「まくらは人間の一等地にいる」年間30の新商品を開発するまくら株式会社が語る”まくら最強説”

 

世間にはびこっている「まくら」営業。

今回、「まくら営業が大々的に行われている現場がある」との情報をキャッチした。

さっそく僕はメールで「僕にもまくら営業をしてくれませんか?」と交渉。
おそらく本邦初になるだろう、まくら営業の現場にカメラが公式に入ることとなった。

 

 

 

 

 

というわけで本日僕が来ているのは、千葉県柏市にある「まくら株式会社」である。

まくら株式会社は800種類のまくらを取りそろえるECサイト「枕と眠りのおやすみショップ!」を運営し、自社でも年間30種類ほどのまくらを企画開発している。売上の9割以上がまくらであり、まさにまくら営業の総本山といえるだろう。

 


明るくて整然としたオフィス……。

 


ところせましと並べられたまくらたち……。

 


取材に対応してくれたのは、社長の河元智行さん。なんと、社長自らのまくら営業である。

 

編集部注:ライターは一般的に使われる「まくら営業」という言葉を勘違いしているようですが、睡眠課題・不眠の原因や改善方法を知る情報サイトである「フミナーズ」的にはこのまま進めていきたいと思います

 

 

 

saito

すごい数のまくらですが、まくら株式会社さんが一番お勧めするまくらってありますか?

 

kawamoto

まくらがその人にあうかどうかって、9割以上が個人的な好みや感覚ですよね。
斎藤さんにいきなり「これ」とお勧めするのはむずかしいです。

 

saito

完璧なまくらはないってことか……。

 

kawamoto

たとえば巷には「人間工学に基づいてどんな人でも満足できるまくら」をうたっているような商品もありますよね。

 

saito

ああ……。たしかにそういうの見たことある気がします。

 

kawamoto

しかし、まくら株式会社としては、そういうのは全否定するところから始まっています。
まくらは使ってみなきゃ、わかりません。試してもらいましょうか。

 

 

▲まくら株式会社の休憩室にはベッドがおいてある。

 

saito

社内にベッドあるんですね! さすが。

 

kawamoto

うちでは「眠ることも仕事」ですからね。

 

 

おすすめは1個8万円を超えちゃうまくら


▲何やらフワッフワのまくらを持ってきた河元社長。

 

kawamoto

これはうちで一番単価が高い「極上まくら」。86,400円です。
いやあ、斎藤さんにはぜひこれを買ってほしいですね!

 

saito

8万?!

 

 

kawamoto

中につまっているのは羽毛です。羽毛って、安いものだと匂いがついていたり、黒ずんでいたりするんです。
でもこれは最高級の羽毛で、そういったことがありません。
それが羽毛布団のシングル1枚分くらいの量がつまっています。カバーも本シルクです。

 

saito

ちょ、ちょっと待ってください! すごいのはわかるけれども!

 


▲試用させてもらうと、まくらに頭が、ゆっくりゆっくりと沈み込んでゆく。
まさに極上の名にふさわしい「ゴージャス」な感触。見た目がゴージャスっていうのはよくあるけれども「感触がゴージャス」っていうのは初めての経験だ。あまりのことに前腕が立ってます。

 

 

 

kawamoto

実はですね。このまくらは原価が高くてあんまり儲からないんですよ。
本当だったら1つ16万はしないといけないんですが……。

 

saito

御社が儲からないということは、買った人間が得をするということに……? 
ひょっとたら買い……?

 

kawamoto

買いですね(笑)。
実際売れているんです。先日も1人で4つご注文になった方がいました。
いやあ、ぜひこれを買っていただきたいですね……!

 

saito

ちょっと待ってください! 他のも見せてもらえますか!?

 

 

どう見てもまくらじゃなくてタオル

 

saito

あの、気になるやつがあるんですが……。これは、まくらっていいますかね? 
ウレタンの上にタオルが重なっているだけですよね?

 

kawamoto

確かに、見ての通りのものです。
まくら屋から見ればまくら以外の何物でもないですが、タオル屋さんから見れば、ただの重なっているタオルかもしれませんね。私にはまくらにしか見えませんが……?

 

saito

(そんな言い方されたらなにも言い返せない……)これは売れているんですか?

 

kawamoto

「今治バスタオルピロー」という商品なんですが、かなりの人気です。
バスタオルを敷いて寝る方は、意外と多いんですよ。高さを自分で調節できますし、洗い替えが楽です。常に清潔に保つことができます。

 

saito

……ちょっとわかります。僕も一時期バスタオルをまくらにしていたことがありました。
まくらって、日によって快適な高さが違いますからね……。調節できるのはいいです。

 

 


▲今治タオルを使用しているために、肌触りが最高に気持ちいい。幸せな気持ちで眠れそう……。

 


▲タオルなので自分の好みに合わせて高さや形を調整可能。

 

kawamoto

開発しているときには「タオルを束ねる留め具があった方がいいんじゃないか」とか「全体をカバーで包んだ方がいいんじゃないか」なんて意見もありました。でも最終的にこのシンプルな形になりましたね。

 

saito

ちゃんと考えられているんですね。でもこの形は思い切りがよすぎてすごいです!

