小島先生と新倉さん

「睡眠が仕事への取組み姿勢を変えた!」データ解析が攻めの健康経営

ココロの悩み
パフォーマンスアップ不眠仕事健康

健康経営に注目する企業が増えています。社員の健康度を高め、企業の業績を向上させようという動きです。ただ、「健康経営なんて、どうせ見せかけだけで、社員の健康増進が業績向上にどうつながるの?」と懐疑的な見方も多いのではないでしょうか。

しかし、実際に健康に気遣う人ほど業績が良いという結果が得られています。今回は健康経営に取り組むことで、社員の健康増進だけでなく、会社の業績も向上させようと取り組まれている丸井グループの「攻めの健康経営」をご紹介します。丸井グループ健康経営のキーマンである、健康推進部長で産業医の小島玲子先生と、健康推進部の新倉智宏さんにお話しをお伺いしました。「眠りのパワー」を信じているフミナーズ編集部としては、睡眠と仕事のパフォーマンスの関係についても、じっくりお聞きしましたので、そちらもお見逃しなく!

健康のためだけの健康経営は進まない!

 

--御社は、健康経営に熱心に取り組まれているとお聞きしていますが、そもそも、なぜ健康経営に取り組まれたのですか?

 

小島先生:丸井グループでは、2015年から「共創経営レポート」という統合報告書を通じて、目指す経営のあり方を公表していますが、「お客さまのお役に立つために進化し続ける」「人の成長=企業の成長」という経営理念の実現に本気で取り組んでいます。

 お客さまのお役に立ち、お客さまをしあわせにするには、まず、社員一人ひとりがしあわせでイキイキしていなければならないと考えています。健康経営というと、メタボ対策といった病気やリスクの予防というテーマばかりが取り上げられがちです。それらは社員の健康を守る「ディフェンス活動」(守り)としては非常に大切なことですが、「社員一人ひとりがしあわせでイキイキ」につなげるためには、皆が現状よりもさらに活力を高めるという発想も必要なのではないでしょうか。

 

インタビューに答える小島先生

 

 私たちが健康経営を通じて取り組んでいるのは、この社員一人ひとりがしあわせでイキイキ」につながる「オフェンス活動」(攻め)なのです

 私自身、長年、他の企業での産業医経験もする中で、「健康のためだけの健康経営は進まない」と感じていました。2011年に丸井グループに来て、「人の成長=企業の成長」という経営理念と、私が産業医として取組もうとしていた健康を通じた人と組織の活性化」という思いが一致したのです。

 

本気の健康経営!

 

--「健康のためだけの健康経営は進まない」というのは、ちょっとドキっとする表現ですが、確かに、メタボ対策などの健康施策が経営に結びついているかというと、私も会社員の一人としても実感がないですね。その実感のなさが、健康経営って、本当に意味があるの?といった懐疑的な見方につながっている感じがします。お話の中で、「本気」という言葉が出てきましたが、どういうところに会社の「本気さ」を感じるのですか?

 

小島先生:例えば、健康経営を進めるために、全社プロジェクトの一つとして「健康経営推進プロジェクト」というのを立ち上げましたが、その進め方も、会社の「本気さ」を感じさせるものです。

 

インタビューに答える小島先生

 

小島先生:社員約6,000人の中から公募で50名のメンバーを選抜していますが、そのメンバーが毎月全国各地、中には博多や京都から集まって、10時から夕方6時まで集中して「健康経営をどう発展させるか」「健康を通じてどう事業に貢献するか」というテーマを議論します単に健康が大事ですよという表面的な呼びかけではなく、企業の発展に通じるテーマであると経営層が考えているからこそ、れだけの人材と時間を健康経営推進ために使っているのです。健康を通して企業の人と組織を活性化させようという会社の「本気さ」の表れだと思います。

 

--それってスゴイことですね。まさに、事業の一環として健康経営に取り組まれているということですよね。

 

眠りのパワーが仕事のパフォーマンスを変える!
~よい眠りがよい業績につながる!!~

 

--「健康を通じて、人と組織の活性化を図る」ことを本気で進められている御社の健康経営ですが、その成果・効果という部分ではいかがですか?

 

小島先生:成果・効果の部分は、まだまだ試行錯誤の段階にあると認識していますが、いくつか面白いデータも出てきました。全社員約6,000名のデータを解析してみると、食事に気をつけていると答えた人や、睡眠がきちんと取れていると答えた人は、仕事の面でも、「困難に直面した時に前向きに取り組む」といった仕事への取組みの前向きさや、「自分が職場で尊重されている」「職場に相談できる人がいる」といった仕事におけるコミュニケーション力が有意に高いという結果がでました(図1参照)。

 

株式会社丸井グループ 共創経営レポート2017より

図1 株式会社丸井グループ 共創経営レポート2017より

 

小島先生:食事と睡眠を比べると、食事に気をつけている群(2,852人)は、そうではない群(1,401人)に比べ、仕事への取組み姿勢に100点満点換算で10ポイントの差がついていたのですが、良い睡眠が取れている群(1,424人)、そうではない群(2,798人)を比べてみると、その差は15ポイントと、さらに大きな差がついていました。調査をはじめた年前から同様の傾向が続いていることからも、睡眠が仕事への取組む姿勢に何らかの影響を与えていることが示唆されます。

