モーツァルトを聴くと眠くなる?就寝前に適した曲

「眠れる音楽」とは|安眠できる曲選びのポイント

眠る前に音楽を聴くと、「よく眠れる」「寝付きがよくなる」と感じる人もいるでしょう。

今回は音楽を聞いてスムーズに眠れるメカニズム、眠れる音楽の条件、眠れる音楽の効果を高めるコツについてCD『究極の眠れる音楽』監修を務める、心療内科医の牧野真理子先生にお話を伺いました。

音楽を聞いてスムーズに眠れるメカニズム

音楽を聴きながら眠る男性

音楽を聴くと眠くなる理由は主に2つあり、脳波が音楽に同調し、睡眠時の脳波に変わるためと、副交感神経が優位になり、リラックスするためです。

ここでは音楽を聴くと眠くなるメカニズムについて解説します。

音楽によって睡眠時の脳波に変わる

人は音楽を聴くと、その音楽の周波数に合わせて脳波が変化します。

「眠れる音楽」からは、睡眠時の脳波と同じ周波数が出ているため、脳がこれに同調し、眠くなるのです。

ここでは睡眠時の脳波と音楽の周波数の関係ついて解説します。

睡眠時の脳波の周波数と音楽の周波数の関係

人の眠りには、「レム睡眠」と呼ばれる身体を休める深い眠りと、「ノンレム睡眠」と呼ばれる脳を休める浅い眠りがあります。

眠りにつくと、まず浅い段階のノンレム睡眠があらわれ、時間とともに段々と深くなり、深い睡眠状態がしばらく続きます。

この後、再び浅いノンレム睡眠状態になり、レム睡眠へ移ります。一晩の睡眠では、このサイクルを繰り返していきます。

睡眠の深さ

上記で述べた睡眠の深さに合わせ、脳波も変化していきます。

脳波には周波数が低い順にδ(デルタ)波、θ(シータ)波、α(アルファ)波、β(ベータ)、γ(ガンマ)波の5種類があります。

それぞれの周波数は、下記になります。

δ(デルタ)波:0.5〜4Hz θ(シータ)波:4〜8Hz α(アルファ)波:8〜14Hz β(ベータ)波:14~38 Hz γ(ガンマ)波:26~70 Hz 脳波は熟睡しているときほど低い周波数となり、音楽がもつ周波数と同調する特徴があります。

そのため、δ(デルタ)波、θ(シータ)波、α(アルファ)波の周波数をもつ音楽を聴くと、深い眠りのときと同じ周波数に変化しやすくなり、スムーズに眠りにつくことができます。

副交感神経が優位になりリラックスする

人は眠りにつく際、緊張しているときに働く「交感神経」が優位な状態から、リラックスしているときに働く「副交感神経」が優位な状態になります。

日中の活動により受けた刺激によって、交感神経が優位な状態が続き、入眠をさまたげることがあります。

寝前に音楽を聴くと、神経の緊張状態をほぐし、副交感神経が優位な状態になり、心身がリラックスするため、入眠の助けとなります。

眠れる音楽の選び方

ベッドで音楽を聴く女性

数ある音楽の中から、眠れる音楽を選ぶにはどうすればよいでしょうか。ここでは眠れる音楽の選び方を紹介します。

リラックスした気分になる曲を選ぶ

眠れる音楽を選ぶときは、「自分がその曲を聴いてリラックスできるかどうか」が重要なポイントとなります。

自分で聴いてリラックスできる“好きな曲”であることが大切です。

クラシック音楽など周波数が0.5〜14Hzの音楽を選ぶ

周波数が低い順にδ(デルタ)波(0.5〜4Hz程度)、θ(シータ)波(4〜8Hz程度)、α(アルファ)波(8〜14Hz程度)と同調する周波数をもつ音楽が、就寝前に聴く音楽として適しています。

