胸の痛みを感じたら…|痛みの種類と、疑うべき病気とは?

胸の痛みを感じたら…|痛みの種類と、疑うべき病気とは?

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胸の痛みを感じると、不安に感じることが多いのではないでしょうか。胸には、心臓や肺など、重要な器官が集まっています

そこで、胸の痛みを感じた時に考えられる病気や原因、予防法、応急処置などについてご紹介します。

 

胸の痛みはなぜ起こる?

胸の痛みはなぜ起こる?

胸が痛むときは、なんらかの原因によって、心臓や肺などの器官に負担がかかっている可能性があります。

重大な病気の可能性もありますが、軽い痛みや痛む頻度が高くない場合、日常生活の中に原因が潜んでいることもあります。

 

生活習慣の乱れ

糖分、塩分などの過剰摂取や慢性的な運動不足、ストレスなどが過剰になると、心臓を取り囲んでいる「冠動脈」が血管を固く、狭くしてしまいます。

これにより、心臓に血液が流れ込みにくくなり、酸欠状態になると、胸の痛みが現れます。悪化すれば重大な心臓病の原因になる「動脈硬化」を引き起こすこともあります。

 

喫煙

タバコに含まれるタールは、肺や気管支の炎症を引き起こす原因になり、喫煙者は慢性的な胸の痛みに悩まされることがあります

また、ニコチンは血圧や脈拍を上昇させるはたらきがあるため、心臓にも大きな負担がかかってしまいます。

 

肥満

肥満によって内臓に脂肪がつくと、増加した血中のコレステロールが血管の壁に付着し、血管が固く、狭くなる動脈硬化が起こりやすくなります

動脈硬化が起こると血流が悪くなり、全身に酸素が行き渡らないことによって、心臓を動かす心筋も酸欠状態に陥り、胸の痛みが引き起こされます。

 

過度な運動

運動不足の人が、急に運動をして筋肉痛になったときにも、胸の痛みを感じる可能性があります。ただし、息切れや呼吸困難などをともなう場合、肋骨の骨折などの可能性もあります

上記の原因に心当たりがない場合や、我慢できないほどの痛みに襲われた場合は、病気が原因の可能性が強くなります。

 

胸の痛みをともなう病気

胸の痛みをともなう病気

胸の痛みが症状として現れる病気は、主に心臓、肺、消化器が関連する病気が多数を占めます。原因や痛みの特徴が異なるので、下記をチェックしてみましょう。

 

狭心症

血管が固く、狭くなってしまうことが原因で起こる心臓疾患の一つです。血液の流れが悪くなり、胸の痛みや冠動脈にけいれんが起こります。

原因

肥満や喫煙、過度の飲酒、食生活の乱れ、運動不足、ストレス、遺伝的要因など

狭心症による痛みの特徴

・胸が締め付けられたり、圧迫されるような痛みが発生し、次第に肩、腕、首、下顎、上腕へ広がっていくことがある。
・軽〜中程度の痛みが起こる。不快感の方が強いこともある。
・痛みは10分以内におさまることが多い。
・寒い日や食後、ストレスを感じたときに痛む。
・安静にすると、痛みが和らぐことが多い。
・呼吸困難や吐き気、発汗をともなうことがある。

 

心筋梗塞

心筋梗塞は血管がつまってしまうことで起こり、胸の痛みをともなう心臓疾患です。狭心症と原因や症状が似通っているため、混同されることがありますが、心筋梗塞は命に関わる恐ろしい病気です。

心筋梗塞の特徴

・早朝や夜中など、時間や行動に関係なく痛みが生じる。
・胸をえぐられるような、強烈な痛みが起こる。
・痛みが30分以上続くことが多く、安静にしていてもおさまらない。

 

気管支炎

気管支が、炎症を起こしてしまう病気です。気道が狭くなるため、呼吸がしづらくなる症状もみられます。

原因

喫煙、受動喫煙など

気管支炎による痛みの特徴

・胸骨(※)の上部や側方が痛む。
・焼けるような痛みを感じる。
・軽〜中程度の痛み。
・痛みの継続時間は、症状の度合いや人によって異なる。
・咳をすると痛むことが多い。

