冬の大木

冬至の「カボチャ」「柚子(ゆず)湯」は快眠の知恵

今年(2017年)の冬至は12月22日(金)です。北半球では冬至が、一年で最も昼が短い日です。

そして、この日を境に春に向かって、少しずつ昼の時間が長くなっていきます。

しかし、この時期から寒さは本格的に厳しくなっていきます。

年末に向けていよいよ忙しくなっていくこのシーズンに、身体の調子を保つ方法を、伝統的な習慣から探ってみましょう。

冬至に「カボチャ」を食べるのはなぜ?

「ん」がつく食べ物は「運盛り」と呼ばれて、運がつくとして好まれてきました。

冬至のような季節の変わり目には運を良くしようということで、「ん」がつく野菜であるカボチャ(南瓜・なんきん)が食べられてきたようです。

「運盛り」の食材として他には、「銀杏(ぎんなん)」や「人参(にんじん)」、「蓮根(れんこん)」「うどん」などがあります。

また、カボチャにはビタミンAやカロテン(カロチン)が多く含まれていて、風邪や脳卒中の予防が期待できます。

漢方医学では、身体を温める食べ物を「陽性食品」、逆に体を冷やす食べ物を「陰性食品」と区別しています。

陽性食品は、カボチャやニンジン、ショウガ、ゴボウなどの根菜類が含まれます。

その他にもやや硬いものや、赤・黒・橙(だいだい)・黄色のもの、北方産のもの、塩分が多い食材は陽性食品です。

一方、陰性食品には、葉菜類や軟らかいもの、青・白・緑色のもの、南方産のもの、水っぽいものなどがあります。

飲み物では、紅茶や日本酒、赤ワイン、梅酒、お湯割ウイスキーは陽性食品です。

水や酢、牛乳、ビール、ウイスキー、コーラ、ジュースは陰性食品です。

身体を温めて風邪を予防し、寒い冬を乗り切るためには、これらの陽性食品を多くとるようにしましょう。

カボチャは実だけでなく、種も食べたいものです。カボチャの種は「パンプキンシード」と呼ばれています。

パンプキンシードには、亜鉛や葉酸、ビタミンA・C・Eなどが多く含まれています。

これらの働きにより、血行の改善や冷え性の緩和、むくみの軽減、美肌、アンチエイジングなどの効果が期待されています。

パンプキンシードには、睡眠にとって大切な成分である必須アミノ酸の「トリプトファン」も豊富です。

トリプトファンは体の中で、睡眠ホルモン「メラトニン」の原料になります

トリプトファンはバナナに多いと言われていますが、パンプキンシード10gでバナナ5本分のトリプトファンをとれます。

冬至に「柚子(ゆず)湯」に入ると良いというのはなぜ?