 

 


▲ちなみに、後ほどまくら株式会社が運営するショップを見たらタオルが1枚だけのやつもあった。この振り切った発想!(枕と眠りのおやすみショップ!より)

 

 

 

まくら投げ専用枕は当たってもぜんぜん痛くない

 

saito

あと、こんなものが……。
全日本まくら投げ大会 公式枕って書いてありますが?

 

kawamoto

全日本まくら投げ大会というのが、静岡県の伊東市で年に1回あるんです。
ドッチボールみたいなルールですね。その公式球……いや、公式まくらを制作しました。

 

saito

普通のまくらとどう違うんですか?

 

kawamoto

普通のまくらは軽すぎてあまり遠くに飛ばないんです。かといって、そばがらなどを使った重たいまくらは当たると危険です。投げやすくて痛くないまくらを開発するのはすごく大変でした。

 


投げやすくて

 

 

 

痛くない!

 

 

超楽しいじゃん!

 

 

kawamoto

ファスナーなどの固い部品もついていません。ただし、寝心地はそんなによくないと思いますが……。

 

saito

社長自ら言い切る、寝心地のよくないまくらか……。

 

 


▲試しに寝てみた。

 

saito

いやいや。ふつうに使えますね。決して悪くないですよ?

 

kawamoto

あー。中途半端に寝やすくなっちゃっているんですね。確かに、中の素材はラテックスです。悪いものではないんですよ。

 

saito

まるで寝やすいのが残念かのような口ぶり!

 

 

 

 

極小ビーズのなめらかさは未体験

 

saito

単純に、まくら株式会社さんで一番売れているまくらはどれでしょうか?

 

kawamoto

「王様の夢枕」でしょうかね。

 


一見普通のまくらにしか見えませんが

 


すごくムニュムニュしている。

 

 

saito

これは触っているだけでも気持ちいいですね! 楽しい!

 

kawamoto

中には超極小のビーズが入っています。カバーもよく伸びる素材です。

 

王様の夢枕に使われているビーズ。ビンの蓋を開けると、飛び散ってしまって大変なことになるそう。

 

 

 

saito

頭から首まで包み込まれるような感じがします……! これはいい。普通にほしいですね。

 

kawamoto

超極小のビーズなので、とても流動性があるんですね。隙間をどんどん埋めてゆくんです。

 

 

saito

いいなあ。お値段はいくらですか?

 

kawamoto

6480円です。お手頃だと思いますよ。

 

saito

そんなに高くない! これ、買おうかなあ……。

 

 

 

「まくら専門」って、ぶっちゃけ苦しくない?

 

気に入ったまくらが出てきたところで、社長にまくら株式会社についてちょっとつっこんだ話を聞いてみました。

 

 

saito

ぶしつけなことを聞きますが、まくら専門ってちゃんとやっていけるんですか?

 

kawamoto

2004年に設立してから、ずっと増収です。また、一度も赤字を出したことはありません
銀行からの借入もおつきあい程度ですね。

 

saito

すごい。それにしても、なぜまくらを……。

 

kawamoto

私は、前職は家電量販店で携帯電話を売る仕事をしていたんです。

 

saito

まくらとぜんぜん関係ないんですね。

 

kawamoto

当時つきあっていた女性が、まくらを買い換えに行くっていうんで、ついていったんですね。
そのとき大流行していたまくらをおそろいで買ったんですが、2人とも首が痛くなっちゃいまして。

 

saito

ああー。残念な感じ……。

 

kawamoto

「まくら一つで、こんなに変わるんだ」って思ったんです。
ちなみにその時の彼女が現在の妻……だったらちょっといい話なんですが、特にそういうことはありません。

 

saito

へえ……(その情報いる?)

 

 

 

早すぎて理解されなかったコンテンツマーケティング

kawamoto

そこで、会社員と平行しながらまくらの情報サイト「ぴろコレ!」を作ってみました。
そうしたら、当時「まくら」で検索すると1位に表示されるようになったんです。

 

saito

スゴ!!!

