眠りながら音楽を聴く女性

専門医と音楽家が選ぶ睡眠クラシック(入眠編)|スムーズに寝付ける曲8選

眠りたいと思っていてもなかなか寝付けないときには、入眠がスムーズになるクラシック音楽が有効です。穏やかな気分で眠りにつくためには、眠りを妨げる原因を知ったうえで入眠しやすくなるよう入眠前の行動を改善し、音楽を聴く環境を整えるとより効果が出ます。まずは眠りについて知ったうえで、音楽を聴くようにしましょう。

今回は、スムーズに眠りにつく方法や、その方法のひとつとして有効であるクラシック音楽について、精神科医でブレインケアクリニック院長の今野裕之先生にお話を伺いました。また、入眠に有効な曲についてはハーピストの津野田圭さんにピックアップいただき、記事の後半で紹介していきます。

スムーズに入眠する方法

寝付けない女性

スムーズに入眠するためには、寝つきが悪くなってしまう原因を知ったうえで、スムーズに寝付ける方法を試すことが大事です。以下に寝つきが悪くなる理由とそれを改善するために効果的な方法をまとめました。

 

寝付きが悪くなる理由

スムーズに寝付けなってしまうのは、日中のストレスや適切でない寝室環境、不規則な生活などで自律神経が乱れてしまうためです。自律神経には活動を司る交感神経と休息を司る副交感神経があり、シーソーのようにバランスをとりながら働いています。

スムーズに入眠するためには、休息を司る「副交感神経」を優位にする必要があります。しかし、自律神経が乱れると、交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズにいかなくなるため、寝付きが悪くなってしまいます。以下で、自律神経が乱れる要因について解説します。

 

ストレス

日中仕事や家庭で起こったことによりストレス負荷がかかると、心身が緊張状態になり、交感神経が過剰に優位になってしまいます。この状態から、眠りに適した副交感神経が優位になるリラックス状態になるには時間がかかるため、寝付きが悪くなってしまいます。

 

眠りに適していない寝室環境

室温が高すぎたり不快な音がしたりする寝室で眠ろうとすると、ストレスによって交感神経が優位になり、入眠の妨げとなってしまいます。以下に入眠に適した寝室環境についてまとめました。

室温

「暑い」「寒い」など不快な要素があると交感神経が優位になってしまい、スムーズに眠りにつけません。季節に合った対策をしましょう。

寝室はできるだけ静かな環境に保ちましょう。人によって異なりますが、音のレベルが40デシベル以上あると、眠りに悪影響が出る可能性があります。特に、電子音は不快に感じることが多いといわれています。

明るさ

入眠前には適度に部屋を暗くし、睡眠ホルモン「メラトニン」が分泌されるようにしましょう。メラトニンは部屋が明るすぎると分泌されにくくなるので、少し暗めであたたかみのある「ホテルの照明」を目安の明るさにしましょう。

 

不規則な生活

入眠時刻と起床時刻が一定でない不規則な生活が続くと、体内時計が乱れます。体内時計は自律神経やホルモンを整える役割をしているので、不規則な生活が続くとスムーズに眠れなくなってしまいます。

 

寝付きをよくするために必要なこと

寝付きをよくするためには、副交感神経が優位な状態になりリラックスすることと、就寝前の行動パターンを一定化する「入眠儀式」を行うことが重要です。以下に具体的な行動についてまとめました。

 

リラックスして副交感神経が優位な状態にする

副交感神経を優位にしてリラックスにするためには、以下の行動が効果的です。

  • 入眠1時間前までに湯船にぬるめのお湯をはり、20分程度入浴する
  • ストレッチやヨガをする
  • ハーブティーなどノンカフェインの温かい飲み物を飲む
  • リラックス効果の高いアロマの香りを嗅ぐ
  • 心地よい音楽を聴く。
  • 寝る直前に、スマホやパソコンを見るのをやめる
  • 肌触りがよく、通気性・保湿性が高いパジャマを着る

 

