プロフィール
大人になってから怒られると凹む。だから、多くの大人はなるべく怒られないようにしている。例えば相手がどんなコトやモノを欲しているのか、聞いたり、何度も確認したりする。
私も怒られたくない。しかし、残念なことによく怒られる。
最近では、ある仕事でプロフィール写真が欲しいと言われ、「わかりました!」と適当に返事をしてしまい、ほぼ裸の全身写真を送った。当然電話がかかってきて、「どういうつもりなのか」と怒られた。
事前に一言、「どういう写真がいいですか?」と聞いていれば、回避できた怒りだ。なぜ裸の全身写真を撮ったのか、どんな仕事なら裸の写真が許されると思ったのかなど、自分の思考に対する疑問は強く残るが、とにかく相手に聞いていれば回避できた問題だった。
あるとき、「私の寝つきが悪いことも、誰かに聞けばどうにかなるのでは?」と思った。病院に行ってお医者さんに聞くのはハードルが高いので、まず寝つきがいい人に話を聞いてみることにした。
「どうしたら、毎日寝つき良く眠れるんですか?」
すると、その人はこう答えた。
「目を閉じたら、朝だよ」
…なんの参考にもならない。
「寝る前は何をしているの? 」
と聞くと、
「パソコンとか、テレビとか、スマホとかを見ている」という回答。
一般的に、寝る前にしてはダメと言われる行為ではないか。
「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」というが、結局、聞いたところでなんの答えも得られなかった。寝る前にパソコンとかスマホとかを見ても寝られるというなら、私はもういくらでも眠れているはずだ。でも、眠れていない。
相手が悪かったのではと思い、他の寝つきがいい人にも話を聞いてみたけれど、同じような回答だった。電子マネーの残金が足りないのに電車に乗ってしまって、財布もなかったときみたいな気持ちになった。
八方塞がりでどうしようもない。寝つきのいい人に聞いても仕方がないのだ。
逆に、自分と同じく寝つきの悪い人なら…と思い、彼らにも聞いてみたが、俺も眠れない、あれをしたけど眠れない、そういう人も多いから仕方がない、などと、いつまでも答えが出ない「傷の舐め合い」になってしまった。
どうしたらいいのだ。どうすればいいのだ。
そんなある日、とある事情で、不眠不休で24時間で90キロを歩くことになった。すると、その夜は比較的寝つきがよかった。あんなに感じた八方塞がり感が嘘のように。
…そうか、答えはこれなのだ。何かに悩む人にはこれしかないのだ。あらゆることにチャレンジして、答えは自分で見つけるのだ。
もしかしたら、誰かに聞くという行為は”逃げ”なのかもしれない。人に聞いても答えは出ない。90キロ歩けば眠れるというのも、私が自分で見つけた答えなのだ。
誰かに聞いていたら、この答えには行き着かなかった。チャレンジが大切なのだ。
そう、いつか私の“ほぼ裸の全身写真”がプロフィール写真として使われる日もくるはずなのだ。「どんな写真が欲しいか?」と聞くのではなく、まずはチャレンジすることが大切なのだ。
そう思い、いくつかの仕事でチャレンジをしてみたら、もれなく怒られた。人生とは難しいものである。
あと、90キロ歩いたら体がボロボロで、もう二度とやりたくないと思った。やはり人生とは難しいものである。
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