運を呼び込む前には、身を清めなくてはいけません。

冬至に柚子湯に入るのは、季節の節目のお祭りに際して、禊(みそぎ)を行うという意味があります。

柚子の香りには、邪を払う効果があるとも考えられていたようです。

寒くなると柚子がたくさん取れます。冬至だけでなく寒い季節には、柚子を浮かべた「柚子湯」に入りましょう。

身体が温まるだけでなく、柚子の香りが心身ともにリラックスさせてくれます。健康な人の体温は、1日の中で1度くらい上下します。

体温が下がる時間帯には寝つきやすく、体温が上がる時期には寝つきにくいことが分かっています。

ですから、ベッドに入る予定時刻の1~2時間前にお風呂に入ると、体温が下がってくるときにスムーズに眠ることができます。

お湯が熱いと交感神経が刺激されて目が覚めてしまうので、37~40度のぬるめのお湯に10~20分ほど入りましょう。

半身浴でも同じような効果が得られます。 柚子の香りには「リモネン」という精油成分が含まれています。

リモネンには血行を促進したり、心身をリラックスさせたりする効果があります。リモネンのほかにも、睡眠の助けになるアロマがあります。

ラベンダーやカモミール、ベルガモット、プチグレンなどがお勧めです。これらの精油を数滴、湯船にたらして、アロマバスにしてみましょう。

「お風呂の準備やあとの掃除が大変」という方には、手浴+足浴をお勧めします。

方法は、42度くらいのお湯を洗面器に入れて、手首から先あるいは足首から下を10~15分間お湯につけます。

お湯がぬるくなったら、熱いお湯を注ぎ足します。 いろいろな効果が期待できる柚子湯やアロマバスですが、肌が弱い方や妊婦さん、小さなお子さんはお控えください。

寒い夜には「ショウガ湯」で温まる

夕食以降にカフェイン飲料やアルコールを飲むと、寝つきが悪くなったり睡眠の質が悪くなったりします。

冬の夜にお勧めの飲み物は「ショウガ湯」です。ショウガには、体を温め気持ちを落ち着けて、眠りやすくする効果があります

ショウガ湯は、親指大のショウガをすりおろして熱湯をかけ、黒砂糖やハチミツを入れて作ります。

これに葛粉を加えると、保温効果や滋養強壮作用が強まります。洗面器1杯のお湯にショウガ1個をすりおろして入れると、身体の保温効果が倍増します。

安眠効果の他に、手浴には肩こりや肘の痛みを和らげる働きがあり、足浴には腰痛や膝の痛みを軽くし、むくみや水太りを減らす作用があります。

電気毛布より湯たんぽが自然な眠りを導く

冬には寝床を温めるために、電気毛布を使っている人が多くいます。

電気毛布は、うまく使わないと自然な眠りを妨げることがあるので、注意が必要です。

睡眠中には体温が下がり続け、目覚めるしばらく前に最低となり、そのあと上昇します。この体温の自然な変化を妨げると、睡眠の質が悪くなります

熱帯夜に寝苦しい原因の一つが、睡眠中に体温が十分、下がらないことです。

冬でも電気毛布で寝床の中を温めすぎると、熱帯夜と同じく体温が下がりにくくなります。

電気毛布を使うなら、寝床に入った時に電源を切ったほうが睡眠の質が良くなります。寝床を温めるなら電気毛布より、昔からある「湯たんぽ」がお勧めです。

湯たんぽのお湯は時間とともに冷めるので、体温の自然な低下を邪魔しません。

湯たんぽを足元に置いて眠っても、足先の冷えた血液を温めるだけで、それほど効果的ではありません。

なるべく太い血管がある太ももやお尻、おなか、二の腕などと、リンパ管が集中している首や脚の付け根などを暖めましょう

そうすることで、内臓の血液やリンパ液の循環量が増えて体の中心の温度が上がり、その温かい血液が手足に運ばれて手足の冷えが改善してくれます。

冷え性の治療に湯たんぽを使っている医療機関では、身体が温まることにより、睡眠障害や痛み、胃腸障害、下痢・便秘、食欲不振、疲労感などが改善すると報告しています。

昔の人は、湯たんぽにこんな効果があることも、よく知っていたのでしょうね。

ただし、低温やけどには十分ご注意ください。

湯たんぽは、やや厚手の袋に入れて口をしっかりと縛り、肌に直接触れないようにして使ってください。

まとめ

寒い冬には、身体に優しいものを食べたり飲んだりして、お風呂でリラックスし、温かい寝床で気持ちよく眠りましょう。

質の良い睡眠をとることが、風邪やインフルエンザを防ぎ、日中のパフォーマンスを高めることにつながります。

ぐっすり眠って、年末年始の忙しい時期を元気に乗り切ってください。

photo:Getty Images

坪田 聡

執筆

医師・医学博士

坪田 聡

医師として睡眠障害の予防・治療に携わる一方で、睡眠改善に特化したビジネス・コーチとしても活躍中。「快適で健康な生活を送ろう」というコンセプトのもと、医学と行動計画の両面から睡眠の質を向上させるための指導や普及に尽力。総合情報サイトAll about 睡眠ガイド。 「睡眠専門医が教える! 一瞬で眠りにつく方法」(TJMOOK 宝島社)、「パワーナップ仮眠法」(フォレスト出版)他、監修・著書多数。

医療法人社団 明寿会 雨晴クリニック 副院長

Site: http://suiminguide.hatenablog.com/


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