朝起きた後や、一日中立ちっぱなしだった後に、顔や手足がパンパンになってしまう「むくみ」。この症状に頭を悩ませている人も多いのではないでしょうか。
 
むくみの原因は様々ありますが、危険な病気のサインのケースもあります。今回は、むくみの原因や解消法について解説します。

むくみの原因と予防法|すぐできるスッキリ解消法!

 

むくみとは?

むくみとは?

「むくみ」が起こる原因は大きく分けて2つあります。
 
1つは、不要になった血液中の水分「間質液」が増加し、細胞と細胞の間にたまるため。「間質液」が増加するのは、血行不良が原因です。
 
もう1つは、血管のそばにある「リンパ管」の中の「リンパ液」の流れが滞るためです。体内の老廃物を回収・排出する液体の流れが滞ると、行き場のなくなった水分がむくみとして現れます。

むくみが起こるメカニズム

血液循環が滞るため

血液は心臓から動脈を通って脚まで送られ、静脈を通って再び心臓に戻ります。心臓に血液を戻す力が不足していると、血液や血液中の水分が適切に循環しなくなります。すると、血液中の水分が皮膚と皮下脂肪にたまり、むくみが起こるという仕組みです。
 
また、筋ポンプ作用(筋肉が収縮して筋肉内の血液を押し出す働きのこと)が弱い場合は、血液が滞りがちになり、むくみが起きやすくなります。むくむ場所でも特に脚がむくみやすいのは、心臓から遠いことと、重力に逆らって心臓に血液を戻す必要があるためです。

リンパ液の循環が滞るため

リンパ液は体内の老廃物を回収、排出したり、病原体やウイルスに抵抗したりする働きをします。リンパ液が回収した老廃物は首や脇、ひざ裏などに存在する「リンパ節」でろ過される仕組みになっています。この循環がうまくいかないと、皮膚にたんぱく質や水分が出てむくみの原因になります。
 
むくみが起こると、以下のような状態になります。

  • 脚が太く見える
  • 靴やブーツが履きにくくなる
  • 靴下の跡がなかなか消えない
  • 身体がだるい
  • 肩がこる
  • 腰が重い

 

上記以外にも、むくみは全身症状となって現れることがあります。

むくみやすい人の特徴は?

むくみやすい人の特徴は?

 

むくみは、以下のような傾向がある人に多く見られます。

皮下脂肪が多い人

肥満で皮下脂肪が多いと、心臓に負担がかかり、血液の循環が悪くなって水分がたまりやすくなります。また、女性は男性より皮下脂肪が多く、筋肉量が少ない傾向があるため、男性と比べてむくみが出やすくなります
 
生理の1週間前あたりからは、女性ホルモンの影響で、血管が広がって尿の量が減り、水分をため込みやすくなるので、よりむくみやすくなる傾向にあります。

筋肉量が少ない人

血液循環をスムーズにするためには、筋肉の力(筋ポンプ作用)が必要です。筋肉量が少ない人は、血液を送る力が弱く、血液中の水分が皮膚や皮下脂肪にたまり、むくみがちです。
特に痩せ型の体形の人は、筋肉量が少ない傾向があります。

立ち仕事や長時間同じ姿勢を続けている人

立ちっぱなしで仕事をしたり、デスクワークなどで長時間同じ姿勢をとったりしている人は、血液が重力によって脚にたまりがち。血液を心臓に戻す「筋ポンプ作用」が十分に働かないため、血液の循環が悪くなり、むくんでしまいます。
 
脚がむくみやすいのも、心臓から遠い場所にあって血流が滞りやすくなるためです。

水分や塩分、アルコールを摂る機会が多い人

水分や塩分を摂りすぎると、血管の中の水分が増えてむくみを引き起こします。また、アルコールを摂取すると、血管が膨張し動脈の血管の壁が水分を通しやすくなります。すると、血管の壁の穴から水分が出て、むくみが起こります。

水分不足の人

水分の摂り過ぎもむくみの原因になりますが、水分不足でもむくみにつながります。
水分を十分に摂っていないと静脈の血行が悪くなり、動脈から血管の外に出た水分を静脈が吸収できなくなります。それによって、皮膚と皮下組織内に水がたまり、むくみが起こります。

ストレスが多い人

精神的なストレスがたまると自律神経が乱れ、血行が悪くなります。また、ストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」が筋肉を弱らせるため、血液の流れを悪くする一因となり、むくみが現れます。

病気が原因でむくむ場合

病気が原因でむくむ場合

むくみは、アルコールや水分の摂りすぎによって引き起こされる一時的なもの以外に、病気が原因で起こる場合があります。
 
もし身体にむくみが現れた場合は、むくんでいる部位を見て、左右対称かどうかを観察しましょう。左右対称でない場合は、血管のトラブルが原因になっているなど、病気が原因のむくみの可能性が高まります。
 