入眠儀式を行う

寝る前の行動パターンを一定化し、睡眠のスイッチを入れる「入眠儀式」を行ってみましょう。繰り返し決まった行動をとることで「そろそろ寝る時間だ」と認識しやすくなり、スムーズに入眠できます。

音楽を聴く場合も、毎日同じ曲を聴くとよいでしょう。屋外の雑音や電化製品などの不快な音をできるだけ排除し、心地よいと感じられる環境にしましょう。照明は、明るさを抑えオレンジ色の光を用いたホテルの客室のように整えた状態にし、入眠儀式を行うと効果が高くなります。

 

音楽を聴くとスムーズに入眠できる理由

眠っている女性

音楽には、自律神経やホルモンなどに作用し、直接脳へ働きかける力があるといわれています。また、就寝前に快眠効果のある音楽を聴くことを習慣化すると、条件反射のように心身がリラックス状態になり、スムーズに眠りにつけるようになります。ここでは、とくに入眠に有効であるといわれている4000ヘルツ以上の高周波の音楽と自律神経のメカニズムを解説していきます。

 

音楽が自律神経に作用するメカニズム

音楽を聴くと、内耳の聴神経から脳の延髄(えんずい)や視床下部(ししょうかぶ)などの神経系を経由し、大脳皮質の聴覚連合野(ちょうかくれんごうや)に届けられます。視床下部は自律神経やホルモンを司る部分で、延髄は副交感神経が出ている場所です。高周波の音楽は視床下部や延髄を刺激します。これにより、高周波の音楽を聴くと副交感神経が優位になり、入眠しやすい状態になります。

以下で、音の周波数と自律神経のメカニズムを解説していきます。

 

高周波でリラックスできる理由

4000ヘルツ以上の高周波は、自然環境の中に多く、都会のような人工的な環境ではあまり多くありません。自然の豊かな環境で気持ちが落ち着くのは、視覚的な要素だけではなく、このような高周波の存在も一役買っています。名曲と言われるクラシック音楽には、このような高周波が多く含まれているものが多いのです。

 

ストレスホルモンの分泌を抑える

ストレス負荷がかかると脳の扁桃体が興奮し、腎臓のそばにある副腎(ふくじん)からストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」が分泌されます。コルチゾールの分泌は交感神経に対応しているため、高周波の音楽を聴くと交感神経が抑えられます。これにより、副交感神経が優位になりやすくなるのです。

 

入眠時の脳の周波数に近い周波数の音楽に脳が同調するメカニズム

音楽を聴くと、それに同調して脳波が変化します。人はリラックスした状態になると脳からα波(813ヘルツ)が出ることが分かっており、この周波数の音楽を聴いて脳波が同調すると、自然にリラックスします。これにより、スムーズな入眠に向かいやすくなるのです。

 

スムーズに入眠できる音楽の種類と曲8選

音楽を聴きながら眠る女性

寝室をホテルの客室程度の暗めの環境に整え、入眠したい時間の20分前からクラシック音楽を聴き、心身をリラックスさせましょう。特にゆったりしたメロディーが、自然な眠りに誘います。以下でスムーズな入眠に合った音楽について解説していきます。

 

音楽を聴くタイミング

音楽によって副交感神経を優位にしたり脳波を同調させたりするためには、入眠したい時間の2030分前から音楽を聴くのが効果的です。

また、毎日決まった時間に音楽を聴くと入眠儀式となり、より短時間で眠りにつきやすくなります。

 

音楽を聴くベストな環境

室内は間接照明や光量調節機能を使い、ホテルの客室程度の暗めの環境にしましょう。昼間の光に多く含まれるブルーライトが強いスマートフォンやパソコンなどは見ないようにしましょう。光の刺激があると、脳がリラックスできない場合があるため、眠る直前にはリモコン機能などを使い、消灯して真っ暗な状態にするのが理想的です。

 

入眠に有効な曲の特徴

4000ヘルツ以上の高周波音を多く含み、ゆったりしたテンポの曲がおすすめです。心身をリラックスさせ、眠りにスムーズに導いてくれます。また、1/fゆらぎを含む音は、副交感神経を優位にして身体をリラックス状態に導くことが分かっています。