(※)胸の中央部にあり、肋骨と接する長く平らな骨

 

逆流性食道炎

胃液や胃の内容物が食道に逆流することにより、食道の粘膜に炎症が起こる病気です。

原因

食生活の乱れによる胃酸の過剰分泌、食道の筋肉の衰え、ベルトや衣服による胃の圧迫など

逆流性食道炎による痛みの特徴

・胸骨の背中側、顎に痛みを感じる。
・痛みの度合いは、人によってさまざま。
・痛みの継続時間は、症状の度合いや人によって異なる。
・かがんだり、横になったりすると痛むことが多い。
・制酸薬の服用や、げっぷで和らぐことが多い。

 

乳房の痛みについて

第二次性徴期には、胸や乳房に痛みを感じることがあります。その痛みの理由のほとんどが女性ホルモンによるものですが、痛みの原因に病気がある可能性も考えられます。

月経前の痛み

生理周期によって女性ホルモンのバランスが変化すると、乳腺内の血管の膨張や乳腺組織が増加し、乳房に張りや痛みを感じることがあります。痛みは両方の乳房に起こり、乳房全体が痛むことが多くみられます

 

乳腺症

乳腺に良性のしこりができる病気です。30~40代に発症することが多く、触れるとわかるほどのしこりができます。乳がんと間違えられることもありますが、乳腺症のしこりは月経前になると大きくなり、月経が始まると小さくなっていきます。痛みを感じる場合も、月経が始まると和らいでいきます

 

乳がん

乳房にできる悪性の腫瘍で、日本での患者数は年間約5~6万人にのぼります。胸の痛みのほか、乳房のしこりやえくぼのようなへこみが現れますが、人によっては痛みがないこともあります。
 
そのため、触診などによってしこりの有無を検査することが、効果的な診断方法の1つです。気付かずに病状が悪化してしまうと、がん細胞がリンパ液や血液によって運ばれ、肺、肝臓、骨などにまで転移していきます。

乳がんの症状

代表的な症状は、乳房にできるしこりや乳頭からの出血です。自己検診でも気付くことができますが、定期的に検診に行くことが推奨されています。

乳がんの治療法

ほかのがん治療と同様、手術と放射線治療、薬物治療が一般的です。ただし、症状の進行具合などによっては、乳房を丸ごと切除しなければならない場合もあります。切除する場合、乳房を残してしこりを切除する方法と、乳房と一緒にわきの下のリンパ節を切除する方法があります。 

 

胸の痛み方や痛みを感じる場所によって、ある程度は原因となる病気を判断することができます。上記いずれかに当てはまる場合は、早めに病院に行きましょう。

 

胸の痛みを感じた時に覚えておきたい対処法

胸の痛みを感じた時に覚えておきたい対処法

日常生活の中で急に胸の痛みに襲われた時、病院へ行く前に、その場でできる応急処置についてご紹介します。

その場でできる応急処置

  • その場で安静にする
  • 呼吸しやすいように、ネクタイやワイシャツの襟のボタンを外す
  • ベルトを緩めたり、スカートのホックなどを外したりして楽な状態にする

 

強い痛みや、めまい、冷や汗、息苦しさをともなうなどの重篤な症状が見られる時は、上記のような応急処置をしつつ、同時に救急車を呼び至急の対処をしましょう。

 

胸の痛みの予防法

胸の痛みの予防法

先述の通り、心臓や肺の病気の原因として、生活習慣の乱れやストレスが挙げられます
食生活が偏りがちな人や、運動不足気味な人は、一度自分の生活を見直してみましょう。

 

食生活の改善

脂肪、糖分、塩分などの摂りすぎは、血管が固く、狭くなってしまう「動脈硬化」の原因の一つです。

  • 脂肪分の多い肉類や揚げ物を控える
  • 高血糖値やメタボリックシンドロームにつながる糖分を控える
  • 薄味のものを選ぶ

など、できることから工夫して食生活を整えるようにしましょう。
 
また、食べる物に注意しても、早食いやまとめ食べ、ながら食べをしてしまうと、脂肪の摂取量が上昇し、肥満体になりやすくなります。こうした食べ方は心臓に負担をかけてしまうため、健康的なメニューを、ゆっくりよく噛(か)んで食べるようにしましょう。
 
