長生きしたければのどを鍛えなさい

むせる・咳がでる理由は?「長生きしたければのどを鍛えなさい」

カラダの悩み
書評・要約

 

<レビュー>

「急にむせて咳がでる」ことを経験されたこと、一度や二度はあるのではないでしょうか。日常生活をおくっていて「むせる」くらい大したことがないと思っているかもしれないが、「むせる」などの違和感は早死にのサインだそうだ。

本書では老化の兆候としてのどの違和感を取り上げており、のど年齢チェックから、喉に悪い生活習慣、高まる病気のリスクが分かりやすく解説されていく。何気ない喉の違和感の理由に納得することだろう。簡単な喉の鍛え方も図解で説明されているため、15分で健康寿命を延ばすノウハウも身につくことになるだろう。

著者は、東京医科歯科大学や米国ミシガン大学の最前線で呼吸器の研究をした後、池袋大谷クリニックを開業した大谷義夫さん。最新の研究から実際に患者さんに真摯に向かい合ってきた経験が詰まっている本書は、「むせる」など、喉の違和感がある人におすすめしたい。

長生きしたければのどを鍛えなさい (SB新書)

 

著者: 大谷義夫 | 池袋大谷クリニック 院長

1963年東京都生まれ。1989年群馬大学医学部卒業後、九段坂病院内科医長、東京医科歯科大学呼吸器内科医局長、同大学呼吸器内科兼任睡眠制御学講座准教授、米国ミシガン大学留学などを経て、2009年池袋大谷クリニック開院。呼吸器内科のスペシャリストとして、メディアへの出演も多い。著書に『長引くセキはカゼではない』(KADOKAWA)など。

 

<要約>

むせて咳がでるのはなぜ?

咳をする女性

ふとした瞬間にむせてしまって咳がでてしまうのは、のどの老化の可能性が高いとのこと。ほかにも「咳払いが増えた」「食べ物や唾液を飲み込みにくくなった」などの症状も、のどが衰えて老化が始まっているサインと言えます。

のど年齢チェックやのどを老けさせる生活習慣・自覚症状のチェックを使って、まずはのどの状態を知ることから始めましょう。

 

のど年齢チェック

大谷先生がクリニックに訪れた患者さん350人以上に協力してもらって作った指標です。のど年齢チェックは唾液を30秒間で何回飲み込めるかを確かめるだけの簡単な方法です。

<やり方>

水を一口含み、口の中を湿らせ、人差し指をのど仏の少し上に当て、30秒間で何回唾液を飲み込めるかを数えます。


<のど年齢>

飲み込む回数でのど年齢がわかります。

10回以上・・・20代
9回・・・30代
8回・・・40代
7回・・・50代
6回・・・60代
5回・・・70代
4回以下・・・80代以上

 

のどを老けさせる生活習慣・自覚症状のチェック

次に挙げる項目をチェックしてみてください。当てはまる数が多いほど、のどの老化が進行しています。

□タバコを吸う
□脂っこいものが好き
□アルコールを毎日たくさん飲む
□いびきや無呼吸がある
□野菜が好きではない
□血圧が高い
□胸やけがある(胃酸の逆流)
□のどに違和感がある
□声がかすれる
□会話する頻度が少ない

 

むせる・咳が出る原因にもなる「のどの老化」とは

のどの違和感から首を触る女性

のどの老化とは具体的には何でしょうか。それは「唾液の量の減少」「筋力の低下」「咳反射の低下」です。

 

唾液の量の減少

のど年齢チェックの指標をつくるとき、年齢が上がるにつれて唾液が出なくて飲み込めないとの意見が多くなっていたそうです。

唾液には体内に侵入した病原菌を体外に排出する働きを助けます。また、唾液に含まれるリゾチームという酵素は細菌の増殖を抑え、ラクトフェリン、ペルオキシダーゼ、IgA(免疫グロブリン)は抗菌作用を持ちます。さらに、唾液には細胞を修復、成長させる因子も含まれます。

つまり、唾液の量の減少は体内に侵入した病原菌を体外に押し出したり、殺したりする働きを弱め、病原菌などによってダメージを受けた細胞を修復しにくくなるなど、病気のリスクを高めてしまいます。

 

筋力の低下

加齢とともにのどの筋力が低下すると飲み込む力が落ちます。また、のど仏の位置も下がるため、のど仏をスムーズに動かすことが難しくなります。

さらに筋肉の柔軟性も低下すると、食道の入り口の開閉もしにくくなり、誤って気道へ飲み物や食べ物、唾液などが入ってしまい、むせて咳が出ることにもつながります。

 

咳反射

筋力の低下以外に、加齢とともにラクナ梗塞と呼ばれる小さな脳梗塞が起こりやすくなります。よく心配のない脳梗塞と呼ばれるものです。もし、この小さな脳梗塞が気道に入った異物を排除するための「咳反射」をつかさどる脳の部位にできてしまうと、咳をしてうまく異物を排除することができなくなってしまいます。

 

のどの老化が引き起こす病気

風邪でせき込む夫婦

なぜ、のど年齢が大事なのでしょうか。それは、のどは身体の外から病原菌をシャットアウトする第一関門の一つだからです。また、栄養を摂るためには、食べ物を飲み込む力も大切です。のどが老化して食欲がなくなると、栄養不足となって脳や身体をうまく動かしにくくなってしまいます。

