日本の成人の約半数が、薄毛に悩んでいるといいます。薄毛対策の様々な方法を試す人もいますが、自分に合っていないケアを続けると、効果が出ないばかりか悪化する恐れもあるそう。今回は薄毛の原因と正しいケア方法、自宅で簡単にできる対策をご紹介します。

薄毛になりやすい人の特徴とは?|原因と対策

薄毛とは?

薄毛とは?

「薄毛」とは、髪の毛が抜けやすくなって量が減ったり、細くなったり、伸びにくくなったりした状態のこと。薄毛になる大きな原因は、髪の毛の生え変わるサイクルが乱れることです。サイクルの乱れには、加齢や男性ホルモンの増加だけではなく、食生活などの生活習慣やストレスが影響しています。
 
まずは髪の毛がどのようなサイクルで生え変わっているのか、説明していきます。

髪の毛はどうやって生え変わる?

通常、髪の毛は一つの毛穴から数本生えており、1日に0.3〜0.4mmずつ伸びます。髪の毛は日々生え変わっているので、髪の毛が抜けること自体に問題はありません。
 
髪の毛の生え変わりには、4段階あります。

(1)成長期

髪の毛の根っこ部分に当たる「毛球(もうきゅう)」が成長している時期。男性だと約3〜5年、女性だと約4〜6年間、成長期が続きます。

(2)退行期

成長を終えた毛球が収縮する時期で、約2〜3週間続きます。

(3)休止期

髪の毛の根っこが活動を休止している時期。通常は2〜4ヵ月間続くと言われていますが、中には2年間も休止期が続く人もいると言われています。

(4)発生期

髪の毛の根っこが活動を再開し、再び新しい髪の毛を作る時期。不要な髪の毛が押し出されて抜け落ちます。
 
様々な要因でこのヘアサイクルが乱れると、成長期が短くなり、休止期が長くなります。すると、新しい髪の毛が生えにくくなります。サイクルが乱れた状態が続くと、徐々に毛球が弱く、小さくなるので新しい髪の毛が作られなくなり、薄毛になります。

薄毛の原因

薄毛の原因

薄毛の原因は?

薄毛はヘアサイクルの乱れによって起こる、というのは前述のとおりですが、ヘアサイクルの乱れの原因はまだはっきりとは分かっていません。現在のところ、以下の4つが大きく影響していると考えられています。

血行不良

血流が悪くなることで毛球の成長が鈍ったり、髪の毛を立たせる頭皮の筋肉が弱ったりして、抜けやすくなります。髪の毛は、毛細血管から栄養を補給して成長するため、血流が悪くなると十分な栄養を得られなくなります。
 
血行不良になる原因はさまざまですが、そのうちのひとつに「頭蓋骨による頭皮の圧迫」があります。人間の頭蓋骨は成人しても発達しますが、頭皮の成長は止まってしまいます。すると成長を続ける頭蓋骨が頭皮を内側から圧迫し、頭皮がつっぱるように感じます。頭皮のつっぱりを感じたら血行不良の1つのサインかもしれません。

脂漏性皮膚炎

食生活が乱れたり、ストレスなどがたまると、毛穴に常在している「マセラチア菌」が増殖し、毛穴から出てくる皮脂に含まれる成分を分解します。その成分が、炎症の原因となる「遊離脂肪酸(中性脂肪)」となって肌を刺激します。すると、皮膚のかゆみや赤みなどが起こります。炎症が進んだ状態を放置すると、炎症は毛穴の奥まで進んでしまい、毛穴がダメージを受け、抜け毛の原因となります。

男性ホルモン由来物質

男性ホルモン「テストステロン」が代謝により「ジヒドロテストステロン」という物質に変わると、ジヒドロテストステロンは、毛乳頭細胞の受容体に取り込まれ、ヘアサイクルの成長期が短くなります。成長期が短いと、細く短い毛しか生えなくなります。さらに、抜け毛も進行し、薄毛の状態となります。
 
毛乳頭細胞の受容体の感度が低い人はヘアサイクルの変化がなく、感度が高い人はヘアサイクルに変化が出ます。受容体の感度は体質の違いや遺伝によるものだと言われています。
 
これが原因となる薄毛は「壮年性脱毛症(男性型脱毛症)」と診断されるものが多く、AGA(Androgenetic Alopecia)とも呼ばれています。男性だけではなく、女性にも起こる症状です。

