子供がすぐに眠る!眠くなる絵本で話題の「おやすみロジャー」のお話は!?

眠くなる絵本が、子育てに奮闘するママやパパの間で話題になっています。「嘘みたいに子どもがすぐに眠った!」と驚きの声が殺到している絵本なのだそう。

その名も『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』。

世界的なベストセラー絵本で、2016年上半期のAmazonランキング大賞「本(和書総合)」部門で1位、オリコン2016年上半期本ランキング「BOOK部門」で1位を獲得するなど、国内でも既に75万部を超える発行部数を記録しています。

絵本を読んだだけで、どうして子どもが眠くなるのか、大人の不眠にも効果があるのか、気になる疑問を日本語版の監訳者・三橋美穂さんに伺いました。

※1 2015年11月16日から2016年5月15日の期間におけるAmazonでの販売データ等をもとに集計したランキング
※2 2015年11月23日~2016年5月22日に集計したランキング

眠くなる絵本に散りばめられた心理学的なテクニック

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鉛筆と色鉛筆で描いたような、幻想的でちょっと意味ありげな2匹のウサギが表紙の『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』。ページをめくると、目に飛び込んでくるのは、

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「注意!車を運転している人のそばで絶対に音読しないこと」 という大きな文字。

その下に、「この本は読み聞かせの本で、お子さんは横になってお話だけを聞く方がいいでしょう」といった説明と、次のような意味ありげな文が並んでいます。

・太字の箇所は、言葉や文を強調して読む

・色文字の箇所は、ゆっくり、静かな声で読む

・この本には特別に組み立てられた文や厳選された言葉が組み込まれています

これだけでも普通の絵本ではないことがわかると思いますが、こうした細かな指示は睡眠とどんな関係があるのでしょうか。

「絵本の中でフクロウが、“今すぐ眠るとっておきの方法”を教えるシーンがあります。

実は、これらは『順番に身体の力を抜いていきまーす』『足首を楽にして〜』『足全体を楽にして〜』といった具合に、身体の感覚を“眠りに落ちていく状態”に導いているんです。

これは実際に医療の現場で使われている、自律訓練法のメソッドを取り入れています」(三橋さん)

自律訓練法とは、診療内科などで使われている、過度に緊張してしまう人がリラックス方法を覚える際に行うイメージ療法です。

絵本の著者であるカール=ヨハン・エリーン氏は行動科学者で、この絵本にも心理学と行動科学のテクニックを巧みに組み込んでいます。

「ほかにも、アファメーション効果のテクニックが入っています。アファメーション効果とは、願望を実現するために繰り返し一つの文を口に出して唱え、潜在意識の力を引き出す方法です。

絵本でも『眠れたらいいな』という願望ではなく、『眠っちゃった』という、すでに達成された文章を意図的に盛り込んでいます」(三橋さん)

もう一つ、読んでいて気づいたのは、言葉の繰り返しが多いこと。

「くたくた、ゆーらゆら、ゆっくりゆっくり……など、眠りを連想させる言葉を繰り返すことで、よりイメージが強調されて頭に入ってきます。

また、『あくびする』という動作を読み手に促す部分がありますが、これは『ミラー効果』を狙っています。

ミラー効果とは、信頼している人の行動を自然にマネしてしまうという現象です。このように、この絵本には眠くなるような仕掛けがいくつも緻密に計算された上で組み込まれているんです。

最初に刊行されたスウェーデンでは、『本というより、ノーベル賞ものの発明』と言われているほど、よくできた絵本です」(三橋さん)

子どもだけでなく、大人も眠くなる?

Twitter上の「#おやすみロジャー」のハッシュタグがついたコメントには、パパやママからの驚きと感謝の声が多数寄せられています。

「子どもがすぐに眠ってくれるようになった」という反響以外にも、次のような喜びの声も。

子どもが途中で目が覚めなくなった、夜泣きがなくなった、朝の目覚めがよくなった、という声もあります。

『おやすみ、ロジャー』で十分にリラックスして眠りに入ることで、眠りの質がよくなっているんです。

あるママが、なかなか寝ない小学生の息子に『おやすみ、ロジャー』を読んだら、すぐに眠るようになったそうなんですが、数日後、『ロジャー、読もうか?』と言うと、お子さんが『もう眠り方はわかってる』と、自分で自分に眠りの暗示をかけるようにひとりで寝てしまったそうです。

子どものころに身体の感覚で覚えたことは、きっと一生ものになります。

将来、大人になってストレスでなかなか眠れないときにも、この眠り方が役に立つと思います」(三橋さん)

では、子どもだけでなく、不眠症の大人に効果があったという声はあるのでしょうか?

「不眠症の方で、『薬に頼らなくても寝られたという声は届いています。

ほかにも、持病があって痛みで眠れず、8年にわたり睡眠導入剤を使用していた男性が、『おやすみ、ロジャー』で眠れるようになったという話も聞きました。

読み聞かせ中に眠くなるママは多いですし、この本を作っているときは、私も編集者さんも眠くなってしまって、睡魔と闘いながら作業をするのが大変でした。

大人にも十分効果はあります。『こんな絵本じゃ絶対に寝られない!』と意固地になっている人もいるようですが、それはもったいないですね」(三橋さん)

『おやすみ、ロジャー』の応用で、眠くなる方法を身につけられる?

よく「本を読んでいると眠くなる」などの話も聞きますが、これも『おやすみ、ロジャー』と同様、何か眠りにつながる要素が含まれているのでしょうか。

「いえ、それは違うんです。眠くなる本って、難解な本が多いと思いますが、それは脳が『イヤなことから逃れたい』と思って眠りに逃避しているんです。

退屈な会議で眠くなるのも同じこと。脳がその状態に拒否反応を起こして起こる“逃避の眠り”です。

『おやすみ、ロジャー』は、身体をリラックスさせて眠りに入る方法を覚える本です。

十分にリラックスできるから眠くなるし、そうやって眠りに入ると質の高い眠りになるんです」(三橋さん)

では、絵本に使われている「ミラー効果」を活用し、眠そうな人の映像などを見るのは?

「それは、ミラー効果とはいえません。ミラー効果とは、信頼している人の行動を自然とマネしてしまう現象なのですが、知らない人の映像でも効果があるかどうかは何とも言えません。

ですが、先日『おやすみ、ロジャー』がテレビ番組で紹介されて、ある女性アナウンサーが絵本を朗読したんです。

その朗読がとても上手で、Twitterでも『ヤバイ!眠くなる』と話題でした(笑)。

ですから、知らない人でも信頼感が得られる人なら効果はあるかもしれません。

どちらにせよ、眠りに入るときの身体感覚をいかにイメージさせられるかが重要なんだと思います」(三橋さん)

不眠に悩んでいる人は『おやすみ、ロジャー』を読み、眠りに落ちるときの身体感覚やイメージを身体に覚えさせるといいかもしれません。

なかなか寝ない子ども、また、それが原因で睡眠が安定しないママやパパ、親子そろって絵本の効果を実感してみてください。

photo:Thinkstock / Getty Images

三橋 美穂

監修

快眠セラピスト・睡眠環境プランナー

三橋 美穂

寝具や快眠アイテムの開発、睡眠関連企業のコンサルティング、ホテルや旅館の客室コーディネート、テレビや雑誌のメディア出演など多方面で活躍。著書に「驚くほど眠りの質がよくなる 睡眠メソッド100」(かんき出版)ほか多数。

有限会社Sleepeace 代表


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