食べ過ぎやちょっとした体調の悪化で、不意に起こってしまう下痢。一時的なものだと軽視しがちですが、実は病気のサインとして下痢が起こる場合もあります。そんな下痢の原因や応急処置、予防法についてまとめました。

下痢の主な原因5つ|原因別の応急処置と予防法、病気の見分け方

 

下痢はなぜ起こる?

下痢はなぜ起こる?

一般的な下痢の定義は、水分の多い液状の便、またはそれに近い便が出る状態です。その原因は、消化不良や消化酵素の不足、栄養不足、腸の炎症、アレルギー性や神経性のものなどさまざまです。

どうして下痢になるの?

下痢は、腸の働きに異常が生じたときに発症します。腸の働きが正常な場合、摂取した食べ物は食道から胃を経て、10時間ほどで直腸のすぐ上のS字結腸に到達します。通常は、ここで消化された物から水分が吸収され、適度な固さの便がつくられます。しかし、何らかの原因で腸の水分吸収が不十分だったり、腸からの分泌物が増加したりすると、液状や泥状の便ができてしまいます。
 
ちなみに、正常な便の水分含有量は70~80%。水分量が80%~90%になると泥状、90%以上になると、液状の便と判断されます。
 
多くの場合、下痢止め薬の服用などで症状はだんだん回復していきます。しかし、下痢症状が収まらずに長引き、発熱や腹痛、嘔吐(おうと)などを伴う場合は、病気や食中毒などの感染症の可能性が高まります。そんな場合は早めに医師の診断を仰ぎ、適切な処置を受ける必要があります。

下痢の原因は?

下痢の主な原因としては、以下のことが考えられます。

ウイルス感染(食中毒など)、アレルギー

急性の下痢は、食中毒や細菌・ウイルス感染が原因であることが多く、これらは「感染性急性下痢」と呼ばれ、発熱や腹痛、吐き気、嘔吐などを伴います。
 
細菌は、赤痢やコレラ、サルモネラ、カンピロバクター、ブドウ球菌、腸管出血性大腸菌など、ウイルスはノロウイルスやロタウイルス、風邪のウイルスなどが代表的なものとして知られています。ウイルス感染による下痢はすべての年齢層で発症しますが、特に乳幼児や高齢者に多く見られます

腸内環境の悪化

便秘や下痢に悩む人の多くは、悪玉菌が増えて腸内環境が乱れがちです。便がたまる大腸の中には、約100種類、100兆個以上の腸内細菌が存在しています。
 
腸内細菌は、腸の運動を鈍くする悪玉菌と、悪玉菌の侵入や増殖を防ぐ善玉菌、そして悪玉菌と善玉菌の優勢な方に味方する日和見菌の3種類に分類されます。下痢の症状は悪玉菌が多い時に起こりやすいため、下痢を改善するには、腸内環境を整える発酵食品などを取り入れ、日ごろから善玉菌を増やしておくことが効果的です。

飲み過ぎ、食べ過ぎ

下痢の原因として最も多いのが、「飲みすぎ、食べすぎ」です。暴飲暴食によって腸内に炎症が起き、消化吸収の機能がうまく働かなくなると下痢が起こります。
 
疲れがたまっていると消化機能も弱まり、より下痢になりやすくなります。症状が比較的軽度であれば、水分を適度に補い、腸を刺激しないように過ごしていれば数日で治まることがほとんどです。

ストレス

ストレスなどで緊張が高まると、交感神経が過剰に優位になり、腸の動きをコントロールしている自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが乱れ、腸の動きが鈍くなります。その結果、下痢や便秘などの症状が現れます。
 
腸が正常に働くためには、自律神経のバランスが正常であることが不可欠。スポーツやカラオケなど、自分なりの気分転換の方法を見つけてストレスを解消しましょう。

冷え

身体が冷えていると血行が悪くなり、胃腸の働きが低下して便秘や下痢になりやすくなります。自律神経のバランスも乱れてしまうため、冷えに悩む人は意識的に身体を温める工夫が大切です。冷たい飲み物や食べ物を控え、外出の時も腹巻きをするなどの対策をとりましょう。

生活習慣の乱れ

食事の時間や睡眠時間が乱れると腸の働きが悪くなり、下痢を招くことがあります。生活リズムを正すために、まずは自分の生活習慣を見直しましょう。食事の時間や起床時刻は、なるべく規則的になるように意識的に揃えてみましょう。