紫外線

長時間紫外線に当たると、髪の毛の中に含まれる水分が失われ、強度が低下して切れやすくなります。髪の毛は、自己修復能力をもっていないため、一度受けたダメージはそのまま残ってしまい、毛量の減少につながります
 
薄毛になる理由は、これらの要因が複数影響していると言われています。

壮年性脱毛症の進行タイプと原因

壮年性脱毛症には進行タイプがいくつかありますが、それには男性ホルモンの過剰分泌のほかにも血行不良やストレス、内臓機能低下などが影響します。薄毛は、血行不良になった場所から進行がはじまります
 
ここでは、薄毛になりはじめる場所のタイプ別に薄毛の原因をご紹介します。

(1)頭頂部から薄くなるタイプ

頭頂部の髪の毛が薄くなり、河童のようになってしまうタイプは、ストレスによって筋肉が緊張することで、生え変わるサイクルが崩れていることが多いのだそう。
 
筋肉の緊張で血圧が高くなり、心臓に負担がかると心臓から遠い頭頂部の血行が悪くなります。頭頂部の血行が悪くなると、その付近に栄養が行きわたらなくなり、髪の毛の生え変わるサイクルが乱れます。

(2)生え際から薄くなるタイプ

おでこが広くなる薄毛のタイプ。おでこや頭頂部など頭蓋骨が出っ張っている部分は、構造的に血流が滞りやすいと言われています。加えて、長時間のデスクワークによる眼精疲労の蓄積がおでこの頭皮の筋肉をこわばらせ、さらに血流を悪くします。すると髪の毛が生え変わるサイクルが乱れ、薄毛が進んでしまいます。

(3)全体的に薄くなるタイプ

全体的に髪の毛が薄くなってしまうタイプは、腎臓の機能が低下していることが多いと言われています。腎臓の機能が低下すると、血液中に不要物が流れ、全身の血行が悪化します。すると、髪が生えても抜けやすくなったり、生えなくなったりします。

(4)耳のまわりから薄くなるタイプ

耳まわりから薄くなるタイプの人は、首や肩のこりが原因だと言われています。首や肩の血流が悪い状態が影響している可能性があります。

円形脱毛症について

局所的に毛が抜ける病気。大きさは硬貨大のものから、頭部全体にわたるものまで様々です。主にストレスや頭部のけがなどが原因だと言われています。性別年齢を問わず発症する可能性があります。円形脱毛症の詳しいメカニズムは不明ですが、インフルエンザなどの感染症にかかったときや、出産後に発症するケースがある、という報告があります。
 
頭皮に1~3つほどでき、一定期間以上を置くと毛が生えてくることが多いと言われています。ステロイドの塗り薬や、飲み薬などの投薬治療が有効だとされていますが、頭痛や吐き気、発熱などの副作用をともなうことがあります

びまん性脱毛

髪の毛が全体的に間引かれるように薄くなっていく「びまん性脱毛」は女性に多く起こると言われており、更年期によるホルモンバランスの乱れがおもな原因だと考えられています。無理なダイエットによる栄養不足や、睡眠不足やストレスによって起こることもあります。
 
原因となるストレスや栄養不足を解消することに加え、毎日のシャンプーの際に頭皮をマッサージし、血流をよくするなどしてケアしましょう。

薄毛になりやすい生活習慣

薄毛になりやすい生活習慣

頭皮の血行不良やホルモンバランスの乱れは、以下の4つの生活習慣が引き起こしていることが多いと言われています。

(1)食生活の乱れ

塩分の多い食事を続けると、高血圧になります。そのため「何にでも醤油をかける」「味の濃いものが好き」といった人は、高血圧で血流が滞り、心臓から遠い場所にある頭頂部の血行が悪くなる可能性が高いと言われています。
 
また、脂肪分が多い食事は男性ホルモンの「テストステロン」の増加につながります。「テストステロン」が増えると「ジヒドロテストステロン」が増え、ヘアサイクルの成長期が短くなることで、薄毛になりやすくなります。

(2)お酒の飲み過ぎ

アルコールを過剰に摂取すると、アルコールの利尿作用により、水分が体内から出て行ってしまい、水分不足になります。体内の水分不足によって、血流が悪くなり、薄毛になりやすくなると言われています。