 

カゼやインフルエンザ、肺炎

カゼやインフルエンザ、肺炎などの身体の外から病原菌が侵入して引き起こされる感染症は、のどの機能が衰えるとかかりやすくなります。

のどの粘膜には線毛という細かい毛が張り巡らされていて、それがベルトコンベアのように働くイメージで、のどから口に向けて病原菌などを押し出してくれています。例えば、のどが衰えて、唾液の分泌が低下してしまうと、この線毛がうまく働きにくくなって、病原菌を外に運び出す力が弱ってしまいます。

 

肺炎(誤嚥性肺炎)

のどは、空気と食べ物、気道と食の通り道が交差する場所です。肺へつながっている気管の入り口は基本的には閉じているのですが、加齢に伴ってのどの機能が衰えると、隙間ができやすくなってしまい、飲み物や食べ物、唾液を飲み込むときに誤って、気管へ入ってしまうことがあります(誤嚥)。この気管に入った異物を排除するために、むせたり、咳が出たりします。

また誤嚥によって引き起こされる肺炎は誤嚥性肺炎と呼ばれます。肺炎で亡くなっている人の95%が65歳以上の高齢者であり、高齢者の肺炎のうち約70%は誤嚥性肺炎というデータもあるため、単なるのどの衰えと軽く受け止めない方がいいでしょう。

 

認知症やサルコペニア

高齢になると、食欲が落ちて食事を十分に摂れなくなることもあります。これは、のどが衰えて飲み込む力が落ちるためです。栄養が不足すると、エネルギー不足になってしまい、身体や脳をうまく使えなくなってしまい、寝たきりになってしまうリスクがあります。そのため、サルコペニア(加齢性筋肉減少症)や認知症などになりやすくなってしまします。

 

のどを強くする3原則

水を飲む女性

誤嚥によって「むせる」「咳が出る」を防いだり、病気にかかったりするリスクを減らすための3原則は、「うるおす」「飲み込む力」「咳反射」です。

具体的には、以下の3つです。

  1. 唾液の量を増やしてのどをうるおす
  2. のどの筋肉を鍛えて飲み込む力を高める
  3. 咳反射がスムーズに起こるようにする

 

①のうるおすは「のど年齢」のチェックで協力してもらった高齢の患者さんほど、唾液が分泌されにくく、テストの後半に飲み込みにくいとの意見が多数あったためです。のどの若返りと病気のリスク回避にはのどをうるおすことが大切です。

②の飲み込む力は誤嚥を防ぐために大切であり、③の咳反射は誤って気管に入ってしまった異物を排除するために大切です。

 

のどを強くするトレーニング方法

食卓を囲む家族

ではどうすれば、のどを強くし、スムーズに飲み込む、誤って気管に入れて「むせる」「咳」がでるを防ぐ、気管に入ったものを排除できるのでしょうか。

 

「うるおす」力を高める

噛むことで唾液の分泌が促進されます。つまり、よく噛んで食べるように普段から注意して生活することが大切です。また、唾液線があるところをマッサージすることで、唾液の分泌を促すことが期待できます。唾液線には耳の手前にある耳下線、アゴのとがった両端の骨の内側にある顎下線、アゴのとがった部分の内側にある舌下線の3つがあります。

それでも唾液が分泌されにくい人は、水をこまめに飲んだり、ガムを噛んだりしてのどをうるおすようにしましょう。

 

「飲み込む力」を高める

声は、肺から押し出された空気が、声帯を震えさせて音となり、それがのどや鼻、口の空洞部分で反響して大きくなっています。つまり、発声と嚥下(飲み込む動き)はほぼ同じ部分を使っているため、声を出す力が弱くなると、飲み込む力が弱くなります。

したがって、人と交流してよくしゃべったり、カラオケにいって歌ったりすることは、飲み込む力を高めることになります。また、新聞や本などを音読することも効果的です。

 

「咳反射」を高める

咳反射を高めるには、横隔膜や肋骨を動かす呼吸筋を鍛えて、肺の機能を高める必要があります。そのためには、胸郭を動かす(胸を膨らませる)胸式呼吸と横隔膜を動かす腹式呼吸を繰り返すことが効果的です。

また、葉酸を摂ることも咳反射を高めることに効果的であると報告されています。葉酸はドーパミンの合成に関係しており、ドーパミンが不足すると咳反射が低下することが東北大学の研究で明らかになっています。

 

葉酸を摂取できる食材

咳反射の機能を低下させないためには、日々の食事で葉酸を摂ることをおすすめします。おすすめの食材はブロッコリーやその新芽であるブロッコリースプラウトです。またレバーにも葉酸が多く含まれています。

 

<まとめ>

「長生きしたければのどを鍛えなさい」では、より詳しく「喉を強くする」方法や季節別「喉を守る」ための予防法や対処法が分かりやすく解説されています。また、喉が痛い場合に気を付けるべき症状や受診すべき病院、日々のちょっとした疑問についてのQ&Aも収録されています。

喉に違和感がある、頻繁にむせてしまうなど、喉の不調がある方はぜひ読んでみてください。

長生きしたければのどを鍛えなさい (SB新書)

Photo: istock


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