睡眠の質を決める3つの条件

睡眠の質はどうすれば上がるのか?│睡眠の質を決める3つの条件

睡眠は時間はもちろんですが、「質」も大切です。質の高い睡眠、すなわちぐっすり眠り、すっきりと目覚めることが、心身の健康だけではなく、日中のパフォーマンスを上げることにもつながります。

今回は「最近、寝起きがスッキリしないんです…」というフミナーくんが、睡眠の質を上げる方法を探りにフミナーズ睡眠ドクターの元を訪れました。

教えてくれた人: フミナーズ睡眠ドクター

眠りの研究を重ねることXX年。多くの眠れないフミナーズたちを救ってきた。
口癖は「睡眠がすべてなのです!」

相談者: フミナーくん

不眠・いびきをはじめ、眠りに関するさまざまな悩みとともに生きてXX年の玄人フミナー。
すっきり起きられないことが多く、毎朝遅刻しかけているのが悩み。

睡眠の質とは?

ベッドで寝る男性

「質の良い睡眠」と言っても、それっていったいどんな眠りのことなのか分かる人って少ないですよね…。「質の良い睡眠」とはいったいどんな状態のことをいうのでしょうか? まずは、睡眠の質についてフミナーズ睡眠ドクターに聞いてみました。

 

フミナーくん

ボクは常に睡眠不足な状態。ぜんぜん睡眠時間が足りてないんです。もっと寝たいんだけどなあ…

フミナーズ睡眠ドクター

“睡眠不足”というと、眠っている時間が足りないだけだと思っていませんか? でも、睡眠において時間と同じくらい大切なのが“質”です。たとえ睡眠時間が十分に取れていても、その質が悪ければ“睡眠不足”になってしまいます

フミナーくん

質のいい睡眠って、そもそもどういう眠りのことをいうんですか?

フミナーズ睡眠ドクター

質の良い睡眠とは、“睡眠前に心身がリラックス”していることで入眠がスムーズになり、“深い睡眠”がとれていることをさします。質の良い睡眠によって熟睡できると“目覚めの爽快感”や“満足感”を得ることができるんですよ

 

 

睡眠前にリラックスできているとは?

 

フミナーくん

熟睡かあ…憧れるなぁ

フミナーズ睡眠ドクター

“熟睡”というと、個人的な感覚のように聞こえますが、要するに、心身ともにリラックスして眠れているかどうかが大切なんです

フミナーくん

ぐっすり眠るためには寝る前からリラックスできていないとダメということですね。でも、そんなにすぐにリラックスなんてできないし……

フミナーズ睡眠ドクター

そのとおり! ヒトがリラックスできているときは、自律神経のバランスは、休息を司る副交感神経が優位になっています。ですが、交感神経が活発に働いている緊張状態から、リラックス状態にもっていくには時間もかかります。スムーズな入眠には、睡眠前からリラックスできる環境を作ることが大切なんですよ

 

 

深いノンレム睡眠がとれているとは?

 

フミナーくん

なるほど。もうひとつの“深いノンレム睡眠”というのは、どういうことですか?

フミナーズ睡眠ドクター

睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠があるというのは聞いたことがありますよね?

フミナーくん

えっと……レム睡眠は浅い眠りでしたよね?

フミナーズ睡眠ドクター

そう。簡単に言うと、レム睡眠は身体を休める眠りで、このとき脳は記憶の整理といったメンテナンス作業を行っているんです。一方、ノンレム睡眠は脳を休める眠りで、これにより身体の緊張が和らぎ、ストレスも取り除かれると言われています

フミナーくん

レム睡眠とノンレム睡眠は寝ている間、繰り返されているんですよね?

フミナーズ睡眠ドクター

そのサイクルをグラフにしたのがこれです。一般的にヒトの身体は一晩のうちに、レム睡眠とノンレム睡眠を3〜4回繰り返すと言われています

 

睡眠段階

 

フミナーくん

寝入ってから約30~60分後には、もうノンレム睡眠に入るんですね!

