昼寝には睡眠不足をカバーし、仕事の作業効率をアップさせてくれる効果があります。しかし、昼寝といってもただ眠ればいいわけではなく、しっかり疲れをとるためには眠り方にポイントがあります。

起床後17時間で作業効率は飲酒運転レベルまで低下!デキル大人の昼寝テク

昼寝の効果とは?

昼寝の効果とは?

大手企業でも昼寝が制度として導入されるなど、近年、その効果に注目が集まっています。そもそも、昼寝にはどんな効果が期待できるのでしょうか。

眠気を払拭(ふっしょく)する

私たちの身体は、就寝時刻からおよそ15時間後に眠気が最も強くなるようにできています。例えば前日、23時に就寝した場合、翌日の14時に眠気が強くなります。このタイミングに計画的に昼寝をすれば、眠気を解消できます。

作業効率が改善する

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針2014」によると、「午後の早い時刻に30分以内の短い昼寝をすることが、眠気による作業能率の改善に効果的」とされています。また、「起床後15時間以上では酒気帯び運転と同じ程度の作業能率、起床後17時間を過ぎると飲酒運転と同じ作業能率まで低下する」とも。
 
つまり、朝6時に起きると、21時頃にはまともに仕事ができる状態ではなくなっているということです。午後の仕事に集中したいときこそ、昼寝をして作業効率のアップを図りましょう。

疲労解消され、元気が回復する

カリフォルニア大学の心理学者、サラ・メドニック助教授は、昼間20分の仮眠で、8時間分のスタミナを取り戻すことができるという説を発表しています。

昼寝「パワーナップ」の効果って?

昼寝「パワーナップ」の効果って?

昼寝の効果についてご紹介しましたが、単に「日中に眠る」というだけでは、上記のような効果は得られません。そればかりか、余計に眠くなってしまうこともあります。そこで取り入れたいのが、より効果的な仮眠法「パワーナップ」です。
 
「パワーナップ(Power nap)」とは、「パワーアップ」と「ナップ(昼寝)」をかけ合わせた造語で、「15~20分程度の昼寝」のことを指します。
 
この昼寝の大きな特徴は、「眠る時間の短さ」にあります。理想的とされるパワーナップの長さは15~20分で、最長でも30分程度。あっという間に終わってしまいそうな短さですが、通常の昼寝の効果に加え、下記の効果が期待できます。

パワーナップの力

集中力や記憶力がアップする

昼食後の午後は急な眠気に襲われ、集中力や記憶力が低下する時間帯。そこでパワーナップを取り入れることにより、一時的な眠気解消とともに、低下した集中力や記憶力をアップさせることができます。
 
その効果はアメリカ航空宇宙局(NASA)のレポートでも実証されていて、昼に26分間の仮眠をとった飛行士の睡眠を調べたところ、認知能力が34%、注意力は54%も向上したと報告されています。

脳が活性化する

睡眠とクリエイティビティーには、深い関係があります。睡眠不足に陥っている人は、脳に疲労が蓄積していき、やがて脳機能が低下。自由な発想や斬新なアイデアが生まれにくくなってしまいます。パワーナップは睡眠不足を補う有効な手段となるため、脳の活性化を促し、パフォーマンス向上が期待できます

ストレスを軽減させる

仕事が忙しくなり頭を使いすぎると、脳がオーバーヒート状態になります。その状態で仕事を続けても、ストレスや疲労がたまるばかり。パワーナップには、そんなオーバーヒート状態の脳をクールダウンさせる効果があるため、余計なストレスがたまりにくくなります。

病気を予防できる

パワーナップは仕事のパフォーマンス向上やストレスの軽減だけでなく、健康そのものにも効果を発揮します。たとえば、強い眠気が訪れやすい14時~16時の間に仮眠をとると、一時的に血圧が低下します。その結果、それが高血圧の予防となり、心臓病や脳梗塞、糖尿病などの防止につながります。
 
また、2007年にギリシャのアテネ大学が行った研究によると、30分間の昼寝を週に3回以上行うことで、心臓病によって命を落とすリスクが37%も低下します。

なぜ昼寝(パワーナップ)は効果的なのか?

昼寝(パワーナップ)がパフォーマンス向上や疲労回復に効果を発揮できる理由は、「日中に眠ること」「短時間で脳を回復させること」の2つが考えられます。

日中に眠るのが効果的な理由

昼寝には、昼間に眠気を感じる主な原因である「半概日性リズム」と「睡眠不足量」の問題を、効率的に解消する効果があります。

「半概日性リズム」とは

人間の身体には、睡眠と覚醒のリズムを決める「体内時計」という機能が備わっています。起きてからしばらく経つと眠くなるのは、この体内時計が自動的に休息時間をセットしているため。人間の「睡眠と覚醒」のリズムは概日(ほぼ1日)の周期で繰り返されることから、概日性リズム(サーカディアンリズム)と呼ばれています。
 
さらに、人間の体内時計には、12時間周期で睡眠と覚醒のリズムをつくる「半概日性リズム(サーカセミディアンリズム)」という機能も備わっています。起きている間に疲れていく脳を、適度に小休止させるための身体機能といえます。
 
昼間に眠くなりやすいのは、この「半概日性リズム」によって眠気のピークが訪れやすいため。パワーナップは、こうした眠気はもちろん、慢性的な睡眠不足の解消にも効果があると考えられています。

