モチベーションの高いビジネスパーソン

高いモチベーションを維持するには?|セルフコントロール法

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モチベーションは、仕事のパフォーマンスを左右する集中力に大きく影響します。モチベーションが高ければ作業効率も上がり、長時間労働の減少などにつながるのです。

今回は、ビジネスパーソンのためのモチベーションアップ法と、上司として実践したいマネジメント術について『図解 モチベーション大百科』の著者でメンタルコーチの池田貴将さんにお話しを伺いました。

モチベーションを上げる方法

モチベーションアップを考える男性

モチベーションとは「やると決めたことをやる力」のことで、「行動を推進する燃料」となり、やりたいことや目標ができることで生まれるものです。周囲からの刺激によってモチベーションが上がると、より自発的に行動することができますが、モチベーションが下がると義務感から行動してしまうため、より「やりたくない」という気持ちが強くなります。

モチベーションを上げるためには、まずは目的意識を持つことが重要です。そのうえで実践すべき5つのコツについて解説していきます。

 

モチベーションを上げるための基礎的な考え方

モチベーションを上げるためには、まず「自分が何をしたいのか」をはっきりさせ、目的を設定する必要があります。モチベーションは「何かに向かっている」感覚が得られると向上するため、行動する前に、何のために実施するのかを考えると良いでしょう。その上で、自発的な行動をとりやすくなる目標設定を行ってから実行してください。

 

モチベーションアップのコツ5

モチベーションをアップさせるためのコツは5つあります。行動や考え方を工夫することにより、効果が出やすいモチベーションアップの方法をまとめました。

 

(1)仕事以外の「ワンポイント」の楽しみを用意する

モチベーションを上げるためには、仕事以外での楽しみを用意するとよいでしょう。衣食住にまつわる、小さな「ワンポイント」の楽しみで十分です。そのような少しの楽しみを持つことで、柔軟な考え方ができるようになり、仕事にも前向きに取組みやすくなるといいます。

気分が向上することで、仕事に対するモチベーションアップが期待できます。『新しい服を着るのが楽しみ』『今日は気になっていたお店でランチをしよう』など、その日が楽しみになる要素を用意し、自分の気分を良くしてあげましょう」(池田さん)

 

(2)前向きな表現が入った言葉を使う

モチベーションは、自分が発したり、聞いたり、視界に入ってきたりする言葉によっても左右されます。そのため、前向きな言葉を使うことが有効となります。

人は無意識のうちに、発した言葉や聞いた言葉、目で見た言葉にふさわしい人物を体現しようと行動します。そのため、『自分ならできる』と言い聞かせる、会社のデスクに『名言集』や『元気が出る座右の書』などを置くなど、前向きな表現が含まれた言葉を使ったり、目に入る環境を用意したりしてください」(池田さん)

 

(3)明るい表情や活動的な動作を意識する

仕事のモチベーションは、精神状態に左右されることがあるため、普段の精神状態をより良い状態にすることも重要です。精神状態をよりよくするためには、精神と同調しやすい「明るい」身体動作を心がけましょう。

人の脳には、自分の動作と精神状態を同調させようとする特性があります。姿勢や動きに活気がないと気持ちもネガティブになり、反対に胸を張って大股で歩くと気持ちは上向きます。そのため、仕事中はだらしない姿勢や猫背になるのを避け、背筋を伸ばしましょう。同様に表情も目をパッチリ開け、口角も上げて『いい表情』を意識してみてください」(池田さん)

 

(4)「物事が進んでいる」という感覚を得る

モチベーションを左右する大きなポイントは「進んでいる」という感覚だといいます。

「例えば営業職の場合、目標を達成したときに『顧客と関係良好になったことで出せた数字だ。だから、翌月は更に多くの顧客と出会えてよりよい成績が出せる』と考えるのか、『今月終わらせた数字だから、翌月にはリセットされてしまう』と考えるのかで、モチベーションは大きく異なります。統計を取った結果、前者は高いモチベーションの人が多い一方、後者は低いモチベーションの人が多かったのです」(池田さん)

