大切な予定がある日にかぎって、寝坊をしてしまった経験はありませんか? 起きなければならない時間がわかっているのに、なぜ寝過ごしてしまうのでしょうか? 今回は寝坊をしてしまう理由や、寝坊の対策を紹介します。

もう寝坊しない! スッキリ起きるための理想の眠り方って?

 

寝坊をしてしまう理由

寝坊をしてしまう理由

寝坊をしてしまう原因は、睡眠不足や、体内時計のリズムの崩れなどさまざまです。ここでは、寝坊をしてしまう理由について説明します。

夜更かしなどによる睡眠不足

つい夜更かしして深夜まで起きていると、寝る時刻が普段より遅い方にずれてしまいます。すると、睡眠時間も普段より短くなり、翌朝決まった時刻になっても起きられなくなります。
 
また、普段よりも遅い時刻に寝る日が続くと、「睡眠負債(=睡眠不足)」がたまっていきます。睡眠負債を返さないまま夜更かしを続けると、眠気をもよおす「睡眠物質」が蓄積し、脳が目覚めづらくなるため、寝坊のリスクが高まります。

体内時計の乱れ

「体内時計」とは、1日のリズムを刻む身体の機能です。外部からの刺激によって体内時計が乱れると、「朝起きて、昼に活動して、夜眠る」というリズムが乱れ、普段目覚めていた時刻に目覚められなくなります。たとえば、平日にたまった睡眠負債を一気に解消しようと、休日にまとまった睡眠をとって起きる時刻が遅くなると、「体内時計」が乱れ、翌日以降に起きたい時刻に起きられなくなります。

ホルモンの乱れ

通常、朝になると抗ストレスホルモン「コルチゾール」が分泌され、血圧や血糖値が上がり、脳が目覚めるという仕組みになっています。そのため、本来は目覚まし時計がなくても自然に目が覚めます。
 
しかし、自然な目覚めではなく「誰かに起こしてもらう」ことに慣れてしまうと、脳が「コルチゾールを分泌する必要がない」と判断し、次第にコルチゾールの分泌量が減ってしまいます。すると、目覚まし時計や家族など、外的な要因がなければ目覚めなくなってしまい、一人で起きなければならないときに寝坊をしてしまいます。
 
また、強いストレス状態が続くと、脳の目覚めのレベルが上がってしまいます。すると、起きている時に出るストレスホルモン「コルチゾール」が夜に出続け、スムーズに眠れなくなります。その結果、睡眠不足になり、朝起きられなくなって寝坊をしてしまうのです。

二度寝による寝坊を防ぐ方法

二度寝による寝坊を防ぐ方法

「あと5分だけ」の二度寝のつもりが、そのまま寝続けてしまい、寝坊をしてしまったことはありませんか? 二度寝をしてしまうのは、「睡眠慣性」と呼ばれる身体の習慣が原因です。「睡眠慣性」とは、目が覚めても眠気やだるさが残っているなど、身体が起きているにもかかわらず、脳がまだ眠っている状態のことを指します。「睡眠慣性」を解消するには、以下の行動が有効です。

(1)朝日を浴びる

朝の太陽の光を浴びると、脳から目覚めをうながす物質の「セロトニン」が分泌され、眠りをうながすホルモンの「メラトニン」の生成が止まり、目が覚めます。
 
室内の蛍光灯が300ルクス~2000ルクス程度の明るさなのに対し、太陽は冬場の弱い光や曇り空でも1万ルクス程度の明るさがあります。天気にかかわらず朝起きたらすぐにカーテンを開け、部屋に太陽光を取り込む習慣をつけましょう。

(2)起きがけに温かい飲み物を飲む

朝を元気よくスタートさせるためには、「深部体温」を上げることが必要です。深部体温とは、身体の中心部の温度のこと。深部体温が高いと、脳の働きが活発になり、身体も活動的になります。
 
通常、深部体温は朝が一番低く、昼ごろをピークに高くなっていきます。その後、夕方にかけて少しずつ下がってから再び上昇し、19~21時ごろに昼ごろのピーク時と同じ体温になり、寝る時刻に向かって下がる、というリズムで変動しています。
 
朝のうちにしっかり深部体温を上げておくと、夕方に迎えるピークの温度が高くなり、寝る時の体温との差が大きくなります。スムーズな寝つきのためには、深部体温の温度差が重要なため、午前中に深部体温を上げましょう。
 
そのために試したいのは、起きた後すぐに温かい飲み物を飲むことです。直接内臓から温まり、体温が上がる簡単で効果的な方法です。

(3)朝いちばんにパソコンやスマートフォンを使用する

パソコンやスマートフォンから出る青い光「ブルーライト」の刺激は強く、太陽の光ほどではありませんが、睡眠をうながすメラトニンの生成をおさえます。仕事のメールを1通読むだけで、エスプレッソコーヒーを2杯飲んだときと同じ興奮状態になるといわれています。
 
眠気がなかなかとれない朝は、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を更新したり、メールを返信したりするなどして、意識的にブルーライトを目にするようにしてみましょう。

寝坊を防ぐ睡眠習慣

寝坊を防ぐ睡眠習慣

寝坊を防ぐためには、睡眠の質を上げ、睡眠不足を解消することが必要です。それにはまず、生活習慣を見直してみましょう。実践したい行動を以下にまとめました。

朝食をとる

起きがけのタイミングは血糖値が低く、身体や脳が働くエネルギーが不足している状態なので、なかなか活動的になれません。朝食をとれば、エネルギー補給ができ、脳が目覚めるだけではなく、胃腸も動くため、身体が目覚めます。
 