 

kawamoto

2003年に「ぴろコレ!」がニフティさんのホームページグランプリで準優勝しました。
そこで会社を辞めて、2004年にまくら株式会社を設立したんです。

 

saito

まくら株式会社さんはコンテンツから始まった企業なんですね! 
いま、ネットで超はやっているコンテンツマーケティング(読者に役立つ情報を見せて集客をするやり方)だ。

 

kawamoto

ただ、この発想は2004年の段階では誰にも理解されなかったです。
検索順位1位っていうのは土地で言えば一等地にいるって自負がありました。でも……当時SEOって言葉もなくて。銀行からは「なんで家電量販店の店員がまくら屋をやるんですか?」って言われていました。

 

saito

14年前の銀行にはきっと理解できないですよね。早すぎる……。

 

 

顧客目線の情報があると企画のネタが尽きない

 

kawamoto

最初はまくらを仕入れて売る、インターネットの通販だったんですが、4年くらい前からだんだんと自社開発のまくらに力を入れるようになってきました。今ではほとんどが自社で企画したまくらです。

 

saito

毎年30種類ほどのまくらを作っているんですよね? ネタ切れにならないんですか。

 

kawamoto

それはないです。いまも企画のストックが60個くらいあります
形にするのがぜんぜん追いつかない。社員の増員もかんたんにはできないし、どうしようって思っています。

 

saito

2年分のネタがあるのか……。

 

kawamoto

うちはまくらのマーケティング情報に強いんですよ。みんなのニーズを理解してから、商品開発に取りかかるんです。

 

saito

どういうことですか?

 

kawamoto

たとえば……。そばがらのまくらって、それまでは1000円から2000円程度の安価なものしかなかったんですね。「そばがらは安いから売れる」ってメーカーは思い込んでいたんです。

kawamoto

でも、うちでアンケートをとってみたら、「そばがらが好きな人は安いから買っているわけではない」ということがわかりました。そこで7000円のこだわった質の高いそばがらのまくらを作ったところ、ものすごく売れましたね……。

 


枕と眠りのおやすみショップ!より)

 

 

まくらは「人間の一等地」にずっといることができる

 

saito

企画のネタはあるとしても、まくらってそんなに頻繁に買い換えないですよね? 
なにか需要を喚起する工夫ってしてるんですか?

 

kawamoto

そういうことって考えたことないですね。そもそも、まくらは使う人の絶対数が多いんです。子どもから高齢者までみんな使います。それも、全世界で、です。

 

saito

そうか、まくらを使わない文化圏って……ないんだ。

 

kawamoto

ないと思います。この地球上に重力があって、人間が直立歩行を始めて、背骨がS字カーブを作るようになった。
それがある以上は、みんなまくらを使いますから。需要は常にありますよね。

 

saito

言われてみると、まくらの商品としての強さって、考えたことなかったです! ニッチなようで、普遍的……。

 

kawamoto

まくらは最強だって思っています。
こんなにも毎日長く使う物で、人間の顔のすぐそばにある。いわば「人間様の一等地」にあり続けるものです。古代エジプトは死んだらまくらをお墓に持っていったそうです。そして未来にもずっとまくらはあり続ける。

 

saito

身近すぎて気づいていませんでした……。たしかにずっとありつづけますね、まくらは。

 

kawamoto

まくらがなくなるとしたら、地球上から重力がなくなるか、人間が直立歩行をやめるかのどちらかでしょう。
それがうちの業績悪化リスクになりますかね。

 

saito

 

たのもしい!!

 

 

 

未来にはまくらが生活の中心になる

 

saito

最後に、いま企画しているまくらのこと、ちょっとでも教えていただけると……。

 

kawamoto

そうですね。まくらにIoT(物とインターネットがつながること)がつけば、まくらが生活の中心になると思っています。

 

saito

IoT……! なるほど!

 

kawamoto

ネットにつながったまくらが、朝に起こしてくれる。
スケジュールを読み上げてくれる。ライトをつけて、カーテンを開けてくれる。血圧も測れる。

 

saito

それ絶対いいですね。そういう機能を持った商品は現在もあると思いますが、まくらについたら全部自然にできますね。

 

kawamoto

寝る前に、まくらに悩み相談をしたら答えてくれたり。まくらが自分のパートナーみたいになります。

 

saito

それ出たら、即買います!!

 

 

 

 

 

まくら営業の結果、最高に気持ちいいことになった

IoTまくらにドキドキしてしまったのだが、それはまだちょっと先の話。

結局、今回まくら営業を受けた中で一番気に入った「王様の夢枕」を購入した(自腹)。ちなみに会社に在庫は置いていないので、ネット通販を使った。

数日使っているんだけど、最高に気持ちいい。仰向けも横向きもOK。もう単純に買ってよかったな。

 

 


まくら株式会社はこれからも最高のまくらでまくら営業をし続けてほしいな……。
おやすみなさい……。

 

 

 

 

(取材協力)
まくら株式会社
枕と眠りのおやすみショップ!

斎藤充博

執筆

指圧師

斎藤充博

1982年生まれの指圧師。田端駅の近くで「田端ふしぎ指圧」を運営中。指圧が儲からないのに絶望して、バイトのライター業で食いつないでいる。

Site: http://fushigishiatsu.com/


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