また、むくんでいる部分を触ってみて、弾力や感触が他の肌と違い「むくみ」というより「腫れている」ように感じたり、皮膚がカチカチに硬くなっていたりする場合も病気の可能性があります。
 
むくみをともなう病気は、主に以下のとおりです。気になる症状がある場合は、早めに病院を受診しましょう。

下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)

何らかの原因で心臓へ血液を送るための脚の静脈の弁が壊れ、血液が心臓に戻りにくくなって脚にたまり、静脈に沿った形のコブやむくみが出たりする病気。
 
初期は痛みなどの自覚症状はなく、見た目の違和感で気づくことがほとんどです。そのあと何年もかけて進行し、痛みやだるさ、皮膚のかゆみなどの症状が出てきます。

甲状腺機能低下症

免疫異常によって、細胞の新陳代謝を促す役割をする甲状腺ホルモンの分泌や作用の低下が起こる疾患。
 
代謝機能がうまくいかないことにより、おもに脚がむくみます。むくんだ部分を押してへこませても、すぐ元に戻るのが特徴です。ほかにも皮膚の乾燥や顔が腫れぼったくなる、便秘、疲れやすくなるなどの症状をともないます。

急性糸球体腎炎(きゅうせいしきゅうたいじんえん)

腎臓の血液をろ過する「糸球体」に炎症が起きる疾患。咽頭炎や扁桃炎、急性上気道炎を中心とする感染(主にA群β溶連菌)が原因で発症します。
 
菌に感染したことで糸球体のろ過機能が低下して、体内の塩分や水分が過剰になってむくみが起こります。小学校低学年から高学年をピークに子どもに多くみられます。目のまわりや脚のむくみの他に、血尿、高血圧や倦怠感、動悸などの症状が併発することもあります。

ネフローゼ症候群

腎臓の糸球体に異常が起きる病気の一つです。血液をろ過して尿を作る腎臓の組織に障害が起こることで、正常時よりも多くのたんぱく質が尿中に出て、血液中のたんぱく質が減ってしまいます。血液中のたんぱく質が減ると水分を血管内に留めておく力が減るので、水分が血管の外へ出てむくみが起こります。
 
むくみはまぶたや顔、足にあらわれ、やがて肺やお腹の中にも水がたまることがあります。むくみのほか、体重が増加したり、身体がだるくなったりするなどの症状が現れることもあります。

心不全

心臓のポンプ機能が何らかの原因で低下し、全身へ正常に血液を送れない状態のことです。
毛細血管の血液が心臓に正常に戻らないために毛細血管の圧が上昇し、血管内の水分が外ににじみ出て、全身にむくみを生じます。
 
特に脚・手・顔に現れることが多くあります。むくむと同時に、全身の血液のめぐりが悪くなり、腎臓で尿が作られにくくなるため、尿の量が減ります。そのため排出されない尿が体内の水分としてたまり、急に体重が1キロ以上増えることもあります。
 
病気が原因のむくみを解消するには、原因となる病気を治療する必要があります。
急激な体重増加(体重の10%以上)があったり、むくみが何日も続いたりするなどの症状がある場合は、できるだけ早く受診しましょう。

むくみの解消法

むくみの解消法

むくみは放っておくと、慢性化することがあります。できるだけその日のうちに解消しましょう。

むくみの解消法

むくみは特に下半身に起こりやすい症状です。下半身のむくみには、以下の方法が有効です。

空中自転車こぎ

横になった姿勢で足を上げることで、脚にたまっていた水分の循環を促す効果が期待できます。

<手順>

  • 仰向けに寝て両脚を上げる
  • 自転車をこぐように脚をぐるぐる回す(1分に10回程度が目安)

かかと上げストレッチ

ふくらはぎと足首を同時に動かすストレッチは、血流がよくなります。

<手順>

  • いすや棚など安定しているものにつかまり、両足のかかとを少し浮かせる
  • 3秒数えながらゆっくりとかかとを上げる
  • 3秒数えながら、床につくぎりぎりの位置までかかとを下げる

(②~③を20回ほどくりかえす)

ツボ押し

眠る前や仕事の合間などに簡単に行えるのがツボ押し。ツボは骨の近くにあるので、骨の際(きわ)に指を押し込み「イタ気持ちいい」感覚のある角度で押しましょう。血液やリンパの流れがよくなり、むくみが緩和されます。

<むくみ解消におすすめのツボ>

  • 失眠(しつみん):かかとの、肉付きが丸くふくらんでいる部分にあるツボ
  • 井穴(せいけつ):足指の爪の付け根の両側にあるツボ
  • 三陰交(さんいんこう):内くるぶしの中心に小指の端を当て、膝方向の指幅4本分上にあるツボ

ツボ押しをすることで心地よい眠りにもつながるので、ぜひ毎日の習慣にしましょう。

むくみと睡眠の関係

むくみは、筋肉の疲労が回復したり、血行がよくなったりすることで解消されます。質のよい眠りによって筋肉の疲労が回復すると、筋ポンプ作用が高まり、余分な水分の排出を促すことが期待できます。
 