また、好きな食べ物を朝食メニューに取り入れることで、「朝の楽しみ」ができ、スムーズに目覚めやすくなり、寝坊を防ぐ効果も期待できます。

眠る前に部屋の照明を落とす

眠る前はなるべく部屋の照明を落とした状態で過ごしましょう。寝る前に強い光を浴びると、睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌がさまたげられます。
 
通常は、メラトニンが分泌されることによって、眠気がおとずれる仕組みになっています。夕暮れ時程度の明るさにするとメラトニンの分泌が盛んになるので、就寝1時間くらい前には寝室の照明をオレンジ系の温かみのある色の光に変えて、明るすぎないように光量を調節してみましょう。

寝坊をまねいてしまうNG習慣

寝坊をまねいてしまうNG習慣

「寝坊は気のゆるみが原因」と、考えている人もいるかもしれません。でも実際は、睡眠の質を下げ、睡眠不足や睡眠サイクルの乱れをまねく行動をしている可能性があります。以下の行動にあてはまるものがあれば、見直してみましょう。

20分を超える「二度寝」

20分を超えて眠ると、深い眠りに入ってしまい、なかなか起きられずに寝坊をする原因になります。二度寝は、一度目覚めてから20分以内が適度な時間です。

帰宅中の電車の中での居眠り

人間の深部体温は一日を通して変動しており、19時から21時にピークを迎え、そのあとに体温が下がることによって眠気を感じます。1日のうちで最も深部体温が高く、身体が活動的な時間に居眠りをしてしまうと、睡眠サイクルが乱れてしまいます。帰りの電車での居眠りは我慢しましょう。

寝酒を飲む習慣

アルコールが分解されてできる「アセトアルデヒト」という物質によって、眠りが浅くなるため、夜中に目が覚めやすくなります。また、アルコールには利尿作用があるため、尿意を感じ、トイレに行くために起きてしまうことも多くなります。すると、睡眠の質が下がり、睡眠不足になってしまいます。
 
アルコールは飲酒後およそ3時間※で分解され、アセトアルデヒドに変化します。飲酒をするときは、寝る時刻まで3時間以上は時間を空けるようにしましょう。
※成人男性が日本酒1合、あるいはビール500mLを飲んだ場合

眠る前の喫煙習慣

ニコチンには脳を目覚めさせる効果があるため、寝る1時間前からはタバコを吸わないように心がけましょう。タバコを吸うと、スムーズに寝つくことができず、眠りが浅くなり、眠りの質が下がります。寝室を禁煙にしたり、枕元に灰皿やタバコを置かないようにしたりするなど、眠る環境にはタバコを持ち込まないようにしましょう。

寝坊が続く時に考えられる病気

寝坊が続く時に考えられる病気

上記の方法を続けてもどうしても寝坊してしまう、日中も眠気が抑えられないといった場合は、病気の可能性も考えられます。寝坊や日中の眠気が症状としてあらわれる病気をご紹介します。

睡眠相後退症候群(DSPS)

早く眠ろうと思ってもなかなか寝付けず、起きる時刻が昼ごろを過ぎてしまうという、睡眠リズムが後ろ倒しになる病気です。10~20代の若者に多く、夜更かしを続けていることが原因のことがあります。なかには睡眠相後退症候群が原因で、登校拒否や出社拒否につながってしまう事例もあります。

過眠症

仕事や家事に支障をきたすほどの強い眠気を感じる病気です。突然、我慢できない眠気がおそいかかり、会議中や人と会話している最中でも眠ってしまいます。代表的な過眠症である「ナルコレプシー」の原因は、目覚めをつかさどる脳内物質「オレキシン」の量が減って、睡眠-覚醒リズムが乱れてしまうことです。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠中に肺へと通じる空気の通り道である気道がふさがり、呼吸が止まってしまうという病気。肥満体型の人に多く、息苦しさから無意識に目覚めてしまうため、睡眠の質が低下して、睡眠不足になりやすいです。

うつ病

強いストレスなどからうつ病になると、日中の眠気がとれなかったり、朝に起きられなくなったりします。逆に、日中の眠気によって仕事や家事、勉強がうまくいかず、うつ病を発症してしまうケースもあります。
 
以上の症状に当てはまる場合は、一度、睡眠の専門医に相談してみましょう。
 
寝坊を防ぐためには、毎日の睡眠リズムを整えることが第一。質のよい睡眠をとるための習慣を身につけて、毎朝すっきり目覚められる生活を目指しましょう。
 
監修:坪田聡(雨晴クリニック副院長)
 
<参照>
『驚くほど眠りの質がよくなる 睡眠メソッド100』 三橋美穂(かんき出版)
『仕事力が上がる 睡眠の超技法 これで「集中力」「切り替え力」が冴えてくる』 菅原洋平(祥伝社)
『睡眠障害のなぞを解く 〜眠りのしくみ』から「眠るスキル」まで〜』櫻井武(講談社)
『睡眠の病気』内山真 P42-45
『睡眠専門医が教える! 一瞬で眠りにつく方法』坪田聡(宝島社)
『ビジネスパーソンのための快眠読本』白川修一郎(ウェッジ)
『「朝に強い人」になれる本』鴨下一郎(新講社ワイド新書)

photo:Getty Images

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