(3)姿勢が悪い

デスクワークなどで長時間姿勢が悪い状態が続くと、血流が悪くなり、首や肩がこります。すると、頭皮の血行も悪くなるので、髪の生え変わるサイクルに影響を及ぼします。

(4)睡眠不足

髪の毛は、血液の中に含まれる「リンパ球(※)」の数が多いほど、健康になると言われています。睡眠不足の状態が続くと、このリンパ球が十分に作られなくなり、髪の毛が生える過程に影響します。
 
※身体の中に侵入してきたウイルスや細菌などを破壊する物質
 
生活習慣は薄毛の原因に関わりが深いと言われているので、改善の余地がある場合はぜひ実践しましょう。

薄毛ケアの方法

薄毛ケアの方法

薄毛は、病院や専門機関で治療を受けることができます。薄毛になる原因は人によって様々なので、カウンセリングや検査などでそれぞれに合った治療法を選択して治療を進めます。しかし、薄毛は健康保険の適応外なので、経済的な面で治療が難しいと考えている人もいるかもしれません。
 
そこで、ここでは自宅でできる薄毛対策をご紹介します。

洗髪方法の改善

現在、育毛効果があると言われているシャンプーが多く市販されています。しかし、正しい選び方ができているかどうかは個人で判断しづらいもの。ここでは、シャンプーの選び方のポイントや、髪の毛の洗い方をご紹介します。

洗浄力が強すぎないシャンプーを選ぶ

「頭皮に皮脂が残ったままだと、毛穴が詰まって薄毛の原因になる」と、頭皮の皮脂を落とす効果が高いシャンプーを選んでいる人もいるかもしれません。しかし、皮脂を落としすぎてしまうと頭皮が乾燥し、「皮脂が足りない」と判断して、それまでよりもかえって皮脂を過剰に作り出してしまいます。その結果、皮脂を作ることに栄養がとられ、髪の毛に栄養がいかなくなってしまうことがあります。
 
頭皮の乾燥が気になる場合には、皮脂を落とす力が強い「合成界面活性剤」の入っていないものが合っています。合成界面活性剤が洗い残しなどで肌に残ると、頭皮の角質がはがれ、皮脂が過剰に出る可能性があります。ただ、合成界面活性剤が使われていても、成分表示の場所に「ラウロイル○○」「ココイル○○」と書かれているものは、弱酸性で低刺激なので洗浄力が強すぎない製品だと考えられます。一度、現在使っているシャンプーの成分を見直してみてください。

指先よりも手のひらを使って洗う

シャンプーをするとき、指の腹を使ってゴシゴシこすっていませんか? 実は、その洗い方は頭皮や髪の毛にとって刺激が強すぎる場合があります。頭皮や髪の毛の汚れは、シャンプーの泡が落とすので、指で強くこする必要はありません。
 
シャンプーをよく泡立て、手のひらで優しくマッサージしましょう。また、お湯の温度が高いと、皮脂を落としすぎるので、37〜39℃の少しぬるめのお湯で洗い流すようにしましょう。

2度洗いでマッサージする

1度目は汚れを落とす、2度目はマッサージ、と2回に分けてシャンプーをすると、頭皮の血行を促すので効果的です。1度目のシャンプーを洗い流したら、もう一度シャンプーを手で泡立てて頭皮になじませ、ゆっくりマッサージしてから洗い流しましょう。

たんぱく質が豊富な食べ物を食べる

大豆などに含まれる植物性たんぱく質は、毛母細胞を活性化すると言われています。たんぱく質は、炭水化物・脂質・ビタミン・ミネラルと一緒にとることで、体内への吸収がよくなる物質です。バランスのよい食事を心がけましょう。
 
薄毛ケアは毎日の生活の見直しから始め、自分に合った対策を根気よく続けることが大切です。まずは、できることから始めてみましょう。
 
監修:井上 智介(皮膚科)
 
<参照>
辻敦哉『世界一簡単な髪が増える方法』(アスコム)
板羽忠徳『やってはいけない頭髪ケア』(青春出版社)
徳富知厚『頭皮ストレスをなくすと髪がどんどん増えてくる』青春出版社
板見智『おもしろサイエンス 薄毛の科学』(B&Tブックス 日刊工業)
 
第一三共ヘルスケア 薄毛の原因
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/17_usuge/index1.html#point2
 
神戸大学医学部附属病院
http://www.med.kobe-u.ac.jp/cosme/aga.html

photo:Getty Images

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