下痢の種類と下痢を伴う主な病気

下痢の種類と下痢を伴う主な病気

ひと口に「下痢」といっても、その症状や原因によっていくつかの種類に分けられます。

下痢の種類

分泌性下痢

食あたり、水あたり、食物アレルギーなどが原因で、腸粘膜から腸液などの分泌が過剰になることで起こる下痢。腸粘膜障害や腸に入った細菌の毒素などにより、腸内の水分分泌が促進される場合もある。

運動亢進性(うんどうこうしんせい)下痢

腸管の運動が異常に高まり、便の通過スピードが速くなって、便から水分を吸収できないことで引き起こされる下痢。精神的ストレスや暴飲暴食、消化不良、冷えなどが原因である場合が多い。

浸透圧性下痢

腸管内の浸透圧が上昇し、水分・電解質などの吸収が不十分なために起こる下痢。原因として下剤やサプリメント、人工甘味料の過剰摂取、暴飲暴食などがある。
また、下痢は症状が出始めた状態や症状が続く期間によって、「急性下痢」と「慢性下痢」の2つに大別できます。
 
急性下痢は急激な腹痛を伴う下痢で、暴飲暴食や消化不良、冷え、環境の変化によるストレスなどが原因です。一定期間安静にすれば治まります。一方、2週間~1カ月以上も下痢が治まらない場合は、慢性下痢に分別され、別の病気が原因になっている可能性があります。

下痢をともなう病気

大腸ポリープ、大腸がん

ポリープとは、大腸の内側にできるイボ状の腫瘍のこと。多くの場合は良性であるものの、放置しておくと大腸がんに進行することもある。早期のものは、自覚症状が乏しい。サインとして、血便や下痢、便秘が現れる。

乳糖不耐症

牛乳などに含まれる乳糖を分解する酵素が少ないため、腸で乳糖をうまく分解できず下痢となってしまう症状。

潰瘍性大腸炎

何らかの原因で大腸の粘膜に慢性的に炎症が起こり、粘膜がただれたり、潰瘍が多発したりする病気。長期間にわたり下痢と腹痛が続き、粘液や血液の混じった便が出たり、発熱が見られたりする。ストレスで症状が悪化する傾向があり、比較的若い世代での発症が多い。

過敏性腸症候群

大腸に病気や障害がないにもかかわらず、便秘や下痢の症状が繰り返される病気。精神的ストレスや情緒不安定などが原因で、腸のぜん動運動に異常が起こり、慢性的な下痢を引き起こす。何週間も下痢が続くほか、一時的に治まった後に再発することもある。
 
症状は下痢型、便秘型、下痢と便秘が交互に起こる交替型の3タイプに分けられる。下痢型の場合は腹痛をともなう水のような便が1日3回以上排泄され、便秘型の場合には排便の回数が週3回以下に減少し、硬いコロコロとした便になる。

食中毒

細菌やウイルス、毒素に汚染された食品を食べることで起こる。細菌やウイルスの種類によって症状も異なるものの、多くの食中毒が下痢をともなう
 
食品を汚染する細菌は、生肉に生息するO-157やカンピロバクター、鶏などに生息するサルモネラ菌など。また、ウイルスでは、カキなどから感染するノロウイルスがよく知られている。さらに、鮮度が落ちた青魚にはヒスタミンという物質が蓄積されており、下痢をはじめ、舌のしびれや発疹などのアレルギー症状を引き起こす。

下痢が引き起こす症状

ここまで、下痢をともなう病気をご紹介してきましたが、以下のように、下痢が原因で体調が悪化してしまうケースもあります。

脱水症状

下痢によって身体から水分が失われると、脱水症状や電解質異常が生じる可能性がある。体重が5%以上減少するような脱水は重症ケースといえる。尿の色が濃くなり、尿量が減ってきた場合は腎不全の可能性も考えられる。さらに症状が進むと、脈が早くなって血圧が低下し、ショック症状に陥ることもある。
 
たかが下痢と思っていても、脱水症状への対策を怠るのは非常に危険。スポーツ飲料などで水分・電解質を補給して、体液バランスを回復させることが重要。ただし、牛乳は腸管を刺激するため、避けるようにする。

