音楽を聴いて熟睡する女性

専門医と音楽家が選ぶ睡眠クラシック(熟睡編)|朝までぐっすり眠れる曲15選

夜中に目が覚めたり、朝起きてもスッキリしなかったりするときには、眠る前のクラシック音楽が有効です。また、熟睡できない原因を知ったうえで熟睡しやすくなるよう日中の行動を改善し、音楽を聴く環境を整えるとより効果が出ます。まずは眠りについて知ったうえで、音楽を聴くようにしましょう。

今回は、ぐっすり眠るために必要な方法や、熟睡するために有効なクラシック音楽について、精神科医でブレインケアクリニック院長の今野裕之先生にお話を伺いました。また、熟睡に有効な曲についてはカウンターテナーの米良美一さんにピックアップいただき、記事の後半で紹介していきます。

熟睡する方法

熟睡する女性

熟睡するためには、深く眠れない理由を知ったうえで、日常生活のなかで質の良い眠りにつながる行動をとることが大事です。睡眠時間が十分とれていると思っても、熟睡できていないと、夜中に目が覚めてしまったり朝にだるさが残ってしまったりします。以下に熟睡できない理由とそれを改善するために実践したい行動をまとめました。

 

熟睡できない理由

熟睡できない理由は主に「睡眠ホルモンの分泌不足」「リラックスしていない」「体内時計の乱れ」の3つです。以下に、熟睡できない理由をまとめました。

 

睡眠ホルモンの分泌不足

睡眠ホルモンと呼ばれる「メラトニン」が十分に分泌されていないと、熟睡することができません。メラトニンは、朝目覚めて日の光を浴びることによって分泌されるホルモン「セロトニン」が変化したものです。朝日を浴びずに過ごすなどの理由でセロトニンの分泌量が不足してしまうと、メラトニンの分泌量が少なくなり、眠気が起きにくくなってしまいます。

また、夜にパソコンやスマートフォンの画面を見るなど明るい光を浴びてしまうと、メラトニンの分泌が妨げられてしまいます。

 

交感神経が優位なまま眠りに入ってしまう

日中に強い刺激やストレスを受けると、脳が強い覚醒状態になり、交感神経が過剰に優位になってしまいます。このように緊張状態が続き、リラックスしないまま眠りに入ると睡眠時も覚醒状態が継続してしまい、質が悪く浅い眠りになってしまいます。

 

体内時計の乱れ

不規則な生活によって起床時間が一定に保たれずバラバラになってしまうと、睡眠ホルモン「メラトニン」のもととなる「セロトニン」の分泌リズムも乱れてしまいます。すると、就寝タイミングにおいてメラトニンの分泌不足が起こり、十分な深さで眠れず熟睡しにくくなってしまいます。

 

熟睡するために実施すべきこと

熟睡するためには、毎日の生活の行動パターンを見直すことが重要です。以下に、起床から就寝までの行動ポイントをまとめました。

 

起床時

起床時に注意すべきポイントは、「時刻」「太陽の光」「朝食」3点です。

起床時刻をそろえる

体内時計をリセットし、正しい睡眠リズムに導くためには毎日同じ時間に起床することが重要です。就寝時刻がずれてしまった日でも、起床時刻はできるだけそろえるようにしましょう。

太陽の光を浴びる

起床後はすぐにカーテンを開け、太陽の光を浴びましょう。睡眠ホルモン「メラトニン」のもととなる「セロトニン」が作られるには、25003000ルクスの照度のある光が必要です。蛍光灯などの明るさでは不十分なので、目覚めた後すぐに窓辺でのびをする、などの行動を習慣づけてみましょう。

朝食を摂る

体内時計を司る「時計遺伝子」をきちんと動かすために、朝食は起床後1時間以内に食べましょう。毎日、起床1時間以内に朝食を食べることで、体内時計が調整されやすくなります。

 

日中〜夕方

日中から夕方にかけて注意したいポイントは「食事」「運動」「呼吸」です。

食事

睡眠ホルモン「メラトニン」のもととなる「セロトニン」は、アミノ酸の一種「トリプトファン」から生成されます。トリプトファンは体内で生成できないため、食事によって摂取しなければならない栄養素です。大豆などの豆類や肉・魚介類、乳製品などトリプトファンを多く含む食品を積極的に摂りましょう。夜の睡眠に備えて、朝食や昼食でトリプトファンが含まれた食材を摂ると効果的です。

運動

セロトニンは散歩、ジョギング、エアロビクスなどのリズム運動行うと、分泌量が増えるとされています。ウォーキングや自転車こぎなど、軽く汗ばむ程度の有酸素運動がおすすめです。

