わたしも以前は、仕事やプライベートのために睡眠時間を削っていました。しかし、睡眠に対する理解が深まるにつれて、考え方が変わりました。それまでは、「睡眠=日中の疲れをいやす時間」と、思っていました。しかし、最近では「睡眠でエネルギーを蓄えて、日中は元気に活動しよう」と考えています。

睡眠専門医がグッスリ眠るために必ず守っていること6つ|睡眠ファースト習慣

朝、目が覚めたときが1日の始まりではなく、夜、眠るときから1日が始まるのです。このように考えて「睡眠ファースト」になると、自然に生活習慣が変わってきました。

睡眠専門医の眠りのひみつ

基本的に、平日は次のようなリズムで生活しています。
 
▼平日の生活リズム
4:30ごろ起床→ストレッチングなどの軽い運動、天気が良ければランニング→熱いシャワー
6:40 朝食→出勤(通勤は車で1時間~1時間半)
8:30 仕事開始
13:00 昼寝20分
18:00 仕事終了
19:30 帰宅→夕食・入浴
21:00 就寝
 
このようなパターンが理想ですが、実際には夜の勉強会や急患センターでの夜間診療、当直などがあり、上記のスケジュール通りに進むのは月の半分以下です。勉強会や夜間診療があれば、帰宅は22:00~24:30で就寝はその1時間後になりますし、当直の夜は睡眠が不規則になります。
 
そんな状況でも、自分の眠りに対する満足度は、かなり高いです。寝つきは良いほうで、眠れなくて困ることはありません。夜中に目覚めることが時々ありますが、トイレへ行けばすぐ眠れるのであまり気にしていません。朝は念のため目覚まし時計のアラームをかけていますが、起きようと思っている時刻ごろに自然に目が覚めます。眠り足らない気がすることもたまにありますが、たいていはスッキリした気分で布団を出ます。
 
夜の睡眠時間は7時間半ほどです。これに加えて毎日、昼寝をしています。平日の昼寝は20分ほど、休日は時間があれば1時間半ほど眠っています。目覚めているときに眠気で困ることは、ほとんどありません。
 
寝室ではベッドで眠ります。夏はタオルケット、秋~春は季節に合わせた厚さの羽毛かけ布団を使っています。夏は熱帯夜でもエアコンなしで、タイマーを使って扇風機を回しています。夜中に暑くて目覚め、扇風機をもう一度つけることもあります。冬は1階の居間で薪ストーブをたくので、2階の寝室も温かくなります。
 
眠るときに寝室の照明はすべて消します。自宅は繁華街から離れた住宅地にあるので、人工的な騒音はほとんどなく、虫やカエルがさわがしく鳴いています。眠る前にはパジャマに着替えます。夏には、肌触りが良く吸汗性の高いTシャツを着ることもあります。
 
このように、睡眠専門医といっても何か特別なことをしているわけではなく、ごく普通の生活リズムで生活していますが、それでも眠りの満足度がかなり高いのは6つの心がけがあるためです。

よい眠りのための心がけ6つ

1.夕食を2回に分けてとる

夕食から眠るまでは、なるべく時間をあけるようにしています。満腹で眠ると、睡眠の質が悪くなるからです。しかし、帰宅が遅くなるときも、月の半分ほどあります。そんなときは、食事を2回に分ける「分食」をします。まず、夕方におにぎりやパンなどの軽食をとっておきます。夜遅くに帰宅したら、夕方に食べたカロリーを差し引いた量の食事をとります。分食するとグッスリ眠れるだけでなく、翌朝にはお腹が減るので、朝ご飯をしっかり食べられます。

2.眠る前には画面を見ない

テレビやパソコン、タブレット端末、ゲーム機、スマートフォン、携帯電話などの画面からは、青い光「ブルーライト」がたくさん出ています。ブルーライトは、睡眠ホルモンのメラトニンを減らしてしまうので、夜はなるべく画面を見ないようにしています。できれば眠る1時間前、少なくとも30分前には、これらの機器の電源を切るようにしています。

3.「入眠儀式」を行う

夜の行動は、なるべくパターン化しています。眠る前に一定の行動「入眠儀式(スリープ・セレモニー)」を行うと、眠りやすくなるからです。イチロー選手や五郎丸選手の「プレ・パフォーマンス・ルーティン」と、同じようなものです。
 
夕食
→歯磨き
→入浴
→パジャマに着替え
→読書
→ストレッチング
→「おやすみなさい」のあいさつ
→寝室の照明を消す
→目を閉じる、ということを習慣化しています。

4.起床時刻を一定にする

体内時計は、24時間より少し長い時間で1日を刻んでいます。朝に目覚めて明るい光を浴びると、体内時計がリセットされて、地球上の1日である24時間に合わされます。起床時刻が一定だと、体内時計の調子も良くなり、健康な毎日を過ごせます。ですから、1年を通して平日も休日も、0時過ぎに眠った日も、4時半ごろに起床しています。

5.朝食は必ずとる

夜の長い絶食の後、お腹に食べ物が入ると、胃腸にある第2の体内時計である「腹時計」が目を覚まします。また、脳の栄養源はブドウ糖だけですが、血液中のブドウ糖の量=血糖値は、朝食の前にもっとも少なくなります。しっかり朝ごはんを食べると、腹時計が動き出し血糖値が上がって、充実した1日のスタートがきれます。

6.昼食後に20分の昼寝をする

体内時計の働きで午後2~4時ごろに、1日で2番目に大きな眠気のピークが来ます。昼寝をすると、午後は眠気が少なくなって活動的に過ごせます。活動量が多いと疲労がたまって、夜の睡眠の質が高くなります。平日の昼寝は、午後3時までに20分ほど眠ることが大切です。休日には平日の睡眠不足を補うために、1時間半ほど昼寝しています。そのときも、午後3時までには起きています。

まとめ

通勤のため毎日1時間以上、自動車を運転しています。睡眠時間を削っていたころは、運転中に睡眠不足で事故を起こしかけたことが、何回もありました。しかし、「睡眠ファースト」の生活習慣になってからは、ヒヤッとすることがなくなりました。
 
睡眠時間を削って長く起きているより、睡眠をしっかりとって目覚めているときのパフォーマンスを上げた方が、自分のしたいことができます。みなさんも生活の中に快眠習慣を取り入れて、充実した人生をお過ごしください。

photo:Getty Images

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