さらに、アルコールや香辛料など、刺激の強いものは胃酸の分泌を促します。胸焼けや逆流性食道炎の原因になることもあるため、できる限り控えましょう。食後に30分ほど座って休憩して胃を休め、消化の負担を減らすことも、胃への刺激を防ぐためには効果的です。

 

禁煙・減煙する

喫煙は心臓病や気管支の病気の原因となり、胸の痛みをより深刻化させる可能性があります。できることなら、禁煙や減煙に取り組みましょう。どうしても吸いたくなったときは、身体を動かしたり、飲み物を飲んだりして気を紛らわせるのも1つの方法です。

 

軽い運動を習慣づける

適度な運動は血液の循環を促進し、心臓の負担を軽くしてくれます。ただし、運動不足の状態から急に激しい運動をすると、心臓や筋肉に大きな負担がかかります。準備運動をしっかり行い、ウォーキングなどの軽い運動から挑戦してみましょう。

 

寒暖差に気をつける

急な寒暖差も、胸の痛みの原因になることがあります。冬に暖かい部屋から寒い屋外へ出るときや、暑い夏に冷房の効いた室内に入るときなどは、急激な温度変化で血管が収縮し、血圧が急上昇します。心臓にも大きな負担がかかるため、上着を持ち歩く、エアコンやホットカーペットで部屋の温度を調節するなどの工夫が必要です。
 
また、冬のお風呂にも要注意。熱いお湯にいきなり浸かると、心臓に過度な負担がかかります。湯船に浸かる前に足元からかけ湯をして、少しずつ身体を温めてから浸かるようにしましょう。温度と水圧で心臓に負荷をかけすぎないよう、40℃くらいのぬるめのお湯で半身浴をするのがおすすめです。

 

十分な睡眠をとる

十分な睡眠をとることは、ストレス解消にも効果的。心と身体をしっかり休めることができるよう、睡眠時間の確保にも気を配りましょう。
 
生活習慣からくる胸の痛みは、少しの工夫でも改善することができます。ただし、胸の痛みは身体に何らかの負担がかかっているサイン。あまり楽天的に考えすぎず、痛む場所や痛み方をよく観察し、適切な対応を心がけてください。
 
<参照>
『パーフェクト総合診療医 原因不明の胸痛診断ガイドブック』林田康男(x-knowkedge)
『動悸・息切れ・胸の痛みが気になったら読む本』赤塚宣治(小学館)
 
タケダ健康サイト 胸の痛み
http://takeda-kenko.jp/navi/navi.php?key=muneitami
タケダ健康サイト 乳房の痛み、しこり
http://takeda-kenko.jp/navi/navi.php?key=chibusaitami
厚生労働省 e-ヘルスネット 狭心症・心筋梗塞などの心臓病(虚血性心疾患)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-005.html
厚生労働省 e-ヘルスネット 慢性気管支炎
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/tobacco/yt-045.html
ピンクリボンフェスティバル 乳がんとは 資料『もっと知りたい乳がん —あなたを守る検診のすすめ—』
http://www.pinkribbonfestival.jp/about/
 

photo:Getty Images

坪田 聡

監修

医師・医学博士

坪田 聡

医師として睡眠障害の予防・治療に携わる一方で、睡眠改善に特化したビジネス・コーチとしても活躍中。「快適で健康な生活を送ろう」というコンセプトのもと、医学と行動計画の両面から睡眠の質を向上させるための指導や普及に尽力。総合情報サイトAll about 睡眠ガイド。 「睡眠専門医が教える! 一瞬で眠りにつく方法」(TJMOOK 宝島社)、「パワーナップ仮眠法」(フォレスト出版)他、監修・著書多数。

医療法人社団 明寿会 雨晴クリニック 副院長

Site: http://suiminguide.hatenablog.com/


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