腹式呼吸

交感神経の働きは昼過ぎにピークを迎え、その後は徐々に弱くなります。しかし、仕事やストレスにさらされて忙しく過ごしていると、交感神経が優位な状態が続きがちです。そこで、交感神経を鎮めていくために有効なのが深呼吸です。午後5時ごろに腹式呼吸を3すると、副交感神経が優位になりやすくなります。

 

就寝前

就寝前に気を付けることは主に「部屋の明るさ」「リラックス」の2点です。

部屋を適度に暗くする

部屋が明るすぎると、光の刺激で交感神経が優位に働いてしまうだけでなく、メラトニンも十分に分泌されないので、寝室は暗めの環境に整えましょう。メラトニンの分泌を妨げない理想的な暗さは「ホテルの客室程度」の照明だといわれています。

リラックスする行動をとる

就寝直前には、心を落ち着かせ、リラックスできる行動をとるのが効果的です。アロマテラピーを楽しんだり、音楽を聴いたりしてリラックスしましょう。心地よさを感じる音楽は、外界の不快な音を遮断してくれる役目も果たしてくれるので、より深い眠りに入りやすくなります。

 

音楽を聴くと熟睡できる理由

熟睡している女性

音楽には、自律神経やホルモンなどに作用し、直接脳へ働きかける力があるといわれています。また、就寝準備をする前に快眠効果のある音楽を聴くと、ゆるやかに心身がリラックス状態になり、スムーズに深い眠りに導かれていきます。

 

音楽を聴くことで熟睡できる理由

音の情報は聴覚神経から脳の延髄(えんずい)などがある脳幹を通って、脳の聴覚野に隣接する「聴覚連合野」に届けられます。聴覚連合野へ届けられた音の情報が、眠りに効果のある音楽だった場合、延髄に通っている副交感神経が刺激されます。副交感神経が優位になると、心身がリラックスするため、自然に眠りにつくことができます。スムーズに入眠すると、寝入りばなの深い眠り「徐波睡眠」がより深いものとなり、熟睡しやすくなるのです。

 

熟睡時の脳の周波数に近い周波数の音楽に脳が同調するメカニズム

音楽を聴くと、それに同調して脳波が変化します。人は目を閉じてリラックスした状態になると脳からα波(813ヘルツ)が出ることが分かっており、この周波数の音楽を聴いて脳波が同調すると、自然にリラックスします。α波のゆったりした曲調の音楽を聴き、リラックスしてスムーズに入眠すると、より深い眠りにつくことができ、熟睡しやすくなると考えられています。

また、睡眠時にはθ波(47ヘルツ)が出ることが分かっているため、睡眠時にこの周波数の音楽を聴くとより深い睡眠状態になりやすくなり、熟睡できるといわれています。

 

熟睡できる音楽の種類と曲15

弦楽器と楽譜

熟睡するための音楽は、聴くタイミングや環境、曲の種類によってより効果的に作用します。以下で、熟睡するための音楽の聴き方を解説していきます。

 

音楽を聴くタイミング

音楽によって副交感神経を優位にしたり、脳波を同調させたりするためには、就寝の12時間前から音楽を聴くのが効果的です。就寝前に時間をかけてゆっくり心身をリラックスさせることで、スムーズに熟睡状態に導かれていきます。

 

音楽を聴くベストな環境

室内は間接照明や光量調節機能を使い、ホテルの客室程度の暗めの環境にしましょう。少なくとも就寝12時間前からブルーライトが発せられているスマートフォンやパソコンなどは見ないようにします。光の刺激があると、脳がうまくリラックスできない場合があるため、眠る直前にはリモコン機能などを使い、消灯して真っ暗な状態にするのが理想的です。

 

熟眠に有効な曲の特徴

熟睡するためには4000ヘルツ以上の高周波音を多く含む曲や「1/fゆらぎ」の音を多く含む曲が有効だとされています。以下に、熟睡に有効な曲の特徴を具体的にまとめました。

 

4000ヘルツ以上の高周波音

4000ヘルツ以上の高周波音を多く含む曲がおすすめです。ゆったりした単調なリズムが心地よく耳に届くので、眠りを妨げることがなく、ゆっくりと熟睡状態に導いてくれます。

 

1/fゆらぎ」の音を含む音楽

1/fゆらぎ」の音を多く含む曲は、副交感神経を優位にして身体をリラックス状態に導くことが分かっています。1/fゆらぎとは、自然の中にある波が打ち寄せる音や風の音、小川のせせらぎなど規則的かつ微妙に揺らいでいる音を指します。これが脳波や呼吸のリズム、細胞の周期など人間の体内現象のゆらぎと通じるものがあるため、リラックスしやすくなるとされています。