肛門の炎症

下痢によって何度もトイレに行って拭いていると、肛門が炎症を起こし、最終的に痔(じ)になることがある。痔になると排便時に痛みをともなうため、トイレに行くのをためらうようになり、排便リズムと体内リズムの乱れにつながる怖れもあるため注意が必要。

下痢の原因別応急処置

下痢の原因別応急処置

下痢になった場合、どのような処置が必要なのでしょうか。その対処法を症状別にご紹介します。

急性の下痢の場合

急性の下痢は急激な腹痛とともに多くの水分が排出されてしまうことが多く、脱水症状を引き起こす可能性があります。そのため、もっとも重要な処置が水分の補給です。
 
冷たいものは刺激が強いため、ぬるめの番茶や白湯、電解質も補給できるスポーツ飲料などを飲むとよいでしょう。食事をとるときは、おかゆや野菜スープなど、胃腸への負担が少ないものを選び、胃腸を休ませるよう心がけてください。
 
また、下痢と同時に腹痛や発熱、嘔吐をともなう場合は、食中毒やウイルス感染の可能性があります。このような場合は、早めに医師の診察を受けましょう。

食べ過ぎによる下痢の場合

食べ過ぎが原因の場合は水分補給とともに、胃腸を休めるために消化のよい食事を意識しましょう。おかゆやすりおろしたりんご、野菜スープなどがおすすめです。
 
また、牛乳など特定の食品を摂取すると下痢になる場合は、その食品を避けることも重要です。フライや天ぷらなど脂っぽい料理や糖分を多く含む料理、お菓子などは腸管に負担をかけるので控えめに。
 
カレーなど香辛料の効いた料理や食物繊維を多く含む生野菜などは、腸の運動を活発にして症状を悪化させるので避けてください。

ストレス、生活習慣の乱れによる下痢の場合

慢性的に下痢が続く場合は、ストレスや生活習慣が原因の可能性があります。そんな場合は、以下の対策を試してみましょう。

ストレス発散をする

自律神経が乱れる原因にもなるストレスを排除することは、最も手軽で効率的な対策です。ゆっくり休息する時間をとる、睡眠をきちんととる、趣味を見つけるなどして、ストレスをため込みすぎないようにしましょう。

発酵食品をとる

ヨーグルトや納豆、チーズ、漬物など、発酵食品に含まれる菌には、腸内環境を整える効果が期待できます。発酵食品に含まれる菌は熱に弱いため、そのまま食べるようにしてください。

十分な睡眠をとる

腸は、眠っているときやリラックスしているときに活発化します。胃腸が弱っているときは就寝時刻が遅くならないように、意識的に睡眠時間を確保するようにしましょう。

下痢と睡眠不足の関係とは?

下痢と睡眠不足の関係とは?

睡眠不足が続くと自律神経のバランスが乱れ、腸の調子にまで影響を及ぼします。慢性的な下痢に悩んでいる人は、自律神経のバランスを整え、睡眠の質を高めることを意識すると、快方に向かうかもしれません。

「呼吸」で自律神経を整える

自律神経の乱れを整える方法として、おすすめしたいのが「腹式呼吸」です。お腹の動きを意識しながら、ゆっくりと深く息を吸い、ゆっくりと吐くことで、副交感神経が優位になり、身体の緊張状態の緩和につながります。
 
腹式呼吸が難しいと感じる方は、まず「ゆっくり呼吸」からはじめてみましょう。「ゆっくり呼吸」とは、ゆっくり息を吸って、ゆっくり吐く呼吸のこと。1分間で5~6回(1回の呼吸が10秒程度)になるようにコントロールする呼吸法です。
 
交感神経が鎮まり、副交感神経が優位な状態となれば、スムーズな入眠につながります。眠っている間に目覚める回数が減ったり、途中で目覚めてから再び寝つくまでの時間が短縮したり、睡眠の質を高める効果も期待できます

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ゆっくり呼吸は、心身のリラックスや健康を目的としたヨガでも取り入れられている手法です。特にストレス性の下痢に悩む人にはおすすめです。

腸を温めて自律神経を整える

身体が冷えを感じると、身体を温めようと自律神経が働き、通常よりも強く腸を収縮させます。腸が過剰に動いてしまうと、身体は水分の吸収を抑えようとします。その結果、便に含まれている水分も身体に吸収されず、下痢になってしまいます。
 
