日々、仕事に追われる現代人。夜遅くまで残業をするのが当たり前になっている方も少なくないでしょう。
とはいえ、深夜まで仕事が及ぶと、睡眠時間が確保しづらくなり、心身に悪影響を与えてしまうことも。
「あなたの1日は27時間になる。」(ダイヤモンド社)の著者であり、税理士の木村聡子さんも、朝から晩までの仕事漬けの生活によって、心身共に疲弊してしまった過去をもつひとり。
そんな木村さんを救ったのは、学生時代からの趣味だったプロ野球観戦。
友人に誘われて久々に観戦に行ったところ、とてもおもしろく、「野球を見に行ける生活を取り戻したい」と一念発起。
試行錯誤の結果、早い時間に仕事を終わらせて、自由な時間を確保するライフスタイルを確立しました。
今回は、そんな木村さんが「残業と無縁になるタイムマネジメント術」を伝授。
「やってもやっても仕事が終わらない」「就業時間後も夜遅くまで残業の毎日」と口癖になっている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
前業のススメ「朝の3時間は、4-5時間の価値がある」
木村さんがはじめに実践したのは、朝早く仕事をはじめること。
「18時に上がるためには、前に出てきて仕事をすればいいのでは」と考え、始業時間よりも3時間早く仕事をスタートさせました。すると、次のようなメリットが現れたと言います。
・朝のラッシュに遭わずに快適に通勤ができる
・電車で座って読書もできれば、職場近隣のカフェでお茶を楽しむこともできる
・電話や来客、同僚から相談を受けることがないので、誰にも邪魔されず集中できる
「朝の前業は『始業まで3時間』と、終わりの時間がはっきりしているので、エンジンがきちんとかかります。
しかも、朝は1日のうちで一番元気なので、結果、3時間で4~5時間分の仕事ができるんです」(木村さん)
たくさん仕事をこなしたいと思うと夜に残業しがちですが、始業前こそが気持ちよく仕事ができる最適な時間帯なのです。
3時間は難しくても、始業の30分~1時間前に「前業」をするだけで、きっと1日のスタートが加速するはずです。
無理をしないススメ「仕事の上限を設定し、緩やかにやりくりする」
残業をしないようにするためには、日中の仕事も効率よくこなす必要があります。
木村さんが効率よく仕事をまわすために編み出したテクニックは、1日の中で「3つ以上の仕事をしない」と決めて、スケジュールをデザインすること。
「以前、ある人に『自分は、仕事を1日にできて4つか5つ』と話したら、『僕なんか1個しかできないから、1個しかやらないと決めているよ』と言われたんです」(木村さん)
『人は欲張ってもあれやこれやと1日にはできないんだな』と、気づいた木村さんは、その日にやるべき仕事を「3つまで」と限定した上で、タスクも3日間単位で管理するように。
たとえば、今日はABC、明日はDEF、明後日はGHIというタスクをやると、スケジューリングしたとしましょう。
そして、今日やるべき「B」というタスクがどうも気乗りせず、ダラダラしているうちにBもCも未完成のまま、「今日」という日が終わってしまった…。こういう「やる気がでない」ことが原因で、仕事は渋滞をおこすもの。
このようなときは、やる気がしない仕事はあえて後回しにして、明日や明後日に予定していたタスクの中から、できる仕事を優先して取り組む。
木村さんによると、こうすれば仕事が渋滞したり溜まったりせずに、3日間のうちにやるべき仕事をこなすことができるそう。
無理をせず、仕事を1日単位ではなく「3日」というレンジの中でやりくりすることも、健康的に仕事ができる秘訣なのです。
計画的な息抜きのススメ「ポモドーロ・テクニックで、時間の使い方にメリハリをつける」
仕事をしていれば息抜きも必要。最近では、勤務中にもかかわらず、ついスマートフォンでSNSを見たくなる……という人も多いでしょう。
ただ、ダラダラした休憩は、仕事へ支障を与える可能性があります。
息抜きをうまく取り入れるために、木村さんがおこなっているのは、時間を区切る「ポモドーロ・テクニック」。
これは、25分間ありえないくらい仕事に集中→5分間休憩→25分間ありえないくらい仕事に集中→5分間休憩…を繰り返すことで、目の前の業務に集中でき、しかも根気を切らすことがなく、かつ、作業量を25分単位で量的に把握できるようになるという、仕事術です。
「ダラダラも計画的にやればいいんです。25分仕事に集中したら、5分休みをつくる。そのときにSNSを見たり、お茶を飲んだり、仮眠をとったりすればいいと思うと、すごく気が楽になりますよ」(木村さん)
年をとるにつれ、集中力はなかなか持続できないもの。だからこそ、息抜きの時間をうまく取り入れることはもちろん、時間の使い方にメリハリをつけることが重要です。残業の発生を防ぎ、モチベーションの維持にもつながるでしょう。
限りなく時間があるように感じる夜。夜食を買いに行ったり、残った人同士で雑談したりするうちに、気づけば終電の時間になっていた……と、残業の泥沼にハマっている方は多いはず。
身体がすでに疲れきっている夜は、仕事の生産性が上がることはないと見切りをつけ、今回ご紹介した3つのポイントを参考に1日のタイムマネジメントを見直してみましょう。
余裕をもって始業前から仕事を始め、欲張らず、息抜きをうまく取り入れながら業務をこなせば、仕事に追われない自由な時間を手に入れられるかもしれません。
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木村税務会計事務所