・遮光カーテンに変える、窓に紫外線カットフィルムを貼るなどの対策をとりましょう。

 

眠りが浅くなってしまう3つの病気

睡眠時無呼吸症候群の男性

眠りが浅いのは、何らかの病気が原因になっている可能性もあります。医療機関への受診が必要な場合もありますので、注意が必要です。

 

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に呼吸が浅くなったり、10秒以上停止してしまったりする病気です。息苦しさから無意識に目が覚めてしまうため、眠りが浅くなります。家族や友人からいびきが大きいと指摘されたことがある人や、肥満気味の人、顎が小さい人などは要注意です。

 

むずむず脚症候群、周期性四肢運動障害

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)とは、眠ろうとすると虫が脚をはっているようなむずむずした不快感があり、じっとしていられないほどの苦痛を伴う病気です。

また、周期性四肢運動障害は、睡眠中に膝や足の関節がピクピクと反ったり、足が蹴り上げるように動いたりする病気です。いずれの症状も睡眠を妨げやすく、眠りが浅くなってしまいます。夕方から眠る前に脚の違和感が出やすいので、気になるときは専門医を受診しましょう。

 

レム睡眠行動障害

レム睡眠行動障害とは、睡眠中に大声で叫んだり、暴れたりする病気です。放置したままにしていると、本人の眠りが浅くなるだけでなく、家族やパートナーがけがをする危険性もあるので、早めに専門医に相談してください。

 

眠りが浅い原因をみつけて、ぐっすりと眠れる対策をとりましょう。

 

<参考>
健康づくりのための睡眠指針 2014(厚生労働省)
日本人の生活時間・2015(NHK)

坪田 聡

監修

医師・医学博士

坪田 聡

医師として睡眠障害の予防・治療に携わる一方で、睡眠改善に特化したビジネス・コーチとしても活躍中。「快適で健康な生活を送ろう」というコンセプトのもと、医学と行動計画の両面から睡眠の質を向上させるための指導や普及に尽力。総合情報サイトAll about 睡眠ガイド。 「睡眠専門医が教える! 一瞬で眠りにつく方法」(TJMOOK 宝島社)、「パワーナップ仮眠法」(フォレスト出版)他、監修・著書多数。

医療法人社団 明寿会 雨晴クリニック 副院長

Site: http://suiminguide.hatenablog.com/


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