太っていてボトムスが入らない女性

太る原因とは|「食べる時間」を意識したダイエット法

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太る原因は食べる物や量よりも、食べるタイミングにあります。今回は、太る原因や食事の最適なタイミング、効果的なダイエット方法などについて女子栄養大学副学長の香川靖雄先生にお伺いしました。

太る原因とそのメカニズム

食べ過ぎの女性

太る原因として多く挙げられるのは、食生活や運動不足、不規則な睡眠など生活習慣の乱れにあります。それらが、なぜ太る原因になるのかを解説します。

 

食生活の乱れが原因の場合

食べる量が多かったり、油っぽい食事を多く摂ったりすると、摂取カロリーが増え、太る原因になります。例えば、ナッツ類や乳製品などカロリー密度の高い食べ物、つまり食品1gあたりのエネルギー量が高い食べ物を多く食べると体重が増加します。ただし、摂取カロリー以外も太る原因になることがあります。

 

血糖値が上がりやすい食べ物

血糖値の上昇を示す指標であるグリセミック・インデックス(GI)値が高い食べ物は太りやすい傾向があります。例えば、精製されている白い砂糖、糖質の多い菓子パンや麺類などが高GIの食品です。

「血糖値は高すぎても低すぎても好ましくありません。血糖値が上がると、それを下げるためにインスリンが分泌されます。このインスリンには、血中の糖分を脂肪に変えて身体に蓄積する働きがあります。通常、インスリンが過剰に分泌されることはありませんが、GI値の高い食べ物を多く摂るなどによって急激に血糖値が上がると、インスリンが過剰に分泌されます。すると、糖分を脂肪として蓄積することに拍車がかかってしまいます」(香川先生)

 

食事を摂るタイミング

「『何を食べるか』と同様に注意したいのが『いつ食べるか』です」と香川先生。食事を摂る時間も太る原因に大きく関係しているといいます。

「実は朝食べるのと、夜食べるのとでは、エネルギー摂取量が同じであっても太りやすさが異なります。これは、食べる時間によってエネルギー消費量に違いが生じるためです。朝の食事で身体に取り込まれたエネルギーは、身体を目覚めさせて日中の活動の準備のために、体温を上げる熱として消費されます。一方で、夜は身体が休息状態に入るため、食事で摂ったエネルギーが脂肪として蓄えられやすくなります。そのため、必然的に太りやすくなるんです」(香川先生)

 

食べる早さや順番

食べる速さや食べる順番は、太りやすさとどう関わっているのでしょうか。

多くの食物を短時間で摂取すると血糖値が急に上昇しやすく、脂肪を合成するインスリンが過剰に分泌され、太りやすくなります。また、食べる順番も重要で、最初に糖質の多い白米やパンなどの炭水化物から食べるより、消化吸収に時間のかかり、糖の吸収を抑える働きのある食物繊維が豊富な野菜から食べると、血糖値の上昇は緩やかになります」(香川先生)

 

運動不足が原因の場合

運動不足が太る原因となるのは、食事による摂取エネルギーに対して消費エネルギーが不足するためです。

「脂肪や糖の多い食べ物を摂っても、十分な運動量があればエネルギーとして消費されます。しかし、運動量が不足していると、食事で摂ったエネルギーは消費されず、脂肪組織として蓄えられやすくなります」(香川先生)

 

睡眠不足が原因の場合

睡眠時間が短すぎたり長すぎたりすると、太る原因になることがあります。

「食欲と大きな関係があるホルモンに、食欲を抑制する『レプチン』と食欲中枢を刺激して空腹を感じさせる『グレリン』というものがあります。この2つのホルモンをバランスよく保たれていれば、適度な食欲となりますが、バランスが乱れると食欲が過剰になることがあります。このホルモンをバランスよく保つためには、十分な睡眠が必要です。グレリンには、睡眠時間が短くなればなるほど分泌が高まる特徴が、レプチンには分泌が低下するという特徴があります」

「また、人の身体には生き残るための防衛反応が備わっていて、危機を感じた場合には脂肪を蓄えようとします。睡眠時間が短いときは身体がその状態を危機と認識し、エネルギーの消費量を抑えて脂肪を蓄えようとすることがあります。つまり、睡眠時間が削られることによって、肥満を助長する要因が増えていってしまうのです」(香川先生)

 

太る原因に関わる時計遺伝子

時計を持つ女性

いつ食べるか、どれくらい眠るかなどの「時間」に注意することで、効果的なダイエットや肥満防止ができるようになります。では、なぜダイエットにおいて「時間」が重要なのでしょうか。それが、身体活動をコントロールする役割を持つ「時計遺伝子」が、太る原因と大きな関連性があるからだといいます。

 

時計遺伝子とは

「時計遺伝子」とは、朝は起床し、夜は就寝するといった1日の身体活動の周期を刻んでいる遺伝子のことで、「中枢時計遺伝子」「末梢時計遺伝子」2種類に分けることができます。

「中枢時計遺伝子は、脳の視床下部にある視交叉上角(しこうさじょうかく)という神経核の中にあり、時計遺伝子の主体となって身体活動をコントロールする重要な働きを持ちます。末梢時計遺伝子は心臓や内臓、筋肉など全身の細胞の中にあり、身体のすみずみまで1日の周期を伝える役割があります。一般的に体内時計は24時間よりも少し長い周期で動いていますが、中枢時計遺伝子は朝の太陽光、末梢時計遺伝子は朝食によって体内時計の周期(概日リズム)を24時間にリセットしています。どちらも正常に作用することで身体活動、つまりエネルギー消費をしっかり行うことができるようになります」(香川先生)