これは営業職に限らず、どんなビジネスパーソンにも当てはまるそうです。

「たとえば、ToDoリストを作るとき、タスクが完了したら『終わった』と思うのではなく、『これだけ進んだ』という意識を持ってください。前進している感覚が得られるため、モチベーションも自然と上がるはずです」(池田さん)

 

(5)成長するマインド「グロースマインド」を持つ

人のメンタルには大きく分けて「グロースマインド(成長するマインド)」と「フィックスマインド(固まったマインド)」の2種類があります。モチベーションを上げるには、このうち、「自分は成長できる」「いつでも可能性がある」と信じ行動するマインドである「グロースマインド」を持つことが重要です。

ここでは、フィックスマインドの傾向を解説し、グロースマインドに切り替える方法を紹介します。

 

「フィックスマインド」の傾向

モチベーションがなかなか上がらない人の中には、「フィックスマインド」タイプの人が多いといいます。

「このタイプの人は、『自分はもう成長しない』『〇〇は苦手』と考えてしまう傾向が強く、失敗や他人からの評価を過剰に恐れるようになります。そのため、仕事でも、『どうしたらよく見せられるか』『よく見られたい』という意識が強い行動になりがちです。その結果、チャレンジすることのモチベーションが下がり、諦めグセもついてしまうのです」(池田さん)

では、フィックスマインドから脱するためには、どうしたらよいのでしょう。

 

「フィックスマインド」から脱する

二つのマインドは常に固定されているわけではなく、誰もが、いつどちらに転んでもおかしくありません。大事なことは、「フィックスマインド」に滞在する時間を短くして、いかに素早く「グロースマインド」に切り替えるかです。

「普段から、『自分はもっと成長できる』『どうしたらもっと良くなるか』と考えるクセをつけ、『グロースマインド』を持ちやすい意識を保ちましょう。もし、『よく見せたい』とばかり思っているなと感じたときは『フィックスマインド』に寄っているサインです。マインドを切り替えるきっかけにしてください」(池田さん)

 

モチベーションダウンを防ぐ方法

モチベーションが低下したビジネスマン

モチベーションは、下がってから再度上げようとすると、大変な労力がかかります。そのため、「モチベーションを下げない行動や考え方を、常に意識していることが重要」と池田さんはいいます。ここでは、モチベーションダウンの予防法を伺いました。

 

睡眠を十分にとる

睡眠時間が短くなったり、睡眠の質が低下したりすると、脳が十分に休養できなくなり、ストレスや疲労が蓄積してしまいます。この状態が続くと、物事を考えたり覚えたりする認知機能の低下を招き、集中力も低下しやすくなります。

「認知機能や集中力の低下は、仕事の中断やミスの増加、作業の遅延などにつながりやすくなります。そのようなトラブルの結果として、モチベーションも低下しやすい状態になってしまいます。そのため、日頃から睡眠時間を十分に確保し、脳の機能を正常に働かせることが、モチベーションの低下を防ぐ近道といえるでしょう」(池田さん)

 

ミスをしたときは、原因究明よりも改善策に目を向ける

面倒なことやトラブルが起きると、モチベーションは下がりやすくなります。そのため、トラブルに直面した時は、具体的に行動を起こす「改善策」に目を向けることでモチベーションを下げないようにしましょう。

「人は、仕事でトラブルをはじめとする面倒なことが起きたとき、その理由に固執して次の行動に進めなくなる傾向があります。そんな場合は発想を変え、『まずどうしようか』と手順に意識を向けてください。具体的な手順に落とし込むだけで、モチベーションを下げずに行動が起こしやすくなります」(池田さん)

 

やらされている感覚から脱却する

人は、誰かに決められたことに対しては、やらされている感覚になり、モチベーションが下がります。そのため、自分で決めている感覚を作りだすことが重要です。

「『〆切を守る』と考えると、人から決められたことを守らなければならないという義務感から行動するためモチベーションが下がります。しかし『1日前倒しで進めよう』とすれば自分で決めたことに対して向かって行動しているため、モチベーションも下がりにくくなります」(池田さん)