睡眠不足量とは

睡眠量が不足していると、脳はそれを回復するため身体を眠らせようとします。これは、命を維持するために体内を一定の状態に保とうとする働きで、「恒常性維持機能(ホメオスタシス)」と呼ばれています。たとえ疲れの実感がなくても、起きている状態が続けば脳はそれを把握するため、日中でも強い眠気を感じます。そんな時、昼寝(パワーナップ)をとることで、眠気がリセットできるようになります。

短時間の睡眠でも脳が回復する理由

睡眠には、身体の眠りのレム睡眠と、脳の眠りのノンレム睡眠があります。人は就寝すると、まず脳を休ませる「ノンレム睡眠」が訪れ、次に情報整理などのメンテナンスを行う「レム睡眠」へ移行します。このノンレム睡眠からレム睡眠のサイクルを、1サイクル約90分で繰り返しています。
 
ノンレム睡眠は、下記の4段階に分けられます。昼寝(パワーナップ)は15〜20分の短時間の睡眠のため、第2段階の「軽い睡眠」で目を覚ます仮眠法です。
 
第1段階:睡眠開始
第2段階:軽い睡眠
第3段階:深い睡眠
第4段階:さらに深い睡眠
 
短時間の昼寝ではあまり休息できないのではと思うかもしれませんが、この睡眠時間だからこそ、熟睡に至ることなく休息がとれ、脳の疲れが回復でき、すっきりと目覚めることができます

効果的な昼寝(パワーナップ)の方法

効果的な昼寝(パワーナップ)の方法

昼寝(パワーナップ)で良質な睡眠をとるためには、眠るときの体勢や服装などはもちろん、夜の睡眠にも気をつける必要があります。昼寝の効果を存分に発揮するために、そのポイントをご紹介します。

昼寝の場所はどこでもOK! ただし横になるのはNG

昼寝をする場所は、基本的にはどこでも問題ありません。ただし、絶対に横にならずに眠りましょう。たとえ、公園のベンチや会社の仮眠スペースなど、横になって眠れる場所があっても、椅子に座って眠るようにしてください。横になってしまうと、15〜20分の時間内に起きられなくなってしまいます。

明かりは気にしすぎなくて大丈夫

夜眠るときは、「光を浴びない方がよい」と聞いたことがあるかもしれませんが、日中に行う短時間の仮眠は、光を気にする必要はありません。ただし、光が直接目に入ってくるような場所で昼寝をしようとすると、なかなか眠れなかったり、睡眠の質を低下させたりする恐れがあります。周囲の光が気になる場合は、アイマスクを使うのがおすすめです

昼寝のときの服装

昼寝をするときは、身体を締め付けているアイテムを外しましょう。腕時計を外し、靴を脱ぎ、ネクタイやベルトはゆるめます。ゴムなどで髪を結んでいる場合は、できるだけほどいて眠ってください。

昼寝におすすめの体勢

昼寝をするときの体勢は、「座ったまま」が基本。座ったまま眠ることで、熟睡を防止することができ、起きたい時刻に起きられるようになります。椅子や机にもたれかかったり、机に突っ伏すようにして眠ったりするのもよいでしょう。
 
大切なのは、“安定した姿勢”をキープすることです。姿勢を崩したまま仮眠に入ると、起きたときに転んだり、身体の節々を痛めたりしてしまう可能性があります。足を肩幅程度に広げておくと、姿勢が安定しやすくなります。

夜の睡眠もしっかりとる

昼寝(パワーナップ)は疲労回復や作業効率のアップに有効な方法ですが、「昼寝さえしていればすべてOK」というわけではありません。最高のパフォーマンスを発揮するには、昼と夜の両方で良質な睡眠をとることが不可欠です。昼寝でしっかり休息をとっているからといって、夜更かしや徹夜をしていては本末転倒。
 
昼間は浅く短く、夜は深く長く眠るようにしましょう。

昼寝からスッキリ目覚める方法

昼寝からスッキリ目覚める方法

昼寝(パワーナップ)でしっかり休息をとれば、脳も身体もスッキリとした状態になっているはず。ただし、完全に覚醒するためには寝起きも大切です。目覚めが悪い場合は、以下の方法を試してみましょう。

ストレッチをする

昼寝(パワーナップ)から目覚めたら、すぐに身体を伸ばしてストレッチをしましょう。起きた後のストレッチは、脳と身体を目覚めさせてくれる効果があります。また、ストレッチによって身体の筋肉を収縮させたり広げたりすることで血行が促進され、脳に十分な酸素が届けられ、パフォーマンスも向上します

冷たい水で顔を洗う

冷たい水で顔を洗うと身体に刺激が加わり、自律神経のスイッチが興奮や緊張をつかさどる交感神経に切り替わります。交感神経が優位になれば、自然と心拍数や血圧が上がり、体温が上昇し、脳や身体を活動状態に切り替えてくれます。

日光を浴びる

人の身体には、日光を浴びると脳や身体が覚醒するというメカニズムが備わっています。そのため、昼寝(パワーナップ)の後は、積極的に屋外に出て日光を5分ほど浴びるようにしましょう。このとき、軽くウォーキングをするとより効果が上がります。
 
<参照>
『ビジネスパーソンのための快眠読本』白川修一郎(ウェッジ)
『病気を治したければ「睡眠」を変えなさい』白濱 龍太郎 (アスコム)
『「いつも眠い~」がなくなる快眠の3法則』菅原洋平(メディアファクトリー)
『パワーナップ仮眠法』坪田聡(フォレスト出版)
 
“体内時計”キーワード・用語集 | 体内時計.jp
http://www.tainaidokei.jp/term/index.html

photo:Getty Images

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