そんな時計遺伝子の中には、「Per(ピリオド)」「Cry(クライ)」「Clock(クロック)」「Bmal1(ビーマルワン)」などがあり、太る原因に関係しているといわれているのが、Bmal1です。

 

太る原因に影響する遺伝子Bmal1とは

Bmal1が作り出すたんぱく質には、脂肪の合成を促進する働きがあります。朝6時から午後4時まではその働きが低下しているため、この時間帯に食事を取っても太りにくいといえます。ただし、午後4時以降はBmal1が活発に働く時間帯なので、取り込んだ栄養素のほとんどが脂肪として蓄積されてしまいます。午後4時以降の食事は、朝食と同じ食事量であっても4倍太りやすいといわれているほどです」(香川先生)

時計遺伝子の影響から考えると、「規則正しく生活し、朝日を浴びること」「朝食を摂ること」「午後4時以降の食事は控えること」がダイエット成功のカギとなりそうです。

美肌になるための4つの生活習慣と3つのNG習慣|美容皮膚科医監修
→肌の生まれ変わりにも時計遺伝子が関わっています。

 

時計遺伝子から考えるダイエットに効果的な方法

ダイエットに成功した女性

時計遺伝子の考え方は、食事だけではなく食事を摂る方法や運動法、睡眠のとり方にも応用できます。

 

食事法

食事を摂るときは、食べる内容や順番を意識することが重要です。朝食、昼食、夕食それぞれのポイントをまとめました。

 

朝・昼・晩の食事方法

時計遺伝子を正常に働かせる朝食は、バランスのよい食事を摂ることで、よりその働きを活性化させることができます。

時計遺伝子の活性化には朝食に糖質を摂取する必要があり、また、タンパク質も朝に取ることでエネルギー効率が良いとわかっています。そのため、朝食を摂る際は主食としてご飯やパンなどの主菜、肉や魚などの副菜のほか、野菜や海藻を含む味噌汁やスープなど、バランスのよい食事を心がけましょう。バランスの取れた食事は血糖値の急激な上昇を回避することができるため、脂肪も蓄積しづらくさせます」(香川先生)

 

一方、昼食は、我慢せずに好きなものを食べてもよいといいます。

「昼食は、脂肪の合成を促進するBmal1の働きが低下するので、カロリーやボリュームなどを気にせずに食べても太りにくい時間帯です。夕食の食べ過ぎを防ぐためにも、好きなものを食べてお腹と心を満たしておくとよいでしょう」(香川先生)

 

夕食は、3食の中でもっとも注意が必要です。夜遅い時間に食事を摂る習慣がついている人は、分食を心がけましょう。

「午後4時以降を過ぎると、Bmal1が活発に働き出すので、夕食は午後6時頃までに済ませるのが理想です。ただ、どうしても夜遅くの食事になってしまう人は、まず午後6時に夕食の一部として、おにぎりやサンドイッチなどの軽食を摂り、午後9時以降に朝食と同様にバランスのよい食事を摂る分食を実践してみましょう」(香川先生)

 

運動法

肥満を防ぐためには運動も重要ですが、これも時間帯によってパフォーマンスが変わってくるのだそう。

運動に理想的なのは夕方ごろです。この時間に運動を行うと、セロトニンという眠りを促すホルモンが分泌されるため、夜は寝付きが良くなり、朝もスッキリ目覚めることができます。また、夕方の運動では筋肉が付きやすいことが分かっており、筋肉が増えることで基礎代謝が上がって痩せやすくなります」(香川先生)

 

睡眠法

睡眠リズムが乱れてしまうと、食欲をコントロールするレプチンとグレリンというホルモンのバランスが崩れてしまいます。睡眠時間は、長くても短くてもいけません

「睡眠時間が短いほどグレリンの分泌が増え、睡眠時間が長いほどレプチンの分泌が増えます。睡眠時間が長いほうが太りにくいように思いますが、レプチンとグレリンはバランスのとれた分泌量でなければきちんと働かないため、適切な睡眠時間が重要です。また長く眠るほど運動量(活動量)が減るため、消費エネルギーが減ってしまいます。長すぎず短かすぎない7時間睡眠を心がけるようにしましょう」(香川先生)

健康的に痩せるためには、食事や運動、睡眠について時計遺伝子にそった生活、つまり規則正しい生活を送ることが大切です。ダイエットに励んでいてもなかなか痩せないという人は、まずは乱れた生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。

 

時計遺伝子から考えるダイエットを行う上での注意点

少食の女性

ダイエットを試みる人の多くは、短期間で痩せようとする傾向があります。ダイエット食品のみを食べたり、断食を行ったりといった無理な減量は、むしろ太りやすい身体になってしまうといいます。

 

極端なダイエットはNG

「体内に十分に栄養素が行き届いていないとき、時計遺伝子はこれを危機として認知します。すると、身体活動を最小限に抑えてエネルギーを温存しようとして、脂肪が蓄積されてしまいます。また、極端なダイエットも肥満を誘発する事象になります。極端なダイエットを行うと、脳に運ばれるブドウ糖の量が減り、それを補填するために筋肉のタンパク質が分解され血糖に変わります。筋肉が減ればエネルギー消費も減るため、太りやすい身体になってしまうのです。そのため、ダイエットは1カ月につき12kg減を目標にして、身体に負荷をかけない範囲で行うのが理想的です」(香川先生)

急激な減量は、身体の栄養状態を悪化させることで、病気につながる恐れもあります。食べることこそ、健康的に痩せるダイエットであるということを心がけましょう。

 

<参照>
「なぜ午後6時の夕食は太らないのか  時計遺伝子ダイエット」香川靖雄(集英社)
「食べる量が少ないのに太るのはなぜか」香川靖雄(幻冬舎)

香川 靖雄

監修

医学博士

香川 靖雄

女子栄養大学 副学長


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