フミナーズ睡眠ドクター

そう、よく気が付きましたね! 睡眠の前半に深いノンレム睡眠が集中しているのがわかるでしょう。この深いノンレム睡眠のとき、最も多くの成長ホルモンが分泌されるんです。成長ホルモンには細胞の修復や疲労回復を促す働きがあって、そのおかげで十分に疲れがとれるから、目覚めがスッキリするんですよ

 

 

睡眠の質を決める3つの条件

ベッドで横になる女性

良い睡眠に必要なのは、「リラックス状態からのスムーズな入眠」と、「深いノンレム睡眠」ということがわかりました。ここではその二つの質を左右する3つの条件を紐解いていきます。

 

フミナーくん

“リラックス状態からのスムーズな入眠”と、“深いノンレム睡眠”がもたらすのが“質の高い睡眠”ということですね。ドクターの話を聞く限り、僕は全然リラックスして眠れてないんだな……ということがよくわかりました。でも、どうしたら、そんなふうに眠れるんですか? なんか難しそう……

フミナーズ睡眠ドクター

「いえいえ、そんなことはないですよ! 睡眠の質は大きくわけて3つの条件によって決まってきます。ひとつずつ説明していきますね」

 

【睡眠の質を決める3つの条件】

  1. メラトニンの分泌量
  2. 体内時計
  3. 自律神経

 

 

メラトニンの分泌量

 

フミナーくん

まずは、“メラトニンの分泌量”ですか。メラトニンって何のことですか?

フミナーズ睡眠ドクター

メラトニンは“睡眠ホルモン”とも呼ばれ、睡眠の質を高めるうえで必要不可欠な物質なんです。夜になって、このメラトニンの分泌が増えることによって眠くなるんですよ

フミナーくん

うーん、難しい。具体的にメラトニンが増えると私たちの身体はどうなるんですか?

フミナーズ睡眠ドクター

メラトニンが分泌されると、呼吸や脈拍を安定させて気持ちを落ち着かせてくれ、心地よい眠気をもたらしてくれるんです。また、ヒトの身体は、内部の温度(深部体温)が一度上がり、そのあと急激に下がると、自然な眠気が訪れます。メラトニンが分泌されることで、この深部体温もしっかり下がるようになり、入眠がよりスムーズになるんですよ

フミナーくん

なんか、聞いただけで気持ちよさそうですね。どうやったらメラトニンがちゃんと分泌されるようになるんですか?

フミナーズ睡眠ドクター

メラトニンの材料となるのがセロトニン。メラトニンの分泌には、まず、セロトニンが正しく分泌される必要があるんです

フミナーくん

なんか似たような名前…! セロトニンってなんですか?

フミナーズ睡眠ドクター

セロトニンは別名“幸せホルモン”と呼ばれ、心身を安定させる物質で、明るい光を浴びることで分泌が促されます。ヒトの身体は、セロトニンが分泌されてから1416時間後にメラトニンが生成される仕組みになっているので、朝、明るい光を浴びることは睡眠の質を高めるためにとても大切なんですよ

 

 

体内時計

 

フミナーくん

二つ目の条件は、体内時計ですか。ホントに身体の中に時計があるんですか?

フミナーズ睡眠ドクター

“朝、太陽が上ると目覚め、昼間活動し、夜は寝る”といった1日の生活のリズムは、人間の身体に備わったものです。このリズムを刻む体内時計は脳にあって、目覚めて朝日を浴びるとリセットされて、新しい1日がスタートすると言われています

フミナーくん

朝、太陽の光を浴びるのはセロトニンを作るだけじゃなくて、体内時計とも関係しているんですね

フミナーズ睡眠ドクター

人間の体内時計は24時間より少し長めになっているので、毎朝、きちんとリセットしないと徐々にズレていってしまいます。目覚めが悪く、真っ暗な部屋で朝日を浴びないでダラダラ過ごす習慣を続けていると、体内時計は狂い、睡眠の質を下げることになるんですよ