さらに健康人と組織の活性化との関係を深掘りするため、社外アドバイザーの株式会社ミナケアの山本雄士先生に詳しいデータ解析をお願いしました。そこで出てきた結果の一つが、「良い睡眠が取れている社員は、翌年の業績が有意に高い」ということです。年齢や職級、性別の偏りを排除しても、そのような相関がみられました。

 

--えっ、業績って、年度末に行う、A、B、Cといった、業績考課の結果ですか? 良い睡眠が取れている人は、業績考課の結果が高いというのは、すごいデータです。まさに、「眠りのパワー」ですね。確かに、このような「攻めのデータ」は、あまり見られないので大変貴重だと思います。この結果に対する社内の反応はいかがでしたか?

 

小島先生:先ほどご説明した「健康経営推進プロジェクト」で、プロジェクトメンバーに解析結果を紹介したところ、「じゃあ、うちの店では睡眠セミナーをやってみよう」とか、「うちの事業所では瞑想ルームを作ってみよう」といったアイデアが出てきて、各職場社員による主体的な活動が拡がっています

 

ボトムアップというトップダウン
~丸井流経営手法~

インタビューに答える小島先生

 

--健康経営施策も自律的に進められているんですか? それも、かなりユニークですね。

 

新倉さん:確かに、これも、丸井グループ流かもしれません。「ボトムアップというトップダウン!」と言えるかもしれません。

 

--それは面白い!

 

新倉さん:ちなみに、中期経営推進会議のような、今後の経営にとって重要なテーマについて考える会議への参加者も、公募制なんです。新入社員だろうが、部課長だろうが、役職を問わずレポートを書いて、参加したい理由を表明選考された上で参加となります

 

--えーっ!!! それって、凄すぎますね!!! ほかの会社なら幹部でも出たくない人が出そうですが……。

 

新倉さん:丸井グループでは、2015年からこのような取組みがはじまったのですが、確かに、当初は戸惑いの声もありました。ただ、共創経営を本気で進めたいという経営陣の思いが徐々に浸透していくことにつながっていると思います。

 

今後の健康経営
~健康経営から日本を変える!~

 

--最後に、御社の「攻めの」健康経営の今後の課題について、お聞かせいただけますか?

 

小島先生:私たちの活動は、「健康を通じて、人と組織の活性化を図る」ことを目的としているので、事業戦略のひとつとして、そのKPIを明確にしていきたいと考えています。達成基準を明確にすることが、健康経営をブームに終わらせないためには、非常に重要だと感じています。

また、具体的な施策としては、先ほどご紹介したような、各店舗等で実施している個別の施策がどのように仕事の成果につながっているかをまとめていきたいと考えています。今後は、それらを他部署にも広げていきます。

 

小島先生

 

将来を見通すと、ちょっと大き話になるかもしれませんが、私たちがやっている健康経営の取り組みを広げることで、日本の社会の「健康」に対する固定観念を変えるところにもつながるといいですねご存じない方が多いのですが、WHO世界保健機構の提唱する「健康」の定義は、「単に病気でないということではなく、肉体的にも精神的にも社会的にもすべてが満たされている状態」とされています。これが本来の「健康」なのです。「健康が人と組織の活性化につながる」という健康の概念を拡げることができればと思うところです。

 

--バブルの時代には、「24時間戦えますか?」というコピーのもと、眠りを削って仕事に遊びに邁進するビジネスマンの姿が時代の象徴となりました。昨今、健康経営が注目されるのは、「しっかり食べて、しっかり休むことで、しっかり戦えるビジネスパーソンになる!」という方向へのパラダイムシフトが進んでいるからかもしれません。

また、健康経営の捉え方も、そのような流れの中で位置づけていかないと、単なる健康のための健康経営になってしまいかねない。今回のお話をお伺いして、そのような思いを強くしました。

本日はお忙しい中、貴重なお話をお聞かせ頂き、誠にありがとうございました。

 

丸井グループでは、社員の睡眠や食事への関心の高さと業績の良さに相関があるデータを基に、事業の一環として健康経営に本気で取り組まれていました。

社員の健康状態の悪化を経営のリスクと捉えて、それを減らそうとする「守りの健康経営」だけでなく、社員の健康を増進することで会社の業績を向上させる「攻めの健康経営」に取り組む企業が増えてこそ、本当に意味のある健康経営が根付くようになるのではないでしょうか。

「Sleep Styles睡眠力向上プログラム」とは?

タイプ別の睡眠ソリューションで健康経営を支援 SleepStyles睡眠力向上プログラム

経営的な視点から社員の健康管理をサポートする法人向けプログラムです。社員が抱える睡眠の課題を、それぞれのタイプに合わせたアプローチで効果的に解消へ導くことで、医療費削減や生産性の向上など、企業課題の改善をお手伝いします。

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丸井グループ本社ロゴ

 

<参照>
株式会社丸井グループ共創経営レポート2017 Dialogue 03 データ解析を通じて「健康経営」を推進する


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