そこで重要なのが、身体を温めて自律神経を整え、冷えによる腸の収縮を抑えることです。

冷たいものを避け、温かいものを

冷たい飲み物や食べ物は、胃に負担をかけてしまいます。水分は人肌以上の温度を目安に摂取し、身体を冷やさないことを意識しましょう。

お腹が冷えない服装を

お腹を冷やさないよう、腹巻きの活用がおすすめ。冷房のきいたオフィスなどでは夏場の冷えにも注意が必要です。冬場の寒い時期は、使い切りカイロの併用も効果的です。

湯船に浸かって全身から温める

身体を温めるためには、シャワーで済ませず湯船に浸かる方が効果的です。入浴は就寝1時間前までに、お湯に20分程度ゆったり浸かって身体をリラックスさせることが理想的。お好みでいい香りの入浴剤などを使えば、さらに心身がほぐれてきます。42度以上の熱いお湯は、交感神経にスイッチを入れてしまうため「ぬるめ」を意識しましょう。

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子どもが下痢になってしまったときの注意点

子どもが下痢になってしまったときの注意点

自覚症状をうまく説明できない子どもの下痢は、対応が難しいところです。しばらく様子をみればいいのか、市販の薬で対応できるのか、もしくは医師の診察が必要なのか、下痢の状態や子どもの様子を見ながら対応を判断しましょう

しばらく様子を見た方がいいケース

すっぱいにおいがする下痢の場合、腸が不調で乳糖(乳製品に含まれる炭水化物)の吸収が悪く、軽い下痢を起こしていたり、ウイルスが原因になっていたりする可能性があると考えられます。子どもがいつも通り元気で、他に変わった様子がないようなら、しばらく様子を見てみましょう。何か変わった様子がある場合は、医師に相談すると安心です。
 
神経質な子どもは叱られたり、環境が変化したりすると下痢になることがあります。その場合も元気で食欲が落ちていなければ、自然と快方へ向かいます。

市販の薬で対応できるケース

便に白さが目立つ下痢、嘔吐をともなう下痢は、ロタウイルス(※)が原因となっている可能性があります。現在、効果的な薬はないため、しっかりと水分をとらせて脱水症状にならないようにし、栄養を補給して体力を消耗させないようにする対策が必要です。下痢止めは回復を遅らせてしまうので使用せず、医師の判断を仰いでください。
 
※ロタウイルス…急性胃腸炎を引き起こすウイルスで、乳幼児、子どもに感染することが多い。

市販薬を服用するか、病院で診察を受けるかの判断

抵抗力の低い子どもは細菌に感染しやすく、食あたりで下痢を起こすこともあります。直近で賞味期限切れのもの、生ものを食べてしまった など、原因に心当たりがあり、下痢の症状が軽度な場合は 、脱水状態にならないように注意しながら市販の整腸剤を飲ませて様子を見るのも1つの方法です。薬を飲ませることが心配な場合は、医師に相談しましょう。
 
一方、食中毒が疑われる場合は、早めに医療機関を受診する必要があります。 また、激しい嘔吐や高熱、血便、意識障害や痙攣(けいれん)をともなう下痢は、重大な病気の可能性があります。すぐに病院に行き、医師の診断を受けましょう。
 
日頃から頻繁に下痢に悩まされるという人は、睡眠や食事、生活習慣の改善を意識してみてはいかがでしょうか?
 

監修:坪田聡(雨晴クリニック副院長)
 
<参照>
『本気で治したい人の腸の処方箋』山口トキコ(学研)
 
佐藤製薬
ヘルスケア情報「下痢・軟便」
http://www.sato-seiyaku.co.jp/healthcare/extinguisher-anus6.html
 
武田薬品工業 タケダ健康サイト「下痢」
http://takeda-kenko.jp/navi/navi.php?key=geri
 
ビオフェルミン製薬 「下痢に悩むあなたへ」
http://www.biofermin.co.jp/nyusankin/geri/
 
大幸薬品 健康情報局 おなかのQ&A 子供編
http://www.seirogan.co.jp/fun/stomach/faq_child.html
 
厚生労働省 ロタウイルスに関するQ&A
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/Rotavirus/index.html

photo:Getty Images

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