たとえばクラシック音楽などが該当します。クラシック音楽は、全体的に低い音で、ゆったりとしていて静かな曲調のものは、周波数が低い傾向にあります。

なかでもモーツァルトの曲は周波数が低く、眠りをサポートする音楽として理想的だと言われています。

また、雨、風、波、川、滝、雪など、自然界の音も低い周波数をもち、就寝前の音楽として適しています。

歌詞のある曲(サウンドトラックはNG)を選ぶ

歌詞がある曲は、無意識のうちに歌詞の意味などを考えてしまうため、脳が活発に働いてしまいます。

そのため、歌の入っていない、楽器のみの演奏曲を選びましょう

歌が入っていても、歌詞の意味を理解できない外国語の曲であれば眠る前に聴いても脳が活動することが少ないといわれています。

ただし、ドラマ・映画の挿入歌やサウンドトラックは、物語の内容を思い出して脳が活発に働いてしまうことがあるため就寝前に聴く音楽には向いていません。

また、ロックやポップスなど、アップテンポで激しい曲調のものも「眠れる音楽」には適していません。

こうした曲・音は、脳を活性化させたいときに聴くのに向いているので、起床直後や朝の通勤・通学中などにおすすめです。

眠れる音楽の効果を高めるコツ

ヘッドホンをつけて眠る女性

眠れる音楽は姿勢や時間帯を意識したり、聴くときの環境を整えたりすることで、より効果的になります。

ここでは眠れる音楽の効果を高めるコツをご紹介します。

音楽を聴く時間

音楽に脳波を同調させるためには、入眠したい時間の1時間前から音楽を聴くのが効果的です

時間をかけてゆっくり心身をリラックスさせることで、スムーズに入眠することができます。

リラックスできるスタイルで音楽を聴く

イヤホンやヘッドホンなど、さまざまな音楽の聴き方がありますが、眠れる音楽の効果を高めるには自分がもっともリラックスできる聴き方を選びましょう

例えば「コードがまとわりつくのが嫌」という場合は、スピーカーなどを使って音楽を流しましょう。

ただし、あまり大音量だとリラックスしづらくなるので、適度な音量に設定することが大切です。

1曲や複数の曲をリピートする

同じ曲をリピートすることによって、その曲を聴くことが「入眠儀式」となるため、入眠しやすくなります

また、プレイリストを作って、複数の曲を繰り返し再生するのもよいでしょう。

部屋の照明を調整する

ベッドに入ったら、できるだけ部屋を暗くすることも大切です。

光の刺激があると、脳がうまくリラックスできない場合があるため、カーテンを閉めて、明かりはすべて消した状態が理想的です。

音楽は、聴くタイミングや曲を選ぶことで睡眠の質を高めたり、入眠がスムーズになったりとさまざまな効果を得られます。

睡眠の質を上げたいと思っている人は一度試してみてはいかがでしょうか。

バイノーラル・ビートについて

ヘッドホンを聴いて眠る男性

眠りをサポートする新たな音楽のひとつとして、「バイノーラル・ビート」というものがあります。

ここではバイノーラル・ビートの詳細と働きをご紹介します。

バイノーラル・ビートとは

バイノーラル・ビートとは、左右の耳から異なる周波数の音が流れる仕組みを持った音源のこと。

通常の入眠音楽は、脳波が音楽の周波数に同調して眠りのスイッチが入るというものですが、バイノーラル・ビートの場合は、左右の耳から聴こえる周波数の“差”を利用します。

脳には、左右で異なる周波数の音を感じると、その“差”に脳波を合わせようとする働きがあります。

その働きを利用して脳波をコントロールします。

例えば、熟睡しているときの脳波δ(デルタ)波(0.5〜4Hz)を出すために、左右の周波数の差が4〜0.5Hzになる音を聴く、というものです。

バイノーラル・ビートを聴くときの注意点

バイノーラル・ビートは、その仕組みから、ずっと左右の周波数が“ズレた”音を聴いているため、あまり長時間聴いていると、かえって脳が疲れてしまう場合があります。

また、音楽自体にメロディがないことがほとんどなので、通常の入眠音楽ほどのリラックス効果を得ることは難しいケースが大半です。

バイノーラル・ビートを利用する際は、朝まで流しっぱなしにするなど、長時間聴き続けるのは避けましょう。

photo:Getty Images

牧野 真理子

監修

医師・医学博士

牧野 真理子

牧野クリニック


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