便秘でスッキリしない表情の女性

便秘の原因と解消法|腸内環境から便秘を見直そう

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若い女性だけではなく、高齢者や子どもにも増えているといわれる便秘は、放っておくと、さまざまな不調や病気の原因になるといわれています。

3日間うんちが出なければ、それはもう立派な病気です。便秘は消して「体質」ではなく、お腹の不調のひとつです。今回は便秘の原因や、便秘解消に役立つ食事についてまとめました。

 

「便秘」の原因

便秘による不調に悩む女性

便秘は「食生活の乱れ」「ストレス」「睡眠不足」「運動不足」などによって、腸内環境が乱れることで起こります。便秘を解消するためには、まず腸内環境について知ることが大切です。

以下に便秘の原因となる腸内環境の乱れについてまとめました。

 

便秘の原因は、腸内環境の乱れ

人の腸のなかには、500~1000種類・500~1000兆個もの腸内細菌が存在しており、善玉菌、悪玉菌、日和見菌など種類ごとに数を保ちながら、「腸内フローラ」を形成しています。

「便秘」は、この腸内フローラのバランスが崩れているサインであり、腸が正常に働くことができていない状態です。以下に、正常な腸内環境と腸内フローラのバランスが崩れた状態についてまとめました。

 

腸内フローラの理想的な状態

腸内フローラのベストバランス

腸内フローラのベストバランスは、善玉菌(20%):日和見菌(70%):悪玉菌(10%)といわれています。

この状態だと、腸内の善玉菌が食べカスを分解し、良いうんちを作ってすみやかに体外に排出することができる“いい腸内環境”であるといえます。

 

腸内フローラが乱れた状態

腸内フローラのバランスが崩れ、腸内に悪玉菌が多いと、食べカスや老廃物が腸内にとどまり続け、「便秘」の状態となります。そして、悪玉菌がこれらを腐敗させ、有害物質を生み出します。その結果、有害物質が腸壁を傷つけるとともに、腸壁から血液を通じて全身に行き渡り、さまざまな不調や病気を引き起こすのです。

これが「たかが便秘」と侮ってはいけない理由です。慢性化する前に、腸内環境の状態をチェックし、早めに対策をしましょう。

 

便秘の解消は、腸内環境のバロメーター「うんち」のチェックから

トイレ後のチェックを忘れずに

うんちは便秘解消のカギとなる腸内環境を知るバロメーターです。状態は毎日異なりますので、自分の体調を知るためにも毎日観察をすることが重要です。

チェックポイントは「タイミング」「量」「形状」の3つです。

 

理想の排便タイミングとは?

うんちは、食事から摂った栄養を小腸で吸収したあとに大腸に運ばれる「食べカス」であり、身体には不要なものです。すみやかに排出して、腸内をスッキリとさせる必要があります。つまり「便秘」は、腸が食べカスや廃物をすみやかに排泄できていない状態ということになります。

成人では、食物を摂取してからうんちとして排泄されるまでの時間は、一般的に16時間~24時間といわれています。毎日食事を摂ったら、そのカスである「うんち」はきちんと排出されるのが健康の証です。

 

理想のうんちの量とは?

きちんと食事をしていれば、1日だいたい200〜300グラム(バナナ2~3本)の便が排出されます。便の量が少ない人は、食事量が少ない可能性があります。

食べ過ぎもよくありませんが、ダイエットなどで過度に食べる量を減らすと、便の材料が減ってしまい、腸内の動きも悪くなり、便秘の原因になります。

 

理想のうんちの形状とは?

うんちの形状でわかる腸内環境

うんちは、食物繊維のカスや腸内細菌の死骸、はがれた腸壁などからなる固形物が20%、残り80%が水分でできています。

腸内環境が整っている証拠である理想的なうんちの形状は下記のとおりです。臭くない黄褐色のうんちは、腸内で善玉菌がしっかり働いており、理想的な発酵(食物の分解)が起きている証拠です。

この状態だと肛門を傷つけることもなくスルッと排出され、残便感もありません。ただし、便の形状だけで完全に病気の有無をチェックすることはできません。

  • 形状:黄色~黄褐色のバナナ状
  • 水分:75~80%
  • 分量:200〜300g(バナナ2~3本)
  • 臭い:きつくない

 

要注意のうんちとは?

腸内フローラのバランスが乱れ、悪玉菌が優勢になると、腸内で食べカスや老廃物の腐敗が進み以下の状態になります。

上記の状態とは別に、便が水のような状態になった場合は食べ過ぎやストレスなどの要因だけではなく、ウイルス感染の疑いもあるため、注意が必要です。

  • 便の色が濃くなる
  • 水分が減ることで便が硬くなり、コロコロ状になる
  • 水分過多となり、便がゆるくなる
  • においがきつくなる

 

便秘解消への第一歩。腸内環境を整える食べ物とは

腸内環境を整える食材イメージ

良いうんちをつくり、便秘を解消させるためには、腸内環境を整えることが重要です。腸内環境を整えるために必要なものとして、「プロバイオティクス」「プレバイオティクス」という言葉が最近では一般的になりました。

詳しくは後述しますが、乳酸菌などの微生物「プロバイオティクス」と、食物繊維など腸内細菌のエサとなる物質「プレバイオティクス」をあわせて摂ることで、腸内に善玉菌が住みやすい環境を効果的に作ることができます。