フミナーくん

あぁ〜。それ、やっちゃってますね……僕

フミナーズ睡眠ドクター

夜の過ごし方も大事ですよ。メラトニンは暗くなるとより分泌されやすくなり、蓄積されるほど眠気を促します。眠る12時間前には照明の明るさを落としたり、間接照明を使ったりして、部屋をなるべく暗くすることを心がけてみてください

 

 

自律神経

 

フミナーくん

自律神経は先ほど、お話がありましたよね。眠る前は副交感神経を優位にして、リラックスすることが大切、と

フミナーズ睡眠ドクター

そのとおり! あれこれ考え込んだりすると、緊張や覚醒を促す交感神経が優位になってしまいます。考え事をしていてなかなか寝付けず、そのまま眠ってしまうと興奮状態が続いて、脳も休むことができません。結果、質の悪い睡眠になってしまうんです

フミナーくん

でも、自律神経ってそんな簡単にコントロールできるんですか?

フミナーズ睡眠ドクター

自律神経はストレスや不規則な生活などによっても乱れます。でも、ちょっとした工夫や意識の持っていき方で、休息と覚醒のスイッチングができるんです。具体的なやり方をレクチャーするので、ぜひフミナーくんも試してみてくださいね

 

 

睡眠の質を高めるには?

コップに入った牛乳

ここからは具体的に、睡眠の質を高める方法を紹介していきます。

 

フミナーくん

ドクターの話を聞いたら、もしかしたら僕も熟睡が手に入る気がしてきました。はやく具体的な方法を教えてください!

フミナーズ睡眠ドクター

おお、そう思ってくれているのなら良かった。睡眠の質を高める3つの条件はわかりましたよね? 逆に言えば、この3つの条件を満たせば、良質な眠りを手に入れることができるわけです

フミナーくん

はい!

 

 

生活習慣を見直す

 

フミナーくん

まずは生活習慣の見直しですか

フミナーズ睡眠ドクター

そう、もっとも大切なのは生活習慣を見直し、規則正しい生活を送ること。毎朝、決まった時間に起きて太陽の光を浴びる。その理由は、もう、わかりますよね

フミナーくん

メラトニンの材料となるセロトニンの分泌を促すことができるし、体内時計がリセットできるから、ですね!

フミナーズ睡眠ドクター

そう。そして、朝食をしっかりととること!

フミナーくん

ボク、朝、食べないんですよね……。朝はコーヒーばかりで…

フミナーズ睡眠ドクター

セロトニンはトリプトファンというアミノ酸を材料にしてできています。朝ごはんでトリプトファンを摂取すれば、さらに分泌を増やすことができるんですよ。食生活も良質な眠りを手に入れるためには大切なんですよ

フミナーくん

トリプトファンって、どんな食べ物に含まれるんですか?

フミナーズ睡眠ドクター

トリプトファンは、牛乳やヨーグルトなどの乳製品、豆腐や納豆といった豆製品、そして肉類に多く含まれています

フミナーくん

じゃあ、ごはんとみそ汁、納豆とかでもいいんですか?

フミナーズ睡眠ドクター

もちろん。時間がなければバナナだけでもOK。バナナにもトリプトファンは多く含まれています。アボカドにも多く含まれていますよ

 

 

睡眠前の習慣を見直す

 

フミナーくん

次は睡眠前の習慣の見直しか……

フミナーズ睡眠ドクター

フミナーくんは寝る前、どんなふうに過ごしているの?

フミナーくん

えっと……夕ごはんを食べたあとは、お酒を飲みながら、テレビを見たり、スマートフォンでゲームしたり、SNSをチェックしたり

フミナーズ睡眠ドクター

全然、ダメ! 睡眠の質を決める3つの条件の3番目はなんだったかな?

フミナーくん

自律神経……

フミナーズ睡眠ドクター

フミナーくんがやっていることは、どれもリラックスとは真逆! 睡眠の質を妨げるNG行為を下にまとめたから、ちゃんと確認してくださいね!