1/fゆらぎとは、自然の中にある波が打ち寄せる音や風の音、小川のせせらぎなど、規則的のようで微妙に揺らいでいる音のことを指します。これが脳波や呼吸のリズム、細胞の周期など人の体内現象のゆらぎと通じるものがあるため、リラックスしやすくなると考えられています。

以上の条件からクラシック音楽、特にモーツアルト作曲の曲が入眠に適しているといわれています。

 

入眠に有効なクラシック音楽8選

今野先生によると、入眠に有効なのは「4000ヘルツ以上の高周波音」「1/fゆらぎを含む音」で構成されたクラシック音楽なのだそう。以下は、この条件をもとにハーピストの津野田圭さんにピックアップいただいたクラシック音楽を紹介します。

  1. ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲(飯森範親 指揮 東京交響楽団)
  2. ドビュッシー:フルート、ヴィオラとハープのためのソナタより 第1楽章(ヨハネス・ワルター<フルート>、ヨアヒム・ウルブリヒト<ヴィオラ>、ユッタ・ツォフ<ハープ>
  3. フランセ:ハープとオーケストラのための六楽章の詩的な遊戯より 第1楽章(ハインツ・レーグナー 指揮 ユッタ・ツォフ<ハープ>、ドレスデン・シュターツカペレ)
  4. ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ(ノーラ・シュルマン<フルート>、ジュディ・ローマン<ハープ>
  5. ブラームス:交響曲第1番 作品68より 第2楽章(オトマール・スウィトナー 指揮 ベルリン・シュターツカペレ)
  6. ブラームス:交響曲第3番 作品90より 第3楽章(ギュンター・ヘルビッヒ 指揮 ベルリン交響楽団)
  7. マーラー:交響曲第5番より 第4楽章 アダージェット(オトマール・スウィトナー 指揮 ベルリン・シュターツカペレ)
  8. ホルスト:組曲「惑星」より『海王星』(大友直人 指揮 東京交響楽団)

※同じ作曲者の曲でも、演奏者や指揮者が違うものは曲の印象が変わります

 

CDタイトル>

専門医と音楽家が選ぶ睡眠クラシックシリーズ
スムーズな寝付きのための入眠クラシックー自律神経が整うー

入眠クラッシックのCDジャケット

  • 発売元(キングレコード)
  • 定価:1800円(税別)

 

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選曲者 | 津野田 圭(ハーピスト)

東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校卒業。同大学音楽学部卒業。同大学大学院修士課程修了。日本ハープコンクールジュニア部門優勝。九州音楽コンクール弦楽器部門金賞および最優秀賞。大阪国際音楽コンクール弦楽器部門第1位、大阪市長賞、スカラシップ賞受賞。同コンクールの奨学金を受けパリのエコールノルマル音楽院へ留学。Zaleski財団特待奨学生。文化庁新進芸術家海外研修員として同音楽院高等演奏課程で学び、満場一致の最高位でディプロムを取得。これまでに菊池好志子、篠﨑史子、渡邊萬里、早川りさこ、イザベル・ペランの各氏に師事。

監修者 | 今野 裕之(精神科医)

精神科医。精神医学、抗加齢医学を専門領域とする。001年日本大学医学部卒業後、同大学院修了。慶應義塾大学病院、日本大学医学部附属板橋病院で研修、都内の精神科病院に勤務。2011年~順天堂大学にて老化や認知症に関する臨床研究に従事、2012年~山形県鶴岡市の美咲クリニックにて「こころの健康外来」を開始。2012年~2015年まで西東京市精神科産業医を勤め、2014年より新宿溝口クリニックで栄養療法を実践。20165月よりブレインケアクリニックを開業。心身のトータルケアと、より早期からの認知症予防治療に取り組んでいる。20182月、日本ブレインケア・認知症予防研究所の所長就任。著書に「ボケない人の最強の食事術(青春出版インテリジェンス)」などがある。

Photo: Getty imagaes


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