そのため、むくみ解消と予防のために、睡眠はとても重要です。

むくみの予防法

むくみの予防法

むくみは日常生活の少しの工夫で予防できます。ここから、むくみにくい身体を作るための予防法をご紹介します。

お風呂につかる

忙しいとシャワーだけで済ませてしまうことがあるかもしれませんが、できれば浴槽にお湯をはることがおすすめ。ゆっくりお湯につかることによって、血液の循環がよくなり、たまった老廃物が排出されやすくなります。また、お風呂につかると水圧によってリンパの流れが改善されることもあります。

入浴後にマッサージをする

外から直接圧力を加えることは、むくみ予防に有効です。末梢血管が広がって血液循環がよくなっている入浴後に、マッサージを行いましょう。

<手順>

  • 入浴後に腕や脚などにクリームやオイルを塗って、肌がこすれて痛くならないようにします。続いて、手足の指から心臓に向かって優しくマッサージをしましょう。
Check

【脚むくみ解消】賢い入浴法と寝る前のパンパン脚のむくみケア

→脚のむくみ解消におすすめのマッサージ

塩分の多い食べ物を控える

塩分の多い食事はのどが渇くため、水分の過剰摂取につながり、むくみやすくなります。
塩分や栄養が偏りがちなファストフードやインスタント食品などは控え、主食、主菜、副菜のバランスがよい食事を心がけましょう。

カリウムを摂る

体内の水分量の調節には、ナトリウムとカリウムをバランスよく摂ることが大切。特に塩分の多い食べ物が好きな人は、余分なナトリウムの排出を促すカリウムを積極的に摂りましょう
 
カリウムは大豆類やいも類、海藻類、バナナなどに多く含まれています。また、昆布やわかめなどの海藻類には「アルギン酸」という成分が含まれており、体内のカリウムを増やしてナトリウムを排出する働きをします。

運動する

運動をすると血流がよくなり、むくみ防止になります。特に、むくみやすい脚のふくらはぎの筋肉を強くしておきましょう。水泳、やウォーキングなどがおすすめです。

眠る姿勢に注意する

ベッドで横になるときは、効率的な血流を促すために、かかとの下からひざの裏あたりに座布団や枕などを入れ、足を15cmくらい高くして眠ると効果的です。足を心臓より高くし、血流の滞りを予防します。

枕の位置を調節する

枕が高すぎたり低すぎたりすると、首が窮屈になって血流が滞ってしまいます。朝起きたときに首や肩がこっていたり、痛みがあったりする場合は、枕の高さが合っていない可能性も。靴や洋服と同じように、枕もフィッティングしてから購入するのがベターです。

薬とむくみ

むくみの中には「薬剤性浮腫(ふしゅ)」という、服用している薬が原因のものもあります。原因となる薬剤は多種多様ですが、以下のようなものが代表的です。

  • 非ステロイド系抗炎症薬
  • 降圧薬
  • 糖尿病薬
  • 漢方薬
  • 中枢神経作用薬
  • 抗生剤
  • 抗がん剤

 

以上のものはすべて病院で処方されるものです。 服用してむくみが気になる場合は、医師に相談してみましょう。
 
監修:坪田聡(雨晴クリニック副院長)
 
<参照>
『むくみ体質をあきらめない 』(メディカルトリビューン)平井正文、廣田彰男、中村正人、鈴木加余子
『下肢静脈瘤・むくみは自分で直せる!』(学研)岩井武尚
 
沢井製薬 カラダの豆事典
http://www.sawai.co.jp/kenko-suishinka/illness/201503.html
 
武田薬品工業 タケダ健康サイト「むくみ」
http://takeda-kenko.jp/navi/navi.php?key=mukumi_zenshin
 
国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス「心不全」
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/disease/heart-failure.html
 
全国健康保険協会 足元スッキリ、むくみ対策!
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g5/cat510/h27/270401
 
東京女子医科大学病院 腎臓病総合医療センター ネフローゼ症候群
http://www.twmu.ac.jp/NEP/nephrotic-syndrome.html
 
急性糸球体腎炎
http://www.twmu.ac.jp/NEP/shikyutai/kyusei-shikyutai.html
 
順天堂大学医学部附属順天堂医院 看護部「全身」
https://www.juntendo.ac.jp/hospital/support/kangobu/patient/symptoms/symptoms04.html

photo:Getty Images

編集部内で信頼できると判断した情報、並びに医師や専門家への取材を元に信頼性のある情報提供を心がけておりますが、自己の個人的・個別的・具体的な医療上の問題の解決を必要とする場合には、自ら速やかに、医師等の適切な専門家へ相談するか適切な医療機関を受診してください。(詳細は利用規約第3条をご確認ください)