 

熟睡に有効なクラシック音楽15選

今野先生によると、熟睡に有効な音楽は「4000ヘルツ以上の高周波音を多く含む曲」「1/fゆらぎを含む曲」なのだそう。今回はこれをもとに、カウンターテナーの米良美一さんにクラシック音楽をピックアップいただきました。

  1. J.S.バッハ:G線上のアリア(管弦楽組曲 第3 BWV1068 アリア)(ヘルムート・コッホ 指揮 ベルリン室内管弦楽団)
  2. J.S.バッハ:ヨハネ受難曲 BWV245 第7曲 アリア(アルト)(アルト:米良美一 鈴木雅明 指揮 バッハ・コレギウム・ジャパン)
  3. モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲 K.299 第2楽章(ヨハネス・ワルター<フルート>、ユッタ・ツォフ<ハープ>ドレスデン・シュターツカペレ、オトマール・スウィトナー<指揮>
  4. モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプス K.618(ゾルターン・パド 指揮 ハンガリー放送合唱団)
  5. J.S.バッハ/グノー:アヴェ・マリア米良美一、松井久子<ハープ>)
  6. R.シュトラウス:万霊節(米良美一、日本フィルハーモニー交響楽団、現田茂夫<指揮>
  7. フォーレ:夢のあとに(サンクト・ペテルブルグ・チェロ・アンサンブル)
  8. グリーグ:ソルヴェーグの歌(米良美一、日本フィルハーモニー交響楽団、現田茂夫<指揮>
  9. ラフマニノフ:ヴォカリーズ(米良美一、日本フィルハーモニー交響楽団、現田茂夫<指揮>
  10. ヘンデル:オンブラ・マイ・フ〜オペラ「セルセ」(米良美一、日本フィルハーモニー交響楽団、現田茂夫<指揮>
  11. ヘンデル:わたしを泣かせて〜オペラ「リナルド」(米良美一、日本フィルハーモニー交響楽団、現田茂夫<指揮>
  12. グリーンスリーヴス(米良美一、日本フィルハーモニー交響楽団、現田茂夫<指揮>
  13. メンデルスゾーン:歌の翼に(米良美一、日本フィルハーモニー交響楽団、現田茂夫<指揮>
  14. ドビュッシー:小舟にて〜「小組曲」(エリック・ル・サージュ、フランク・ブラレイ<ピアノ>)
  15. R.シュトラウス:明日(米良美一、日本フィルハーモニー交響楽団、現田茂夫<指揮>

※同じ作曲者の曲でも、演奏者や指揮者が違うものは曲の印象が変わります

 

CDタイトル>

専門医と音楽家が選ぶ睡眠クラシックシリーズ
朝まで深い眠り|熟睡クラシックー自律神経が整うー

朝まで深い眠り、熟眠クラシック

  • 発売元(キングレコード)
  • 定価:1800円(税別)

 

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選曲者 | 米良 美一(カウンターテナー)

1994年洗足学園音楽大学を首席で卒業。第8回古楽コンクール最高位(1位なし2位)受賞。同年、バッハ・コレギウム・ジャパン定期公演の教会カンタータでデビュー。1995年第6回奏楽堂日本歌曲コンクール第3位入賞。1996年よりオランダ政府給費留学生としてアムステルダム音楽院に留学。コンサートでは、国内外のオーケストラとの共演やソロ・リサイタルに加え、ソプラノのエディタ・グルベローヴァやカウンターテナーのヨッヘン・コヴァルスキーなどの世界的名歌手とヨーロッパ各地及び日本でデュオ・コンサートを行い大喝采を浴びた。その後宮本亜門演出「音楽劇・三文オペラ」に舞台初出演を果たしている。
米良美一オフィシャル・ホームページ http://yoshikazu-mera.info/

監修者 | 今野 裕之(精神科医)

精神科医。精神医学、抗加齢医学を専門領域とする。001年日本大学医学部卒業後、同大学院修了。慶應義塾大学病院、日本大学医学部附属板橋病院で研修、都内の精神科病院に勤務。2011年~順天堂大学にて老化や認知症に関する臨床研究に従事、2012年~山形県鶴岡市の美咲クリニックにて「こころの健康外来」を開始。2012年~2015年まで西東京市精神科産業医を勤め、2014年より新宿溝口クリニックで栄養療法を実践。20165月よりブレインケアクリニックを開業。心身のトータルケアと、より早期からの認知症予防治療に取り組んでいる。20182月、日本ブレインケア・認知症予防研究所の所長就任。著書に「ボケない人の最強の食事術(青春出版インテリジェンス)」などがある。

Photo: Getty imagaes


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