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あっという間に冬本番、毎朝布団から抜け出すのも億劫な季節がやってきてしまいました。足先が冷えていて、夜はなかなか寝付けない…という方もいらっしゃるかもしれませんね。
寒い外出先から帰宅して、温かい部屋の中でほっと一息つきたいこんな時期だからこそ取り入れたいのが「和食」です。
 
なかでも「だし」には、疲労回復や美肌効果など代謝機能を高めてくれる働きがあります。ほっこり和食を手軽に取り入れて、心と身体とリフレッシュさせ、寒い季節の憂うつを乗り切っていきましょう。

“頑張りたいときにお味噌汁チャージ”すべき理由

現在は懐石料理として親しまれる「一汁三菜」。元々は江戸時代頃に、本膳料理の作法として確立された献立のひとつで、お膳の中に、どのような食べ物が盛り付けられて配膳されるものかを決めたものです。近年、食の欧米化による生活習慣病の増加に伴い、日本人の理想的な食事バランスとして、‟一汁二菜“や”三菜“が見直されています

※ここでは、一汁二菜や三菜は〔ごはん・汁もの・おかず(主菜・副菜)〕を指しています。

 

今回注目したいのが、汁ものの「味噌汁」です。まずは秘めたるお味噌汁の魅力をご紹介しましょう。
 
味噌汁は、
① だし汁
② 味噌
③ 具
の三要素から成り立っています。
 
なかでも注目すべきは、「だし」の力。近頃、「だし活」なる言葉が登場し、生活に「だし」を取り入れようという動きがあります。だしを活用した料理は、豊富なうまみ成分により官能を満足させることができるため、減塩・減脂肪効果が期待できます。生活習慣病予防にもだしを活用した日本型食生活が活かされ始めています。
 
いろいろな食材の「だし」がありますが、ぜひ日常的に活用したいのが「鰹節」。鰹節は、鰹を煮熟して、燻乾(煙で燻し、乾燥させる)させたもので、古くは平安時代頃には鰹節の原型がすでに作られていたそう。現在の鰹節の製造法が確立されたのは江戸時代中期ごろで、なかでも長期保存のためにカビを付けて熟成させた「枯れ節」は、たんぱく質が分解されて多くのうまみ成分へと変わっており、鰹節の中でも上級品になっています。
 
鰹節に豊富に含まれるうまみ成分のイノシン酸は、核酸系の物質で、ヒトの体内では、DNAの生成にも関わっているとても大切なもの。核酸は代謝に関わるため、新陳代謝を高め、風邪予防や肌の生成などにも役立っています。そのため、アミノ酸系のうまみ成分グルタミン酸などと相乗的に疲労回復効果が期待できます。改めて3要素を振り返りましょう。

だし汁

昆布や鰹節、いりこなどの乾物から取られるものを中心とし、具材からも‟だし“が取れる。一般的にだしには官能的に味に深みやまろやかさを与え、そして食べたときの満足感を与える基本味の一つである「うまみ成分」のグルタミン酸やイノシン酸などが含まれている。
 
グルタミン酸はたんぱく質を構成しているアミノ酸のひとつで、ヒトの体内でも作られる。イノシン酸は核酸系の物質で、生物の代謝や運動エネルギー源になる。

味噌

主に大豆から作られており、麹の働きにより発酵のプロセスを経て、古くから「味噌は医者いらず」と言われるほどの栄養価を持つ
 
発酵によって大豆の時にはない、もしくは少量だったビタミンやミネラルが増える。大豆のたんぱく質がアミノ酸まで分解されると、うまみ成分グルタミン酸も増える。必須アミノ酸が含まれるほか、消化吸収も良く、疲労回復効果なども期待できる。

味噌汁には、野菜、いも、キノコ類をはじめ、海藻や魚介類、肉など、実に多彩なバリエーションがあり、どの季節にも取り入れやすい。煮込むだけの簡単調理で、葉物野菜はかさを減らして食べられる、根菜類などは煮込んで作り置きができるなど忙しいときにも栄養バランスがとりやすい調理法。
 
味噌の持つアミノ酸や、だしに含まれるうま味成分が相乗的に働くと、疲労回復や美肌効果など、代謝機能の向上に役立つことが分かってきました。さらに、うま味成分として含まれるグルタミン酸(L-グルタミン酸)は、神経伝達物質の一つで、記憶力や学習能力に対して重要な役割を持ち、脳の情報の伝達を助けると言われている物質。
 
仕事や勉強で行き詰まったとき、ほっと温かいお味噌汁を飲んでみるのも、実はリフレッシュに効果があるかもしれません。

うま味の法則でお味噌汁の「だし活」実践!

仕事から疲れて帰ったとき、忙しくて料理をする時間が無いとき、深夜遅い帰宅のときにも役立つのが、お味噌汁!だし取りをしなくても、うま味の法則を意識するだけで、家にある食材で簡単にお味噌汁が作れます。
上述のお味噌汁の三要素(だし・味噌・具)を組み合わせてみましょう。

基本の味噌汁

大きめのマグカップに、削り節ひとつかみと、味噌大さじ1(ティースプーン山盛り1杯程度)を入れましょう。そこに熱湯を注いで味噌を溶けば、『基本の味噌汁』の完成です。続いて、手軽に使える具のアレンジをいくつかご紹介します。

① 『基本の味噌汁』+とろろ昆布+乾燥わかめ

海藻の食物繊維も摂れて、満足感がUP。昆布のうまみ成分グルタミン酸と鰹節が出合えば“一番だし”のおいしさです。

② 『基本の味噌汁』+豆腐+えのきだけ

具を加えたら電子レンジで1~2分加熱。しっかりたんぱく質補給、えのきだけの食物繊維の整腸作用が期待できるので、翌朝のすっきりにも◎。えのきだけは、冬の乾燥時期にザルなどに広げて干しておくと、すぐに使えて便利です。

③ 『基本の味噌汁』+納豆+ねぎ

言わずと知れた納豆菌の整腸作用、代謝に欠かせないビタミンB群も含まれているので、ネギに含まれるアリシンとの相乗効果から疲労回復効果が期待できます。食事が満足に摂れないときにもおすすめ。
 

納豆に含まれるビタミンKはカルシウムの結合にも重要な栄養素、血液サラサラ効果があると言われるナットウキナーゼは血栓の予防に役立つとされており、寝ている間にその効果を発揮します。納豆菌は熱に弱いので後から納豆を加えましょう。

さいごに

家庭の味を代表するともいえる「味噌汁」ですが、実は家庭での味噌消費量は激減し、特に若い人の味噌汁を飲む回数は少なくなっています。20~30代の味噌汁飲用回数を調べたアサヒグループホールディングスの調査では、「ほぼ毎日」と答えた人の割合が2~3割程度という結果が出ているほど。
 
朝食の欠食率や、米よりパンへの支出が多く、パン食の割合が20代を中心に高めの傾向であること(※)も、味噌汁の登場回数を減らしている一因かもしれません。
 
忙しいときの食事ではつい汁ものを抜かしがちですが、温かいお味噌汁を取り入れると体温が上がり代謝が活発になって、実は良いことづくめ。バランスよく食事が摂れないときこそ、ぜひお味噌汁を活用してみましょう。「だし活」は、無理なく手軽にトライできる身近な健康法と言えそうです。
 
※平成26年 厚生労働省 国民栄養調査

photo:Thinkstock / Getty Images

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