ここでは「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」の含まれる食べ物と摂取時のポイントについて解説します。

 

ヨーグルトや納豆に含まれる生きた微生物「プロバイオティクス」

プロバイオティクスとは、「腸内フローラのバランスを改善することによってヒトの健康に好影響を与える、生きた微生物」を意味します。便秘知らずのいいうんちを作るためには、腸内細菌そのものであるプロバイオティクスを腸に届けることが大切です。

プロバイオティクスは、ビフィズス菌や乳酸菌をたくさん含んだヨーグルトや乳酸菌飲料のほか、納豆、キムチ、ぬか漬けなどの発酵食品に含まれます。

摂取時のポイント

プロバイオティクスはたくさん摂ることよりも「菌が生きたまま腸に届くかどうか」が重要です。これらは胃から十二指腸へと移動していく間に、大部分が胃酸などで死滅してしまい、腸内フローラとしてとどまりにくい菌だといわれています。

死んだ菌体にも「腸に届くと腸管の免疫が刺激される」といったはたらきがありますが、生きたまま大腸に届くという効果には及びません。「ヨーグルトは、毎日、食前ではなく食中か食後に食べる」など、タイミングや摂り方を意識してみましょう。

 

腸内細菌のエサを摂る「プレバイオティクス」

プレバイオティクスとは、「善玉菌のエサとなり増やす食物繊維やオリゴ糖などの難消化性食品成分」を指します。つまり、菌自体を摂るのではなく、腸内にすでにいる善玉菌を増やそうという考え方です。

オリゴ糖は ”玉ねぎやごぼう、アスパラガスなど” に、善玉菌のエサとなる食物繊維は ”大麦などの穀物、豆類、海藻類など” に多く含まれます。食物繊維は胃でも小腸でも分解・吸収されず、大腸まで届き、大腸内で腸内細菌(善玉菌)のエサになります。

最後に残った食べカスが腸の老廃物や大腸内の有害物質をからめ取り、うんちとして体外に排出されます。また、食物繊維が善玉菌のエサとなり、その時に作られる酸(短鎖脂肪酸)が腸内を弱酸性に保ち、善玉菌の活動を促します。

摂取時のポイント

腸内にすんでいる細菌を増やすためには「プレバイオティクス」を摂ることも重要です。プレバイオティクスは、自分に合った菌を探すために、いろいろなヨーグルトを試す必要もありません。

詳しくは次章で解説しますが、なかでも腸内細菌のエサとなる「食物繊維」をさまざまな種類、たっぷり摂ることが便秘解消のポイントです。

 

便秘の解消に役立つ、食物繊維の種類

食物繊維を含む食材たち

食物繊維というと、とりあえず豆類やきのこ、生野菜を大量に食べておけばOKと思われる方もいるかもしれません。

しかし、食物繊維には、大きくわけて「不溶性食物繊維」「水溶性食物繊維」「第三の食物繊維」の3種類があり、それぞれに特徴や働きが違うため、さまざまな食材をバランス良く食べて、効果的に食物繊維を摂ることが大切です。

ここでは便秘の解消に役立つ食物繊維について解説します。

 

不溶性食物繊維

水に溶けない性質を持つため、腸内で水分を吸収して膨らんで便のカサを増やして、腸のぜん動運動を活性化し、便通をよくします。さらに、腸内にたまっている不要物を絡めとる役割もあって、腸内環境を整えます。

ただし不溶性食物繊維ばかりを摂取すると、便が腸の中で詰まりやすくなるので注意が必要です。

 

水溶性食物繊維

水に溶けることで粘り気を持つ食物繊維で、やわらかく粘度のあるうんちを作り出し、よりスムーズな排便ができます。また、善玉菌のエサとなるため、積極的に摂って、腸内環境を整えましょう。

 

第三の食物繊維

レジスタントスターチなどのでんぷん性食物繊維や難消化性オリゴ糖などのことを指します。これら第三の食物繊維は、腸内で消化されにくいことから大腸の奥まで届いて効果を発揮します。

水溶性食物繊維と第三の食物繊維は、合わせて「発酵性食物繊維」と呼ばれています。発酵性食物繊維は善玉菌のエサとなることで、腸内環境を改善する「短鎖脂肪酸」を作り出すため、積極的に摂ることをおすすめします。

短鎖脂肪酸は善玉菌を増やして腸内環境を整え、便通を改善するとともに、血糖値の上昇抑制、体重加の抑制、肌のエイジングケア効果も期待できます。

 

 

毎日うんちと向き合い、食生活を意識することで、腸内環境が整って、便秘は解消され、健康的な毎日を送れるはずです。さっそく今日の食事から見直してみましょう。

 

<参照>
『排便力をつけて便秘を治す本』(光文社知恵の森文庫)松生恒夫
『寿命の9割は腸で決まる』(幻冬舎新書)松生恒夫
『腸がスッキリすると絶対に痩せる!』(三笠書房)辨野義己
『免疫力は腸で決まる!』(角川新書)辨野義己
『腸を整えれば病気にならない~腸内フローラで健康寿命が延びる』(廣済堂健康人新書) 辨野義己
公益財団法人日本ビフィズス菌センター/腸内細菌学会HP

photo:Getty Images

松生 恒夫

監修

医師・医学博士

松生 恒夫

松生クリニック 院長


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