 

【睡眠の質を妨げるNG習慣】

  • スマートフォンやパソコンの使用
    画面から発せられるブルーライトがメラトニンの分泌を抑える
  • 飲酒
    アルコールが分解されて発生するアセトアルデヒドが睡眠を妨げる
  • カフェインの摂取・喫煙
    覚醒作用が働き、交感神経が優位に働くためスムーズな入眠を妨げる

 

 

フミナーくん

わかりました……では、寝る前にはどう過ごしたらいいんですか?

フミナーズ睡眠ドクター

穏やかな音楽などを聞いてリラックスするなど、自分なりの入眠儀式を持つのも良いですね

フミナーくん

入眠儀式? お祈りとか?

フミナーズ睡眠ドクター

寝る前に必ず行うことを決め、それを習慣にすることで、脳に「これから寝るぞ」と伝える、これが入眠儀式です。たとえば、「寝る前にコップ1杯の水を飲む」でも「ストレッチをする」でも、何でも良いんですよ

フミナーくん

本を読む、とかでもいいんですか?

フミナーズ睡眠ドクター

悪くはないですが、緊張や興奮するようなハラハラドキドキする本は避け、リラックスできる趣味の本や何度も読んだ本を眺める程度のほうがおすすめです。あと、そのときの照明にも注意を。明るすぎる光は覚醒を促してしまいます

フミナーくん

なるほど〜

 

 

適度な運動をする

 

フミナーくん

3つめは、運動か……

フミナーズ睡眠ドクター

睡眠の質を高めるためには、身体を動かすことも必要なんですよ。フミナーくん、なにか定期的に運動はしていますか?

フミナーくん

運動……していません

フミナーズ睡眠ドクター

うーん、それは身体に取って良くないですねえ。脳と身体がバランスよく疲れていると、スムーズな入眠ができるんですよ。でも実際は、身体は運動不足、脳は日中、フル稼働でヘトヘトという人が多い。このアンバランスさを解消するために、運動を習慣づけると良いでしょう

フミナーくん

博士、おすすめの運動はありますか?

フミナーズ睡眠ドクター

なんでもいいんですが、運動をするタイミングのほうが重要かな。朝だったら、まだ体温が低く、身体が活動する準備が整っていないので、ウォーキングやジョギングなど軽めのものを。ハードな運動は、体温が高く身体に無理がかからない夕食前が◎。もう、わかっていると思いますが、寝る前にハードな運動はダメですよ!

フミナーくん

交感神経が活性化しちゃうからですね!(キリッ)

フミナーズ睡眠ドクター

そうそう、フミナーくんもわかってきたじゃない! 睡眠の質が上げれば、日中のパフォーマンスも上がるんです。すなわち、人生が変わる! そう、睡眠がすべてなのです!

 

<参考>
熟睡で生活の質を改善!眠りの質を上げる7つのコツ
成長ホルモンとは|分泌量を増やすメリットと増やし方
体内時計の乱れは万病の元!病気のリスクと体内時計の上手な整え方
「メラトニン」で睡眠の質改善!「ホテルのような照明」がカギ
熟睡で生活の質を改善!眠りの質を上げる7つのコツ
食欲の秋に食べ過ぎるのはなぜ?|しっかり眠って生活習慣に注意!

坪田 聡

執筆

医師・医学博士

坪田 聡

医師として睡眠障害の予防・治療に携わる一方で、睡眠改善に特化したビジネス・コーチとしても活躍中。「快適で健康な生活を送ろう」というコンセプトのもと、医学と行動計画の両面から睡眠の質を向上させるための指導や普及に尽力。総合情報サイトAll about 睡眠ガイド。 「睡眠専門医が教える! 一瞬で眠りにつく方法」(TJMOOK 宝島社)、「パワーナップ仮眠法」(フォレスト出版)他、監修・著書多数。

医療法人社団 明寿会 雨晴クリニック 副院長

Site: http://suiminguide.hatenablog.com/


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