 

モチベーションを高めるマネジメント術

部下のやる気を出させる男性

社員のモチベーションの低下は生産性の低下に直結するため、企業にとって解決したい大きな課題です。池田さんは「経営者や管理職などの上司が、部下のモチベーションを高めるマネジメント法を実践することで、企業全体のモチベーションは飛躍的に上がっていく」と強調します。そこで、上司として実践したい、モチベーションアップに役立つマネジメント術を紹介します。

 

「理由・同情・選択」の基本戦略を活用する

相手のモチベーションを上げて、「やりたい」「やらなきゃ」という気持ちにさせるには、以下に挙げた「理由・同情・選択」という3つの基本戦略を駆使する必要があります。

基本戦略といっても、仕事を頼むときに言い方をちょっと工夫してみるなど、簡単なものです。例えば、仕事を『お願いできますか?』と疑問形で依頼されると、人は自分で可否を選択し、自発的に行動している感覚を持つため、モチベーションアップに有効です。これらをうまく組み合わせて仕事を進めると、不思議なくらいスムーズに仕事が進むようになるはずです」(池田さん)

 

理由・同情・選択の基本戦略

【理由】
その仕事がどういった内容で、なぜやる必要があるのかをきちんと説明する。

【同情】
「大変だよね」と相手の気持ちを鑑みる言葉を意識する。

【選択】
「もしよかったらやってくれる?」と相手に選択権を与えるような頼み方をする。

 

成功時はその人の存在自体をほめる

モチベーションは、ほめられ方や叱られ方によっても大きく左右されます。

「部下が成功やポジティブな行いをしたときは、『よいことをした』と『行動』を褒めるのではなく、『〇〇さんはさすがだ』と『存在』に結びつけて褒める方が、モチベーションは上がりやすくなります。反対に、失敗やネガティブな行いをしたときは、『君は何でできないの』と『存在や能力』に結びつけて否定するのではなく、『やり方がまずかった』と『行動や環境』に結びつけて指導した方が、モチベーションを下げずに次の行動に移らせることができます」(池田さん)

モチベーションは、その人の存在自体を否定されると大きく下がり、外部環境の否定であればさほど影響を受けない、という関係があるのです。

以下に、意識とモチベーションへの影響の強弱を解説します。

 

意識とモチベーションへの影響

  • 存在(その人自身)
       –> 影響が非常に強い
  • 価値観(その人が大切にしていること)
       –> 影響が強い
  • 能力(その人ができること)
       –> 影響がやや強い
  • 行動(その人がやったこと)
       –> 影響が弱い
  • 環境(場所、道具)
       –> 影響が非常に弱い

 

チームに「共通の課題」を与える

「チーム全体のモチベーションを上げたい」と思った場合は、「共通の課題」を与えることが効果的です。これは、アメリカの社会心理学者の実験で、「敵対する者同士に花火など『楽しいこと』を一緒にやらせるより、困難な『共通の課題』を与える方が結束した」という結果からも読み取れます。

「第三者が与える『楽しいこと』で強引に歩み寄らせようとしても、性格や価値観の違いが際立ってしまい、かえって互いの溝が深まってしまうことがあります。ところが、協力しなければ解決できないような『共通の課題』を与えると、自主的に打ち解けて信頼関係や結束が生まれやすく、その結果、モチベーションも自然に上がっていきます」(池田さん)

 

モチベーションは仕事の効率化や生産性アップに欠かせないものです。長時間労働や部下のモチベーションダウンに悩んでいるビジネスパーソンは、今回ご紹介した方法を実践してみてはいかがでしょうか。

 

Photo:Thinkstock

<参照>
池田貴将『図解モチベーション大百科』(サンクチュアリ出版)
集中力は仮眠で回復!集中力アップの方法5つ【医師監修】
「働き方改革」とは?|睡眠力向上で実現する長時間労働の解消

池田 貴将

監修

メンタルコーチ

池田 貴将


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